Wedge White 2023/02/14 22:28

乙女の勝負

乙女の勝負



「チョコの作り方?別に教えてもいいが、エル、お前が料理なんてどういう風の吹き回しじゃ?」
「だって、もうすぐバレンタインデーでしょ?だから、悠君に手作りチョコを作ってあげたいの!」
 2月の初旬のある日。
 エルシアは起きてくるなり、可愛らしく両手を合わせ、桐に対して拝んでお願いをしていた。
 その姿が妙に日本人っぽくて、思わず桐は苦笑してしまう。
「妾も悠には作るつもりだったし、二人からという形にすればいいじゃろう。デザインのアドバイスなどをくれれば、十分二人で作ったことになるじゃろう?」
「そうじゃなくて、全部私の手で作りたいの!」
「……結局、料理を覚えたいと言いつつ一度も練習していないじゃろう。お菓子作りは料理よりも難しいぞ?軽量や時間を測るのが非常に大事で、じゃな……」
「頑張るから、お願い!」
 桐としては意地悪する理由もないし、初めから受け入れるつもりだったのだが、エルシアが子どものようにお願いをしてくるのが妙に可愛らしく、わざと遠回りするようなことを言ってしまっていた。
「しょうがないのう。ただし、妾は料理に関しては妥協はできんからな。できるまで徹底的に厳しく教えるから、覚悟しているんじゃな」
「はい!師匠!」
「師匠、のう……」
 本当にエルシアらしくない言動に戸惑いながらも、こうしてエルシアのチョコ作り特訓が始まった。



「で、具体的にはどんなチョコを作りたいのじゃ?シンプルにチョコを溶かして成形し直したチョコから、ブラウニーやクッキー、なんならチョコレートドリンクまで。色々とチョコを使ったお菓子はある訳じゃが」
「え、えーと、桐はどれがいいと思う?」
「そう来ると思っておったわ……」
 可愛らしく聞き返してくるエルシアに呆れつつ、桐はエルシアのスマホを借りて、いくらか検索して見せた。
「桐、スマホ使えるんだ……」
「お前は妾をなんだと思っているのじゃ」
「お婆ちゃん」
「妾の方が若いんじゃろう、このババアめ」
「あうっ……!」
 桐は軽くエルシアのおでこを指で弾き、v画面を見せる。
「初心者向けならまあ、トリュフチョコか、このチョコムース辺りがいいじゃろう」
「えぇー、それって、溶かして固めるだけじゃないの?手抜きって思われない?」
「ズブの素人のくせに生意気言いおって……。溶かして固めるだけと言うが、ではエル。どれぐらいチョコを湯煎するつもりなのじゃ?2分か?5分か?それとも10分か?」
「え、えーと……よく溶けた方がなめらかそうだし、10分ぐらい?」
「では、どれぐらい固める?冷蔵庫で30分か1時間か、2時間か」
「カチコチの方がチョコっぽいから、2時間!」
 桐は試すように質問しながら、笑いが隠し切れていない。だが、エルシアはそれに気づく余裕もないらしく、なぜか指を折って時間を数えている。
「物にもよるが、トリュフチョコなら20分も冷やせば十分じゃ。トリュフの場合、手で丸めてココアパウダーをまぶす行程があるのだから、完全に固まっていては成形できないじゃろう」
「あ、そっか!……って、20分って選択肢はなかったでしょー!」
「いや、妾は一例としてそう言っただけで、そこから選べとは言っておらんが」
「むー!意地悪だよー!」
「とりあえず、全く製菓の知識はないとわかったから、手抜きとぶう垂れず、簡単なものを作るぞ。大体、簡単だから手抜きという発想が何か違うじゃろう。シンプルなレシピなら、その分、材料にこだわったり、デコレーションに手を加えるという選択もある。トリュフにしても、生クリームの分量を変えるだけで味わいは変わってくるしのう」
「うーん、でも私、チョコの味ってわからないし」
「そのために妾がいるんじゃろう?いくらでもお前の下手なチョコを食べてやるから、失敗を恐れずに色々とやってみるといい」
 桐は優しく言い、早速、用意していた板チョコを取り出す。
「まずはチョコを刻んで、ボウルに入れてみるといい。さすがにそれぐらいはできるじゃろう?」
「ほ、包丁って握るの初めてなんだけど……」
 引きつった笑顔で助けを求めるエルシア。
「どれだけお姫様やっていたのじゃ……。ほとんど人と関わっていなかった妾とは違い、お前は人の社会で暮らしていたんじゃろう?」
「だ、だって、私の食事って血液だし!誰かに料理を作ってあげる機会もなかったし!」
「……では、悠はエルが初めて料理を作ってやりたいと思った相手という訳じゃな」
「う、うん……そうだよ」
「まったく……」
 桐はため息を小さくついた後。包丁を握って見せる。
「まずはお手本を見せるからな。包丁はそもそも、自分から指に当てない限り、怪我をすることはないのじゃ。ゆっくりと刻んでいれば、怖いことは何もない。チョコは滑ったりする危険もないしのう」
 トン、トン、トン、とあえてゆっくりと。一定のリズムで桐はチョコを刻んでいく。
 美しく等間隔で刃は入っていき、細切れのチョコが簡単に作られていった。
「やってみるといい」
「う、うん!」
「そう言えば、エルは力が強かったな。ゆっくり、優しくでいいからな」
「そ、そんなに強くないよ。男の人と同じぐらい」
 おっかなびっくり。エルシアは包丁をチョコに落としていく。
 すると、当然ながらチョコは切断される。
「わ、やったー!」
「はいはい、嬉しいのはいいが、包丁を振り上げるんじゃないぞ。まあ、お前も妾も包丁程度でどうこうなる体ではないが」
「でも、痛いのヤだから、ちゃんとするね」
「うむ。血の混じったチョコはさぞビターじゃろうしな……」
 二人の特訓は、バレンタイン直前まで続き、最終的にエルシアはチョコムースを作ることになった。
 牛乳とマシュマロで作った下地に、後からチョコを加えて作るため、湯煎すら必要なく、当に「溶かして固めただけ」で作ることができ、なおかつ完成したムースをデコレーションすることでオリジナリティも出せるため、彼女の技術と要望に叶うレシピだったという訳だ。



「悠君、ハッピーバレンタイン!私からのチョコ、受け取って!」
「エル。ありがとう。……もしかして、手作りなのか?」
「うん、もちろん!桐にいっぱい教えてもらったの!」
 バレンタイン当日。悠が帰ってきてからしばらくして、エルシアが起きると、すぐに彼女は前日に用意していたチョコムースを取り出して渡した。
 彼女が料理を作れないことは悠も知っているため、思わず彼は桐の方を見ていた。すると、桐は優しくうなずき、それから口を開いて笑った。
「悠君。早速食べてみて!ちゃんと美味しくできてるはずだから!」
「ああ、ありがたくいただくよ」
 幼い子どものように身を乗り出し、すぐに食べるように言う彼女に苦笑しながら、スプーンですくって口に入れる。
「……美味しい。すごく優しい味わいだよ」
「えへへっ……よかったぁ」
「よく頑張ったな。エル。……桐も」
「本当、想像以上に不器用でのう。何度、匙を投げようと思ったか」
「えぇーっ!?」
 わざとらしく桐が言うと、エルシアは割りと本気で心外そうな、悲しそうな顔をする。
「冗談じゃ。本当によく頑張っていたぞ、エル。悠に喜んでもらえてよかったのう」
「うん……ありがとう、桐」
「ん、どういたしまして。……ほれ、悠。妾からも」
「桐からも?ありがとう!」
 桐もお皿の上に乗ったケーキを差し出してくる。
 ティラミスのように台形の、可愛らしく上品なチョコケーキだった。
「普通にチョコやケーキを作っても芸がないから、パフェを作ってやろうと思っていたのじゃが、エルがムースということで、被らないようにこっちにしたのじゃが」
「すごく嬉しいよ。……それにしても、パフェか」
「うむ。前にパフェが好きじゃが、さすがに男の身で頼む勇気がないと言っていたじゃろう?――ま、そっちに関しては今度、妾と遊びに行って頼むとしよう。妾が注文して、悠とシェアすればいいじゃろう?」
「前に一回だけ言っただけなのに、覚えててくれたのか……。うん、その機会も楽しみにしているよ」
 悠は嬉しそうに言いながら、彼女のケーキも口にする。
「ん~っ!美味い!!」
「ふふっ、よかった。そこまでケーキを作った経験はないからのう」
 おそらくはエルシアが悠と会う前。あるいは、エルシアが寝ている時に話題に出ていたことについて話し、次のデートの約束も取り付ける。しかも、一緒に同じものを食べるなんて、エルシアにはできないことだ。
 桐と悠の会話を聞きながら、エルシアはむくれにむくれていた。
「……エル、何を拗ねているのじゃ」
「拗ねてないもん。桐が大人げないって思ってるだけだもん」
「はぁ。誰が大人げないのじゃ、誰が」
 衝動的に拗ねていたエルシアだったが、確かに彼女がチョコを用意できたのは桐のお陰であり、大人げないのは自分の方だとすぐに気づく。
「でもぉ……」
「悠。エルシアはもっと褒めてほしいそうじゃ。頼めるか?」
「え、ええっと、どうすれば?頭なでなでとか……?」
「わ、わわっ……」
 その言葉だけで赤面するエルシア。だが、桐は少しだけいやらしく笑って、エルシアの後ろに回る。そして……。
「それもいいが、こっちの方が喜ぶじゃろう?」
「きゃあっ!?」
 思い切り、エルシアのドレスをずり下ろしてみせた。
 ぶるるるんっ!と爆乳が激しく揺れ乱れながら、悠の前に姿を現す。
 まだ揺れている真っ白な胸に、ピンク色の乳首は、悠の視界をずっと支配していた。目を離せなかったのだ。
「え、え、えっと……」
 悠は赤面しつつ、まずは手を伸ばしたものか、と迷っていると。
「こんなこともあろうかと。残ったチョコをそれとなく常温で保存していたのじゃが。……ほれ、エル。自分の武器を存分に使うがいい。――妾にはないものなのじゃからな。拗ねる必要もなかろう」
「ふぁあああんっ!?」
 桐は、ボウルに残っていたチョコをハケを使ってエルシアの乳首に塗りたくる。
 その刺激にエルシアはびくびくと震えて、当然、おっぱいも激しく揺れまくり、チョコはまだ半分溶けているため、体中に飛び散ってしまう。

「……エル!」
「ひぅううっ!?」
 その痴態を真正面から見ていた悠は、遂に我慢できなくなって、彼女を押し倒し、おっぱいに吸い付いてしまった。
 肉厚の乳首をそのまま食べるように、口の中に含む。
「じゅるうううっ!!」
「ひっ、んぅううんっ!!やっ、ぁぁああんっ!ダメ、ダメ、だよぉ!ゆう、くっ……!ひぁああああああ!!!」
 悠はチョコを舐め取るという名目ではあるものの、とっくにチョコが取れてしまったエルシアの乳首をちゅぱちゅぱ、じゅぶじゅぶといつまでも舐めしゃぶり続ける。チョコはなくなっても、甘い匂いと、味は消えない。エルシアのおっぱい自身から、ほのかに甘いミルクのような風味がするのだ。
「はぶちゅっ!ちゅるるぅううっ!!!ちゅるっ、ずずるぅううっ!」
「ひっ、んっ、ふぁあああんっ!!!あっ、あっ、あぁああっ!!ちくびぃ!よ、弱い、からぁっ!!あっ、あっ、あっ、あぁああああっ!!!」
 思い切り乳首を刺激されて、エルシアは悶え、声を裏返らせて激しく乱れる。
「悠、君っ……私のおっぱい、好き?」
「んちゅるっ……もちろんっ……じゅるるちゅううっ!」
「ふぁああああんっ!好きっ、好きっ、私も悠君好きだよっ……!」
 エルシアは喘ぎながらも、ぎゅうっ、と悠を抱きしめて、もっと顔を胸に埋めるようにする。

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