ニードロップ 2013/08/13 20:28

『淫語なおしえご03』(制作中断作品ですが…)プレ・ストーリーを公開します!

『淫語なおしえご03』は数年前から何度となくシナリオを書き直したあげく、いまひとつ出来に納得がいかずお蔵入りにしている作品です。
今年の春に同じ趣向の『淫語な初えっち09 テンパリ娘は勝ち気でドMで先走り。』を公開し、また某人気ライトノベルで似たアイデアを取り扱っていたこともありまして、未公開のまま終わってしまうのかなと思っています。
ただ、この作品のために費やした多くの時間なしには『テンパリ娘』も存在しませんでした。
自分としてはとても愛着のある作品です。

というわけで自分の中で切りをつけるため、「プレ・ストーリー」のみ公開することにしました。
えっちシーンもありませんので、お気持ちと時間に余裕のある方にざっと目を通していただければ、書いた甲斐があるかなと思っています。


☆☆☆☆☆

さらさらと心地よい音を立てて、都(みやこ)は計算式を書き連ねてゆきます。
一定のペースを保ってノート上を動き回るペン先を、僕は凪いだ心持ちで眺めていました。

やがて解答欄を埋め終えた都が、迷いのない手つきでペンを置きました。
解答も計算過程も申し分のない模範的な正答。簡単な計算を暗算で済ませようとしてケアレスミスをする悪癖は、どうやら完全に克服したようです。
僕は横から手を伸ばし、赤ペンでぐるりと大きく丸をつけます。今日の指導もこれで終了。

「――よし、ここまでにしようか」
「はい」

都はうなずいて筆記具をしまうと、ふぅと小さく息を吐きました。
同時に、部屋の隅で寝ていたマメシバが、ぴょこんと身体を起こします。いそいそと都のもとへ駆けてきて、そのまま膝の上に座り込みました。
都は愛犬の背中にそっと手を添えます。

「A判定おめでとう。模試の成績が安定してきたね」
僕はあらためて都に労いの言葉をかけます。
「ありがとうございます。先生のおかげです」
都は愛犬の背中を撫でながらハキハキとした口調で答えました。
微妙に壁を感じる態度が少し残念ですが、まぁこれだけ綺麗な子です。仕方ありません。
下手に愛想を振りまいたら僕に勘違いさせてしまうかもしれないと警戒しているのでしょう。
こっちはプロの家庭教師ですから公私混同などしませんけれど、彼女がどう考えるかはまた別の話です。

「あ、そうだ。これ」
僕はカバンから小さな包みを取り出してテーブルに置きました。
なんの変哲もない茶色の紙袋。口を留めたテープには近所のホームセンターのロゴ。

「…………?」
都は大きなネコ目をぱちぱちと瞬かせます。
飼い主としてはイヌ派の彼女ですが、顔立ちも反応もネコっぽいです。
「なんですか、それ?」
「A判定のご褒美。開けてごらん。キミが今いちばん欲しがってるものが入ってる」

僕は自信たっぷりに断言しました。
じつは前もって都のお母さんからリサーチ済みなのです。
地道な努力が成績に反映し始める、ほんの直前――つまりプレッシャーが最大だった時期。
ぐったりとソファに沈んだ都が、これがほしいと半ばうわごとのように漏らしたそうです。

「さあ、開けてみて」
「――はい。ありがとうございます」
怪訝な表情を浮かべたままガサガサと包みを開き始める都。
「あ……」

紙袋から出てきたのは、革製の首輪。小型犬から中型犬用のサイズ。
革の部分は鮮やかな赤で、金属はゴールド――の、当然メッキ。
都の膝に座る愛犬の首輪は、だいぶくたびれています。

「それが欲しかったんでしょう? 似合うんじゃないかって思うんだ」
「……っ!?」
都は首輪を握りしめたままうつむいて、プルプルと震えています。
うん、こんなにも喜んでもらえると、時間をかけて選んだ甲斐がありますね。

やがて僕を仰いだ都の顔は、素敵なプレゼントをもらった驚きと歓喜に満ちあふれて、
「……くぅっ!」
満ちあふれて、いませんでした。

都さん、顔を真っ赤にして僕を睨みつけています。
これはアレです、敵を見る目です。「くぅ」とか言ってますし。
愛犬もそそくさと都の膝から降り、細く開いたドアから廊下へ出て行ってしまいました。
一度だけ僕を振り返ったつぶらな瞳に、心なしか同情の色が浮かんでいた気がします。

――あ、もしかして、すでに新しいのを購入済みだったり?
でも、それにしては反応が激しすぎるように思いますが……。

「……あのぅ、都さんって、ずっと前から首輪が欲しかったんだよね。知ってるよ?」
「くぅぅっ!?」
下唇など噛みしめつつ、いかにも悔しげに喉の奥でうなる都さん。
「あんた気づいてたんだ……気づいてたのに、ずっと知らん顔して……そのくせいきなり、こんなこと……」
華奢な身体を両腕で抱きしめるようにして、都さんは吐き捨てるように、
「この……ドスケベっ!」

「……はい?」
予期せぬ反応に僕が言葉を失っていると、
「わかったわよ、着ければいいんでしょう? 着けてやるわよ!」
愛犬のためにプレゼントした首輪を、都は自らの細い首に装着しました。
なんか妙に手慣れた仕草で嵌めました。
「これで満足よね? このド変態っ!」
目をつり上げ頬を紅潮させて、びしっと人差し指を突きつけてくる都さん。でも首輪。

「あのう……都、さん?」
「飼い主なんだから呼び捨てでいいわよ。ご主人さま」
「ご、ごしゅ……?」
「ああ、呼び方は先生のままがいいのね、本当に歪んでいるんだからこの変態教師」
都はツンと顎をそらして、
「まったく、こんな美少女を性奴○にできるだけでも最高なのに呼び方まで指定するなんて……いくら飼い主だからって傲慢すぎるわよ!」

んん……?
いま都が早口でまくしたてたセリフの中に、女の子が言っちゃいけないワードが含まれていませんでしたか?

「あの……み、都?」
「わかってるってば。さっさと調教を開始すればいいじゃない。ドス黒い陵○願望をあたしの身体にぶちまければいいじゃない! パンがなければあたしを犯せばいいじゃないっ!」
「いや、その……」
食糧難がまったく解決できていませんが……さすがに気にしてる場合じゃありませんね。

「あのぅ、その首輪は――」
「わかってるって言ってるでしょ! 先生のお許しがない限り、勝手に外さないわよ!」
苛立たしげに声を荒げる都。
普段は理知的に輝いている瞳には、なにやら妙に肉感的な光がギラギラと。
「あたしは今日から先生に飼われる性奴○なんだから! どんな命令にも涙をこらえて従わなくちゃいけない、哀れでみじめな性欲処理穴なんだからぁっ!」

「哀れ」とは正反対すぎる堂々とした態度で言い放つと、都はぐいと顔を寄せてきました。
トロリと蕩けた目つきが完全にヤバいです。頬は熟れきって真っ赤ですし、はぁはぁと息が上がっています。

「ほらグズグズしない! さっさとあたしを堕としなさい! 先生の好きなように嬲りなさいよ! でも男二人ってのはゴメンだから! 先生以外の男が絡むのは絶対ナシなんだからねっ!」
「は、はいぃ……っ!?」

好きにしろと言いつつ微妙に注文の多い教え子は、こうして僕の性奴○へと堕とされました。
てかノリノリで飛び降りてゆきました。むしろ僕が置いてきぼりです。
えっと……なんだこれ?




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