投稿記事

の記事 (1)

咲崎弧瑠璃 2024/01/26 17:45

蛍と賊と太もも責めと

 トンズラを決め込もうとしていた時だった。
 すでにブツを引き渡し、無妄の丘から国境を越える、まさにその時のこと。
 やおら、凄まじく可憐な少女に呼び止められた。

「待って!」
 見れば金髪の、どこの国ともつかない服を着た美少女。全体的に白をまとった小娘が、大きな目をこちらに向けている。白百合に似た印象を与える少女は、やっと見つけたと言わんばかりに半ば恨めしげだ。

「なんか用かね」
「話はいいから盗品を出して。もう貴方以外いないの」
「何のことかお話が見えないのがねぇ」
 のらくらとかわしながら逃げる算段を考える。正直こんな娘に呼び止められたところでなんの痛痒もない。時間の無駄だった。
 片や金髪少女は、一歩踏み込んでくる。白のニーハイブーツを履いた、恐ろしく美しい脚、太く長い良い脚だ。肩や胸元を露出した服も何よりその顔も、近くで見れば放っておくには惜しい。値踏みするようにジロジロ見つめ、それを娘は軽蔑する。
「今渡せば無傷で帰してあげる」
「誰かに騙されたないかいお嬢ちゃん。悪いことは言わないからさっさと帰んな」
「貴方も倒されたい?」
「だから……、ん、倒したって……?」
 嫌な予感がした。ヤワな連中を仲間にする俺じゃない。嘘じゃないと言えば大事だった。旅人と呼ばれる冒険者がシマを荒らしているという。誰も歯が立たない、やたら肩書きの多い異郷の人間。まさかこんな小娘が?
 けれど、訝しんでいる暇もない。

 見ればこの娘、問答無用で剣を抜いていたのだ。
 それどころか、振り下ろしてさえいる。
「ぶわっ?!」
「そう。交渉決裂だね」
 切り掛かってから言うことではない。空を切る音も華奢な体格からは想像のつかないほど重々しい。ヤバい奴に目をつけられたかもしれない。
「くっそ!」
 破れかぶれの煙玉だった。どうせ逃げられないなら虚を突く他ない。煙幕に咄嗟に身を庇う。そこへあらんかぎりの力を使って蹴りを入れれば、どうも鍔に直撃したようだった。

 回転し宙を舞う剣。よく見れば実力に不相応なほど貧相な装備だが、ともかく武器を奪えさえすれば問題ない。爆薬をばら撒き、退散しようとした、
 その矢先。

 彼女の姿が消えた。
 というより、いきなり目の前に現れた。

「ひっ?!」
 怪物じみた勢いで間合いを詰めた小娘。眼前に琥珀色の瞳が広がったと思えばふわりと髪が俺の頬を撫でた。慌てて剣を振るうも、すでに娘は飛び上がった後。刃先にトンっと乗るとすぐさま一回転し、武器を回し蹴りで蹴り飛ばしてしまう。

 そして次の瞬間。
 丸腰の俺に、絡みついたのはその美脚だった。
「なっ?!」
 一瞬視界に溢れるくすみひとつない乳白色。それは桁違いに肉感的な逸品だった。むっちり美脚が首に巻き付くと、少女特有の柔らかさに一瞬心が開催を叫ぶ。だが次の瞬間押し寄せたのは、健康的で強靭な締め付け。ふくらはぎもがっちり絡みつけば、俺はスカートの中に横から顔を突っ込むハメになる。
「何を、ぐっ、やめ……ッ!」
 身を振り解こうにも無駄、何より重心が狂って立っていられない。むっちりと極太の太ももに挟まれ包まれ締め上げられ、少女が体を捻れば俺はほとんど蹴り倒されたも同然だった。少女が全体重をかけるに及んでは、もはや立っていることなど不可能。そのまま地面へと、したたかに叩きつけられてしまう。

「ぐああ゛っ?!」
 何が起こったのかわからない。
 ただ、少女にねじ伏せられているという結果だけが残っている。
 しかも、太ももで。

「馬鹿野郎ッ! 放せ、やめ、ぐっ、ああああ゛ッ?!」」
 ねじ伏せてなおギチギチと締め上げる小娘。柔らかくも旅で引き締まった太ももは、もはや凶器とさえ言えた。ぎっちりとした弾力がむちむちの柔らかさをまとって、えも言われぬ極上の質感。それで全力で締め上げられるのだから、万力じみた丸太おみ脚がギッチギチに首に巻き付くのだ。しなやかに締め上げつつむっちりたわむ、マシュマロ柔肉が溢れかえってしかたない。少女のビロードのような滑らかな肌に包まれた、豊穣な肉感と暴力的太ももギロチン。それが、俺の命を刈り取ろうとしている。
「やめっ、殺す気か、あ゛っ、〜〜〜ッ!!」
 なんとか外そうとするも、太すぎて指もかからない。ただ指先が、太ももに沈み込んでは撫でるだけ。こんな状況でなければいつまでも感じていたかった。まさか肌の滑らかさに殺されかけるなんて。太ももに埋まった顔は、鼻さえ塞がれてしまう勢いだ。

 まずい、死ぬ。
 小娘の極太美脚で、首をへし折られる。窒息させられる。
 こんな美しくむちむちの柔肌が、男の命を、俺の人生を挟み潰そうとしているのか。

 だが、旅人に容赦はなく。
「うるさい。ジッとして」
 藻掻く俺を抑え込もうと、上からのしかかるのだ。

 一瞬、ほんの一瞬、太もも○問具が力を緩める。

 だが、次の瞬間降ってきたのはスカートの中身だった。視界一面に広がる、純白の下着。ローアングルからドアップで拝む股間が、“どむ゛ッ♡“と顔面をぶっ潰す。

 顔面騎乗位だった。

「〜〜〜〜ッ!!!」
 当人は太ももで首を締め上げるのに夢中で、股間で窒息させていることに気づかない。左右から包み込むエゲツない太さの肉感と、直接包み込む柔肉が快苦で俺を責め立てた。股間が明らかに苛立っている。金髪美少女の太ももホールドと顔面騎乗位に悦んでいる。盗人の尊厳をかけてもがく俺。そんなの、更なる○問を生むだけなのに。

「落ちて」
 片や金髪娘はたった一言、可憐な声で、それだけ。
 そして、俺を締め殺しにかかるのだ。

 首をへし折らんばかりの力だった。常人とは比べ物にならない脚力で、頭をがっちり抱きしめる。完全に股間と美脚でホールドし、首を締め上げて。なかなか落ちないなというふうに締め具合を変えるものだから、ショーツ越しにお股がふにふに撓んで俺を弄んだ。直接嗅がされる美少女の甘香。蕩けるような肉感と淫猥な感触。
 全方位から押し寄せる、快楽の中で。
 快楽が急上昇し、死と射精の危険が同時に襲ってきた、その瞬間。

「あ」
 旅人のニーハイブーツが、太さに耐え切れずブチっと音を立て。

 盗人の意識もまた、無理やり引きちぎられたのだった。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索