しゅれでぃんがー 2021/03/26 18:22

値段

 手間暇をかけて作られた物や、仕事。それには大きな価値が宿る。しかし、適正な値段を付けずに売ると、巡り巡って担い手を潰す。ゆえに、値段をつけるという行動は、とても大切な意味を持つ。


 セールが多いDL販売サイト。年末年始、春、夏、秋、冬。常に何かしらのセールが色んなサイトで行われている。なので、セール期間中にしか買い物をしない、という人もいるかもしれない。私は欲しい作品があったら、セール期間問わずさくっと買ってしまいがちだが。そんなことをしているとお金がいくらあっても足りないので、どうしても欲しい作品以外は、セールの時にまとめ買いしている。

 そんな話はさておき。色んな作品の定価を見ていると、不思議に思うことがある。自分の中でなんとなく、「高い」と感じる作品と「適正」と感じる作品があるのだ。これは、長編のゲームは除外するが、それ以外はだいたいおんなじだ。その値段というのは、「700円」である。同人作品として見れば、パッと見だと高いように感じるこの値段。しかし、私はこれをお手頃価格だと認識している。何故なのだろう、と気になって自問自答した。すると、こういう結論になった。


「店で売っている商品と同じ値段だから」


 自分で考えていて、まさしくこれだと納得した。どういうことかというと。本屋で売ってるライトノベルや小説(ジュブナイルポルノも含む)は、だいたいこのぐらいの値段。とらのあなやメロンブックスなんかで売っている委託同人誌もこれぐらいの値段。市場で流通している値段と一緒だから、DL販売でも700円(消費税を含めると770円)という値段に違和感が起きないのだ。

 だいたい20~30ページの同人誌。基本CG数20枚前後のCG集やデジタルノベル。それぐらいのCG数の短編エロゲ。これらが700円で売られていると、安くもなく高くもなく、丁度いい。そんな風に安心する。自分の作品に自信を持って、不当に安く売っていないんだな。と。何の関係もないただの消費者なのに、勝手に安心してしまうのだ。

 これ以上値段を下げるのであれば、110円で売るぐらいじゃないと意味は無いと思う。220円では、高い。値段でのアピールはワンコインだからこそ意味がある。そこを越えると、やっぱり引っかかってしまう。110円の違いが、大きな印象の変化を生む。それと同じで、880円にしてしまうのも良くない。高い。たかが110円。されど110円。私は好きだったシリーズの同人漫画が、固定客が付いたからか、それとも昨今の流行り病の影響か。770円が880円に値上げされた時。急に買う気が失せてしまった。好きなシリーズだけど、880円出すほどではない。この一冊に、果たして市場の相場を越える価値があるのかというのを無意識に考えてしまったのかもしれない。そして、これには無いと私の感性が判断した。ゆえに、買わなくなった。


 世の中には相場があり、その上で価値観が生まれる。市販のエロ漫画の値段がだいたい1000円~1500円なのは、決して高くない。むしろ安い。なにせ、どれもこれも300ページぐらいあって、装丁も凝っているからである。エロ云々を差っ引いても、あの値段は適正なのだ。それなのに、DLサイト上で世間一般の相場を無視した、または全く知らないような値段設定をしている作品をよく見かける。私はその時、いつも勝手に不愉快になったり心配になったりしている。

 大きなお世話は重々承知。けれど、やめられない。その値段設定のせいで売れなくて、その作品の作者さんが活動継続不可能になって消滅してしまう可能性を想うとはらはらしてしまう。だからこそ、高すぎず安過ぎず。大切に値段をつけて欲しいと思う。

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屍の上に立っている。

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