●広翼の孔雀54●
しかし意に沿わない男たちに体を弄ばれて、あられもない喘ぎ声をあげている鬼灯は、誰が見ても愉しんでいるとしか思えない。
そんな鬼灯の様子に、獄卒たちはさらに興奮を高め、鬼灯の身体を撫でまわし続けた。
「はっ・・・くぅぅ・・・っ!あぁっぁあああ!」
ぬりゅぬりゅと胸の突起をこね回されて、弾ける快感が止まらない。
体中が快感に支配されて、今の鬼灯にはこの状況から脱出するすべに頭を回らせるなど、不可能に近かった。
「やっぱり、ここが一番感じますよね?」
そう言って鬼灯の広げられた両足の間に獄卒が手を伸ばし、ローションまみれになった鬼灯自身を責めにかかる。
「んうっ・・・うっぅうっ・・・!」
さきほど触れられた時よりも強く握られ、下半身の快感が底上げされる。
「はあ、はあ、はあ、はあっ・・・」
握られただけでも息を激しく乱すほどの快感だというのに、これ以上何かをされれば、鬼灯は完全に快楽に意識を乗っ取られてしまうかもしれない。
ローションのぬめる音を立てながら、ゆっくりと自身を上下に擦られる。
「あぁっ・・・あっ・・・あっ・・・!」
ゾクゾクと腰の奥から背筋を通って、頭のてっぺんから髪の先まで快楽が走破する。
快楽の許容量を超えたほどの凄まじい快感に、鬼灯はまともに喘ぎ声をあげることもできず、ただ艶にまみれた呻き声をあげるだけだった。
鬼灯の拘束された両足を二人の獄卒が持ち上げ、羞恥の態勢をとらされる。
ほぼM字と言ってよい屈辱的な体位だが、今の鬼灯には快感に精いっぱいで、羞恥どころではない。
「おお・・・ちょっと擦っただけでこの反応・・・よっぽど気持ちいいんだろうな・・・」
「本当に淫乱ですね、鬼灯様」
鮮烈な下半身の快感にさらされている鬼灯だが、上半身の責めも引き続き行われている。
上と下で同時に快楽をつめられて、鬼灯の身体は膨らみ切った風船のように、快感でパンパンの状態だった。
しかし、そこで鬼灯の身体を責めていたすべての手が、タイミングを合わせたように離された。後に残ったのは、淫楽の坩堝に落とされ、体中を震わせる傾国の美男だけだ。
「鬼灯様、今お付き合いしている相手とかいらっしゃるんですか?」
快楽で半分頭が働かない鬼灯だったが、突然止められた愛撫と、急にはじまった質問に、焦らし責めをする気だと悟った。
「して・・・いません・・・」
快楽をねだるわけでないが、深入りしない程度の情報なら与えても差し支えないだろう。そう判断して、鬼灯は彼らの質問に答えた。
「じゃあ、セフレは?」
「・・・・・・いません・・・」
いる、とは言えない。言えば、どこの誰かのかとしつこく追及されるのは目に見えているからだ。
「あれ?一瞬反応が遅かったですね?考えました?ということは、セフレいるんですね?」
挑発的な獄卒の言葉に、すぐに即答しなかった自らの愚かさに歯噛みする。これでは、答えても答えなくても結果は同じではないか。
「そのセフレは男ですか?女ですか?」
鬼灯は答えに逡巡した。
今のところ、セフレと呼べる人物は二人いる。一人は鬼灯を鬼神とならしめた、太古の昔から閨を共にする毘那夜迦(びなやか)王。もう一人は、桃源郷の薬屋の主だ。
普通の関係からして、薬屋の主人がセフレの対象だが、鬼灯はそれを言う気はない。
「セフレなどいないと言ってるでしょう・・・」
自分では語気を強めたつもりだったが、実際は吐息交じりの艶にまみれた声でしかなかった。
「おかしいなあ・・・こんなエロい身体して、毎晩一人でなぐさめられているんですか?噂では、言い寄った獄卒たちに次々と抱かれているとか・・・」
「・・・・・っ!」
確かに自分に懸想している獄卒には、ごくまれに身体を預けることがある。しかし、まさか彼らが鬼灯との秘め事を外部に漏らすなど、不義理にもほどがある。裏切られた鬼灯は、再び怒りで首を熱くさせた。
「そんなのはただの噂です。私は、誰にも身体を預けてなどいません」
「へええ?昨日あんなに乱れてたのに?全員に輪○されて、盛大に喘いでましたよね?」
「くっ・・・ゲスめ・・・」
しかし再び自身に手を駆けられ、快楽で何も考えられなくなってしまう。
上下に扱かれるたびにキンキンと鋭い快感が下半身で生じ、それがとんでもなく気持ちよく、鬼灯は無意識に腰を突き出してさらに刺激を強請る仕草を取ってしまっていた。
「んんっ!んぐっ!はぁっぁあああ!やめろっ・・・!くぅぅ・・・っ!」
鬼灯自身の先端からローションを流し落としそうなほどの先走りの淫液が流れ、鬼灯を責める獄卒を悦ばせる。
「ふふ、鬼灯様、もうイキそうですか・・・?こんなにエロい汁を流して、ほんと淫乱にできてるなあ・・・」
(い、淫乱などっ・・・!)
しかし、そんな鬼灯に周囲の獄卒たちの声が追い打ちをかける。