しゅれでぃんがー 2021/05/06 18:35

面白かったのでレビュー


 ぱっと見で落ち着いた雰囲気の作品と見える宣伝画像。内容とユーザーレビューを読むと、面白くないわけではなさそうだ。ということでやってみた。


 序盤は完全になんの情報も無いところからスタート。朝のゴミ出しでの短い会話から、相手の生活パターンを予想して足しげくそこら辺をうろついていく。指一本触れることは無い。鉄の意思で、ただひたすらに距離を近づけようとする。奥さんのバイト中にバイト先へ突撃することも無い。ただひたすらに、偶然を装う。たまたまそこに来ましたよ、という顔をしながら、細かく小さく顔を合わせて会話を繰り返す。完全にストーカーだが、現実でもそうではないかと思う。好きな人の気を惹くため、接点を増やす努力を行う。恋愛とはそういうものなのかもしれない。

 部屋は隣だが、監視カメラや盗聴器などは使わない。壁に耳をくっつけて盗み聞きしたのも初日だけである。主人公は変質的ではあるものの、奥さんを心から愛し、求めているのだ。だから犯罪行為は行わない。奥さんを奥さんのまま、自分を愛するようにして手に入れたいのだというのが伝わってくる。


 そうして世間話を繰り返していくと、なんと家に呼ばれるようになる。この時は、主人公と同じように嬉しくなった。やった。ついに。そんな気持ちで胸がいっぱいになる。ゲームにのめり込んでいる自分がいた。そこから先も話は早くない。マッサージするまでも長いし、マッサージをし始めてもなかなか性感ゲージは上げられない。ただ、辛抱強くマッサージだけに徹していると、徐々に胸を触ったりお尻を触っても怒らなくなってくる。むしろ、胸やお尻を触らないと性感が貯まらないので、関係が進展しない。リスクを負わない人間に未来は開けない。そんなことを教えられている気になってくる。ここから先は、実際にプレイしてみて欲しい。レビューでこの先を書くのは興ざめだろう。是非遊んでみて欲しい。



 奥さんのスケジュールはゲーム内に記録されないので、手書きで現実にメモを取った。奥さんはとても几帳面な性格なので、スケジュールに合わない行動は一切取らない。そこから彼女の人となりや現在の感情なんかがなんとなく読み取れてくる。没入感の強いゲームだ。近年では、こういうゲームは殆ど無くなった気がする。だからこそ楽しかった。


 寝取りといえば脅迫。酔わせる。力づく。そんなインスタントな寝取り寝取られが市場には溢れている。私はそれに、陰ながら静かに疲れている。そんな時に出会ったこのゲームは、私の心を癒してくれた。どこまでもリアルで、現実に近しいゲーム。他人の奥さんを愛した男の奮闘劇。たとえ滑稽に見えようと、彼の努力と決意は本物だ。胸を打つ。だからこそ奥さんがなびくたびに、画面の前の私も心が湧きたつほど嬉しいのだ。

 朝、家を出る時必ずドアを開けて閉めるSEが鳴る。行為の前には必ず消灯シーンがある。わずらわしくもあるこれは、このゲームが現実に則っていることの証左である。ドアを開けたら閉める、その先にはゴミ捨てに行く奥さんがいる。部屋が明るいと行為をしづらい、もしかしたら奥さんは恥ずかしがっているのかもしれない。そんなことが、これだけのシーンで想像できる。これぞノベルゲームのだいごみだろう。


 目の覚めるような、面白い作品。このゲームはそんなゲームだった。遊んでよかったと思う。

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