●広翼の孔雀51●

停電中の人!もう少しの我慢だ!

けっぱれーーーーーーーーー!!!!


鬼灯が意識を取り戻した。しかし、目を開けても暗闇が続いていたためいささか困惑したが、目隠しをされているのだと理解して安堵した。
そして起き上がろうとすると、ガシャン、と鎖の音が鳴り響き、両手両足自由が制限されていることに気づく。
そしてほかの体の部位に意識を向けてみると、首にも何かが巻かれており、それが鎖でつながれている。
起き上がれない背中には、柔らかいマットレスの感覚。おそらくベッドの上に転がされているのだろう。
気を失わされた時、入浴中で裸だったが、身体には布が擦れる感触・・・おそらく、入浴直前に脱いだ黒い着流しだと思われるものを着させられている。
だが着衣はそれだけで、下着などは履かされず、着流しの中は裸のままだった。
腰に帯を巻いてきっちり着物を着せられているらしいので、羞恥心はないが、それでも落ち着かない。
そして頭の中に、また声が響いてこの空間にいるのは自分一人ではないと気づいた。



『まだ起きねえかなあ、起きたらぐっちょぐちょに犯してやるのに・・・』
『着物着せてよかったー。目隠ししても、鬼灯様ってわかるもんな。ふふふ、この姿で犯しちまったら、普通に歩いている姿を想像しただけでちょっとヤバくなっちまうかも・・・』
『鬼灯様、マジで淫乱になっちゃったのかな?でも昼間っからオナってたしなあ』
『フェラしてくれるかな?したら拘束解くって嘘ついたらやってくるかな?』



飛び込んできた生々しい欲望の声たちに、鬼灯は嫌悪感を感じて激しく首を左右に振る。この忌々しい思考を生んでいる者たちを叩きのめしてやりたい。



「あ、お目覚めですか?鬼灯様・・・」



その途端、周囲に数人が近寄ってくる気配を感じ取る。



「あなたたち、一体何なんですか?私をどうしようと・・・」



そこまで言って鬼灯は愚問だと口を閉じた。先ほどからのかれらの思考から鑑みれば、されることは一つだけだ。痛みなどの危害は加えないだろうが、彼らがどう出るのか、油断はできない。



「いえいえ、鬼灯様、いつでもガンボリOKらしいじゃないですか。ネットでえらい騒いでいましたけど、そんな訳ないって思いたかったですけれどねえ。話を聞きゃ、マジっていう・・・」



「鬼灯様、普段はあんなに真面目で厳しいのに、身体は実はエロかったんですね」



好色な声にまみれただらしない響きの声を聴き、鬼灯は反吐が出そうな思いで反論した。



「あんな嘘の情報をしんじたんですか?全く、流言飛語には気をつけろといつも言っているでしょう。そんな嘘信じてないで、早く拘束を解いてください」



すると、彼らのひそひそと囁き合う声が聞こえてくる。
どうやら鬼灯の拘束のことで話をしているらしいが、よく聞こえない。そして、一人が笑い交じりに言う。



「鬼灯様、鬼の怪力もなくなったっていうのも本当なんですね。それぐらいの拘束なら、小鬼でも引きちぎれますよ?」



(まずい・・・それは誰に聞いた・・・?)



おそらく昨日鬼灯を襲った数人の中の一人からだろう。ということはこいつらは鬼灯を犯した本人と接触し、実際の情報を手に入れたことになる。
自分が今、快楽にひどく弱く、鬼神の力を失っていることを。



「っ・・・・・!」



誰かの手が着物の裾から手を差し入れ、太ももに這わせてきた。
たったそれだけで鬼灯の肌が快楽で泡立ち、体中の性感帯がもっと触れと騒ぎ立て始める。



「すげえいい肌触り・・・モチモチですね、鬼灯様のお肌・・・」



「さ、触らないでください、気持ちが悪いです」



官能のため息を吐きそうになるのをこらえ、鬼灯は冷たい声で言い放つ。しかし鬼灯の大腿を撫でる手は止まらず、足の付け根まで迫ってくる。



「それ以上は許しません!」



気合の入った迫力ある鬼灯の声に、肌を撫でる手がビクつき、そのまま情けなく引き下がる。



(ふん、根性のないやつら・・・)



鬼灯が拘束されていると知っていながら、たった一回の怒鳴り声で身を引いてしまうとは、弱腰にもほどがある。
しかし、鬼灯の頭の上から野太い声が響き渡った。



「ビビってんじゃねえよ。鬼灯様は本当に抵抗できねえんだ。昨日も体をちょっと撫でただけでアンアン言ってたからな」



その声には聞き覚えがあった。
昨日浴場で媚薬を使って鬼灯を輪○した六人の中の一人の声だった。
夕べと今朝の屈辱を思うと、鬼灯のはらわたに煮えくり返るほどの怒りがこみあげてくる。



「あなた、顔を覚えていますよ。すぐに解雇通知を発行しますから、少々お待ちください・・・私をいますぐ解放すれば、考えないこともありませんが」



鬼灯には当然考えるつもりはない。しかし頭上の声はひるむことなく鼻で笑い、鬼灯の首を片手で強く締め始めた。



「ぐっ・・・!」



力加減のされた締め付けで、肺に酸素を送るのには問題はないが、息苦しさはあった。



「ふん。全く、こんな状況なのに随分お高くとまっていられますね・・・。では逆に、ここで解放すれば俺たちを昇格してくれますか?」



狡猾な相手の言葉に苛立ちながら、鬼灯は目隠しの下で獄卒を睨む。



「ゲスどもめ・・・」



吐き捨てるように言う鬼灯の声には怨嗟の念が渦巻き、これを仕事中に聞けばどんな獄卒も当惑して怒りの矛先が自分に向かないように必死に取り繕うだろう。
しかし、今の相手は完全に鬼灯を舐め切り、今からさらに凌○の限りを尽くそうとする気のようだ。



「かまわねえから身体に触れ。何言われても、こっちが完全に優勢なんだ。目隠しもしてるし、見た通り、鬼神の怪力も出ないだろ?それでもビビッてんなら、声を出さずに触れよ」



「マジか・・・目隠ししてるけど、本物の鬼灯様だよな・・・」



「ああ、本物だぜ。目隠しする前に確認しただろ?それに、本当に淫乱になっちまったんだ。俺たちが部屋に侵入したときも、こいつオナってたじゃねえか・・・」



頭上でクスクスと笑い声が聞こえ、鬼灯はカアっと首から上が熱くなるのを感じた。それは怒りもあったが、羞恥もあった。まさに自慰をしている最中に押し込まれ、そのまま気絶させられてこんなところに連れ込まれたのだ。
それにしても、ここは一体どこなのか見当もつかない。
埃臭い部屋の臭いだけしか感じられず、声の反響からして、空間は広いらしかった。



しかしそんなことを鑑みている場合ではない。その獄卒の言葉の後、数本の腕が鬼灯の身体にとりつきはじめたのだ。


この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

最新の記事

記事のタグから探す

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索