しゅれでぃんがー 2020/05/25 23:57

日記

今日の活動

  • 吉備津彦伝 柴刈りの翁の章 二頁目
    加筆修正

 焚き火の炎がいつの間にか弱まっていた。桃太郎は慣れた手つきで柴を割り、くべる。そんな姿が似合っているようにすら見えて、美猴は時の流れを改めて自覚した。桃太郎は、こんなことが得意そうな男ではなかったのに。


「まさか」
「そのまさかだ。代替わりの時が来たのさ」


「それに。吉備津のことも気になった。ガラじゃねえんだが。まあ、なんだ。……心配なんだよ」


 桃太郎にとって、物とは奪う物だった。与えてくれる人なんていない。欲しい物は自力で手に入れるしかない。しかし、そんな人生は、彼の手元に何も残さなかった。【桃太郎】というあざななど、本当は残したくないというのに。要らない物ばかりが残ってしまう。


 彼が今日この日まで、【桃太郎】として生きてこられたのは。奇跡のような運命だったのだ。


 桃太郎は美猴の名を呼んだ。彼が美猴を名前で呼ぶのは、初めて出会った時から数えて、初めてのことだった。美猴は背けていた顔を戻して、桃太郎の顔を見た。



 気に入った話は書きあがってからこそ、何度も読み返して楽しむ。その中で思いついたことを加筆、手直し。こういう修正にこそ、書き忘れた心の欠片が宿る気がする。書き直した文章や加筆した部分が、物語を豊かにする。心を記すのが小説だと思うから。隠れた心を、少しずつ見えるように付け加えていく。最終稿まではこれを繰り返す。

 まあ、読み手にしてみれば多少手直しされた程度じゃもう読み返してくれないかもしれないけれど。いつまでも完成させずに修正ばっかりしていても完結しないからまずはとりあえず公開しないといけないんだけれど。出した後で、読み返して徐々に修正していくのは好きである。

 一番最後は完成品として、本にしたり販売サイトに出すのだろうから修正できなくなるのだろうけれど。今回のは二次創作だし、世に出す出さないはまだ決めてないからよしとする。


 吉備津彦伝はおとぎの国からの干渉によって、数奇な運命を辿ることになる吉備津彦の物語という構想なのだけれど。その中で、【赤の女王】については外せない要素だったりする。今日、急に閃いたので、吉備津彦の旅立ちの次は【赤の女王の章】を先に書いちゃうことにする。

 公開順としてはまだなのかもしれない(決めてない)が、思いついたところは先に書いておくのも大事。全部書きあがってから、一番最後に順番を調整する。小説というのは最後、パズルになるのである。

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