しゅれでぃんがー 2021/08/15 15:37

レ!




 サムネイルやサンプル画像はリョナ画像が大量にあるけれど、ゲーム内容は一本道のストーリー系RPGである今作。敗北イベントがある敵に敗北しない限りほぼリョナ(エロ)要素は発生しない。ある意味で、エロゲーとして作らなくても成立するゲームである。が、リョナ部分のクオリティが突出して高いから、やはりリョナ要素あってのこの作品。エロ要素の存在意義が疑わしいRPG作品というのが世の中にはたくさんあるけれど。このゲームは間違いなくエロゲーとして作られたからこそ面白かったのだと思う。


 RPGとしては作りこみがすさまじい。特に戦闘面。エフェクトが全部手作りなのだろうか。主人公の必殺技、超必殺技のエフェクトがドラゴ〇ボールぐらい動く。見てて面白い。それに付随してシナリオパートの紙芝居も動く動く。瞬間移動と魔法が飛び交うド派手なアニメを見ているようだ。だから、最初から最後まで飽きない。全てを会話文で表現しようとすると、ゲームという媒体は不自然になりがちである。そして退屈だ。だが、この作品は動きで表現できる描写を全部アニメとエフェクトで表現している。だから最後まで中だるみしない。

 実績機能も豊富。実績を達成すると称号が貰えるわけではないが、主人公のステータスが上がったりアイテムが貰えたりする。そして、報酬が入ってる宝箱が空いた状態になる。これが大事。実績を達成したら、眼に見える目印が欲しくなるものである。これに、実績ルームで宝箱が空いた状態で出現し続けるというのは、その部屋の宝箱を全部開けたい、実績をコンプしたいというモチベーションに繋がる。実績を達成することで眼に見えるメリットが発生するのも嬉しい。ただの自己満足ではなく、ゲームプレイでの主人公の強化などと実績機能が連動している。


 シナリオ造形とゲームシステムの仕組みが巧みだ。シナリオは章構成で、一章は三ステージのマップで構成される。各マップ、入る時にシナリオを見るかどうか選択できる。このシステムが地味ながらも秀逸。過去のシナリオを、好きな時に見返すことができる。簡易的なシナリオ回想機能が、自然な形で実装されているのだ。今までありそうでなかった形が、このゲームでは実現されている。

 そして、シナリオ部分は必要な場面では全部アニメが用意されている。だからこそゲーム特有の「不自然な会話文」というのが無い。感情表現はフェイスウィンドウに描き文字でえ~とかぶちっとか書いて保管的に表現され、ゲーム内のアニメでも感情に即した行動が実際に行われる。具体的に言えば、怒ったら殴るし不意打ちされても瞬間移動で反撃したり。敵に煽られても無言で敵の防衛兵器を破壊し尽くして通りすぎたと思ったら、敵が表示されてるモニターを戻ってきてぶっ壊してまた進んだりする。この「無言ながら雄弁な感情表現」が、躍動的なキャラ同士の会話文、感情表現を際立たせている。字で表現する必要が無いことを、アニメで表現しているのだ。

 余談だが、EXステージが各ステージに一つ設置されているが。この仕組みも見事。EXステージは本編に関係無い独立した短編シナリオが展開される。でも、EXにすることでどんなシナリオでも表現、設置が可能になっている。ボーナス要素を入れつつも、自身で制作している中で生まれたネタを没にすることなく、無理なく自然に実装できるのだ。これはこのゲームの中でも、RPGとしてかなり革新的な要素だと思う。このシステムを使えば、どんなシナリオでも製品内に仕様として組み込むことができるのだ。無限の自由度を内包するシステムである。

 ただ、一つだけ不満がある。ステージ選択時点で、ドアを調べると「ステージに入る? はい・いいえ」と「シナリオを見る? 見る、見ない、はいらない」(順不同)という選択肢が発生するのだが。これは最初の入るかどうかの選択肢はいらないと思う。これがあるせいで二回選択肢を選択しないと入れないから煩わしい。さらに、二個目の選択肢は「シナリオを見る」が一番上に来てるせいで、間違えてシナリオを見るを選択するというケースが頻発。これが本当にストレスだった。セーブし忘れてたらリセットもできないし、そもそも直前にセーブしたかどうかも覚えてないからいちいちシナリオを見ないといけない。これが本当にダルい。こういうシステムの場合、「やっぱり入らない」を一番上にすれば連打ミスでステージに入るのを防ぐことができるのだが。次回作以降でこのシステムがある場合、一番上の選択肢に「シナリオを見る」を配置するのは避けてもらえたらと思う。基本的に、一番上に設置する選択肢は複数回選択するであろう選択肢を配置するのが合理的だ。操作ミスで初めてなのにシナリオ飛ばしてステージに入ることを懸念するのであれば、だからこそ一番上に「ステージに入らない」という選択肢を置けば対策できる。遊びやすさを考えて、ここは改善して欲しい部分である。


 シナリオは王道の少年漫画のような展開。商業作品ではジャンプ系漫画で、さらに能力物を想像すれば分かりやすい。俺はA級魔法師だ、B級魔法師だと階級を誇示する発言をキャラクターたちが頻繁に口にする。そんな嫌な奴らを30歳童貞主人公が圧倒的力でぶちのめしていく。主人公こそ30歳の青年だが、やってることは少年漫画の高校生のような立ち振る舞い。精神的に成熟することが無かった30歳童貞ニートもどきが、少年心をそのままに無双する。その姿が滑稽でもあり、プレイヤーの心をくすぐる。少年誌は若者の心をくすぐる物語を掲載するが、このゲームは社会人を経て年を重ねた人々が、読んで笑えるようなシナリオで作られているのだ。

 物語も最初は主人公の個人的な趣味趣向からモチベーションを得て行動しているが、最終的には力をくれた天使の願いを聞いて天使界へ殴り込みをかける。とても自然なジュブナイル、ボーイミーツガールである。この題材でここまで見事に少年誌的な構造を作り切ったこの作品は、間違いなく傑作と言っても過言ではないだろう。このゲームは一言で言えば、30歳童貞と天使が様々な困難を乗り越え結ばれる、ヒロイックファンタジーなのだ。

 エロ要素はある意味でおまけだ。戦闘で負けないと見られないし、見られる戦闘も殆ど無い。ある意味で、普通ゲームオーバーの画面から暗転で済ませられる部分に、リョナエピソードを追加しただけの作りだ。だが、そのエピソードが力作だ。どれもこれもエグイし、吐きそうになったり貧血を起こしそうになる。ゲームの売りとしてサムネイルで強調されているだけあって、見てて楽しいリョナである。だから、このゲームはエロゲーとして制作されたことに意味はある。リョナ要素も無くてはならない、必要不可欠な要素なのだ。私としては、ゲームテンポを阻害しない程度に散りばめられたリョナシーンはけっこう面白かった。今まで見てきたサークルさんの中でも、上位に入るエグさだったし。生爪剥がしと生きたままピラニアの生餌(死ねない)はさすがにグロかったね。ファラリスの雄牛とか。


 クリア後の隠しボスも9体いるし、それらはラスボスの五倍ぐらい強い。やりこみ要素の作りこみもすさまじい。クリアまでも、クリア後までも遊べる良いゲームだ。仲魔召喚は……正直数が多すぎるし、各仲間のステータスも召喚しないと分からないからめんどくささが立って適当にしかやらなかったけど。あと、アイテムを拾った時アイテムの絵が表示されるのだが。全アイテム分の画像が用意されているところにすごさを感じる。地味な部分なのに妥協が無い。どれだけ手間がかかっているのだろうか。仲魔の画像も、アイテムの画像も、戦闘のスキルエフェクトも全部抜けが無く実装されている。汎用素材もあるだろうが、ほとんどは手作りのはずだ。何度でも言うが、作りこみがすさまじい作品である。

 五時間以上遊べる楽しいゲーム。シナリオも良いしやりこみ要素もある。じつにゲームらしいゲームで、とても満足だった。

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