NaotaNanase/七瀬社 2021/01/28 12:00

追放される王子様

 これはとある国のお話……
 とある場所にウェーパン王国という国がありました。この国はプロミニア3世、別名『白鳩王(しらはとおう)』と呼ばれる理想かつ平和主義者の国王が治める国でした。
 プロミニア3世は、愛と平和で満ち溢れる世を築く事が夢であり、重臣に反対する者もいる中「他国への武力行使・威嚇の禁止」「軍の解散」「戦争・軍事協定の放棄」を取り入れた「平和3ヶ条法」を制定して実行しました。
「武器があるから戦争が起こる」「武器を捨てれば争いとは無縁になる」「何かあっても平和3ヶ条法があるから大丈夫」「愛と平和でハッピーだ」
 国民の大半はそんな事を言いながら、世界に先立ち愛と平和の王国を築こうと、大いに盛り上がっていました。
 しかし、「平和3ヶ条法」が制定してから1ヶ月も経たぬ内に、突如としてグラファイト帝国が侵攻を開始してきました。
 グラファイト帝国は、合理的思考な非人道的な軍事国家であり、奴○を用いた効率重視の労働力を活用して莫大な利益を生み出し、世界一潤沢な資金を持っていました。
 ある国は軍事力を恐れ、またある国は買収され、グラファイト帝国による理不尽な侵攻に文句を言う国は一つとしてありませんでした。加えて王国は、法の制定と同時に、一方的に他国へ救援として派遣していた軍を解散し、問答無用で軍事協定も破棄してしまったので、危険を冒してまで他の国々が王国を助ける義理もありませんでした。
 それでも、落ち着いた様子のプロミニア3世は自ら侵攻軍の目前に立ち、「愛と平和」を帝国軍に説き始めました。しかし、その熱弁も虚しく、その場ですぐに殺されてしまいました。
 その後、王国内は平和3ヶ条法を放棄して帝国に抵抗しようとする強硬派と、あくまで平和3ヶ条法を貫く穏健派に分裂しましたが、穏健派が多数であった為、強硬派は領地を捨てて再起を図るしかありませんでした。
 その結果、帝国軍は王を一人殺しただけで、戦うこと無く、あっという間にウェーパン領すべてを掌握してしまったのです。
 残された穏健派の人達は、帝国市民となって今までと変わらない生活ができると思い込んでいましたが、当然、そんな事はありませんでした。帝国の奴○となり、今までの何倍も過酷で苦しい非人道的な扱いを受ける事となってしまったのです。
 
 さて、そんな帝国に支配されたウェーパン領の城の中で、強硬派の思想を持ちながらも、それを言い出す勇気が無く穏健派として過ごしてきた自分を悔やんでいる人物がいました。
 その人物の名前はマクシミニア。ウェーパン王国が健在であれば国王となっていた、王位継承順位1位の王子でした。
 城が陥落して移行、王子は囚われの身となっており、穏健派の王族や貴族に属する男の殆どが次々と処刑されていく中、どういう訳か帝国は、王子を処刑する事無く国外追放する事を取り決めました。

現地の指揮官であるペンス軍団長にそれを伝えました。
 
 追放当日。王子は謁見の間に呼び出されました。
 かつての王が座っていた玉座には、現地の帝国軍指揮官であるペンス軍団長が腰を掛けていました。
 ペンスは王子に衣服を脱いで裸になるように命じると、首から掛けた王位継承の証であるアミュレットだけを残し、すべてを没収してしまいました。
 自分が生まれ育った城の中、大勢の敵兵が見ている中で裸になった王子は、強い憤りと羞恥を感じていました。
 そして、赤面しながら両手で股間を隠す王子対して……(※)

【分岐ストーリー1:慈悲深き帝国軍団長ペンス】

 軍団長のペンスが2枚のボロ布を渡して、片方は目隠しに、もう片方は股を隠すように、と王子に命じました。
 言われた通り目と股を隠した王子は、兵士達に引き連れられ城の外へと出ていきました。
 ひんやりとした風が肌を包み込み、ザワザワとした歓声が王子の耳に入ってきます。
 目隠しをされながらも、王子は自分が城の外へ出たという事を理解しました。
 城から出てある程度歩くと、王子は兵士に抱え上げられ、裸馬に乗せられました。

「ここからは馬に乗って移動する。手は後ろで縛るから、落馬しないように足の力をしっかりと入れておけ」


 
 王子は兵士の指示に素直に従いました。
 すると物々しい兵士達の姿が気になったのか、かつての国民であった野次馬達が次々に集まってきました。
 小さなボロ布だけを身に着けたみすぼらしい男子。目隠しをしている事もあってか、ひと目見ただけで、すぐ王子だと気がつく者は一人もいませんでした。
 しかし、暫くすると首に掛かるアミュレットに気が付いた者が現れ、「あれは王子ではないか」と野次馬達はざわめき立ちました。

「なんと哀れな……」
「服まで取り上げられてしまうなんて……」
「ボロ布一枚だけなんて、アレでは物乞いでは無いか……」
「アレが凛々しくて格好良かった王子様だなんて信じられない……」
「ねぇねぇ、ママ~。王子様どうなっちゃうの?」
「そうね。新しい王様が来るから、きっと遠い所に行ってしまうのね」
「ふーん。そうなんだ。そこで新しいお洋服もらえるといいね」

 そんな人々の声に包まれながら、ボロ布を身にまとい白馬に跨った王子様は、故郷の景色やかつての国民達の姿を見る事が出来ず、遠い異国の地へと旅立っていきました。

 謁見の間にて……

「軍団長。本当によろしかったのですか? 皇帝陛下の命令は、『アミュレットだけを身に着けさせた上、全裸で馬に跨がらせて国境まで十分に辱めよ』だったはず……」
「言うな……。私も元は異国の騎士。王子の暮らし方は知っている。誰にも素肌を晒した事が無い王子にとってみれば、辱めはアレで十分だ」
「心中お察しします。しかし、目隠しはやりすぎかと……。いえ、私があの時お止めすれば……、申し訳ありません」
「構わん。お前は何も悪くない。重い処罰が下るかも知れぬ事は覚悟の上だ。だがそれでも布を渡したかった。かつての国民達の憐れむような目つき……。あれは鋭い槍のように心を突き刺す。そして、その傷は何年経とうが癒えぬのだ」

 非人道的な帝国に属しながらも騎士の心を持っていた軍団長ペンスの慈悲により、王子はかつての国民達に性器を晒す事無く、また憐れみの目線を向けられる辛さをも知らずに済んでいたのでした。

追放される王子様(慈悲深き軍団長ペンス編)おしまい


今回は差分別に分岐ストーリーを作ってみました。
導入は同じですが(※)の地点でストーリーが変化して新たな人物が登場します。
分岐ストーリーは上記の『慈悲深き帝国軍団長ペンス』の他、
フリープラン >『忠節なる帝国軍副官ギュレイ』
ベーシックプラン > 『日和見主義の監督官オプタミア』
スポンサープラン > 『小悪魔な最高司令官ロキータ』の3つを用意しました。
高額プランになるにつれて、王子の羞恥が増すようなストーリーとなっています。

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