一瞬後、全く唐突に、良太は、ダムが決壊したかのような奔流を、肉棒の底に感じて、
――おおおっ!
内心の叫び声とともに、射精を得た。
びゅるびゅるびゅるっ、と量こそ少ないものの、快感の大きさはこれまでと遜色なく、良太は、しばらくの間、身動きが取れなかった。
一方、母は、息子に倍する快感だったようで、良太が回復したあとも、さらにしばらくの間、虚ろな目を天井に向けて、息を喘がせていた。
良太は、ずるりと肉棒を抜いて、母の隣に横たわった。それから、さらにしばらくの間、彼女の横で同じように天井を見ていると、
「良太ぁ……」
隣から、母が抱き付いてくるのを感じた。
良太は、彼女を腕枕してやると、
「すごかったあ……今までで一番、気持ちよかったわぁ……良太は、これから、いっぱい女の人を泣かせるわねぇ……」
母が、初め感動したような声を、さみしげなものに変えながら言った。
「誰とシても、母さ……あやかとするのが、一番気持ちいいと思う」
「ふふっ、そんなこと分かるの?」
「分かるよ」
「良太がそう言うなら、そうかもしれないわね」
そう言って、母は、さらにしっかりと抱き付いて、足を絡めるようにしてきた。
良太は、今言った言葉通りのことを、実際に感じていた。これから、あるいは、それなりの女性とするかもしれないけれど、母以上の女性はいないような気がする。ここ一両日で、彼女としたこと以上の経験ができるだろうかと考えると、仮にそれができるとしたら、当の母と以外はありえないのではないか。そんな気になった良太は、体を動かして、母に覆い被さるようにした。そうして、しっかりと母の目を見ると、
「愛しているよ、あやか」
と言って、彼女の答えを待つ前に、その唇にキスを落とした。母は目をつぶって、キスを受けた。良太は、よっぽど舌を入れたかったが、そうしてしまえば、もう一度シたくなって、キリがないことになってしまう。母と付き合い続けるということは、けじめをつけるということに他ならないのだということが良太には分かっていた。それは、彼女の方も同じ思いなのだろう、キスを受けるだけで、リアクションがない。
良太は、唇を離した。
すると、母も目を開いた。
「わたしも愛してるわ、良太。今日は、人生で二番目にいい日よ」
「一番は?」
「あなたが生まれたとき」
そう言って微笑む母から、良太は、体を離した。
「帰ろう、あやか」
「はい」
良太は、彼女の手を取って、ベッドから起き上がらせた。
それから、15分ほどして、二人はラブホテルを出た。
空は、綺麗に澄み渡っている。
車に乗り込むと、良太は、
「安全運転で頼むね、母さん」
と助手席から声をかけた。すると、母は、
「まだ、お家じゃないわよ」
と口を尖らせたので、
「分かったよ。安全運転で頼むね、あやか」
と言い直すと、彼女はすぐに機嫌を直したようである。
(了)