しゅれでぃんがー 2022/07/06 11:15

【文字――エッセイ】ものを言う数字

 先日、こんな記事を書いた。




https://ch.dlsite.com/matome/201043




 手持ちの素材で書けるだけの材料が揃ったのと、燃えやすそうな仕上がりになりそうな気がしたのでPV数でも稼いでポイントもらえたらいいかな、と思って書いただけなので。まあ、これは大したものではないんだけれど。読者から貰うコメント、というので。書きたいなあと温めていたネタがある。今日は、その話をしよう。





 二次創作サイトで作品を投稿していた時。マイナーネタで書いていた私は、いわゆる大手の投稿者たちを内心で羨んでいた。投稿するたびに何千PVも増加し。感想は毎回十件を越え。なんとも景気の良い、賑やかな。活気のある感じ。対する私は、投稿しても数十PV増えたらいい方。感想なんて無いのが普通。何処に違いがあるのだろうか、と、長い事悩んでいた気がする。


 ただ、長く活動を続けていると。反響が多いことが一概に良い事では無いということに気づいてくる。





 例えば、自分の願望を延々書き綴って送ってくる人。前述の記事に書いたタイプの読者だ。こういう手合いは、自分で書けないから人に書かせようとしてくる。そして断わったり無視すると怒り出す。箸にも棒にも掛からない、ただただ害悪な存在だ。


 他には、キャラの対話形式で感想を送ってくる人。オリジナルキャラの場合が多い。書いている本人は気持ちいいのだろうが、送られてる方にとって目の前で寒い自慰を見せびらかされているようなものなので。端的に言って、反応に困る。感想やコメントを送るというより、送った自分に酔いたいタイプの存在だ。


 あとは、絵やAA(アスキーアート)を貼る人。自分で描いた絵ならまあ自由だし良いんだけど。拾った絵を加工してたりするから始末が悪い。それは単純に著作権侵害である。ファンアート描いてる人も同じだろ、と反論してきそうな気がするが。自分で絵も文も描かず、拾った絵をそのまま貼ったり編集ツールで編集するのはまた別の話である。AAも善し悪し。一方的に送り付けられるAAというのは、単純に反応に困る。会話のキャッチボールが成り立たない。これもまた、送る方だけが気持ちよくなるので性質が悪い。個人的には、一番好きじゃない存在だ。が、送る方は一番楽で簡単な送り方である。





 感想やコメントをたくさんもらう人は、同時にこれらの脅威にもさらされる。そして対応を間違えると、そいつらやそれ以外の人間が燃やして事を大事にする。単純に可哀想だし、理不尽。数の暴力で寄ってたかって文字で叩かれるわけだから。それに気づいてから、PVやコメント数が多い人を羨むことが無くなった。


 同時に、新しく気付いたことがある。私が作品を更新すると、毎回300PVほど動いていたのだ。感想は無い。だが、PVは動く。ということは、毎回読みに来る人が何人かはいるということだ。これは、送られない感想よりも、何十倍も私に勇気を与えた。書いたものを毎回読みにきてくれるというのは、すごいこと。


 そして私は、いつしか感想が来ないことに何も感じることが無くなり。更新した後に変動したPV数を見ただけで、自分のモチベーションを温めることができるようになった。私が何年も黙々と文字を書き続けることができるのは、これのおかげ。たとえ誰からも反響が無く、誰も読んでないような感覚に陥っても。PVを見れば、それは杞憂だということが解る。読む人は、いる。何も聞こえず、何も見えなくても。数字の中に、確かに存在するのである。


 長く読んでくれている人は、そのうちいいねも押さなくなる。当然だ。読むことが日常になっていけば、毎回いいねを押すのも面倒になる。ボタン一つ押すだけ。それすらも、わずかばかりでも精神の負担になる。読む人の心が動くラインだって、読んでいくうちに変わっていく。だから、前はいいねを押していたような内容の記事でも、そのうち押さなくなる。だから、いいねを押した履歴も、モチベーションの比率としては。私の中ではとても小さい。嬉しいことは嬉しいけれど。






 姿も見えず、声も聞こえず。けれど、そこには確かにいる。数字の中に、書かれている。

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