仁王ツィクルス4:長壁姫

黄金の城、大坂城。
ごく一部の者しか知らないことだが、この城にはあやかしが取り憑いていた。
いや、城そのものがあやかしだと言うべきだろう。
長壁姫――亡き太閤により、姫路から連れて来られた女あやかし。
彼女は大坂城に取り憑き、すっかりその身を城と同化させていた。
そして来たるべき決戦で城を守るのと引き替えに、日々の生贄を要求していたのである。
長壁姫が特に好んだのは、若く見目の良い男だった――



「ぐっ……ここまでか……」
大坂城の天守を一望できる屋根の上で、若き侍の辰次郎は片膝をつく。
文字通り刀は折れ、矢も尽き――もはや完全に勝機はなかった。
その周囲には、人間が両手を広げたよりも太い触手が何本もうねっている。
先端に巨大な目の備わったものもあれば、口が備わったものもあった。
その口など、大の大人さえ容易く丸呑みに出来るほどだ。
そして天守の中央には、巨大な赤い目が見開かれている――
あれこそ、このあやかしの本体かもしれない。
「なんと異様なるあやかしよ……」
この城に潜むあやかしを打倒せよ、との依頼を受けたのだが――
まさか、城自体があやかしとは思いもしなかった。
このような規格外の人外、たった一人で討伐できるはずもない。
これは、最初から勝てない勝負だったのだ――

「ふふ……良き男ぶりであったぞ。
 お主のようなもののふこそ、味わい甲斐があるというもの……」
長壁姫は、そう辰次郎に語りかける。
脳内にじんわり染み渡るような、艶めかしくもおぞましい声だ。
「味わう……だと?」
「……まだ気付いておらぬか?
 お主は、わらわに捧げられた生贄なのだ……」
「まさか……そういうことか……」
最初から、この依頼自体が罠だった。
依頼者は長壁姫の退治ではなく、若い武士を生贄に捧げる意図だったのだ。
自分は、まんまと嵌められてしまった――
「ぐっ……畜生……!」
「ふふ、そう落ち込むでない。たぁんと悦ばせながら、逝かせてやろう……」
もはや抗う気力もない辰次郎に、大きな口を開けた触手が迫り――
「う……あぁぁっ!!」
彼の腰から下が、触手の大口に咥え込まれてしまった。
「怯えるでない、もう痛い事はせぬ……」
「やめろ……あ、うぅぅ……」
腰元を覆う装備が、触手の口内で引き剥がされる。
その歯が巧みに鎧を砕き、舌で着衣が剥ぎ取られ――
大口の中で、彼の下半身が素肌を晒されてしまったのだ。
「まずはその身、たっぷりと味わわせよ……」
そして、丸裸にされた下半身にねろねろと巨大な舌が絡み付いてきた。
唾液にまみれながら、ねろねろ、べろべろと――
彼の体を丹念に味わうかのように、下半身全体へとまとわりついてくる。
その舌の艶めかしいうねりは、彼に異様な快感をもたらした。
「はぅ……あ、うぅぅっ……!」
「ふふ、わらわの舌技をたっぷりと味わうが良い……
 お主の体も美味よのう……ふふ、ふふふ……」
べろべろと下半身を舐め回されながら、辰次郎は悶えた。
舌は腰や足、太股に這い――ついには股間へと割って入る。
情けなくも、彼の分身はすでに勃起していた。
素肌をべろべろと舐め回される快感で、男の器官が反応してしまったのだ。
舌先が肉棒の先端に触れ、長壁姫は笑い声を漏らした。
「ふふふ、もうこんなに大きくしおるとは……元気の良いことよ」
「くっ、ふざけるな……」
「恥ずかしがらずともよい……ここも、丹念にねぶってやろうぞ」
ついに、長壁姫の舌が男のモノへと襲いかかる。
唾液を滴らせながら、根元から亀頭までべっとりと舐め上げ――
そのまま、ねろねろと何度も往復してきた。
「う……あぁぁっ!!」
「ふふ……どれほど猛き男でも、モノを舐めれば弱々しくなりおる。
 その喘ぎ声、もっともっとわらわに聞かせておくれ……」
「はぅ……う、あぁぁっ……!」
べろべろと、執拗かつ丹念に股間へと這い回る舌。
彼の分身はたちまち濃厚な唾液にまみれ、べっとりと滴るほどに濡らされる。
舌は肉棒を舐め上げたかと思えば、しゅるりと巻き上げるように包み――
そのまま、じゅるじゅるとしゃぶりたてられた。
「う、あぁぁ……」
その気持ち良さに、辰次郎はみるみる追い込まれていく。
じゅるじゅる絡み付く快感に、ぶるっと腰を震わせ――
「で、出る……あぅぅぅっ……!」
巨大な舌にまとわりつかれながら、彼は絶頂していた。
肉茎からびゅるびゅると精液が吐き出され、長壁姫の舌に降りかかる。
「ふふ……美味き子種の味わいよ。
 男の茎をねぶりつくした末に漏れ出る種の味はたまらぬな……」
長壁姫は、満足そうにくすくすと笑い――
精液を放出している最中の肉棒へと、さらに舌を這い回らせた。
「あ……はぅ、うぅっ……!」
吐精中に行われる、ねちっこい舌責め。
その快感に、辰次郎は身をよじって悶える。
「もっと……もっと、わらわに味わわせておくれ……
 その身を食らう前に、お主の味を……」
「やめろ……はう、あぅぅっ……!」
触手口が、辰次郎の体をさらに深く啜り込んできた。
たちまち肩口まで咥え込まれ、首から下が長壁姫の触手口に包まれる。
そして、とうとう全身が舌責めにさらされた。
長壁姫の口内で彼の体は丸裸に剥かれ、その隅々にまで舌が這い回るのだ。
足から太股、腹から胸、腕や脇の下まで――
「あぅ……はぅ、あ……あぁぁっ……!」
「若き男の汗にまみれた体、実に美味いのう……」
その身は、飴玉のようにべろべろと舐め回される。
さらに触手の内壁がじゅぶじゅぶとうねり、辰次郎の全身を揉みしだいた。
まるで、口内で彼の体をしゃぶり尽くすかのような動き。
舌はにゅるにゅると全身に這い、口内粘膜にねぶり尽くされ――
「あぅぅぅっ……!!」
そのまま、あえなく射精していた。
股間にまとわりつく舌に、どっぷりと精液を放ってしまう――
「ふふ、また子種を漏らしたか。
 わらわのおしゃぶり、気持ち良かろう……?」
「うぅぅ……」
「どうした? 満足するには、まだ早いぞ……」
辰次郎の体が、触手の口から吐き出され――
屋根の上に、ぐったりと転がされた。
その体は、上から下まで温かな唾液にまみれている。
まるで、涎の海を泳がされたかのようだ――
「あぅぅ……あ、あぁぁ……」
甘い唾液の芳香と粘つきに包まれながら、辰次郎は横たわったまま。
触手口でしゃぶりたてられ、すっかり脱力してしまったのだ。

「も、もう……やめてくれ……」
「くく、止めはせぬぞ……
 味がしなくなるまで、ねぶり尽くすまではのう……」
横たわる辰次郎の周囲を、複数の触手が取り巻く。
それらは一斉に口を開け、べろりと舌を伸ばし――
「うぁ……はぅぅぅぅ……!」
五枚以上もの巨大な舌が、倒れた辰次郎に群れ寄った。
そのまま、彼の全身へとべろべろに這い回ってくる。
「あ……あぅぅ……あぁぁぁっ……!!」
体中くまなく舐め尽くされ、辰次郎は転がりながら悶絶した。
しかし長壁姫の舌は彼を逃がさず、延々と這い回ってくる。
特に集中攻撃を受けたのが、股間だった。
膨らんだ肉棒が複数の舌に狙われ、寄ってたかって舐め回される――
「あひ……あ、うぁぁぁぁっ!!」
さっきまでは、触手口で全身をねっとりとしゃぶられ――
そして今度は、無数の舌が体中を這い回る地獄の舐め回し。
辰次郎は身をよじって悶え狂いながら、容赦なく追い詰められ――
「はぅぅぅぅっ……!!」
股間をべろべろと舐め回す舌に向かって、精液をびゅるびゅると撒き散らした。
すると全ての舌が股間に殺到し、念入りにじゅるじゅると舐め尽くされる――
「ひぁ……あぁぁぁぁ~~!!」
射精しながら身を反らせ、悶絶する辰次郎。
彼の股間は容赦なくねぶり尽くされ、子種はもちろん亀頭まで味わわれる。
射精を終えた頃には、彼はすっかり脱力しきっていた――

「あ……あぅぅぅ……」
「舐めた後は、しゃぶってやらねばのう……
 肉を食らう前に、子種を空っぽにしてやろうぞ……」
「や、やめ――あぁぁっ!!」
再び触手の大口が迫り、辰次郎の体を咥え込む。
先ほどと同じように、肩まで触手口の中に包まれ――
「うぁ……あ、ひぁぁぁっ!!」
またもや、全身をしゃぶられる快楽地獄が始まった。
唾液にまみれた口内粘膜が、じゅぶじゅぶとうねり――
ちゅばちゅばと、吸い付くように全身を嫐りたてる。
舌がねっとりと体に絡み、辰次郎は声を上げて悶え――
「うぐ、はぅぅっ……!!」
あえなく、精を搾り出されてしまう。
そして、ひとしきり子種を啜られると――
またも口から吐き出され、地面に転がされた。
弛緩した体が、無数の舌の餌食にされてしまう――
「舐めて、しゃぶって……舐めて、しゃぶって……
 ふふふっ、極楽であろう……?」
「あ……あぐ、うぅぅっ……!!」
こうして辰次郎は、延々とその体をねぶり尽くされた。
触手口に咥え込まれては、口内で全身をしゃぶりたてられ――
外に吐き出されては、無数の舌に体中くまなく舐め尽くされ――
「うぐ……う、うぅ……」
それを繰り返されているうちに、辰次郎は精も根も尽き果ててしまった。
全身は唾液でふやけるほどにドロドロで、何度射精したかも分からない――

「ぅ……ぁ……」
辰次郎は横たわったまま、びくびくと体を痙攣させていた。
もはやその目も虚ろで、唾液にまみれながら衰弱しきっている。
「ふふ、すっかり子種も吸い尽くしたな。
 お主の精、全て妾が味わってやったぞ……」
「ぅ……ぅぅ……」
「次に味わわれるのは、お主そのもの……
 さあ、丸呑みにしてくれよう……」
「そ、そんな――」
脱力した辰次郎に、触手口が迫る。
そして、彼の体を一気に口内へと咥え込んでしまった。
だが今度は、これまでの全身しゃぶりとは違う――
じゅぶじゅぶと、辰次郎の体を一気に丸呑みにしてきたのだ。
「たすけ……あぅぅっ!」
「ふふ……苦しみ悶える男を丸呑みにする悦楽……
 たまらぬのう、ふふふっ……」
口内でもがく辰次郎を巨大な舌が巻き上げ、押さえつける。
そのまま内壁がじゅるじゅると蠕動し、奥へ奥へと彼の体を誘った。
こうして辰次郎は、食道の中をくぐり抜け――
「う……うぅぅっ……」
甘く粘った消化液が充満した肉袋――胃袋の中へと送られたのだった。
「ふふふっ……お主はここで、どろどろにとろけるのだ。
 心地良く溶かしてくれよう、ふふふふっ……」
「あぁぁぁ……」
消化液の中に、辰次郎の体は沈んでいく。
その甘い香りは、脳髄を犯し尽くすかのようだ。
たちまち辰次郎は恍惚に酔いしれ、長壁姫の消化に身を委ねた。
「ぁ……ぁ……」
その肉体が消化液にまみれ、どろどろと溶かされていき――
辰次郎は射精しながら、その悦びに溺れ――
「…………」
あっという間に、彼の体はとろけてしまった。
消化液の中で肉も骨も溶かされ、長壁姫の養分となったのである――



「ふふ……若い男を貪るのは最高の娯楽よ……
 そろそろ消化され、わらわの養分になったかのう……」
辰次郎を捕食した長壁姫は、満足げに笑う。
男を食らって養分にすると共に、深い愉悦を抱く――
あやかしの城はこうして、何百人もの男を犠牲にしたのだった。
来たるべき決戦の日――
慶長20年5月8日、大坂城が炎に包まれるその日まで。

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