エンゼルリリー、自分のブーツの臭いを嗅がされて
エンゼルリリーは悪魔に敗れ、闇の結界に囚われた。
悪魔はリリーのエナジーを狙い、はじめにエンゼルブーツを脱がしにかかった。
リリーは抵抗した。奪われるわけにはいかなかった。足技を武器とするリリーは、これをはいていなければ戦う力がでないのだ。
エナジーが十分に満ちていれば、天使のコスチュームを脱がすことは悪魔といえども難しかった。しかし、いまのエンゼルブーツは戦いのダメージやエナジーの消耗が激しく、また中はひどく蒸れ、汚れもはいりこんでぬるぬるとして、だれでも脱がすことができるほど弱くなっていた。
リリーは必死に抵抗した。ダメージと淫気で力の入らぬ足が懸命に振られた。ブーツの中では足首がくねくねと暴れていた。ぐちゅぐちゅ、がぽがぽと、汚れた音をたてながら。
だが、悪魔の力の前についにブーツは脱がされた。ずぶぶっと粘ついた音が鳴った。汗を吸い、汚れにまみれたソックスの足が、奪われたブーツを取り返そうとするように宙をかいた。
悪魔はブーツを見せつけた。にやにやと笑いながら、こいつで発情させてやろう、といった。
リリーは悪魔を睨みつけた。
「そんなのしない! この、かえしなさいよ!」
エンゼルブーツ。桃色の、レインブーツのようなロングブーツは汚れていた。ブーツの履き口から湯気が立っていた。桃のような甘い香りがした。リリーの体臭だった。汗にエナジーが溶けているせいで、そんな臭いがするのだった。
臭っちゃってる、とリリーは思う。身体が熱くなりはじめる。考えてはいけないと思うほど、それはリリーの肉体を侵蝕していく。
悪魔は変わらずにやにやと笑いながらリリーの鼻先にブーツを近づける。湯気が顔にかかる。嗅いじゃダメ――。腰がわずかにくねる。剥き出しのソックスのつま先が丸まる。もう一方のブーツの中でも同じように。
履き口が近づく。蒸れた自分のブーツの……。
リリーは悪魔を睨みつける。
「リリー、絶対に負けないから――!」
【 支援プラン300 】プラン以上限定 支援額:300円
テキスト(4000字程度)があります
このバックナンバーを購入すると、このプランの2019/08に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?
支援額:300円