猫虎屋 2023/04/23 02:28

ニ週間の休暇

ケンセイ亡き今、タイカンの将軍リーランの仕事は激務を極めていた。
堅実で真面目なリーランはそれでもきちんと全ての仕事をこなしていたけれども、その蓄積した疲労とストレスが徐々に彼女を蝕み始めた時、軍師たちは彼女を湯治に向かわせることにした。
全ての仕事を放り出させて、ニ週間のフル休暇。徹底的に休ませる。


「まったく……、私はまだまだ働けるのですが……仕方がありません。」
リーランはひとり、温泉で有名なアオイの島に降り立った。
今回はお付きのものがいない。
ひょっとしたら自分をタイカンから遠ざけることでクーデターでも計画されているのではないかと疑いそうになるが、今はあの者たちを信じることにする。
「まあ、たまにはゆっくり温泉に浸かるのも悪くありませんね。」
人々が賑やかに行き交う温泉街に立つと、不思議と心が安らぐ感じがする。
そして一軒の温泉宿に宿泊することにした。

「ふう……いい湯でした。」
あらためて自分の身体と向き合ってみると、全身がストレスと疲労でくたくたになっていたのを実感した。
少し熱めの湯は、全身の血流を良くして凝り固まった筋肉を解してくれる。
湯上がりの火照った身体を冷ますべく、リーランは部屋に戻ることにした。
「あら…あなたは?」
「こんにちは!湯上がりのリラクゼーションマッサージに来ました」
「そういえば……」
チェックインの際、宿泊・温泉に加えてマッサージサービスも付属されていたことを思い出す。
相手は若い女の子だったので、そのまま部屋に通し、サービスを受けることにした。

「ゆっくりほぐしていきますね~」
ベッドに横になると、施術師は手にオイルを塗り、リーランの湯上がりの肌を丁寧に揉んでいく。
そのオイルの香りが心地よくて、だんだん眠気に襲われるようになってきた。そして気がつけば、すっかり眠ってしまっていた。

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