●広翼の孔雀52●
獄卒に絞められていた首を離されたかと思うと、指で耳朶を擦られる。それだけで首元にしっとりとした汗が浮かび、鬼灯の首の後ろがゾクゾクと反応してしまう。
「鬼灯様、綺麗な足だなあ・・・男なのに、毛が薄くて、女みてえ・・・」
そう言って汗ばんだ掌が、鬼灯の美脚を撫でまわす。
着物の衿を割って胸板に手を這わせ、突起に触れられた瞬間、鬼灯の身体が小さく跳ね上がったのを見て、獄卒たちにも驚愕の雰囲気が漂った。
「ここが感じるんですか?鬼灯様・・・」
鬼灯の弱点にたどり着いた獄卒が、下卑た笑いを浮かべてゆるゆると突起を撫でまわす。
それだけで連続して息が詰まるほどの快感が訪れ、鬼灯は声を押さえるのに精いっぱいだった。
「すげえスベスベの肌・・・。俺たちと同じもの食ってるのに、なんでこんなに綺麗なんですか?」
「やっぱりTVとか出るから、日頃からケアしてるんですかね?」
「いやあ、いい触り心地だ・・・」
数本の腕が鬼灯の体中を粘質に撫でまわし、その肌触りを愉しんでゆく。
淫猥な思考を自分に向けられて発情するより、直接触られることの、なんと感じることか。
鬼灯は感じていることを気取られないように必死で静かに呼吸をし、身体の反応を極力抑え続けるが、それにも限界があった。
さわさわと触れてくる汗ばんだ獄卒たちの手が、快楽に対して鋭敏になっている肌の上を通るだけで首筋や背筋にゾクゾクと快感がこみあげてくる。
耳を指で巧みに擦られて、じわじわとこみあげる快感に首筋をのけぞらせる。そこで無防備になった首を撫でまわされ、快感の逃げ場を消されてしまう。
「くっ・・・うぅ・・・!」
大腿を触る手が敏感な内腿に及んだ時、思わず悲鳴を上げそうになったが、何とか堪える。
しかし身体の反応は素直で、鬼灯の白い肌は興奮で桜色に染まり始め、小さな紅い唇から零れる吐息の速さもどんどん上がってゆく。
「んうっ・・・!」
身体がすっかり興奮状態になり切った時に獄卒が胸の突起を軽く突き、それだけで快感が脳天に直結するほどの衝撃が訪れる。
「乳首感じやすいんですね・・・すげえエロい・・・」
すると着流しの襟を左右に大きく広げられ、もう一本手が増え、触れられていない片方の突起にも狙いを定められた。
「んぐっ・・・!んん、んんんっ!」
左右両方の快感を一斉に与えられ、鬼灯はとうとう快楽の声を上げてしまう。
これまで彼らの淫靡な思考で発情させられ、元から快楽を受け入れやすい状態になっているのだ。最も感じる性感帯の一部を責められて、平静でいられるはずがない。
「ううっ!くぅうっ!あぁっ!はぁ、あぁぁあ・・・っ!」
鬼灯の口から漏れる嬌声は止められなくなっていた。胸の突起の一際敏感な部分を二本の手で集中責めされ、撫で、擦り、摘まみ上げ、絞るように捩じったりする。大腿の刺激などとは比べ物にならないほどの快感が一気に押し寄せ、甘い刺激に鬼灯の肌が淫靡にしっとりと汗ばんでゆく。
「すげ・・・胸ちょっと触っただけで、この反応かよ・・・」
「乳首が極端に感じやすいのか?それとも、身体全体こんなカンジなのかな?」
『おおおすげえ!あの鬼灯様が、俺の指で悶えている!信じられねえ・・・』
『案外色っぽい声出すなあ、もっと感じさせてやったら、もっと激しく乱れるのかな?』
獄卒たちの卑猥な思考が鬼灯の身体をさらに燃え上がらせ、胸の快感を底上げしてゆく。
(やめろやめろ・・・何も考えるんじゃない、私に妙な思考を送り込むな・・・!)
しかし鬼灯が願ってもそれが獄卒たちに通じるわけはない。
両胸を別の手でまさぐられ、突起を集中的に刺激され、どんどん絶頂への快楽が蓄積してゆく。
甘い官能の炎が鬼灯の上半身に集中し、雪のように白い鬼灯の肌が、桜色に染まり始める。
「ちょっと弄っただけでこんなに感じるなんて、ホントに敏感なんですね・・・。可愛いなあ・・・。」
可愛い、と言われて鬼灯の心に怒りの炎が一瞬点火するが、すぐに胸の突起を摘まみ上げられ、強烈な快感でそれは喘ぎ声に変わってしまう。
「うぅっ・・・あぁ、ああっ!くそっ!や、やめろっ・・・!」
どんどん危険な絶頂が迫り、鬼灯はなんとか獄卒たちの指の動きを止めようと必死になるが、快楽に侵食された頭では有効な打開策が浮かぶはずもなく、どんどん無理矢理絶頂へと昇りつめさせられる。
左の突起を激しく上下に擦られ続け、急激にその瞬間が訪れる。快感に鬼灯の背中が反り返り、鬼灯は盛大に達悦の声を上げた。
「あぁぁぁああーーーーー!」
自分でも浅ましいと思っていながら、声を押さえるのが止められない。昨日よりも感じやすくなっている身体に、鬼灯は流されるまま愉悦に覆い尽くされた。
「おおすげえ、胸イキ・・・?俺初めて見るわ」
「本当に胸でイケるんだな。どんだけエロい身体してるんだよ、鬼灯様」
「あの鬼灯様がな・・・」
日頃の冷徹で凛とした雰囲気と対振る舞いからは想像もできない代わりように、獄卒たちは生唾を飲んだ。
そして、獄卒たちの欲情がさらに鬼灯の身体の感度を上げてゆく。