しゅれでぃんがー 2021/06/18 21:26

主体と受動

 物語を回す原動力はなにか。結論から言うと、それは「モチベーション」である。じゃあ、モチベーションとは何なのか? 今回は、その話をしよう。


内側から湧き起こる衝動

 あれがしたい、あれが欲しい。あそこへ行きたい、あれになりたい。そんな、「~したい」という欲求。それがモチベーションである。自発的な衝動は欲求を解消、達成する行動へ繋がる。目標達成への行動、その過程が物語を形作っていく。

 少年誌を例にすると。週刊少年ジャンプの作品群では、ストーリー系の作品だと主人公はほぼ例外なくモチベーションの高い人間である。海賊王になりたい。火影になりたい。オールマイトみたいなヒーローになりたい。そんな憧憬が戦う、旅をする理由になっている。自身の内側に行動する理由があるので、物語が停滞することも無く。途中でどんな話に横道逸れても、「理想を達成するための道中」という理由にこじつけることができる。少年誌に掲載される基本的な主人公像というのは、主体性の高いキャラクターが多い。


 その反対として、受動的な主人公が多い業界もある。それは何処かというと、「異世界転生系」だ。このジャンルは受動的構造の一つの到達点とも言えるほど完成している。「ある日、まったく常識が違う環境、状況に突然放り込まれる」。ここには主人公がモチベーションを持つ要素が無い。環境の激変により、それまでの生活を変えざるを得なくなる。外部の状況の変化に、自身が変わることを余儀なくされるのだ。「~したい」ではなく、「~しなければならない」という思考、感情。これが受動的な物語の構造である。

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