不思議の国のアリス その2
いきなり小さくなったものだから、歩いても歩いても全然前に進みません。そのうえ周りにはキノコが沢山生えていますが、どれも大きすぎて、とてもじゃないけど下の口には入りそうにありません。
「やねの上からだとあっちの方向だっわね…。でも全然見通しが利かないわ。あの上に立ったら、少しは先が見えるかしら」
アリスは背伸びをしてキノコの上に首を出しました。
「んんっ」
すると何かと目が合いました。…大きな芋虫です。今はアリスが小さいのですから、普通の大きさの芋虫かもしれません。
「あなたはだあれ?」
「…お前は名乗らんのか」
「ああっ、ごめんなさい。わたしはアリス。たぶん…さっきから大きさとか色々変わっちゃって、ちょっと自信ないけど」
「そんなことはどうでもいい」
「ど、どうでもいいっ…て」
「登らんのか?」
こっちの都合なんか、全然無視して芋虫は言いました。アリスは芋虫が何か知っているような気がしたので、キノコの上にえっちらおっちら登りました。
「お前は、何の芋虫だ?」
「にんげんよ !!芋虫なんかじゃないわ!」
「芋虫なんか、とは失敬なやつだ」
「あっ!ごめんなさい。芋虫に間違えられるなんてびっくりしたものだから」
「まだ、お前は芋虫ではないと言い張るのか」
「どう見ても、芋虫じゃないでしょ」
「そんな布切れがあっては、中にどんなものが入っているのだか、分かるわけなかろう。だがワシがみたところ、お前は芋虫だ」
「んもうっ!服をとったら、あなたとは全然違うってことが分かるわよ!!」
アリスは服をとって見せました。
「げんじつにお前は、芋虫ではないか。顔の横にはツノがついているし、足が二本なのは珍しいが、確かに腹には足がある。そして先の別れた尻尾がある。それに顔にはワシと同じようにヒゲまではやしておる」
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