母の浮気/89
良太は、しばらくの間、夢中を漂っていた。体が浮いているような感覚で、思考力も無い。安らかな気持ちである。他に何も要らないような満たされた心持ちだった。
どのくらいそうしていたのか分からないが、気がつくと、母の惚けたような顔があった。その目はいまだ焦点を得ておらず、口元はだらしなく開いている。視線をめぐらすと、豊満な乳房のトップはピンと勃起していた。
「母さん……」
声をかけても反応が無く、その瞳が虚空を見つめるばかりであるので、少し怖い気持ちにさえなった良太だったが、何度か呼びかけているうちに、目が焦点を得たので、ホッとした。
「大丈夫、母さん?」
すると、良太は、母の腕に抱き締められるのを感じた。
「ど、どうしたの?」
「イッちゃったわ、お母さん……ああ、気持ちよかった」
母は屈託の無い声で言った。
良太は、母の口から、はっきりと絶頂に達したことを聞いて、嬉しくなった。いつか、女を、母を、イカせたいとふわふわと思っていたことが、唐突に現実になったのである。ちょっと信じられない気持ちだが、母がウソをついているとも思われないので、信じさせてもらうことにした。
「久しぶりに、本当に気持ちよかったぁ……」
母はもう一度続けた。
「久しぶり」ということは、この頃は、浮気をしていないのか。あるいは、していたとしても満足できる行為ではなかったのか。父とはどうなのだろうか。そんなことをいろいろと考えたけれど、せっかくのいい気分なので、今問い詰めるようなことをして台無しにしたくなくて、良太は黙っていた。
「はあ……じゃあ、出ましょうか。まさか、お風呂場でシちゃうなんて、思いもしなかったわ」
そう言って、母は息子を腕から解放すると、にっこりと笑みを浮かべた。これまで、一度もしたことがないような言いようだったけれど、久司としっかりしているのを知っているし、それが最初というわけでもないだろうから、きっと他の男ともしているのだろう。
こういうところが、母のズルいところというか、あるいは、女がズルいと言うべきか分からないが、こちらに関しても、良太は追及はしなかった。するとしても、今では無い。
良太は、母から身を離した。ずるりとした肉棒が、愛液と精液にまみれて姿を現わすと、むわっとした精臭が漂った。母の膣口から、どろりとした白濁液が滲み出しており、確かに今彼女のナカに出したのだということが視覚的にも分かって、良太は、興奮した。しかし、さすがに五回出したので、興奮と共に勃起はしなかった。ただし、もう少し時間があればまた勃起しそうではある。
「……じゃあ、今度はもうお互いにいたずらしないで、シャワーを浴びましょう」
マットの上に身を起こした母が言った。
良太は、素直にそれに従った。