NaotaNanase/七瀬社 2023/03/25 08:51

卒業の記念に

桜と卒業という季節をテーマにしたCFNM作品をつくってみました。

まずは未登録でも楽しめる、小説の前半部分をイラスト(制服差分)と一緒にお楽しみください。
その後はプラン別公開となっておりますので、お品書きを参考にお楽しみください。
※今回のストーリーは男子視点の作品となっております。


仲が良かった女子から水着姿が見たいと頼まれた

 俺には、蜜家渚(みつやなぎさ)という、仲が良かった女子がいた。
 ○学生になったばかりの頃、俺はニッチな漫画や音楽にハマってしまったせいか、少しクラスで浮いたような存在だった。
 そんな俺に、話し掛けてくれたのが蜜家だった。

 蜜家は一見すると大人しそうに見えたが、仲良くなるにつれ、明るく活発な性格だという事がわかった。
 休み時間や放課後になると、ちょくちょく俺の席にやって来ては色々と話をしていった。ただ、話をすると言っても、俺は寡黙で口下手だったから返事をする事がメインで、いつも蜜家のマシンガントークを一方的に聞かされている感じだった。
 ○学生という事もあり、異性同士で話していると周囲の茶化しが鬱陶しかったが、そんな不愉快な環境を無視できる程、蜜家と話している時間はとても楽しかった。

 それから蜜家とはずっと仲が良かった。
 関係が拗れる事は無かったが、進展するような事も無かった。
 クラスメイトからは付き合っていると思われていたみたいだが、互いに飽きもせず、ひたすら漫画や音楽の話をしている、ただの友人関係だった。
 
 そして月日は流れ、卒業前日。
 仲が良かった蜜家が思いもよらない頼み事をしてきた。

「北岡(※俺の名字)の水着姿が見たいから、明日の卒業式に持ってきてよ。で、みんなが帰った後に私にだけ見せてくれない?」

 突拍子も無くそんな事を言われた俺は、思考が停止してしまった。

 少し間を置いた後、蜜家に理由を聞いてみたが、「なんとなく?」や「記念になるじゃん?」と曖昧な返答を繰り返すだけだった。
 何で急に水着姿を見たいと思ったのか、そんなものを見て蜜家はどうするのだろうか……、疑問しか思い浮かばず、納得が出来なかったものの、押しに弱い俺は蜜家の熱量に負け、最終的には「うん」と、その謎の頼み事を承諾してしまった。

 いや、今にして思えば、単に押しに弱いだけで承諾したのでは無かったのかも知れない。
 意味不明な頼み事ではあったが、蜜家がこうした熱量で何か頼み事をして来たのは、この時が初めてだった。
 だから、何だか嬉しいような気がして、俺は蜜家が望むならその願いを叶えて上げたいという気持ちになっていたのかもしれない。


 寝不足気味で迎えた卒業の朝。
 朝食を済ませて自室に戻った俺は、蜜家との約束を守る為、箪笥の奥にしまってあったスクール水着を取り出した。

 俺が通う学校の指定水着は所謂『ブーメランパンツ』と呼ばれるタイプの物だった。
 履くと"ピッチリ"とした狭い面積の生地に、チンコと金玉の形が"くっきり"と浮かび上がり"もっこり"する為、男子達の間では『もっこパン』と呼ばれていた。
 実際に水着を手にとって見ると、パンツよりも遥かに狭いその生地面積を実感し、「コレを履いた姿を蜜家にみせるのか」と、途端に恥ずかしくなってしまった。

 俺の学校では、水泳の授業は男女別だった為、女子がこの水着姿を見る機会は殆ど無かった。
 男同士でも散々"もっこり"をからかいあっていたから、そんな"もっこり"を蜜家に間近で見られる光景を想像すると、恥ずかしくて仕方がなかった。

 だが、約束は約束である。
 水着を持ってきて、と蜜家には言われていたが、いちいち履き替えるのも面倒だと思ったので、俺は水泳の授業がある時のように、下着の下に水着を履いて行くことにした。

 パジャマと下着を脱いだ俺は、姿見の前で"すっぽんぽん"になった。
 股の間には、○学生活3年の間で、グロくなってしまったモノがブラブラと、だらしなく揺れていた。

 そんなグロいモノを覆い隠すように水着を上げると、今までに無い窮屈さを感じた。
 最後に水着を履いてからは約半年くらい。その間、また身体が大きくなったのか、それともチンコやキンタマ自体が成長していたのだろうか。久々の"もっこパン"は、俺のキンタマを"ギュっ"と強く押し潰してきた。
 そして、鏡を見た俺は、やっぱりチンコとキンタマが大きくなったのだと確信した。
 鏡に映る"もっこり"が、去年の夏より一回りくらい大きく見えたからだ。

 暫く、ぼーっと"もっこり"を眺めた後、俺は"もっこパン"の上から、白ブリーフを履いた。
 校則で下着も指定されていたから、渋々履いていた白ブリーフだ。
 ばれないだろうとトランクスを履いているクラスメイトもいたが、俺は校則を破る事が逆に窮屈に感じて、3年間ずっと制服の下には白ブリーフを履き続けていた。

 履く時は、いつもダサくて嫌だと思っていたブリーフだったが、これで最後だと思うと、不思議と物悲しさを感じてしまう。

「だっさ……」

 姿見に映るブリーフ姿の自分に呟いてから、俺はシャツ、ズボン、ネクタイ、セーターと、着慣れた制服に身を包み、擦れたスクールバッグを背負って家を出ると、ポケットに手をツッコミながら歩き慣れた通学路で学校へと向かった。

 見送る家族、すれ違う通行人、気さくに話し掛けてくるクラスメイト、生徒へ熱い言葉を贈る先生、みんな、俺が"もっこパン"を履いてる事など夢にも思わないだろう。
 そう思うと、妙な高揚感が沸き起こってきた。
 こうして俺は、蜜家の奇妙な頼み事のせいで、周りとはひと味違う気分で、3年間の○学生活に終止符を打つことになった。


 卒業式が終わり、クラスメイト達が下校した後、俺は蜜家に誘われ、ホコリ臭い空き教室の中へと入った。
 予めこの教室に目を付けていたのだろうか。
 俺の背中を押すようにして、後に続いて入ってきた蜜家は、満面の笑みを浮かべながら、後ろ手に扉の鍵を締めた。

「桜が綺麗だね」

 蜜家はそう言いながら、窓際の方へと歩いていった。
 俺も蜜家の後に続くと、曇った窓ガラス越しに、青い空と満開に咲く桜が見えた。
 蜜家が窓に手を掛けて力いっぱいに開くと、ホコリ臭い空気が外へと抜け、代わりに暖かくも清々しい新鮮な風が教室の中へと入ってきた。

「気持ち良いね!」

 蜜家はそういうと、物欲しそうな表情を浮かべて俺の方を見てきた。
 言葉に出さずとも、例の頼み事を実行して欲しいという気持ちが"ひしひし"と伝わってきた。

「一応、約束したから、今日、学校の水着履いてきたけど……。蜜家って、男子の水着が"もっこパン"って知ってるよな? 本当にそんなのが見たいの?」
 
 俺はそう念押ししてみた。
 男が女の水着姿を見るのとは違って、女が男の水着姿を見たいなんて聞いた事も無かったし、しかもそれが"もっこパン"の水着姿だったら、キモいと感じてしまうのでは、と思ったからだ。
 
 だが、蜜家は、「大事な記念になるから絶対に見たい」と、はっきりした声で答え、その意思に揺るぎを感じなった。 
 なぜ、俺の水着姿が"記念"になるのかは全く分からなかったが、少なくとも、"もっこパン"が嫌じゃないという事だけは分かったので、俺は持っていたカバンを机の上に置いて、制服を脱ぐ準備を始めようとした。

「あ、待って!」

 制服を脱ぐためセーターに手を掛けた所で、蜜家が俺を制止してきた。
 そして、素早くカバンからスマホを取り出すと、カメラを起動して自撮りをするようなポーズを取った。

「ほら、今まで一緒に写真撮った事無かったじゃん? 記念に最後の制服姿の写真、一緒に撮ろうよ」

 蜜家はスマホを構えつつ、俺の肩にもたれ掛かるようにくっついてきた。
 同い年の女子にここまで近づかれたのは初めての事だった。
 自分が汗臭くないだろうか、と心配になりながらも、女子特有の甘い香りを"フワっ"感じた俺は、身体が"ブワっ"と一気に熱くなるのを感じた。

 正直、身体が固まってしまう程、緊張してしまった俺だったが、その事がバレたらダサいと思われる、と感じたので、平然を装い「記念だもんな、一緒に撮ろうぜ」と、ノリ良く答えてみせた。

 カシャッ

 綺麗な青空と桜を背景に、俺と蜜家は並んで写真を撮った。

「あはっ。いい感じ!」

 そう言ってはしゃぐ蜜家の姿を見ると、何とも言えない幸福感で心が満たされていった。

【続く】


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