【お試し無料版】『淫らな歓迎会(多人数ハーレム)』

 ドールからの勧誘――自身もその身を捧げている『七武海』の美丈夫、イングナル・フレイに嫁ぐ代わりに、彼が船長を務める『九蛇海賊団』のマークを、自身が住まうココヤシ村を含めたコノミ諸島一帯の集落に貸し出す。

 そんな取り引きを持ちかけられたベルメールはその日の深夜、海岸へと続く夜道を歩いていた。今夜は満月、ランタンなどの類は必要なかった。

 服装は、散々迷った挙句、昼間着ていたのと同じ物にした。空色の半袖のブラウスに、黒のジーンズ、サンダルという実にシンプルなスタイルで――違う点といえば、煙草を咥えていないことぐらいか。これから向かう先で“起こるかもしれないこと”を考慮すれば、当然の配慮だ。

 “そう”考えれば、少々色気のない恰好とも言えたが――悲しいかな。そもそもの前提として、ベルメールという女性は、“こういう時”の為の「勝負用」の服やら下着を持っていなかった。先立って触れたように、ナミとノジコを引き取って彼女らの「母親」になると決めた時点で、「こうした状況」が訪れるとは思ってもみなかったからだ。まさか、こうも簡単に決心が揺らぐほどの極上の「雄」に巡り会えるなんて、と。

 夜中に出歩くには少々軽装ではあったが、幸い、この辺り一帯の土地は年を通じて比較的温暖な為、そこまで肌寒いとは感じなかった。どころか、むしろ暑いぐらいだった。といってもそれは気候のせいではなく、主にベルメール自身の問題だった。自身の内にある「女」、もとい「雌」としての根源的欲求が絶え間なく恋情という名の熱を発し、今にもベルメールの心を焼き尽くさんとしていた。

 燃え尽きて消し炭になってしまう前に、早くこれを「鎮めて」貰わなければ、とベルメールは思った。脳裏に思い浮かべている「相手」は、言うまでもなくイングナル・フレイその人だ。かの銀髪紅眼の美丈夫の姿を想起するだけで、子宮がキュンッ♡ と甘く疼くのをベルメールは嫌でも自覚した。早く、早く「飲ませろ」と、宿主である自身に訴えかけているようだった。

 結局のところ、30になったばかりのベルメールという女は、フレイへの欲情を抑えることはできなかった――ということだ。

 いや、あるいは、始めから抑える気もなかったのかもしれない。あの時――後ほんの数秒でアーロンに射殺されそうになったところを間一髪救われ、その美しい姿を視界に納めた時から、既にこうなることは決まっていたのかもしれない、とも。

 吊り橋効果、というヤツだろうか? フレイと、彼の仲間――というよりは妻であろう女たちがいると思われる巨大な船。『九蛇海賊団』の船が停まっているまさにその場所へと向かいながら、ベルメールはそのように考察した。

 殆どの生物の遺伝子に刻まれた圧倒的且つ絶対的且つ根源的な本能――『種の保存』。

 アーロンに銃口を突きつけられ、そこから放たれる凶弾を受け入れる代わりにふたりの娘の命を救う、と覚悟を決めたにも関わらず――あの瞬間、ベルメールの肉体はそれに順じた反応を起こした。自身の肉体を構成するすべての細胞が、次のような指令を本人に下したのだ。すなわち、

 貴女(あなた)は、もうすぐ死ぬ。
 だから。
 今すぐにでも優秀な雄の種を孕み、子を残せ――と。

 そして、直後に現れた優秀――などという表現の枠には収まらない、最上の「雄」。

 イングナル・フレイ。

 彼の美しさ、および強さを理解するよりも先に本能で察した上、その彼の手によって落とす筈だった命を拾われたとあれば、もはや救われた側である自分が欲情するのは必然の運びで。

 その上、その心身を委ねれば故郷の今後の安全を保証する、などという“実に都合のよい”提案をされては――最早、ベルメールが取るべき行動はひとつ。

 本音を言えば数時間前、海兵時代の後輩であるドールと、見知らぬ黒い長髪の美女を伴って去っていく彼の背中に縋りついて頬ずりしながら、共に行かせて欲しいと浅ましく懇願したかったベルメールではあったが――流石に自重した。

 迷っていた訳ではない。その時その場にいたふたりの娘であるナミとノジコ、そして自身にとっては兄代わりであるゲンへの配慮だ。

 変なことは考えるな、あんな男の言う事など聞く必要はない、「例の噂」を知らないのか、などとガーガー喚くゲンをまあまあとはぐらかすようにして宥めながら家から追い出し、すっかり冷めてしまった食事――シチューと鴨肉に、オムライス――をふたりの娘に振る舞って、色々あり過ぎた上にお腹も膨れたことで殆どすぐに同じベッドに入って眠ってしまった(と、思われる)ふたりの様子をドアの隙間から窺ったベルメールは、殆どすぐに行動を開始。

 フレイの妙な力によって骨ごと滅茶苦茶にされた左腕はすっかり元通りになってはいたものの、負傷した際についた血や泥はそのままであった為、それを洗い流す意味も込めて念入りにシャワーを浴び、身を清め、前述した服装に身を包んで家を出た時には、既に月明かりだけが夜道を照らしていて――そして、現在。

「来たね――絶対に来ると思ってたよ、ベルメールさん。……我慢して、『参加』せずにここで待ってた甲斐があった」
「『参加』……?」

 見張りだろうか? 規格外のサイズを誇る2匹の大蛇を伴った『九蛇海賊団』の巨船。
 その甲板と、島の地表との間には取り外し可能と思われる階段がかかっており、その一番上に、彼女――ドールは座り込んでいた。先の言葉が真実ならば、自分が来ると確信して待っていたのだろう。まあ、我ながらフレイに欲情しているのは見え見えだろうと思ってはいたので、そこまで意外ではないが――それはともかく。

 例の魅惑的なボディラインが際立つ、薄手の黒いTシャツにぴっちりとした同色のズボンと、やはり同色のブーツ。犬の首輪を思わせるチョーカーが特徴的な黒いショートカットの美女は、そうした衣服の上から、「将官」以上の海兵にのみ許される白いコートを羽織っていて――って。

 数時間前に、久しぶりの再開を果たした時から気になってはいたのだが……。

「ドール……。あなた、今も海兵は続けているの……? それとも、私みたいに辞めた上で、フレイ『様』――じゃなくて、『豊穣の王』の船員に……?」
「ああ、いや、違うよ」

 質問の意図を察したらしいドールは、軽く手を振って見せながら、

「まだ、海兵は続けてる。今の主な仕事は、フレイ様のお目付け役――政府の連中に言わせれば、まあ、監視だね。奴らは、有象無象の海賊たちに対しての抑止力として、『七武海』のフレイ様を重宝していると同時に、恐れてもいる。凄まじい勢いで妻(おんな)と子供――『戦力』を拡充し、同時にその武勇を轟かせていくあの人の力をね。……だからまあ、あの人が遠征する際には、基本的には『世話係』という名目で、海軍から派遣された誰かしらが同伴するんだけど――今回は、それが私って訳。勿論、数時間前に言ったように、海軍を離れたベルメールさんに危険が迫ってるかもって思ったから、っていうのもあるけどね」

 ドールは立ち上がり、正面まで来ていたベルメールの手を取って彼女が甲板に上がるのを助けた。その上でこうも言った。

「もっともそれは、電伝虫から聞こえてくる音声や、書類上に書かれた文字からでしかアタシ“たち”を認識できない政府のお偉方の事情で、こっちには関係ない。この身も心も、8年近く前に捧げた時からずっと――そしてこれからも、フレイ様だけのものさ。必要があれば、いつだって海兵なんか辞めて、あの方の妻として、盾として、剣として、連中とも戦ってやるよ。他の『ギオン』さんや『ヒナ』といった、あの方にすべてを捧げた同僚(おんな)たちと共に、ね」
「あなた以外にも――?」
「――“いる”さ、大勢ね。ベルメールさんもすぐにわかると思うけど、フレイ様の精液には、特別な力がある――女の若さを保ち、どれだけあの人の子を産んでも肉体の形が崩れないようにし、シンプルに身体能力も底上げする『豊穣』の力さ。それによる戦力増強を目的に、政府の奴らは大勢の女の諜報員や海兵をフレイ様に与えていて――というよりは、フレイ様の精液(もの)を、女たちに与えるように仕向けているというべきか……。まあ、なんだっていいけど――いずれにせよ、馬鹿な連中だよ。その結果、確かに差し向けた女たちの身体能力は底上げされて、それはそのまま数々の戦果として形にはなったけど、一方で、そうした女たちの忠誠心を売り払う羽目になったってのにさ。……言うまでもなく、フレイ様その人にね」

 言って、ベルメールを伴って甲板を歩いていたドールは、やがて船室へと続く両開きの扉の前へと辿り着いた。船も巨大なら甲板も相応に広く、その上キャビンも巨大で、まるで教会相当の広さを備えた一軒家をそのまま甲板に乗せたかのようだった。船内のスペースというのは甲板下のそれが基本多くを占める為、それらも含めれば相当な広さだろう。

 そして、そんな巨大な船を駆る海賊団の船長、イングナル・フレイ――かの男はやはり只者ではなく、そんな只者ではない男がこのドアの向こうにいるのかと思ったベルメールは、知らない内にゴクリと唾を飲み込んだ。

 そして、そんな生娘さながらの緊張具合を見せている彼女に対して、ドールはというと、

「じゃあ、早速今からフレイ様に会わせるけど、その前に――」

 不自然なところで言葉を区切ったドールに対し、ベルメールは「?」と小首を傾げた。そして――何故か、そんな彼女の後ろへと視線を投げながら、ドールは更に、

「――“その子たちも”ベルメールさんと同じように、フレイ様に身を捧げるってことでいいのかな? 年端もいかない女の子の『献上』は珍しいけど、ない訳じゃないし……。アタシはてっきり、あのゲンゾウって人が世話を引き継ぐのかと思ってたんだけど」
「えっ……?」

 瞠目したベルメールが思わず、グキッ! と首筋が痛むほどの勢いで振り返ってみれば――“いた”!

 10歳のオレンジ色のショートカットのナミと、肩口まで群青色の髪を伸ばしたノジコのふたり! 血は繋がっていなくとも、確かに自分の愛する娘である女の子ふたりが、確かに自身のすぐ後ろにいて――ベルメールは仰天し、すんでのところで叫び声を上げるのを堪えた。アーロン一味の襲撃を受け、間一髪のところで彼らの蹂躙から逃れて、安心して寝ているに違いない村の人たちを起こしたくはなかった。

 が、それでも相応に大きな声量で、ベルメールは、

「ノジコ! ナミ! アンタら……どうしてここに……!?」

 ここまでの道中でまったくふたりの存在に気づけなかった自分の迂闊さ――というよりは、イングナル・フレイに向けた舞い上がりっぷりを恥じながら、ベルメールはそのように尋ねた。

 当然、ナミとノジコはビクッ! と体を震わせ、怯えたような目でこちらを見上げていたが、それもほんの数秒。すぐに、その目に確かな強い意志を連想させる煌めきを灯して見せると、その上で、

「ベルメールさん――あのフレイっていう男の人と『ケッコン』して、島から出ていくんでしょ? だったら……アタシたちも行く! 一緒についてく!」
「あのギョジンたちが来た時も、ベルメールさんと自分たち、両方の命を助ける為に、私たち、島から出ていこうとして――でも、何だかんだでそうせずに済んで……。それなのに、やっぱりまた離れ離れなんて嫌だよ! お願いだから、私たちも連れていって!」
「連れていって、って言われても……!」

 涙を滲ませ、下唇を噛みながら自身の両脚にしがみついてくるふたりの愛娘を困ったような目で見下ろした後で、ベルメールは、その視線をドアノブに手をかけたままのドールへと向けた。

 正直に白状してしまえば、自分も、彼女たちと別れるのは辛い。それでも、フレイに対する恋情が抑えきれないのと、またアーロン一味のような連中が来た時の為に、ここで自分が身を捧げるのが最善であると判断し、かといってそれに娘たちを巻き込むのはどうなのかと思ったが為に、こうしてひとりで自らの意思決定を伝えにきた訳だが――結局のところ、ドール……というよりは、彼女を含めた女たちを取りまとめている(と思われる)フレイが許してくれなければ、どうしようもない。

 故に、どうすれば……? という思いを視線に乗せた上でドールを見つめてみれば――意外にも、彼女は特に重く受け止めることもなく、どころか、どうということはなさそうに軽く肩をすくめてさえいて、

「まあ……とりあえずは、その子たちと一緒に中に入りなよ。“まだ”フレイ様の精液(もの)を受けてない――あの方の『眷属』になってない身でいつまでも外にいたら体に障るだろうし……。“ちょっと刺激的かもしれないど”、私らの国に移り住む以上は慣れなきゃいけない光景で――どの道、子供であろうと、『後宮豊国(アルフヘイム)』の国民になるっていうことは、“そういうこと”でもあるからね。『しのぶ』様の『能力』を使えば、『マーガレット』や『ウタ』みたいに、すぐに大人の体を手に入れた上でフレイ様の『眷属』になることも可能だし――とにかく、百聞は一見に如かず。サッサと経験しておくことに越したことはないさ」

 ――と、そう言って。
 『海軍本部』の将校にして、イングナル・フレイの女――妻でもあるらしいドールは、思わせぶりな台詞もそこそこに、掴んでいたドアノブを捻り、中へと続くドアを開いて――それとほぼ同時だった。

 ビリビリと空気を震わせる程の「喘ぎ声」が、ベルメールの鼓膜を打ったのは。具体的には、

「あああああぁっ♡ フレイ様っ♡ フレイ様ぁんっ♡ わらわはっ♡ わらわはっ♡ もうっ♡」
「つ、のぉっ♡ 角っ♡ 掴まれながらっ♡ あんっ♡ 後ろからっ♡ ガンガンっ♡ 突かれへぇんっ♡ ああっ♡ やっぱりぼくぅっ♡ これっ♡ 好きっ♡ この体位、好きぃんっ♡」
「おっ♡ おっ♡ おおおおぉうっ♡ フレイっ♡ フレイぃんっ♡ お願ぁいっ♡ 今日もっ♡ おっ♡ ワ・イ・ル・ド♡ な、射精でっ♡ んあぁっ♡ たっぷりっ♡ 種付け♡ してええぇぇぇんあああああぁぁぁっ♡」

 ――ずちゅっ! ぐちゅっ! ずちゅぐちゅぐっちゅんっ! ずちゅぐちゅっ! ぞぶぶぶぞぶりゅっ! ぞぶぐちゅどっちゅんっ! どちゅむぐっ!

「ちっ♡ “父上”えぇっ♡ んあぁっ♡ 今日も相変わらずっ♡ 逞しくてぇっ♡ わ――私はぁっ♡ マーガレットはぁっ♡ もうっ♡」
「おと~うさんっ♡ あっ♡ 今日も――んあぁっ♡ た~っくさん♡ 私の子宮に♡ 種付け♡ えへっ♡ しちゃって♡ 『新時代』♡ あっはぁんっ♡ 作っちゃお♡ お父さんと♡ お父さんの♡ んっ♡ 孕み妻だけで♡ 構成された世界♡ 全員が♡ お父さんを気持ちよくして♡ お父さんの子供を産むことだけを♡ 考えてる世界♡ きっと♡ おっ♡ 今よりもずっと♡ あぁ奥ぅっ♡ 平和な世界に♡ なる筈だよね♡ うううぅぅんっ♡」
「おっ♡ おっ♡ おっ♡ おおおおぉぉうっ♡ フレイ……様ぁんっ♡ 相変わらず♡ 今日もっ♡ おっ♡ 大変♡ 逞しく――あぁんっ♡ “わたす”や、惜しくも今回は留守番の♡ 日和様――そして、その他多くの女たちを統べるのに、相応しき♡ 精力♡ 逞しさ♡ っで、え♡ ……あっ♡ あああああぁぁぁんっ♡」

 ――ごりゅっ! ごりゅぐちゅっ! どちゅぐりゅどちゅぐりゅっ! どちゅどちゅどちゅっ! どちゅずちゅぐっちゅんっ!

「ホロホロホロ……おっ♡ おおおぉうっ♡ 相変わらずっ♡ ガンガンっ♡ あぁっ♡ 遠慮なくぅっ♡ 突きやがってぇっ♡ あぁでもっ♡ やっぱりぃっ♡ これ♡ これぇっ♡ ……んんああぁっ♡ 最……高おおおおぉぉぉうっ♡ またぁっ♡ 遠慮なくっ♡ どんなぬいぐるみよりもっ♡ 可愛い赤ちゃんっ♡ 作って♡ くれえぇっ♡」
「な、何よ♡ こんなに♡ うあっ♡ 盛って♡ 腰振って♡ アンタなんか♡ アンタなんかあぁんっ♡ 死ん、死ん、死ん――死んじゃうっ♡ 気持ちよ過ぎて♡ 死んじゃうからっ♡ もっと♡ 手加減してえええええぇぇぇんあっ♡」
「もうっ♡ シュガーったら♡ 大袈裟♡ なんだか、ら♡ あぁんっ♡ 私たちは、全員♡ 大事な♡ 大事な♡ 肉便器♡ 兼、子産み奴○♡ なんだからっ♡ 豊皇様が♡ 粗末に扱う訳♡ んっ♡ ないで、しょ♡ おおぉぉぉぉほおおおおぅっ♡」

 ――どちゅどちゅどちゅぐっちゅんっ! どちゅぐちゅっ! どちゅりゅむどちゅむっ! どぐちゅちゅっ! ごちゅごちゅごちゅごちゅごっちゅんっ! ごちゅむっ!

 わっっっっっっっっっっ!! と。
 『その光景』を見たベルメール、ナミ、ノジコの全身を叩くは、その視線の先で、“フレイとまったく同じ外見をした男たち”と淫靡に絡み合う、何人もの女の姿。

 大乱交――ひと言で言えばそれだ。

 大聖堂を思わせる程の広さと高さがある縦長の船室(キャビン)。長大な赤い絨毯を中央に敷いたその空間の両脇には、枕を置くほうが壁側になるようにいくつものベッドがずらりと並んでいて、それら全ての上で、ひと組の全裸の男女が淫らに絡み合っていた――盛り合っていた。

 深く、激しく。
 開かれたドアの向こうにいるベルメールたちの存在にも、すぐには気づかぬまま。

「なっ……! なっ……! なっ……!?」

 目に映る状況への理解が追いつかないとでも言うように、パクパクと口を開いては閉じてを繰り返すベルメール。彼女の陰に隠れるようにしてその細い脚にしがみついているナミとノジコもまた、当然のように絶句していた。

 というより、ここまで大きな喘ぎ声と、激し過ぎる交合によってベッドのスプリングがギシギシと悲鳴を上げる音――ドアの向こう側どころか、甲板に上がった時点で聞こえてきてもよさそうなものだが……。それが一切しなかったのは一体?

 いや、もっと言えば、先ほど、「父上」だとか「お父さん」だとか、決して聞き流してはいけない単語が響いてはいなかっただろうか? と、混乱した頭でやや現実逃避気味にそんなことを考えるベルメールではあったが、彼女の前でドアを開いた状態で待つドールはというと、実に平然とした様子で、

「ちょっと、何してるんだい? ベルメールさん――早く入っておくれよ。アタシらは別に構わないけど、ぐっすり寝ているに違いない村の連中を起こしたくはないだろう?」
「えっ……? あっ……。え、ええ……わかっ……たわ……」

 と、言葉の上ではそのように返したものの、やはり、その目に映る光景の凄まじさ及び淫らさと、相変わらずコアラのようにふたりの愛娘が自身の両脚にしがみついたままでいることもあって、思ったほど迅速に歩を進めることはできず――それでも、なんとかかんとかキャビン内への入室を果たしたベルメール、ナミ、ノジコの3人。

 まるで異国の地のど真ん中に何の前触れもなく放置されたかのようにキョロキョロと――真っ赤な顔で――周囲を見渡す彼女たちを見ながらパタンとドアを閉めたドールは、クスクスとした笑みを浮かべながら次のように言った。

「まあ、最初はその反応が普通だけど――何、すぐに慣れるさ。その子たちについては……まあ、今回の『歓迎会』が終わった後に、改めて答えを聞かせてくれればいいよ。あくまでも、今回の『対象』はベルメールさんだけだからね――ホラ、こっちこっち……」

 言いつつ、広大なキャビンの奥へと歩いて行きながら、ベルメールたちを手招きするドール。
 先の言葉通り、周囲の『これ』をごく当たり前の「日常」として受け入れているらしい彼女に慌てた様子はなく――精々が、自分も他の女たちと同じようにフレイと……というよりは、前述したように、何故かフレイと全く同じ外見をしている男たちと交わりたいのを堪えているかのように、頬を朱く染めている程度で。

 自らの足にしがみつくナミとノジコの存在に苦心しつつもズリズリと歩を進めながら、ベルメールは、前を往くドールの背中に向けて、

「ね、ねぇドール。この……周りで……周りにいる男の人たちは……その……」
「ん? あぁ……『分体』だよ」

 特に狼狽えることもなくスラリと応じるドールではあったが、当然、彼女らが住まう国の常識などつゆ知らぬベルメールからすれば、聞きなれない単語に対して戸惑うより他なくて、

「なんですって――?」
「だから、『分体』さ――フレイ様の。あの人は『悪魔の実』の能力で、意識と感覚を共有した『分体』を生成できるんだ。それに、生まれながらの底なしの精力と、同じく『能力』によって尽きることのない体力――これによってあの方は、すべての女……国民たちの『夫』として、『後宮豊国(アルフヘイム)』に君臨しているのさ。……『アマゾン・リリー』っていう旧名で言ったほうがわかりやすいかな? ああ当然、そこにも多数の『分体』を残してきてるよ――色んな事情で今回の遠征に同行できなかった国民(おんな)たちが寂しくないように、ね……♡」
「『夫』として、って……!」
「そのまんまの意味さ」

 ドールは肩をすくめた。

「言ったろ? 『後宮豊国(アルフヘイム)』の国民になるっていうことは、“そういうこと”でもあるからね、って――“そういうこと”っていうのは、つまりは“こういうこと”さ。……唯一の男の国民にして、偉大なる『豊穣の王』、イングナル・フレイ様の妻となり、その血を受け継いだ子を孕むこと――それが、『後宮豊国(アルフヘイム)』の国民になる上での“絶対条件”だからね、って」

 ベルメールは思わず生唾を飲み込んだ。やはり、「あの噂」は本当だったのか、と思った。

 『七武海』という制度の存在さえ知らぬ者も珍しくないこの辺りの海域では、そういった噂が流れてくるのはごく稀ではあったが――それでも、元海兵であることもあって、ベルメールの耳にも時折届くことはあった。

 『七武海』でも最強と名高い『豊穣の王』――『後宮豊国(アルフヘイム)』という国の現役の皇帝でもあるイングナル・フレイが、今回のように自分たちの海賊旗(マーク)を貸し出すことを条件にしたり、『七武海』としての権利を巧みに行使することで世界各地のあらゆる国、あらゆる分野、あらゆる業界の美女および美少女を妻として迎え入れ、国家レベルの酒池肉林(ハーレム)を形成しているという噂。今の自分のように実際にその目で見なければ、とても信じられはしなかったであろう法螺話を。

 しかし、室内に充満するムワリとした熱気と淫臭によって頭をクラクラさせつつも、周囲でフレイ(の分体たち)の『それ』に貫かれている女たち――細かな方向性の違いはあれど、全員が、同性のベルメールでも思わずハッとしてしまう程の美女、美少女ばかりだった――の表情を窺ってみれば、そこには一切、無理矢理望まぬことを強いられているというような悲壮な色は一切なくて。

 それどころか、これ以上に幸せなことはあるまい、と言わんばかりの喜悦の表情ばかりで――今一度、ベルメールはゴクリと生唾を飲み込んだ。一歩一歩足を進めるごとに、下腹部の奥にある子宮のキュンっ♡ キュンっ♡ とした疼きが強くなっていくような気がした。

 ナミとノジコのふたりも、顔を真っ赤にしつつも、目を閉じたり逸らしたりはせず、それどころか、しきりに周囲で行われている淫靡な宴にチラチラとした視線を向けずにはいられない様子で――その時だった。

 ベルメールたちを先導していたドールが、不意に足を止めた。いつの間にか、目当ての場所に辿り着いていたらしい。

 盛大な乱交パーティーが開催されている広大なキャビン。その一番奥にあたるその場所には、壁際に並べられたベッドよりも一段と大きく、一段と質が良さそうなベッドがあった。

 少なくとも20人ぐらいの大人が寝てもまだ余裕がありそうなそのベッドの上では、同じ空間で喘ぎ散らかしている女たちの中でもひと際美しい美姫が3名、それぞれにひとりずつ、同じく3人のフレイによって――どれが本体で、どれが分体なのか? そもそも眼前の3人の中にちゃんと本体がいるのかさえ、ベルメールにはわからなかったが――思い思いの体位で貫かれていて。

 そんな3人のフレイの内のひとり――数時間前に、自分たちと交渉していたフレイとドールを迎えに来た黒い長髪の美女を、ベルメールたちに向き合うように正常位で貫いていたフレイに対して、ドールは、

「フレイ様――お楽しみのところ悪いね。案の定と言うかなんと言うか、やっぱり、明日になるのを待たずにベルメールさんが来ちまったもんだからさ。何故か、子供たちも一緒に……。ちょっと予定よりも早いけど、『歓迎会』を始めちまわないかい?」

 しかし、行為に夢中になっているのかフレイは応えず、代わりに、そんな『彼ら』に貫かれている女たちのほうが、ベルメールたちの存在に先に気づいた。

 先述した黒い長髪の美女に加え、何故か一対の赤い角を頭から生やした、先端にいく程青くなるグラデーションの白い髪が目立つ、ひと際大きな体格の美女に、フワフワとした金髪と青い瞳、真っ赤なルージュが目を引く妖艶な美女の3人で――特徴を述べた順にハンコック、ヤマト、ステューシーという名前だと、ドールがこっそり教えてくれた――フレイのひとりに正常位で貫かれている最中の、やや虚ろなハンコックの瞳に自分たちの姿が映るのを、ベルメールは確かに見た。

 と同時に、仰向けで貫かれ、ブルンッ♡ ブルンッ♡ と豊かが過ぎる双乳を乱舞させているハンコックの瞳に、ほんのわずかに理性の光が灯った。そして、

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あああぁぁぁっ♡ ふ、フレイ♡ 様あああああぁぁっ♡ おっ♡ おぉうっ♡ お待ち♡ お待ちをっ♡ ほぉっ♡ 例の女が♡ あっ♡ 例の女が♡ ドールに案内されて♡ んいぃっ♡ やって来ておりますっ♡ のでっ♡ あぁっ♡ どうっ♡ どうかっ♡ 一旦♡ ご容赦を♡ おおおおおぉぉぉぉうあああああぁぁぁっ♡」

 しかし――ドールが言葉をかけたことから、恐らくは本体だと思われる――ハンコックを正常位で貫いているフレイは、その動きを止めなかった。チラリと視線をこちらに向けたことから、流石に自分たちの来訪には気づいているらしかったが、どうやら、今の彼には、その対応以上に切実な問題があるらしく――それを裏付けるかのように、フレイは、

「~~~~っ! スマン、ハンコック……! 他の皆も……! 今、ここで中断するのは、ちょっと……! 一気にラストスパートをかけるから……! このまま、最後まで……!」

 有言実行――ずばずばずばずぼぶっちゅんっ! どぐちゅちゅどぐりゅちゅっ! どちゅどちゅどちゅどちゅどっちゅんっ! どどずちゅっ! どぐりゅちゅどちゅちゅっ! ずどどどどぐちゅっ! どぐちゅりゅどっっっっっちゅんっ!!

 ……と、明らかに、それまで以上の肉突きを見舞わせるフレイ“たち”。

 ……そう、フレイ“たち”だ。現在、ベルメールたちの眼前でハンコックをハメ散らかし、獣のような嬌声を上げさせている、本体(と思われる)のフレイだけではない。

 全員だ。現在、ベルメールたちが佇んでいるキャビン内の各所で女を喘がせている何十人ものイングナル・フレイの分体が、本体の動きに呼応するかのように、それまでとは比べ物にならない程の激しさでもって各々が相手している女をガン突きし始めて――それに対する女たちの反応は顕著だった。

 ハンコックだけではない。その両隣で同じように激しいピストンを見舞わされ始めたステューシーとヤマト。そして、まだ名を聞いていない周囲の絶世の美女、美少女たちが、ハンコックに続く形でより激しい雌の声を響かせ始めて、

「ひああああああぁぁぁっ♡ そんな……フレイっ♡ フレイいいいぃぃぃんっ♡ いきなり♡ 激しっ♡ おっ♡ 過ぎてえええええええぇぇっ♡」
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ――んもうっ♡ お馬鹿、さん♡ 我慢できない♡ のね――んんあっ♡ ふふっ――おっ♡ いいわっ♡ 新しい家族たちにっ♡ ふうぅんっ♡ たっぷり♡ 見せつけちゃいましょっ♡ 私たち――『後宮豊国(アルフヘイム)』に住まう、国民♡ あなたの妻としての♡ 最低限のお手本を♡ おおおおおぉぉぉぉぉんっ♡」
「父上っ♡ 父上っ♡ 父上えええええぇぇっ♡」
「お父さんっ♡ お父さんっ♡ お父さあああああぁぁんっ♡」
「イクぅっ♡ もう絶対にイクぅっ♡ とっくに♡ 卵子もっ♡ 排卵済みでぇっ♡ んあぁっ♡ また♡ 可愛い赤ちゃんっ♡ 出来ちまうぅぅっ♡」
「出してぇっ♡ 『ユキユキ』の力で♡ 程よくひんやりとした私のオマンコ♡ 子宮にぃっ♡ 妹と♡ 一緒にぃっ♡ グツグツに煮込まれた♡ 子種っ♡ あっ♡ ザーメンを♡ おおおおぉぉぉうっ♡」
「たっぷりぃっ♡ ぶちまけてぇっ♡ お姉ちゃんと同時に♡ 妊娠♡ させて――え♡ えええええぇぇぇぇぇんあっ♡」
「…………っ!」

 これ以上はないという程に、更に顔を真っ赤にさせたベルメールは、思わず内股になり――直後に、大いに驚いた。

 内股のつけ根辺りに感じる、この湿った感触……! いや、これだけ淫らな性臭立ち込める現場に放り込まれた以上、当然と言えば当然――いつの間にか溢れに溢れた愛液が、パクパクと物欲しそうに開閉している陰裂から滴り落ちている!?

 まるで、最高のご馳走を前に涎を垂らす子供のように――! しかもベルメールは、それを何とか止めようという気にさえなれなかった。まるで何かに取り憑かれたかのように、周囲の肉を打つ激しい水音を聞きながら、眼前のハンコック、ヤマト、ステューシーの3人の痴態を注視するのに精一杯で――両脚にしがみついたままのナミとノジコもそうに違いないということが、目を向けずともわかった。そして――

「…………っ! みん……な……! 出るぞ! もうすぐ出るぞっ! とびっきりのが……沢山っ! 滅茶苦茶に出るぞっ!」

 今や、種付けプレスと言われる体勢でハンコックを組み敷いているフレイが、共有しているらしい分体たちの心情を代弁するかのようにそのように叫んで――錯覚ではない、ベルメールは、確かに見たのだ。

 女たち全員の下腹部にある、ドールのそれと同じハート形の紋様。それが妖しく赤紫色の光を発したかと思うと、各々(おのおの)の双眸に、それとそっくりなハートマークが浮かび上がって――ギュウウウウウウゥゥっ♡ と。

 本来は聞こえる筈のない、迎え入れた肉棒を膣壁がキツく締め上げる音。

 それを、ベルメールはハッキリと聞いて、そんな彼女の股から、ひと際大量の愛液が溢れて落ちて、その足元にホカホカとした湯気を立てる液溜まりを形成し――直後だった。相変わらずフレイ“たち”からのガン突きを受けている女たちの喉奥から、まったく同じ嬌声が迸ったのは、

「「「「「「「「出して出して♡ 私たちの子宮(なか)に♡ たっぷり出してええええええええええぇぇぇぇぇっ♡」」」」」」」」

 ――瞬間。





 ――どっっっっびゅううううううううううぅぅぅぅぅっ! どびゅびゅびゅびゅどびゅびゅっ! どびゅどびゅどびゅっ! どびゅるるるるるるるっ! どびゅるりっ! どぷぷぷどっぷんっ! どぶりゅるるっ! どぎゅるううううううぅぅぅっ!





「「「「「「「「ああああああああああああぁぁぁぁんっ♡ 出ったあああああああああああぁぁぁぁぁんっ♡」」」」」」」」

 これもまた、本来はベルメールたちには聞こえない筈の、埒外の射精音。

 鈴口から飛び出し、たちまちの内に子宮を満たしているに違いないそれらの奔流の音が、相変わらず愛液を垂れ流しっ放しのベルメールの鼓膜を確かに震わせていて。

 事実、眼前のハンコック、ヤマト、ステューシーの腹はたちまちの内に妊婦さながらのそれにまで膨れ上がり――薄々そうだろうとは思っていたが、やはり分体でも射精は可能らしい――それでも尚収まり切らなかった精液の一部が、極太のフレイのデカマラと、それを今なおギュウギュウと締め付け続ける彼女らの膣肉との間で生まれた強烈な圧力によって弾け飛び、そのいくつかがベルメールの顔に付着。

 途端に「あっ♡」と自分でも気づかぬ内に立派な雌を声を上げた彼女は、そのまま膝から崩れ落ちて――反射的に手を離したらしいナミとノジコのふたりが、「「べ、ベルメールさん……!?」」と心配そうな声を上げた。

 にも関わらずベルメールは、それに応えることができなかった――というより、それどころではなかった。

 今なおドクドクドクっ♡ と子種汁を注ぎ続けているかの超雄――イングナル・フレイ。

 ハンコックと深いキスを交わしながらその豊満な体に覆い被さり、時折ビクビクと震える『豊穣の王』の「雄姿」を視界に納め、記憶に留める作業に集中していた為だ。

 数時間前、間一髪のところでアーロンの魔の手から命を救われたその時から胸中に芽生えていた恋心は、今や支えきれないほどの恋情の果実を実らせ、そして――実に3分近い射精を行ったフレイ“たち”の剛棒が、殆ど同時に女たちの陰裂からジュッポンっ♡ という淫らな音と共に引き抜かれた。

 途端に、「栓」を抜かれたことでボビュアアアァっ♡ と飛び出す白濁の子種汁。再びその内のいくつかがベルメールの顔を含めた体のあちこちを白く斑に染めて――最早、恥も外聞もなかった。

 両脇で娘たちが心配そうに自身を見ているという状況にも関わらず、頬を真っ赤に上気させたベルメールは、目にハートマークを浮かばせつつ、パンツの内側に差し込んだ右手でもって、自身の陰裂をグチュグチュグチュっ♡ と慰めていて――しかし、全然足りなかった。

 もっと、もっと別の「モノ」が欲しい。もっと、太くて逞しい「モノ」を。

 具体的には――たった今、ハンコックの陰裂から引き抜かれ、ベルメールの視界にその姿の全てを晒したイングナル・フレイの、「雌殺し」とも言うべき見事過ぎる一品を――!

(デッカぁ……♡ デカ過ぎぃ♡ でしょおっ……♡)

 薄々、察していたことではあるが――“本当にデカい”。

 ベルメールは、3度目となる生唾の嚥下を行った。宿主のへそに届く程の長さおよび反り具合に、子供の拳ほどはありそうな亀頭。その鈴口からはいまだにトプトプ♡ と白濁の子種汁が溢れていて――これによって、途方もない精臭が周囲にまき散らされ、ベルメールの子宮が今一度キュウゥンッ♡ と激しく疼いた。恐らくは星の数ほどの女を喰らってきたことで赤黒く淫水焼けした竿に、同じ色の玉袋に包まれた、タマゴ大のずっしりとしたふたつの陰嚢――それらで構成される男性器は、正しく数多(あまた)の雌を従え、孕ませ、産ませるに相応しいソレで。

 だからこそ――ベルメールは。

「はぁっ……ふぅっ……。すまん……待たせたな、ベルメール……。ドール……」

 と、言いながら「「「あっ……♡ あっ……♡ あぁっ……♡」」」と、完全にイキ潰れたらしいハンコックたちを残してベッドから降り、こちらの正面まで移動してきた全裸のフレイの「ソレ」を――自身の顔からほんの数十センチと離れていない場所にある「ソレ」を、

「既になんとなく察してるけど、それでも一応、君自身の口から、昼間の返事を――おぉっ!?」

 ――パクリっ♡ と。
 なんの事前予告もなく。
 一切の迷いもなく。
 自らの口に――含んだ。

 「返事」など。

 そんなものを聞かせる必要は――皆無だった。己の行動によって、ベルメールはそれを示した。
 すなわち、

「んっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ うううううううぅぅぅんっ♡ うむっ♡」

 一切の躊躇いなく開始された、デカマラを咥えたベルメールの頭部による前後運動。

 後頭部に垂らしたひと房の赤い髪が、まるで馬の尻尾のように左右へと振られる程のそれが唐突に開始され――思わず、短い呻き声を発するフレイに、突然過ぎる母親の行いに瞠目するナミとノジコ。

 そして、そんなかつての「先輩」の姿を、「それでいい」とばかりに満足そうに見つめるドール。

 ナミとノジコは一旦保留としても――ふたりの「母親」になると誓った時に捨てたと思っていた自身の「雌(おんな)」の部分。それが今や、完全に花開いていて。

 そんな彼女、ベルメールが、『後宮豊国(アルフヘイム)』の正式な国民――すなわち、フレイの新たな孕み妻となる為の、あまりにも淫らが過ぎる『歓迎会』は、こうして幕を開けるのだった。

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