上級生の筆おろし
中等部の学生が高等部に上る前に、一つのイベントがある。
未だ童貞の男子は、好きな高等部の上級生に筆おろしをしてもらえるというチャンスだ。
立派な冒険家として育っていくには、女の一人や二人を満足させられないようではいけないという方針のもと、この機会に全ての男子は童貞も卒業することができる。
問題は相手を誰に選ぶかだ。
高等部の上級生であれば誰でも指名できる。一国の王女であるエクセリアでも、恋人のいるノアでも、選び放題だ。ただしたった一人しか選べない。一生に一度の選択である。
誰に筆おろししてもらうかは、この時期の中等部の男子たちにとって悩みと期待の焦点だった。
ヨシュアはさんざん迷った末、オスクロルにお願いすることにした。
*
「本当に私なんかでいいんですか?」
「はい、よろしくお願いします!」
「ふふ…なんだか可愛いですね」
ヨシュアの一生懸命な様子を見て、オスクロルは母性をくすぐられたようだ。満更でもないといった顔で、服を脱いでいった。
「あ!お手伝いします!」
ヨシュアもそれを手伝う。オスクロルは背中と頭に大きな角があり、シャツを脱ぐにもちょっとコツがいる。
下着姿になったところで、目のやりどころに困るのか、ヨシュアは少し距離を取ってそれ以上触ろうとはしなかった。
お互い裸でベッドに向き合ったところで、オスクロルが口を開いた。
「それでは問題です。えっちの時に一番大切なことはなんでしょう」
「ええ……?ええーと、相手を気持ちよくさせること……?」
「うーん、半分正解ね。身体の繋がりもいいけれど、心の繋がりが大事なんです。なので相手の顔をちゃんと見て、相手が今どういう気持なのか、何をしてほしいのか、常に確かめるようにするんですよ。」
「は、はいっ!わかりました」
恥ずかしがってまともに視線を合わせようとしていなかったヨシュアが、改めてオスクロルの顔を見た。
悪魔さえ恐れる暁闇の魔王がそこにいた。威風堂々としているように見えて、よく見ると少し震えているようにも見える。なるほど、オスクロルもこういうことに慣れているわけではないんだ。自分のために頑張ってくれているんだ。というのがなんとなく伝わってくる。なるほど、相手の気持ちを理解するというのはこういうことなんだ、とヨシュアは納得した。
「それじゃあ、早速始めていきましょうね」
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