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純愛の記事 (34)

官能物語 2024/05/03 21:00

美少女との生活/33

「よろしくお願いいたします」

 貴久はびっくりしたが、すぐに、彼女と同じように床に座って、同じように頭を下げた。

「懸命に努めます」

 なんか間違ったような気もするが、セックス前に頭を下げられた経験など無かったので、もしも間違っていたとしても許してもらいたいものである。そう思っていると、顔を上げた美咲が、ぷっと噴き出した。

「わたしたち、二人で何やってるんでしょう」
「おれが聞きたいよ」

 貴久が言うと、美咲はさらに、あはは、と楽しそうに笑った。

 その声を聞いていると、貴久は緊張がほぐれるのを感じた。もしかしたら、こちらの緊張をほぐすために、彼女はおどけてみせたのだろうか。もしもそうだとしたら、こちらが気を使うよりも、彼女に余計に気を使わせていることになってしまって、大人として、大変情けない事態となってしまう。

 貴久は、こっから仕切り直しだ、とは力まなかった。むしろ、力を抜くことにした。自分にはできることしかできないのだという真理を再認識した格好である。

――よし……。

「おいで、美咲ちゃん」

 貴久は、立ち上がると、彼女に向かって手を差し伸べた。

「はい……」

 重ねられた少女の手は、華奢で柔らかい。
 その手を少し引くようにした貴久は、彼女を腕の中に迎えた。

「愛しているよ、美咲ちゃん」

 彼女の目を見て、貴久ははっきりと言った。

 大げさな言葉であることは分かっていたが、彼女の処女をもらい受けるのである、そのくらいのことを言ったところで構わないだろうし、逆に言えば、そういうことが言えないのだとしたら、処女をもらい受ける資格も無いと言えるのではないだろうか。

 そんなことまで、貴久は考えたわけではない。
 
 むしろ、何も考えずに、するりと出てきた言葉に過ぎなかった。

 美咲は、目を大きく見開いた。そうして、

「わたしも……わたしも愛しています」

 言うと、その目をそっと閉じた。
 
 貴久は自分の顔を彼女の顔に近づけると、ゆっくりと、そのピンク色の弓を合わせたような可憐な唇に口づけた。久しぶりのキスが、20歳も年下の少女とのものなのだから、感慨もひとしおである。軽くだけ口づけた後に、ふっと唇を離すと、美咲は目を開いた。貴久は瞠目した。少女の目が濡れているではないか。

「美咲ちゃん……?」

 やっぱり嫌だったのだろうか。

 心配になった貴久が口を開く前に、まるでこちらの気持ちが伝わったかのように美咲は、首を横に振った。

「嬉しいんです。貴久さんとファーストキスができて」

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官能物語 2024/04/29 21:00

美少女との生活/32

 夕食をつつがなく終えたあとは、いよいよ覚悟を決める時間になった。この時間まで覚悟が決まっていなかったのかと言えば、情けないことこの上無いけれど、覚悟うんぬんというよりも何よりも、まずは現実感が無いことが問題だった。

 この期に及んでも、自分の娘ほどの女の子と体を交えるということが、とても現実に起こっていることだとは思えない。そういう動画は見たことがあるけれど、それは動画だから見られるわけであって、本当に我が身に起こることだと思ったことなど一度も無かった。当たり前。それが本当に起こるのである。

――いや、本当なのか?

 これが私的などっきりということはないだろうか。美咲の冗談である。大人の男をたぶらかしたい年なのかもしれない。そんな年が女性にあるのかどうか分からないが、そもそも、貴久は女性ではないので、そのあたりのことは知る由も無い。

 もしも冗談だとしたら、

――その方がいいかもしれない。

 と思ってしまった自分を、貴久は大いに恥じた。

 これこそ覚悟が座っていない証拠である。いくら現実離れしているとは言え、だからと言って、現実逃避してもどうしようもない。

 よし、と覚悟を決めた友作は、まずはシャワーを浴びることにした。そうして、身を清めたあとに、美咲に向かって、

「寝室で待っているから、準備ができたらいらっしゃい」

 と声をかけた。色気の無いことこの上無いけれど、格好をつけてもしょうがない。人間には、できることとできないことがあるということは、これまでの人生の中で貴久が学んだ、数少ない真実の一つだった。

 パジャマを身につけて、寝室に入った貴久は、ベッドの上に腰かけて、美咲を待った。随分と長い時間が過ぎた気がした。あまりに長く感じすぎて、美咲は来ないのではないかと思った。気が変わったのである。きっとそうだと思って時間を見ると、10分しか経っていなかった。カラスだったらそのくらいでもいいかもしれないけれど、年頃の女の子が身を清めるには、全然足りなかっただろう。それから、さらに20分ほど経った。それはほとんど永遠にも感じられる時間だった。

 ドアにノックの音がして応えると、入ってきた美咲の姿に、貴久はどきりとした。彼女は、下着姿だった。ブラジャーとショーツだけを身につけた姿で、そのプロポーションのよいラインを惜しげもなくさらしていた。

 少女は、貴久の前まで、まるでヴァージンロードの上ででもあるかのようにしずしずと歩いてくると、腰を下ろして床に膝をつき、正座して、深々と頭を下げた。

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官能物語 2021/09/08 17:00

美少女との生活/31

 食べ終わったあとは、ショッピングツアーになった。美咲が、服や小物、アクセサリーを見たいと言ったのである。しかし、彼女はただ見ているだけで買おうとはしなかった。

「今日は見るだけです。欲しいなあと思って、その気持ちが1週間続くようだったら買うっていうシステムにしているんです」
「衝動買いは無いってことだな」
「はい。衝動買いして結局使わなかったら、買ってもしょうがないですもんね。見ているだけになるんだったら、部屋にあっても、お店にあっても同じです」
「その考え方には一つだけ問題があるな」
「何ですか?」
「おれが美咲ちゃんに何かサプライズプレゼントしたいと思ったときに、どうすればいいか分からなくなる」
「その心配はご無用です」
「どうして?」
「貴久さんからいただいたものは、何でもありがたく使わせていただきます!」
「本当に?」
「はい!」
「でも、おれがめちゃくちゃ趣味の悪いアクセサリーを買ってきたらどうする? 身につけてくれる?」
「モチロンです」
「そうか、ならよかった」
「そうだ、参考までにわたしがどんな感じのものが好きなのか、お教えしましょうか。別に何でも、いただいたものなら、身につけますけどね」
「…………」
「疑ってますね?」
「そんなことはないよ。でも、ドクロのペンダントとかはつけてくれないだろ?」
「何で、ドクロのペンダントなんて買うんですか?」
「物のたとえだよ」
「貴久さんって、これまでプレゼントのセンスいいって、女性に言われたことありますか?」
「うーん……そうだなあ……」
「あ、やっぱりいいです。過去の女性関係、聞きたくないです」

 楽しい午後を過ごすと、夕食が待っており、さすがに昼も夜も外食というのは、

「もったいないです。お部屋で食べましょう!」

 ということになって、それなら、ということで、貴久が作ることにした。今日は彼女に雑用をさせるわけにはいかない。この先、後々までもこの時のことを言われないとは限らないのだ。

「パスタはどう? 昼が洋食だったから、ご飯ものの方がいい?」
「いいえ、パスタで大丈夫です。パスタ大好きです」
「嫌いなものはあるの?」
「そうですね……強いて言えば、父ですかね」
「そんなにか?」
「そんなにではないです。まあ、そこそこです」
 
 貴久は、親友を憐れみたいとは思いつつも、今夜はそんな余裕は無いのだということを再認識した。

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官能物語 2021/08/09 10:00

美少女との生活/30

 午前中は、美術館で絵を見た。
 貴久としては、遊園地でもどこでもよかったのだけれど、美咲がそれを望んだのである。

「でも、遊園地は今度連れて行ってください」

 と彼女は屈託の無い笑みを浮かべた。ここに来てから全く変わりが無いにこやかな笑みであり、貴久は、本当にこの子は今夜自分の身の上に起こることを理解しているのだろうかと不安になった。処女喪失という事態が、女性にとってどのような事態であるのかということは、もちろん、女性ならぬ身である貴久には理解しようもないけれど、相応に重要性があることには違いないはずだった。少なくともそのように聞いている。それなのにこの軽やかさはなんだろうか。

 貴久は、自分の童貞喪失時のことを思い出そうとした。それは随分と昔のものであったけれど、思い出そうとしてみれば、すっきりとそして鮮やかに思い出すことができた。とすれば、それなりに記憶に残るものであって、貴久にとっても重要な体験だったということである。

 男性にとってそうであれば女性にとってはなおさらに違いないと思うのは、今の世の中では男女差別と言われてしまうのかもしれないけれど、どうしても貴久にはそう感じられてしまうのだから仕方が無い。

「ああ、とってもステキでした」

 美術館に併設されたレストランの中で、美咲はホッと息をついた。

「そうだね」
「退屈じゃありませんでしたか?」
「印象派の絵を見て退屈を覚えるんだったら、美術館には来ない方がいいな」
「わたし、美術館に来るのが好きなんです。美しい物を見ていると、自分も美しくなったように感じられるから」
「印象派の絵に負けないくらい、美咲ちゃんは綺麗だよ」

 美咲は頬を染めた。
 褒め言葉にいちいち反応してくれるのが愛らしい。

「わたし、色んな所に貴久さんと行ってみたいです」
「いいよ。おれ一人だとそんなに出かけることもなかったから、こっちとしても望むところだね。この辺りだったら、ちょっと電車に乗っていけば、大抵の所には行けるしね」
「わたしがどんなに幸せな気分か、表現できる言葉があったらいいんですけど」
「その言葉が見つかったら、いの一番に教えてほしいね」
「はい!」

 広々とした芝生の庭に春の清爽な光が降るのを見ながら、野菜や魚や肉がおしゃれにちょこちょこと盛り付けられた皿に、貴久はフォークを伸ばした。同じようにする美咲は、一口食べるごとに、

「美味しい!」

 と感動するような声を出すのだから一緒に食事をするのに気持ちのいい相手だった。

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官能物語 2021/08/07 10:00

美少女との生活/29

 そして、Xデーはいとも呆気なくやって来たのだった。その週の週末、土曜日の朝を美咲と同じベッドの中で迎えた貴久は、今日のスケジューリングを考えていた。今日は朝から一緒にどこかに出かけて、夕食を取って、そのあと、今腕の中にいる可憐な子と結ばれることになっている。とても正気の沙汰ではないように思われた。そんなことあるはずがないと思っても、今から12時間くらいしたら、そんなことになるのだった。そこで、貴久は、

――あ、コンドームがない。

 避妊具のことについて、気がついた。一番大事なものがないではないか。これがなければ、いざシようと思ったときにできないという最悪の事態に陥ってしまう。やはり、これは現実感を持っていないということのあらわれだった。しかし、気がついてしまえば何ということもない、あとは忘れなければいいだけの話で、コンビニや薬局でそっと買えばいい。

 それにしても、コンドームが無いとは、一体いつからシていないのかと言えば、前の彼女と別れてからである。そのときからだから……もう相当年数シていないことになる。特にシたいとも思わなかったのは、それだけ性欲が少ないからだろうかと思わないのでもないが、美咲が来る前はよくポルノ動画を見ながら抜いていたので、少ないというわけでもなかった。

 それなのに、恋人を作らなかったのは以前の彼女のことを引きずっているからという理由が立ってまだしも、風俗にも行かなかったのは、そんなものにはまってしまったらマズいと思っていたからである。恋人を持たない分、貴久は資産形成に注力しており、それを台無しにしたくなかったからだった。そのおかげで、美咲を迎えることができた。まあ、とにかく久しぶりだったので、

――できるのか……?

 と思わないでもない。まさかできないことはないと思うし、やり方はいたってシンプルなのだが、あるいは、もしかして、「入らない」などということは無いだろうか。これまでそれを経験したことがあるのは童貞の時だけだったが、もしも入らなかったら、これは大問題である。

 貴久は急に緊張してくるのを覚えた。貴久にとっては、何十回目かのそれでも、美咲にとっては初めてなのだった。最高の経験にしてあげないといけない。しかし、その自信は無い。

 こんなことなら、きちんと調べておくべきだった。処女とするときの作法を。そんなものがあるのかどうか分からないけれど、情報社会である、おそらくは何かしらはあるだろう。しかし、その日の朝ではいかにも遅い。遅すぎる。こうなったら、ぶっつけ本番で行くしかなかった。せめては、できるだけ痛い思いをさせないようにしようと、それだけを貴久は心に決めた。

「おはようございますぅ……」

 美咲が目を開いて言った。

「おはよう」
「あの……今日はよろしくお願いします」
「努めます」

 真面目な声を出すと、美咲は微笑んだようである。

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