しゅれでぃんがー 2023/09/18 04:35

【日記】プロムン騒動の自分なりまとめ

 今までも軽く触れてきたものの、出てきた事実らしき情報があまりにもヘビィだったからからこそ。これは結論を記さねばならないだろう、という半ば義務感に突き動かされて。今回は書く。





 事の発端は、プロジェクトムーン(以下プロムン)の本社にユーザーが作った集団である「ギャラリー」なる者たちが突撃し、会社の前辺りでたむろしたらしい。それを受けてプロムンが色々と声明を出したが、その中にシナリオイラスト担当のイラストレーターの解雇が含まれていた。

 その後、その件が国の監査が入るまでの大事に発展。国がプロムンを捜査したのか、何なのか詳しいことは海の向こうのことゆえ分からないが。国が声明を出して是正を促す事態に発展したらしい。街中では抗議のトラックが走り、プロムンの今回のイラストレーターへの行為を不当解雇だとして抗議したそうだ。

 抗議のトラックについては、韓国ではよくある手段らしい。どういうことかは国が違うから文化が違うので詳しくは理解できない。が、抗議行動として有志でお金出してトラックで抗議するんだとか。


 そこから、プロムンの過去の悪行(にしか見えない)情報が続々と出てくる。翻訳家に無茶なスケジュールを投げたり翻訳料が未払いだとかなんだとか。『リンバスカンパニー』に登場するキャラクターであるヴェルギリウスが主人公の漫画『リヴァイアサン』の漫画を担当したクリエイターさんは、これまた無茶なスケジュールにより体を壊して。それをプロムンに連絡したら、そこで漫画が打ち切りになったとか。そういう話がどんどん出てくる。これにより、プロムンはすっかり「クリエイターを大事にしない企業」というイメージが定着してしまった。





 俺は、この件について独自に調べ。プロムンについてはダメな会社なんだな、という結論を出した。そして、それで俺の中でこの件は終わった。俺にとって創作物とそれを作った存在は別であり。生み出した者たちがどうあれ、作品の価値は不変だから。一言で言えばどうでもいいことだった。いやまあ、プロムンの被害者たちには可哀想だと思うけど。俺にできることは何もないし。それを解決できるのは当事者たちだけだろう。聞きかじりの情報しか持たないユーザーが妙な正義感で苦情メールなんてだそうものならそれこそ話がこじれる可能性が高い。結局のところ、ユーザーにできることは出てきた作品を摂取することだけなのである。

 ただ、世の中そんな風に割り切れない人がほとんどだ。日本のユーザーの中でも意見が割れ、アンチプロムンになってもう二次創作はしないとか界隈から離れるとかいう人もちらほら見かけた。もちろん、残る人たちもいる。でも、残って作品を楽しんでいる人たちは、常にアンチプロムンたちから迫害される危険を背負うことになった。作品を楽しむことと企業を肯定することを、イコールでしか考えられない人がたくさんいるからだ。

 ただただ楽しく二次創作したり作品の感想を語っているだけなのに。プロムンを肯定するのか、みたいな雑なリプライを飛ばして水を差す。それどころか作品を楽しむという行為自体を悪の如く批判する。作品と制作した存在を分けて考えられない人たちは、SNSで悪魔狩りをするのだ。


 調べていた中で、韓国の同人や状況について書いてある記事を見つけた。その記事には、プロムン作品のファンの悲痛な言葉が書かれていた。ギャラリーを名乗る集団がプロムンを襲撃した日から、韓国のプロムンファンたちは二度と戻らぬ現実へ移行した。『ロボトミーコーポレーション』時代からプロムン作品の二次創作をしていたサークルさんたちが次々に二度と作品を作らないことを宣言。紙の本が、ぬいぐるみが、アクセサリー類が。その日を境に、それらを作っていたサークルさんたちが界隈を去った。

 韓国には昔からプロムンとコラボしていた「ハムハムパンパン」というカフェがある。日本のユーザーにも有名な店だ。そこには、プロムン作品のファンたちが二次創作作品を寄付していて、たくさんの同人誌やぬいぐるみ、アクセサリーその他の作品なんかが店内に飾られていたらしい。それらの作品が、次々に二次創作作品の製作者たちが回収に訪れたんだそうだ。たくさんのグッズで彩られていた空間が、どんどん寂しくなっていったそうだ。それを見ている、記事の作者さんの気持ちは想像することすらできない。少なくとも、悲しいという一言で表せないようには感じた。






 俺も、Twitterで流れていた絵で好きな絵があったのだけれど。それを書いた人は過去の絵を全部消してしまっていて。俺がその時発見した絵も、気まぐれにお気に入りの絵を上げ直していたタイミングだっただけらしい。メディア欄を遡っても、それ以外の絵が無い。俺はその絵を見失いたくなかったので、スマフォに保存した。そして次の日、そのツイートを探したが見当たらなかった。いいねを押したのに、いいね欄になかったのである。俺が良いと思った作品を書いた人は、全ての作品を消して。今後新しい作品を書くことはおそらく二度とない。とても悲しかった。

 一か月たち、界隈に戻ってくるファンもいた。作品を上げてくれている。よかった、と思ったが、そのあとすぐこんなツイートをしていた。


「私の作品はプロムンを肯定する者ではありません」


 たぶん、作品と制作した存在を切り離せない人たちに心無い言葉を投げつけられたんだろう。とても可哀想だと思ったし、そういった存在達に憤った。
 





 一番悪いのは、「ギャラリー」を名乗る集団である。こいつらがプロムンを襲撃しなければこんなことにはならなかった。だが、目に見えぬ場所で行われていたプロムンの不祥事は。この機会以外でもどこかのタイミングで表ざたになっていたようには感じる。それがたまたま、今回の件で浮き彫りになっただけなのだろう。

 もう、プロムンは今後ただ頑張るしかない。頑張ってクリーンになっていくしか、信用を取り戻す方法は無い。それについては、頑張って欲しいなあとは思う。


 ただ、プロムンの今後と『リンバスカンパニー』は密接に関係はあるものの。『リンバスカンパニー』を楽しむユーザーにとって、プロムンという存在自体は関係のないものである。一言で言えば、プロムン自体はどうでもいい存在。『リンバスカンパニー』を作った会社、以外の何物でもない。だから本来、作品を楽しむに関してプロムン云々などという話は何一つ考える必要は絶対に無い。作品とそれ以外のすべては別個であり、分けて考えるべきなのだ。

 俺がこの視点を得たのは、大きく分けて二つの切っ掛けがあった。一つは、友だちとの会話。その友だちはゲーム会社のデザイナーをしていたが、彼との話の中でこんな話題があった。彼は、彼の会社の作品を楽しむ人たちについてこんな考えがある、というのを話の流れで話した。





「〇〇ちゃん可愛い、とか言ってるけど。書いたん俺やで」





 まさしく、この一言。これが俺の中に決定的な価値観の変化を与えた。創作物は、その後ろに作った人がいる。どれだけ可愛いキャラの絵でも、描いた人間はおっさんかもしれない。動画配信でヴァーチャルライバーなんかがいるが、それもアバターの裏にはおっさんがいるかもしれないし。声だってボイスチェンジャーかもしれない。

 じゃあ、作品を楽しむユーザーたちは愚かか、というと絶対にそんなことは無い。良いものは良いし、それに対して感動したり心が動いたりすることは尊いことだ。「誰が作ったとしても」、その作品が素晴らしいこと、素晴らしいと感じた自分自身の心自体は決して否定されるべきでないことである。たとえ、それを作った者たちがどんな存在で、何を考えていたとしても。それはもう、作品として完成してユーザーに出された時点で何も関係ないのである。

 俺は、友だちのその、ユーザーをあざ笑うかのような言い方にそういう考えは良くないなあと思ったが。その意見自体は一つの意見だし、何年も会社で仕事としてそれをしていたら、うんざりしてそういう考えにもなるのかもしれないとも思った。




 もう一つの出来事は、俺自身の長年の活動での経験則だ。作品というのは、その作品は好きだけど過去作はあまり合わないとか。次回作以降、作風が徐々に変わっていったりとかが多い。だから、このサークルさんだから、と思い込んでサークル買いするとだいたい失敗する。微妙に趣味が合わなくなってることが多いのだ。

 そんな時、そのサークルさんに感想とか送ってたらかなり気まずい。最新作が発売されても、その最新作自体は趣味に合わなそうだとか買って遊んだけど合わなかったりするとして。そんなときに、発売おめでとうございますとか買いましたとかメッセージ送っちゃったりしたらもう大変。合わなかったですとか面白くなかったですなんてそんなことは絶対言えない。普段からコメントを送っていたサークルさんほど。次回作が合わなかった時の気まずさは比例していく。

 だから、作品とサークルさんを線で考えるのではなく。作品をそれ自体、点として考えるようになった。コメントも極力しないし、するとしても作品のみにフォーカスした内容だけになるよう徹底。あとは応援してます、ぐらい。フォローもあまりせず、見るだけ。作品だけを摂取するようにして、サークルや会社に関して一切触れることをやめた。全ては、気まずくならないようにするため。作品のことだけ見て、考える。





 一番の被害者は誰か。ユーザーだ。だが、それ以上に可哀想な存在がある。それは、『リンバスカンパニー』という作品自体である。作った会社のせいで、作品自体が禁忌のように扱われてしまう。作品が、とても可哀想だ。

 この作品の声優さんたちが自分の動画配信でゲームを触っていた。それももう、できないだろう。ゲームをした時点で「プロムンを肯定するのか」なんていうコメントが飛び交い、荒らされて配信どころではなくなるだろう。声優さんたちの未来が炎上させられてしまう。それどころか、作品に関わってる声優さんたち自体が会社に不信感を持ったかもしれない。変わらずゲームは作り続けられてるから、役を降りたりはしてないみたいだけれど。演者さんたちの心中はいかに。

 作品を楽しむユーザーたちも、絵を描いたり楽しんでいるツイートをしていたらコメントで水を差される。プロムンを肯定するのか。プロムンについてどう思ってますか。そんなコメントが、絵が上手ければ上手いほど飛んでくるだろう。最悪である。とても可哀想。






 俺は、変わらず作品を楽しむ。ゲーム自体は、過去作の『ライブラリーオブルイナ』の時から思ってたけど、正直ゲーム性はめんどいだけだから物語が読みたいだけのユーザーにとってはおもんないしダルいな、って思ってるけど。物語は面白い。楽しく二次創作してる人たちも、プロムンのことは置いといて。作品が好きだから創作しているはずである。そこに、会社がどうのという要素は欠片も介在する余地は無い。

 好きなものを好きということは、本来誰にも阻まれるべきことではない。だが、現実としてこの先ずっとプロムン作品を楽しむユーザーは会社への不信感と心無いコメントにおびやかされ続ける。その現実は、現状どうにもならないし解決策も無い。今もまだ楽しく創作している人々も、もしかしたら今後心無いコメントに疲れて去っていくかもしれない。




 なんというか。なんとも言えん。ただただ悲しい出来事だった。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索