猫虎屋 2023/09/01 01:28

姫様のサービス

もう一人のエクセリアに関する事件が一段落し、エクセリア、ゲオルグ、セルジュ、モニカの四人は飛行島に訪れていた。
例の件に関する情報整理と後始末に関することである。
間接的とはいえ竜の国の者により大きな被害をもたらされたことを一同は詫び、この一件は落着となった。

4人がそのまま国に帰投しようかと思った所で、キャトラが引き止める。
「悪いんだけどさ。あんたたち。ちょっと宿屋の方を手伝ってくれない?」
「手伝うって…まさか、あっちのほうじゃないだろうな。」
モニカが訝しげに後ろの建物を指差す。

飛行島は今や多くの冒険家が訪れるにぎやかなところになっていたが、その宿泊施設は2つあった。一つは普通の宿屋で、もう一つは「裏の宿屋」とも言われるところ。
裏といいつつ、外装も内装も豪華でぎらついている建物である。
「そうよ。かわりにあんたたち男共はタダで泊まっていいわ。」
「バカ言うな!だれがあんなところ。」
モニカが怒鳴る。そこへゲオルグも加勢する。
「まさか姫様も、と言わないだろうな。」
一行は見なかったふりをしていたその建物を、忌々しい面持ちで見た。
そこは男女が一晩限りの逢瀬を遂げるところである。客の男はお金もしくはギルドコインを支払って、好きな女の子を指名する。女の子はみんなギルドに所属している冒険家で、ギルド加入者は全員、要請されたらそれに出勤する義務がある契約になっている。
「一晩だけでいいわ。今日はちょっと人が足りないのよ~」

一日にだいたい100人くらいの客が訪れるので、それを20人前後の女の子で回す。
ただし女の子は全員常勤ではなく、普段は冒険家として活動している人たちばかりである。そのため日によっては人数が足りなくなってしまう。
今日はまだ16人しか女の子がおらず、2人にも入ってほしいというお願いだった。
「行かせんぞ。姫様は。なんならモニカだけ行ってこい。」
「そうそう姫様は……って、なんであたしが行くことになってるんだよ!」
「待ってください!」
二人の騎士は断固として姫様を守ろうとする。だがそれを打ち破ったのはエクセリアの方だった。
「…私は…その……やります。」
「姫様!」
「なんだって?」
「さすがエクセリアね。話がわかるわ。」
「本当は気が進まないんだけど、今回のことでたくさんご迷惑をおかけしちゃったし…少しでもお詫びになるというのなら…」
「馬鹿を言わんでください。あの建物で何をするのか、姫様は理解してるんですか?自分は許しませんよ!」
「そうだそうだ。後でぜってー後悔するかんな!」
しかしエクセリアは一度言ったことを曲げることはなかった。

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    ひつぎん* ID01529399
    姫様…お勤めご苦労様です!!(*´꒳`*)

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