月宮魅艶 2019/05/31 11:22

<アダルト小説>若様の性長日記!・1

大学を卒業した後、すぐに連れて来られたのは親父の会社だった。

「でっけぇな」

「若様はこちらへ来るのははじめてでしたか?」

「ああ、そうだな」

「社長、楽しみに若様を待っていますよ? 今日という日を、ずっと待っていたんですから」

「恥ずかしい親父だな」

「溺愛なさっていますからね。若様のこと」

そう言ってクスクス笑うのは、親父の第一秘書の女性。

名前を梢さんという。

見た目は三十代だが、オレが小学生の頃から外見が変わらないという、恐ろしい女性だ。

いわゆるグラマラスな体付きをしている。

胸はFカップはあるのだと、初対面で胸を張られて豪語された。

胸が大きいせいか、腰は細く見える。

そしてお尻も大きい。

体にピッタリしたスーツを着ているせいもあるだろうな。

しかも中に来ているブラウスもスカートも、ギリギリの短さだし…。

普通の22歳の男であれば、梢さんに釘付けになるだろう。

しかしオレは十年以上も見続けているので、すっかり慣れてしまった。

…男としては、ある意味悲しい。

梢さんはキレイな茶髪を頭の上でまとめていて、メガネをかけている。

よくある家庭教師のAV女優に見えなくも無い。

けれどやっぱり慣れは慣れ。

彼女には年上の女性としての憧れはあっても、恋愛感情は一切持っていなかった。

高校生時代、同級生(男)がオレと梢さんが一緒にいるところを見て、興奮して声をかけてきたことを覚えている。

普通に紹介し、梢さんが去った後、その同級生に詰め寄られた。

「お前っ、あんな美女と知り合いだなんて、バチが当たるぞ!」

「…親父の秘書だっつーの。それに何ともお互いに思っていないのなら、バチも何も無いだろう?」

そう言うと、同級生はおかしなモノでも見るような目でオレを見た。

「お前…男じゃねーな」

とりあえず一発ぶん殴ったのは、間違いではないと今でも言える。

淡い恋心を抱いたことがないとは言えないが、憧れの方が強い。

いっつもオレの面倒を見てもらっているせいだろう。

会社に来るまでも、車に乗せられてきた。

そう、あれは十分ほど前―。

オレは梢さんが運転する車の後部座席に深く腰をかけながら、深く息を吐いた。

これから向かうは親父の会社。

大学を卒業したのはつい先日の話。

オレはいよいよ親父の会社に就職する…のに、私服。

スーツなんか着てくるなと、昨夜親父に笑い飛ばされたからだ。

会社に行くのは今日が初めてでも、社員には何度か顔を合わせている。

でもだからと言って、私服はないような気がするけどなぁと思う。

「若様、緊張なさっています?」

バックミラー越しに、梢さんの視線を感じた。

「いや、それより何の仕事をさせられるのか、心配の方が強い」

「今日は会社の説明だけですよ。仕事の方は後日となります」

「説明長い?」

「最初に若様に理解なさって欲しいことは、そんなに長くはないかと…。ただ」

そこで梢さんが苦笑した。

赤い口紅が、いたずらっぽく光っている。

「理解するのに時間がかかるかもしれませんね」

ぞわっ!

「はっ?」

何故かそこで全身に悪寒が走った。

「まあ後は社長からお聞きください」

「あっああ…」

この時、オレは体が警告していたことに気付かなかった。

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