五月雨時雨 2024/09/24 19:48

設置された娯楽達は何も分からぬまま無様に悶え苦しむ

左右を隙間無く揃えさせられた足をどんなに暴れさせても、男達は誰一人として敵に捕らわれた屈辱の事実を覆せはしない。胴体の側面に密着させられた両腕に力を込めながらなりふり構わずにもがいても、気を付けの姿勢のまま仲良く自由を奪われた男達はその場から移動することすらも叶わぬまま、敵が所有する施設の一室に飾られた肉体を無様に踊らせることしか出来はしない。
靴に相当する足裏の部分が床と一体化している黒いラバーを中心にして構成された拘束服をその身に纏わされた男達はもう、間抜けに身悶える様を憎き敵達に愉しまれるだけの存在でしか無い。頭頂部に用意された丸い金具を部屋の天井から伸びた太く丸い金属製の柱の先にあるフックによって限界まで持ち上げられている男達は、背筋を伸ばした気を付けという意に染まぬ格好を取らされた滑稽な肉体を絶えず晒し続ける状況を仲間と共に味わわされ続けるしか無い。
ラバーに視界を覆われているせいで何も見えはしない。ラバーの内側に突き出た太く短い棒を噛まされているせいで何も喋れはしない。両手両足を縛められている為に同じ空間から聞こえてくる仲間達の唸りを耳にしても、男達は全員が敵の手に落ちた現実を嫌でも思い知らされただただ絶望を加速させることしか出来ない。
ありとあらゆる選択肢を徹底的に没収された哀れで愉快な男達はもはや、全身を包囲するラバー越しに自分の裸体の変化を鑑賞する敵達の気配と嘲笑を感じながら悶絶する以外の行動を取れはしない。床から伸び拘束服の表面近くを張って左右の鼻の穴の部分へとあてがわれているチューブを通して送り込まれる淫猥な無慈悲の影響を拒みたくても拒めない男達は、呼吸の度に体内へと取り込まれる淫らな薬品がもたらす発情に為す術無く狂わされる過程を仲間と一緒に披露し続ける、敵達を悦ばす為に設置された娯楽でしか無いのだ。

「んんっ! んふ、むふうぅ!」
「あぉ、まおぉ! むぶぅぅぅーっ!!」

可能な限りに呼吸を抑え発情の到来を遠ざける。そんな足掻きすらも維持出来なくなった男達が、天井に繋がれた頭部と床に接続された足を支点にして肉体を左右にくねらせながら荒く乱れた鼻息の音を奏でつつ火照りを少しでも逃がそうと試みる。
そんなことをしてもラバーを内側から押し上げている乳首や男根をみっともなく跳ね回らせ余計に強調するだけに終わってしまう。それどころか身をよじればよじる程肉体は通気性が皆無なラバーの内部で汗を噴き出させつつ更に火照り、淫薬混じりの空気を一層激しく吸う疲弊を自ら引き寄せてしまう。
その情報を知る由も無い男達は、己と仲間を地獄から救い出したい一心で試行錯誤を重ね続ける。快楽を得たくても得られないもどかしさから意識を背けつつ、男達はじょじょに膨れ上がっていく淫蕩な渇望に理性を失う前にとラバーからの脱出を求め続ける。
だが、男達はやはり逃れられない。十数人の男が言葉にならぬ声で悲痛に鳴き叫びつつ努力しても、その様子は非道な男達をより濃い愉悦へと導くだけ。
恥を捨てて様々な手を尽くしても無駄。一際強く唸りを放ち仲間に励ましを送りつつ頑張っても無意味。その何の効果も無い小細工を諦め悪く積み上げる男達を黒く歪んだ満面の笑みで堪能しながら、敵である男達は間も無く作動する脱水症状の回避として用意された機構への期待を、口を塞ぐ棒に仕込まれたチューブを通して容赦無く注入される駄目押しの液体媚薬が作り出す一段上の悶絶に対する期待を、胸の内に湧き上がらせていくのだった。

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