エロジャンルを本質で考えてみる（同人エロゲ制作日記139）

ターゲット層を絞ってみる

書籍『 SAVE THE CATの法則 』では、あらすじに必要な要素として「皮肉」「広がるイメージ」、そして「観客と制作費」の3つを挙げています。制作中のゲーム『純情ショタの初仕事』のあらすじは、ターゲット層と制作費を想定できるか確認してみます。
無垢に育った少年の新しい仕事は、自堕落な淫魔を"一人前に教育"しなければならないものだった。
『純情ショタの初仕事』は男性向けのエロ同人ゲームなので、メインターゲット層は必然的に18歳～49歳の男性に絞られます。ただ、それだとまだ漠然としていますね。そこでエロジャンルを基準にして絞ってみます。
「ショタ」かな？「サキュバス/淫魔」なのかな？　……んん？ ピンとこないぞ？

『SAVE THE CATの法則』では映画のジャンルを特徴的な分け方で説明しています。「家のなかのモンスター」とか、「難題に直面した平凡な奴」などなど。
……え、どんなジャンル？　面白そう。
このような分け方をしている理由は、ストーリーの本質を捉えるためなんだとか。
ストーリーに本質があるなら、エロジャンルにも本質があるのでは？ と思ったので、今回の記事ではそこを掘り下げてみます。

エロジャンルを本質で考える

一度ストーリーの本質を考えてみるため、『純情ショタの初仕事』のあらすじを振り返ってみます。
無垢に育った少年の新しい仕事は、自堕落な淫魔を"一人前に教育"しなければならないものだった。
『純情ショタの初仕事』では、少年と淫魔の関係がストーリーの軸になります。なので、エロジャンルの本質も二人の関係がキーになります。エロゲーですからね。つまり……
二人の関係はセックスによって繋がっている。
『純情ショタの初仕事』では、主人公は生きるための生活費を稼ぐために、淫魔を人に言えないようなことで育てなければならない仕事を負うことになります。対して淫魔は自堕落な上、感じすぎる身体のせいで性行為に怯えています。ですが、淫魔は成長して人を手玉に取りたいという望みがあるので、主人公の仕事に"しぶしぶ"付き合ってあげることにします。

お互いの関係をつなげているのは「自分のため」ですね。
エロジャンル「自分のため」、あるいは「ビジネス」。
……なんかまだしっくりこないよ？
さらに掘り下げるため、別の視点……二人の関係を壊そうとする敵を想像してみます。
二人の関係を壊そうとする敵（二人の性格、周りの人間、道徳観、法律）。
ショタと淫魔の二人は、性格の違いからくる喧嘩やすれ違いを繰り返しますが「自分のため」関係をやめません。狂ったようにセックスしつづけます。時には周囲の反対、道徳観、さらには法律という国すら二人の関係を壊そうと邪魔をしてきますが、お互いの力を合わせ、なんとか困難を乗り越えていきます。そんな関係を続けていくうちに、お互いの気持ちに変化が訪れます。 それは肉欲なのか、友情なのかー。

最初はセックスで繋がっているだけのビジネスライクな相手だったのが、段々と自分の感情を揺さぶる存在になっていく……。そこがこのエロジャンルの本質のように感じます。その流れを「危ない絆」とよぶことにします。ようやくしっくりくる単語に出会えました。最後にまとめてみます。

エロジャンル「危ない絆」・育ちも立場も違う二人が、利益のために性行為を繰り返していく中で、お互いの気持ちに変化が訪れる。

『純情ショタの初仕事』での中心人物は「無垢なショタと自堕落な淫魔」ですが、この二人を変えればいろんなストーリーが組めそうですね。「奴○と大富豪」とか、「家出少女と中年サラリーマン」とか。
エロジャンルが決まったので、ようやく客層を絞り込めます。メインターゲット層は18歳～49歳の男性。……あれ？

ちなみに『純情ショタの初仕事』はゲームなので、二人の気持ちが向かう先、関係の結末は、プレイヤーの手に委ねられます。それが『純情ショタの初仕事』という作品のゲーム性であり、シナリオのキモにもなりますね。
シナリオ……？　シナリオ作業……？　すすんでる、すすんでる。

---次の作業予定：シナリオを書く