人魚姫 その2
魔法使いに、休む暇もなく人間の営みについての講義を受けて叫び続け、ついに人魚姫は気を失ってしまいました。
そして目が覚めると、彼女は砂浜に倒れている事に気づきました。
見ると、王子様と月明かりの下に語り合った、思い出の砂浜です。なんだか、あの時の王子様の声までもが聞こえてくるような気がします。
しっかりするんだ、君!!声は、だんだんはっきりしてきます。
なんと人魚姫の目の前にいたのは、間違いなくあの王子様でした。
王子は、崖の下にいた声の美しい娘の事が気になって、崖の下まで来ていたのです。
人魚姫は、あまりの喜びに思わず叫びました。いえ、叫んだつもりだったのです。でも口からでるのは、あーとかうーとか言葉にならない、美しくもない音ばかりです。
とりあえず、これを着るといい。そう言って、王子様は上着を着せてくれました。
王子は娘がしゃべれない事が分かると。見捨てる訳にも行かず、とにかく城に連れて行く事にしました。言葉は通じるようで、王子が付いてくるように言うと、満面の笑みで娘はうなずきました。
人魚姫は夢見心地で、初めて人間の足で歩きました。
するとどうでしょう。一歩歩くと、足から衝撃が走り体が疼きます。さらに歩くごとに体は敏感になり、王子の上着が体をこするだけで、たまらない気持ちになります。
とうとう、人魚姫は王子様の服の裾をつかんだまま、その場にうずくまってしまいました。
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