五月雨時雨 2024/06/16 19:39

無防備な急所は悪趣味な被膜ごしに嬲られる

黒く、薄く、それでいて頑丈な被膜に隙間無く覆い尽くされているせいで、無様な裸体を観察することは叶わない。二の腕を胴体に繋ぎ左右の手首を背中で交差させた形に維持させる縄と足首と太ももを短く括る縄を着せられ、縄に縛められた肉体に被膜の容赦無い圧迫という追い打ちの拘束を加えられた男の姿は、幾ら目を凝らしても直接拝むことは出来ない。
しかし、屈辱に歪んだ表情や自由を奪われた間抜けな裸体が見えなくても、今の男の状態は見る者にこれ以上無い愉悦を味わわせる物となっている。思い通りに動かせなくされた腕を無意味にもがかせ、伸ばすことを禁じられた後に被膜がもたらす力で情けなく開かされた足を諦め悪く頑張らせている男が披露する試行錯誤の光景は、強力な粘着テープによって栓を施された口から被膜ごしに放たれる呻きと被膜に覆われなかった唯一の器官である鼻から奏でられる呼吸音と相まって愉快の感情を際限無く掻き立てさせる優れた娯楽へと仕上がっている。
どれだけ眺めていても、決して飽きない。被膜の内側で必死に暴れている手足を見つめ、被膜を無様に押し上げている男根を目で追いかけるだけでも、堪らない興奮と高揚が休み無く湧き上がってくる。
そんな興奮と高揚を独占し笑みの黒さを更に引き上げながら、支配者側に君臨した残酷な男は自分の到来にも気付けぬまま凝りもせずに身悶えている男からより滑稽で見応えのある痴態をさらけ出させる為の準備に取り掛かる。
何も見えない、何もしゃべれない、被膜を裸体にぴったりと吸着させる際に必要な空気の排出の影響を受けさせない為にと耳栓を与えられたせいで何も聞こえない。
ありとあらゆる選択肢を削ぎ落とされただただ身をよじらせるだけの存在に堕ちた男を作り出した冷酷な男は、右手に握った淫猥な装置をゆっくりと無防備な男根に迫らせ、被膜の上から守ることを不可能にさせた男根に地獄の開始を遠回しに宣告した。

「んっ!? んむうぅ!?」

裸体を縛める縄と被膜の感触、そして自分が紡ぐ悔しげな呻きしか情報が無い。その状況に突如として訪れた男根を無遠慮に捏ね回す物体に驚愕の悲鳴を上げながら、男が一層激しく裸体をよじらせ無駄な格闘を激しくさせる。
被膜の上から男根を擦り睾丸を捏ねる異物に拒絶の反応を全力で示しながら、男は何処にも逃れられぬ裸体をくねくねと踊り狂わせる。
すでにもう、さっきまでとは比べ物にもならないくらいに愉しい。右手に握ったマッサージ機に似た見た目を持つ器具の丸みを帯びた先端で男根を好き勝手に弄びながら異常な至福を増幅させた男は、自分だけの玩具になった男には届かないことを承知で小さな呟きを漏らしつつ、右手の親指でスイッチをスライドさせ甘く苦しい責めを嬉々として注ぎ始めた。

「ふふっ、良い反応だねぇ。ただおチ○チンをすりすりしてあげただけでこんなに良い反応を見せてくれるんなら、玩具を動かしておチ○チンをぶるぶる苛め出したら、捜査員さんは一体どんな反応を見せちゃうんだろうねぇ……?」
「むぶぅぅぅーっ!? んふっ、むぐうぅぅぅーっ!!」

男根を刺激する摩擦に遅れて合流した振動が、捜査員の男に甲高い絶叫を上げさせる。先端を振動させるスイッチを動かした悪に属する男が、右手の動きを躊躇いも挟まずに早め捜査員の男根に更なる摩擦を次々と流し込んでいく。
手加減無く生み出される淫らな苦悶に、捜査員はよがり狂わされることしか出来ない。手も足も出せず見ることもしゃべることも許されない立場に置かれた捜査員は、鼻をみっともなくプスプスと鳴らし腰を揺らして快楽を散らすことも禁じられた被膜に包まれている裸体を痙攣させながら、望まぬ甘い悦びに翻弄させられるしか無い。
あの捜査員が、求めていた以上の悶絶を提供している。その事実を改めて噛み締め気高き正義を淫猥な敗北へと導いている実感を器具を操る右手を初めとした様々な器官で満喫しながら、悪の男は抗いも虚しく硬く勃起した男根を睾丸と共に皮膜の上から嬲り、捜査員を皮膜の内側に精液を撒き散らす惨めな絶頂へと追い立てていくのだった。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

記事のタグから探す

月別アーカイブ

記事を検索