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ちょっとイケないことの記事 (18)

おかず味噌 2020/07/18 22:07

ちょっとイケないこと… 第十八話「姉と弟」

(第十七話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344430


「あの夜、お姉ちゃんがパンツを洗ってるのを見てから――」

 私から追及されてもいないのに、純君は唐突に自供を始める。

「どうしてもお姉ちゃんの穿いてるパンツが気になって――」

 私が沈黙を貫いているのをいいことに、彼は滔々と語り出す。

「洗濯機に入ってた、お姉ちゃんの洗ってないパンツを――」

 私にとって知りたくない事実を、彼はのうのうと打ち明ける。

「えっ…!?ちょ、ちょっと待って、それってどういう――」

 私は驚愕のあまり、とうとう弟に訊き返してしまうのだった。


「『一回だけ』じゃ、なかったってこと…?」

 私は緩んだ括約筋を引き締め直し、体勢を立て直してから、改めて彼に問い直す。

 今度は純君の方が黙り込む番だった。まさか遮られるとは思わなかったのだろう。彼はバツが悪そうな表情をしながらも、ひどく面倒臭そうにベッドから起き上がる。

 私は正面の純君から目線を逸らしてドアの方を見る。彼に脱がされたショーパンがまるで抜け殻の如く取り残されている。その右ポケットの中に一時的に収納された、私があの夜穿いていたショーツを想う。洗濯されたことで今や清浄となった衣類を。

 そもそも今の状況は純君が姉のショーツを隠し持っていたことが元凶なのである。だけどそれはあくまでも「洗濯後」のものであって、まさか「洗濯前」のものにさえ彼が興味を抱いていたなんて。私はもはや幾度目かの頬が紅潮する感覚に襲われた。


 まあ、それはそうだろう。むしろ、当然ともいえる。

「洗う直前」つまり「脱いだ直後」の方がより直接的に情報を得られるのであって。それに比べれば「洗った直後」のショーツなど、単なる布切れに過ぎないのである。

 だけどそれは私にとってやや都合が悪い。なぜなら洗面台で手洗いをしている時に私は知ってしまったのだ。私の下着がいかに汚れてしまっているのかということを。

 私自身とっくに確認済みなのだ。あの夜見た私のショーツは汚濁にまみれていた。それは『おしっこ』によるものだけでなく、汚物による染色が幾つも付着していた。

 純君は気づいただろうか。いや、外部から見ただけなら分からないかもしれない。だが欲望に負けて思わず拝借してしまうほど興味津々である対象物の観察において、より肝心といえる内部まで確認せずに済ませるなんてことが果たしてあるだろうか。


「ねぇ、お姉ちゃんのパンツは今も汚れてるんだよね?」

 間もなく純君の口から回答が得られる。彼自身の秘めたる願望を告白するように。それを訊くということはつまり彼は気づいてしまったのだろう、姉の羞恥の秘密に。

 とはいえ、私がノーパンのまま弟の部屋を訪れたことはすでに周知の事実である。それはどこかのコンビニのゴミ箱に投棄され、とっくに消失してしまったのだから。私が今日穿いていたショーツは粗相の証拠と共にもはや完全に隠滅されたのだった。

 だから純君が言っているのはやはり、それもまた想像の産物に過ぎないのだろう。私がショーツを穿いているのだと仮定して、それが汚れているに違いないだろうと。だけどその妄想には実体が伴っている。私の下着の実態を彼は知ってしまっている。


「『おしっこ』とか、女の子だけの『汚れ』とか…」

 すかさず純君は指摘してくる。これでもかとばかりに私的な『シミ』を炙り出す。

「う、『うんち』…、とかも付けちゃってるんでしょ?」

 彼は余さず確認してしまったのだろう。姉のショーツに刻印された数多の汚辱を。

「そ、そんなわけ…ないでしょ!!」

 即刻、私は否定する。だけど本当は分かっている。あの夜、私自身もそれを見た。後方部分にくっきり描かれた茶色の一本道。肛門付近にべっとり付いた『うんち』。拭き残しによるものか、力んだ拍子に予期せず漏れてしまったものかは分からない。それでも割れ目に沿ってばっちりと、我ながら「ばっちい」と思える恥辱の一本筋。

 紛れもない、私の『ウンスジ』。

 粉みたいにカピカピになった『うんちのカス』。決して他人には知られたくない、私自身の管理不行き届き。普段の不摂生と不衛生の不可抗力による不潔なる副産物。


 それでも私はまだ諦めない。この期に及んでも尚、往生際悪くあがくことにする。

 私がショーツ内に『ウンスジ』を刻み付けていたのはあの夜だけのことであって、あの日はお腹の調子がたまたま悪かったというだけで、日常的にそうとは限らない。

 かといって人前に堂々とさらけ出せるものかといえば、あくまでも話は別だけど。少なくとも、常習的に汚物まみれのショーツを身に着けているわけではないはずだ。

 だから仮に純君に観察されたとしても、きっと大丈夫なはず。どこまでも彼の想像、恐らく不潔だという予想と、不浄であって欲しいという願望に他ならないのである。

 だけど、そこで再び彼は無情にも言い放つのだった。


「僕、知ってるよ」

 性懲りもなく純君は同じ台詞を繰り返す。揺るぎない証拠を掌握しているように。

「だって、お姉ちゃんのパンツすごく『クサかった』よ?」

 彼は回想する。私のショーツの醜悪なる芳香について、嗅覚による感想を述べる。

 突き付けられた現実はショックなんて一言では到底言い表せるものではなかった。破滅と絶望、恥辱と屈辱、嗜虐と被虐、それらが複雑に入り混じる感情なのだった。

 純君の中では「よくパンツを汚す姉」という実像が出来上がっていることだろう。女児でもあるまいし。十九歳とはいえもうとっくに大人であるはずの女子大生の姉が二度も粗相したのみならず、日常的にショーツ内に汚物を隠し秘めていたなんて…。

 もはや姉としての威厳どころか、女性としての尊厳すら完全に無くしてしまった。

 私は観念した。全ての事実を受け止め、包み隠さず事情を打ち明ける覚悟をした。


「そうだよ。お姉ちゃん、よくパンツを汚しちゃうの…」

 それについては「よく」なのか「たまに」なのか「ごく稀に」なのか分からない。日常的なショーツの状況を知る上で、あの夜だけでは明らかに情報が不足している。だが少なくとも、彼が洗濯機の中から発掘した私のショーツもそうだったのだろう。

「ちゃんと拭いてるつもりなんだけどね…」

 打って変わって弱気になりながら私は言う。まさか拭いてないなんてことはない。いつも排泄を済ませた後、トイレットペーパーで入念に拭いている。それなのに…。

「どうしても、付いちゃうの。パンツに『うんち』や『おしっこ』が…」

――私、緩いのかな?

 私は苦笑しながら純君に訊ねる。だけど彼に答えようがないことは分かっている。

「ねぇ、さっき私のお尻の穴を舐めたとき…」

――『うんちクサく』なかった?

 またしても純君に問い掛ける。それについては、さすがに彼も答えられるだろう。


「大丈夫…だったと思うよ」

 自信なく彼は答える。どうやら『うんち臭』を直接嗅がれることは免れたらしい。最底辺ともいえる質問を投げ掛けた私にとって、それは最低限の安堵なのであった。

「こんなお姉ちゃんで、ごめんね…」

 私はもう何度目かの、すっかり慣れきった謝罪をした。

――こんな、恥ずかしいお姉ちゃんで…。
――こんな、だらしないお姉ちゃんで…。
――こんな、汚らわしいお姉ちゃんで…。

――ごめんなさい。

 私は幾度となく心中で弟に詫びるのだった。


 さすがに純君も萎えただろうか、まさか姉の呆れた日常を知ることになろうとは。たとえ彼自身が秘密を暴いたにせよ、ここまで不潔な真相が待ち受けていようとは。

「じゃあ、『続き』してあげるね…」

 私は純君の顔を直視することも出来ぬまま、震える手で弟のおちんちんを掴んだ。もうとっくに時効を迎えたであろう契約を、尚も実直に履行しようとしたのだった。

 すっかり怒張を失い、萎縮し弱々しくなり掛けているはずの彼のペニスはけれど。

 今までにないくらい固く「勃起」を持続していた。

 鼓動さえも伝わってくるようだ。それほどまでに強く、己が存在を誇示していた。


――どうして…?

 ふと疑問を抱く。だけどその答えを私はすでに知っている。それはある種の趣味。マトモとはいえない、的外れな性癖。あくまで真っ当とは言い難い、間違った悪癖。

 まさか可愛い弟にそんな性質があったなんて、私はその事実を認めたくなかった。だけどこの異常なる状況が、彼の発情による反応が、明確なる解答を象徴している。

 純君は姉の汚濁に愛着を感じているのだろう。私の『おしっこ』や『うんち』に、それらが付着した汚物まみれのショーツに尋常ならざる執着を抱いているのだろう。

 あるいはその趣向は○○さんと同じなのかもしれない。私に粗相をさせた張本人。彼もまた私の『おもらし』に高揚を覚えた一人なのだ。そして今では私自身さえも。


 私は、私と彼と純君に共通項を見出していた。本来、人が目を背けたくなる事象。だが動物である以上、避けて通れない現象。排泄行為や排泄物自体に抱く性的倒錯。

 まさしく「変態」といって差し支えない性癖。大っぴらに出来ない秘めたる事情。

 私と○○さんのみならず、つまり純君もまた「こちら側」の人間だったのである。

 こうしてまた一つ、私たちは姉弟揃って他人に言えない秘密を共有したのだった。

「お姉ちゃんの『おチビりパンツ』…」
「お姉ちゃんの『おもらしパンツ』…」
「お姉ちゃんの『ウンスジパンツ』…」

 やがて純君は呪文のように唱え始める。それは紛れもない呪詛の言葉なのだった。まるで呪術に掛けられたかの如く、私はすっかり彼の術中に嵌ってしまうのだった。


 私は再び純君の上に騎乗し、気丈な口調で劣情を煽情することで絶頂に誘導する。

「お姉ちゃんの『おチビりパンツ』、臭かった?」
「うん、すごく!!」

「お姉ちゃんの『ウンスジパンツ』、嗅ぎ嗅ぎしたの?」
「うん、たっぷりと嗅いじゃったよ!!」

「『おなら』は…?『おなら』も臭かった?」
「とぉ~ても!!」

「じゃあ、お姉ちゃんの『汚パンツ』想像しながら『お射精』できる?」
「できるよ…!!いっぱい出ちゃいそう」

「純君も『お精子』を『おもらし』しちゃうんだね」
「うん、いっぱい『おもらし』する!!」

 姉の誘惑に対して、あたかもそれを待ち望んでいたかのように純君は従順になる。


「お姉ちゃんも、もう漏れちゃいそう…」

 快楽と共に徐々に高まりつつある膀胱の貯蔵量に、私は間もなく放流を予告する。

「いいよ。そのままいっぱい出して!!」

 純君は優しく私の要求を承認し、姉による『放尿ショー』を固唾を呑んで見守る。

「おふぇいひゃん、おもらひ、ひひゃう」

 私は再びペニスを頬張る。それとは別に下腹部に思いきり力を込める。そして…。


――ジョボロロ~!!!!!

 私は『おもらし』をした。純君の上で、彼の顔めがけて『おしっこ』を放出した。一度目、二度目は○○さんの眼前で。三度目の正直とばかりに、今度は弟の顔面に。

 一度目、二度目と大きく違うのは、私が下半身に何も穿いていないということだ。遮られるもののない私の『尿』は、重力の影響を直接受けてほぼ一直線に落下する。そして、直下にある純君の顔に『おしっこ』が集中豪雨のように降り注ぐのだった。

 私は自ら望んで『排尿』したし、きちんとショーツを脱いだ上で膀胱を解放した。それを『粗相』と呼ぶのか、『放尿』と呼ぶのかについては諸説あるところだろう。

 だが己の意思かどうかはこの際関係なく、それが不意であろうと故意であろうと。指定外の場所でする『排尿行為』は、紛れもない『おもらし』に違いないのだった。


「ひっぱい、でひゃう…。ひぇんひぇん、とまらないよ~!!」

――ジュビビビ!!!ジュバ~~!!!!!

 思いの外、私の『おもらし』は長く続いた。全然溜まっていなかったはずなのに、予定外に『おしっこ』はたっぷり出た。私は恥を捨てて、小水の勢いに身を委ねる。

――ジョロ…。チョポ…!!ポタ…ポタ…。

 そして私が『放尿』を終えようとした時、今度は口の方で奔流を感じるのだった。


――どぴゅん!!!ドクドク…。

 純君のペニスが激しく脈打つ。ドロドロした感触と生臭い芳香が口一杯に広がる。野性味に溢れた、あるいは野菜のような青臭さを思わせる、男性器による生理現象。

 純君は精液を『おもらし』した。

 いや、そんな後ろめたい表現は適切ではないだろう。純君は立派に果たしたのだ。姉としてはむしろ「頑張ったね!」と手放しで褒めてあげるべきなのかもしれない。たとえそれが決して褒められたものではない、イケない行為の結末であるとしても。

 純君は「射精」をしたのだった。

 私の口腔に欲望の塊を解き放った。雄としての本能を見事に成就させたのである。


――ビュル…!!ピュル…!!

 まだまだ続々と精製される純君の精液を、私はゾクゾクしながら口で受け止めた。彼が私の粗相を受け入れてくれたみたいに。私の愛情を受け取ってくれたみたいに。

 ようやく純君の射精が終わる。後に残ったものは、口内を満たす残骸のみだった。本来、膣内へと放たれるべき液体。空気に触れればたちまち死んでしまう儚い存在。すぐに息絶えようとしている生命はけれど、まだもうしばらくは生きているらしい。

 口の中で彷徨う、哀れな魂。受精を目的とする、純君の元気いっぱいの子種たち。

 私は迷うことなく、それを飲み込んだ。喉の奥に引っ掛かる感触を覚えながらも、能動的に精汁を飲み終えた。清濁併せ吞むかのように。善悪すらも飲み下すように。

 純君の精子は苦かった。それもまた何かの雑誌で読んだ性経験のその通りだった。

――精子は不味い、だけど愛する人のものならば…。


 顔騎状態のまま、私は暫しの感慨に耽る。それからゆっくり純君の上から降りて、射精を終えたばかりの彼と顔を見合わせた。

 純君の顔も髪も濡れていた。それはまさしく私の『おしっこ』によるものだった。

 私はベッドにゴロンと寝転がる。シーツもまた、私の『おしっこ』で湿っていた。

 弟の横顔をチラリと窺う。彼は仰向けのまま天井を見つめて微動だにしなかった。その視線の先にあるのは限りない充足感と幸福感か、あるいは果てしない罪悪感か。脱力したような双眸に映る底知れぬ感情を、私には想像することしかできなかった。


「純君の『白いおしっこ』苦かったよ」

「お姉ちゃんの『おもらし』だって…」

 穏やかにお互いの感想を報告し合う。私と彼だけに伝わる「共通言語」を用いて。

 やがて、どちらからともなく笑い出す。どうしようもない照れ臭さと気まずさに、思わず自然と笑いがこみ上げてくる。

 私と純君は一頻り笑い合った。深夜の室内に姉弟の笑声だけが静かに染み渡った。笑い合う姉と弟。それはありふれた、ごく普通の微笑ましい姉弟の風景なのだった。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/16 22:55

ちょっとイケないこと… 第十七話「6と9」

(第十六話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344422


 純君は再び後方から顔を近づける。だけど今回ばかりは不浄な恥穴の方ではなく、純潔なる秘穴を彼は目指すのだった。

 純君は舐め始める。鼻先を股の間に突っ込んで、彼の舌先が私の割れ目をなぞる。

 全身に走るビリビリとした快楽の電流と同時に、少なからず理性の抵抗を感じる。
だがそれすらも抑圧された性欲という電圧の前では、もはや無抵抗にも等しかった。

 純君は舐め続ける。まるで主人にじゃれつく子犬みたく、舌での愛撫を継続する。

 とてもじゃないけれど、まだ中学生の彼に覚えさせるようなことではないだろう。あまりに時期尚早というか早熟にも程がある。それでも私の焦燥は収まらなかった。己の快楽のために弟を利用するイケない姉。それこそが私の本性であるかのように。

 それにしても。純君と○○さんの「クンニ」には、やはりいくらかの違いがある。純君の舐め方にはただ夢中さを感じ、彼のそれには余裕のようなものが感じられた。弟の未熟さを嗤うつもりはない。むしろ今ばかりは純君の方が適当である気もした。

「童貞ゆえの必死さ」というやつだろうか。私だって人のことは言えないのだけど。純君のがむしゃらさは、処女である私をガチガチに捕えて雁字搦めにするのだった。


――そこ、ちょっと違う。もう少し…。あぁ、そこ!!もっと…。

 私の意思とは相反し、思い通りにならぬ舌使い。届きそうで届かぬ、もどかしさ。

 本当ならばあれこれと指示を出して純君を誘導したいところだが、そうはしない。あくまでも彼に全てを委ねることにする。あるいはこれも教育の一環なのだろうか。自分自身で選択して傾向と対策を会得させることで、弟の成長を見守ることにする。

――そうそう!!そこだよ。お姉ちゃんは、そこが気持ちいいの!!

 私は心中で的中を告げる。口に出さない代わりに、肉体がビクビクと反応を示す。脚がガクガクと震えて、お尻が突き出されることで、さらに敏感な部分に命中する。

「ダメ!お姉ちゃん、イっちゃいそう…!!」

 私は絶頂を予告する。もう間もなく、その感覚が来訪しそうになったところで…。


「えっ…?」

 唐突に彼の愛撫が中断される。同時にせっかく高まった快楽の潮流が引いてゆく。

「どうしたの…?」

 私は怪訝に思いながらも純君に問う。彼の機嫌を損ねる発言でもあったのか、と。

「どうして、止めちゃうの…?」

 不安を感じつつも純君に訊く。彼を幻滅させる何かが現実に引き戻したのか、と。

「さっきの『お返し』だよ」

 悪戯っぽい口調で彼は言う。私がさっき途中で止めたのを根に持っているらしい。

 だけど、あれは純君がイケないのだ。私の厚意による行為を「気持ち良くない」と言い切ったのは彼の方なのだ。

 それでも、やっぱり申し訳なかったとは思う。「おあずけ」にされるというのは、こんなにも辛く苦しいものなのだと私は知った。


「お姉ちゃんのこと、ちゃんとイかせて!!ね?ね?」

 私は恥を捨てて、純君に「おねだり」する。お尻を振りながら、弟に媚びを売る。

「だ~め」

 尚も意地悪そうに純君は言う。

「じゃあ、もう寝よっか?」

 ここぞとばかりに彼は告げる。「おやすみ」と。先刻の挨拶に応答するみたいに。いくら因果応報とはいえ、私は殴打したくなる。だがその感情をぐっと堪えながら。

「お姉ちゃんが悪かったから!!だから、お願い…」

 自己の不履行を詫びた上で、彼に許しを請う。

「もうちょっと、なの…。だから、お姉ちゃんの『オマ○コ』舐めて!!」

 わびさびの情緒もなく、満を持して陳情する。


「じゃあ、僕のも舐めてくれる?」

 そこで純君は交換条件を出す。私はブンブンと頷き、彼の提案を飲むことにした。

 室内を逆戻りして、純君はベッドに仰向けになる。彼の上に私は反対向きで跨る。まるで数字の「6」と「9」のように。だがその比喩はあまりにも陳腐な形容だった。

 純君のズボンを下ろす。脱がす前からすでに彼のそこがはちきれんばかりに固く、大きくなっているのが分かる。ひどく窮屈そうに衣服からの解放を待ちわびている。

 純君のペニスが勢いよく飛び出す。大人になりきれていない皮被りのおちんちん。またしてもそれを口に咥える。まるで愛着のある玩具を口に入れる乳幼児のように。

 純君のアソコの蒸れたような香り。私の唾液の乾いた匂いをわずかに含んでいる。それを自ら舐め取るみたいに、私は呼吸すらも忘れてただただ夢中でしゃぶりつく。

 他ならぬ弟から経験不足を指摘されたことで、一度は自信を喪失し掛けたものの。それでも今ばかりは余計な思考を停止して、趣向を凝らして、試行錯誤を繰り返す。

「お姉ちゃん、すごく気持ちいい…」

 純君は言う。心の底から充足しているみたいに。私は姉としての人権を取り戻す。


――ブチュ!チュロロ…。チュパッ!!

 卑猥な音色が室内に響き渡る。私の口と純君の陰茎が淫靡なハーモニーを奏でる。

 真夜中に行われる、不純異性交遊。姉弟によって演じられる、狂騒じみた協奏曲。今もし両親が部屋に入ってきたとしたら、どのような言い逃れも許されないだろう。協調する我が子を見て彼らはどんな顔をするだろう。それについては考えたくない。だけどリスクを○す綱渡りの状況が私自身をさらに昂らせ、より貪欲にさせてゆく。

「ねぇ、早く…。お姉ちゃんのも舐めて」

 自暴自棄になりながら愛撫を請う。自分の指でアソコを開いて、ここだと教える。

 純君の呼吸が荒くなる。私の口淫によるものか、彼自身の興奮によるものなのか、おそらくその両方だろう。

 私の呼吸も荒くなる。吐息が当たることで、愛液が潤滑油の如く次々と溢れ出す。

――ピチュ!チュピチュピ…。ズボッ!!!

 不意に純君は指による愛撫を始める。さらにそれを膣内に挿入してくるのだった。


「あぅ…!!」

 私は思わず甘い声で喘いでしまう。まるで子供のペニスを思わせるような細い指。彼はそれを出し入れしたり、中で動かしてみたりする。一本で十分に解し終えると、続いて二本三本と加えられ、徐々に太さと速さを増してゆく。

「純君、気持ちいいよ…」

 お返しとばかりに私は呟く。さらに言動だけでなく、行動によってもそれを返す。

 ベッドに両手を付き、頭を上下させることで刺激を加える。舌を使い、唇を用いて間断なく快感を与える。激しい動きによって、ベッドがギシギシと軋む音を立てる。

「ねぇ、お姉ちゃん。やっぱり僕…」

 そこで純君は、またしても苦しそうに呟く。

「お姉ちゃんの『中』に入れたい…」

 あろうことか彼は、ペニスによる挿入を要求してくるのだった。


「それだけはダメ…!!」

 断固として私は拒絶する。それだけは絶対に。いかに勢いに身を任せたとしても、すでに幾つもの倫理を失くしたとしても、その一戦だけは越えるわけにはいかない。その防衛線だけが、とっくに異常である姉弟の関係性を唯一正常に留めているのだ。

「ちゃんと最後まで口でしてあげるから」

 その言葉は純君に向けたものでありながらも、私自身に対してのものでもあった。

――私だって…。

 仮に相手が弟でなければ、私自ら懇願していたことだろう。だが肉親である以上、それは出来ないのだ。私が処女であるとか関係なく、たとえ何度目の行為だろうと、いかに経験豊富を求めていたとしても、その経験だけは一生してはならないのだ。

 純君だって分かっているはずだ。だけど分かっていても、ツラいのは理解できる。だからこそ私は出来るだけのことをしてあげたいと思った。口を膣の代わりにして、今度こそ彼を射精に導いてあげたいとそう思った。


「もうちょっと、なんだ。もうちょっとで…」

 それでも純君はまだ足りないと言う。私の「フェラ」だけでは物足りないのだと。

 だがそう言われたところでどうすればいいのか。いかに経験が足りないとしても、今の私に出来るのはこれが精一杯なのだ。

「お姉ちゃん、『エッチなこと』言って…」

 純君は思わぬ要求をしてくる。口淫でイケないのだったら、かくなる上は言葉で。本来、口とは食事のためともう一つ重要な役割がある。それはつまり伝達の機能だ。

 挿入が無理なら想像で。想像だけなら、いくら飛躍したところで構わないだろう。

「お姉ちゃんの『オマ○コ』に、純君の『おちんちん』が入っちゃうよ?」

 ありもしない空想を、あり得るはずもない状況を、さも現実の如く私は実況する。

「ほら?お姉ちゃんの『オマ○コ』、あったかい?」

 口内を膣内に見立てて幻想を生み出す。唾液を愛液であるかのように錯覚させる。彼が姉に求める「エッチなこと」というのは、果たしてこういうことなのだろうか。


「うん…。でも、そうじゃなくて」

 純君は遠慮がちに言う。どうやら違ったらしい。予想外の不正解に私は赤面する。

「お姉ちゃん。『おもらし』した時、どんな感じだったの…?」

 なるほど、そういうことか。やはり彼は姉の羞恥の失敗にこそ興味があるらしい。

「すごく、恥ずかしかったよ…」

 私は答える。出来れば、その事実に関してはそっとしておいて欲しかったけれど。それで純君が満足するならば、と。私は粗相の詳細について正直に語ることにした。

「情けなくて。もう大人なのに…、って」

 彼は沈黙のまま私の告白を聞く。昔読んであげた童謡の結末を待ちわびるように。

「『あっ』って思った時にはもう遅くて…。ショーツの中が急に温かくなって…」

 私は回想する。○○さんと二人だけの秘密を、包み隠すことなく弟に打ち明ける。


「『おしっこ』が、どんどん溢れてきちゃって…。全然止まってくれなくて…」

「そんなに出ちゃったの?」

 そこで初めて純君は口を挟んだ。

「うん…。こんなに溜まってたんだって…」

 便器内でする時はそうでもないのに。床に広がる『尿』はあまりにも大量だった。

「音は?どんな感じ?」

「えっ…?『じょわ~』って感じ?」

 まさか音についてまで描写させられるとは。私はやや照れ臭くも擬音で表現する。

「に、匂いは…?」

「えっ?そりゃ、クサかったよ。ほら、理科の実験の時のアンモニア臭ってやつ?」

 あり得ないほどの羞恥をごまかすように、おどけた口調で私は言う。


「お姉ちゃんの『おしっこ』の匂い…」

 ゆっくりと咀嚼するみたく純君は呟く。そしてついに辛抱堪らなくなったらしく、自分の手で勃起したおちんちんをしごき始める。私の口に当たるのもお構いなしに、むしろ私の口の動きが休止しているからこそ、自分自身で射精に導こうとしている。

「お姉ちゃんのここ、ちょっと『おしっこ』の匂いがする…」

 私の股間を嗅ぎながら純君は言う。そんなはずはない。ちゃんと洗ったのだから。あるいはそれすらも彼の想像の産物であり、姉に対して思い描く偶像なのだろうか。

「やめて、嗅がないで!恥ずかしいよ…」

 彼の妄想に付き合ってやることにする。『おしっこ』まみれの股間を嗅がれているという状況を創造する。それは私自身にとっても、とても高揚する想像なのだった。

「だめ!お姉ちゃんの『おもらしマ○コ』舐めちゃだめ!!」

「クサイ」と言いながらも純君は構わず舐め回す。架空の『尿』を舐め取るように。だが与えられる快楽は紛れもなく現実であり、本当に私はやや催してくるのだった。


「そんなに舐めたら、お姉ちゃんまた出ちゃいそうだよ…」

 私は尿意を訴える。その要請により彼の陰茎が射精の態勢を整えたのが分かった。

「いいよ。僕の顔の上で『おもらし』して!!」

 純君は言う。まるで自分の顔面が便器であるかの如く、私の『排尿』を許諾する。

「でも、純君の顔に掛かっちゃう…」

 私は最後の言い訳をした。あくまでも自分の意思ではなく仕方なかったのだ、と。この期に及んでも誰かのせいにする私は、救いようのない卑怯者なのかもしれない。

「いいよ。お姉ちゃんの『おしっこ』、いっぱいかけて!!」

 純君は覚悟を決めたらしい。私は下腹部に力を込める。いくら催してきたとはいえ膀胱の『尿』の貯蔵量は少しばかりで、そうでもしないと出てくれそうになかった。

「実は、僕…」

 そこで純君は。私から何ら追及されていないのに、唐突に自供を始めるのだった。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/15 22:14

ちょっとイケないこと… 第十六話「抱擁と放屁」

(第十五話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344082


 弟の部屋を後にしようと、ドアノブに手を掛けた間際。

 ふと背後に悪寒のようなものを感じた。直後に我が身に危険が迫っているような、今後の姉弟の関係性に大きな禍根を残すような、空前絶後の予感を抱いたのだった。

 私はとっさに振り返ろうとした。だけど手遅れだった。

――ズッボ…ン!!!

 まるで履物を形容したかのような擬音。局地の気温が著しく下降していくような、同時に局部の体温が激しく上昇していくような、奇妙な寒暖差を実感したのだった。

 遅ればせながらも、恐る恐る首だけで後方を振り返る。

 私は穿いていたショーパンを脱がされ、弟の目先に剥き出しの生尻を晒していた。


 一陣の風が、下半身を吹き抜ける。

 だけど室内で吹くそれは荒れ狂う暴風ではなく、愛撫するだけの微風に過ぎない。そして無色透明な気体に、無垢な肢体を包み込んでくれることは期待できなかった。

 徐々に思考が追いつき始める。後手に回りつつも、慌ててお尻を隠そうと試みる。だが両手だけでは心許なく、ならばいっそ頭を隠した方が心なしかマシなのだった。

 股間を晒したまま、私はしばし無言になる。気まずさを遥かに超越した静寂の中。

「お姉ちゃん、それ…」

 先に口を開いたのは、彼の方だった。

「ち、違うの!!これは、その…」

 私は容疑を否認する。なぜ被害者の側に弁解が求められているのかは分からない。それでも何かしらの弁明をすることにした。


「今日、ちょっと暑かったから…」

 たどり着いた言い訳は、苦し紛れの嘘だった。それはそれで問題である気もする。あくまで気候を理由に「穿かない」というならば、その事実は私の日常にも波及する常習的な奇行の告白に他ならない。

――やっぱり、今のナシで!!

 私は前言を撤回したかった。己の習性について、そこに含まれる変態性について、自らの発言を訂正したかった。

 だがそれを否定するということはつまり、今度こそ正直に話さなければならない。なぜ「ノーパン」だったのかという理由を。ショーツを脱ぎ捨てるに至った経緯を。

「お姉ちゃん、やっぱり…」

 私自身が白状するより前に、彼からの追求が始められる。

「『おもらし』しちゃったの?」

 彼の問いに小さく頷く。およそ数センチの首肯は、紛れもない敗北の白旗だった。私は自分の口からではなく首の動きによって、羞恥を打ち明けさせられたのだった。


「どうして?」

 私の秘密を白日の下に晒しても尚、彼は思わぬ結末に困惑しているみたいだった。

「間に合わなかったの…」

 いや、それは事実とは少しばかり異なる。本当はあえてそうしなかったのである。未然に決壊を防げていたはずなのに、自ら救済を拒んだのだ。「あの夜」とは違う。

 だけどもちろん、それについては言わない。あまりにも状況が込み合っているし、それを話すなら○○さんとの異常なる情事に関しても言及しなければならなくなる。上手く話せるとは思えなかったし、その辺の事情については秘匿しておきたかった。

「ずっと、我慢してて…」

 それは本当だ。私は『おしっこ』がしたかった。きちんと脱いでからすべき行為をショーツを穿いたままの状態でしたがったのだ。だけど、それについても言えない。

「どうしても我慢できなくて。それで…」

 その先はまさしく彼の言った通りだった。私は『失禁』をした。大学生にもなって二度も粗相をしてしまったのだ。


 ふと彼の様子を窺う。彼は何かを考え込むみたいに深く俯き、沈黙を貫いている。軽蔑しているのだろうか。あるいは己の予想が的中し、悦に浸っているのだろうか。

「じゃあ、あの日も…?」

 さらに彼の質問は、私の過去の過ちにさえ及ぶ。その確認こそが肝心なのだろう。彼自身が道を踏み外すことになった元凶。悪事に手を染めることになった犯行動機。それが果たして単なる見間違いによるものなのか、厳然たる現実によるものなのか。

 私は頷いた。もはや言い逃れは出来なかった。この期に及んで嘘を重ねたとして、恥の上塗りになることは避けられなかった。

「そうだよ。お姉ちゃんは、あの日も…」

 ついに私は自供する。彼が目撃した私。深夜の洗面台で下着を手洗いしていた私。不可解な行動のその真相を。

「ごめんね。嘘ついて…」

 虚言を吐くという倫理に背く行為を詫びる。だがそれは尊厳に関わる問題であり、あくまで免罪の余地はあるはずだ。私としても背に腹は代えられなかったのである。


「お姉ちゃんは、その…、よく『おもらし』しちゃうの?」

 度重なる疑惑が真実であると分かったところで、さらなる粗相の可能性についても彼は追求してくる。

「そんな、わけ…」

 すかさず私は常習を否定する。

「あの日と今日と、まだ二回だけ…」

 答えた直後に、「まだ」という副詞は不要であったことに気づく。それではまるで今後も繰り返すつもりみたいではないか。

「そうなんだ…」

 彼は素っ気なくそう言った。その反応はどことなく残念そうなものに感じられた。彼は一体、姉に対して何を期待しているのだろう。


「もしかしてお姉ちゃん、学校でいじめられてるの?」

 その発言は私にとって青天の霹靂だった。だけど質問の意味にすぐに思い当たる。

 彼としても、二十歳前の姉がそう何度も粗相するとは考えられなかったのだろう。だからこそ彼は、私の『失禁』の原因に何かしら不穏なものを感じ取ったのだろう。例えばそう誰かに、そう仕向けられたのだとか。

 彼の抱いた懸念はその半分は当たっている。確かに私はトイレを禁止されたことで醜態を晒す憂き目に遭った。あるいは悪意といえる企み。○○さんのせいで私は…。

 だけどそれは決して「いじめ」と呼ばれるような一方的な加害などではなかった。

 一度目の『おもらし』に関していえば、双方合意によるものではなかったけれど。今日に限っていえば、膀胱に尿意を抱えたまま自らの意思で彼の家を訪問したのだ。

「そんなんじゃないよ」

 私は答える。余計な心配を掛けまいと、ひとまず彼の推理を否定してみたものの。代替となるべく説明については何も用意していなかった。


――じゃあ何で、二回も『おもらし』しちゃったの?

 その先の彼からの問いは容易に想定される。他者による危害でないとするならば、一連の不始末の理由は私自身の個人的な事情になってしまう。

 日常的に尿道が緩いのか。あるいは特殊な性癖によるものか。そのどちらにせよ、羞恥な事実であることに違いなかった。

「――て、あげる」

 私の否定を肯定と誤解したらしく、彼は下を向いたまま消え入りそうな声で言う。彼の言葉が上手く聞き取れなかった。

「僕が、お姉ちゃんを守ってあげる!」

 今度こそ、はっきりとそう聞こえた。彼の発声は、決意と勇気に満ち満ちていた。

「もうお姉ちゃんが、外で恥ずかしい思いをしなくて済むように…」

――僕が、ちゃんと守ってあげる!!

 彼はそう言って私の上半身へと両手を回し、背中越しに抱き締めてきたのだった。


「えっ!?いや、その…」

 狼狽する私。なぜこんな展開になったのか、と。こんなつもりじゃなかった、と。弟による想定外の抱擁に動揺する。

――違うの。そんなんじゃなくて、お姉ちゃんはその…。

 今さら、本当のことなんて言えない。『おもらし』という行為自体に高揚を抱き、興奮を感じると共に私の中で好色が芽生え始めているなんて言えるはずもなかった。

 彼の体は小刻みに震えていた。あたかも己の不安な気持ちを吐き出すかのように。不安定な関係を繋ぎ止めようとするように。姉のことを引き留めようとするように。ぎこちないながらも精一杯に抱き締めていた。

「ありがとう、純君。でも、ちょっとだけ痛い…」

 私は苦笑気味にそう言った。すると彼はようやく抱擁を解いてくれた。そして…。


「僕が、お姉ちゃんを『慰めて』あげる!」

 立場を逆転したように言って、彼は再びその場にしゃがみ込む。その動作だけで、彼がこれから何をしようとしているのかを悟った。だけど不思議と抵抗はなかった。

――ムギュ…。

 純君は私のお尻にしがみつく。ショーツを穿いていない、「ノーパン」の生尻に。

――チュ…。

 純君は私のお尻にキスをする。柔らかく冷たい唇の感触。少しだけくすぐったい。

――ンチュ。ムチュ。ブチュ。

 純君は何度も何度も口づける。お尻の頬っぺたにそっと唇を這わせるかのように。やがて彼の口唇が温かく濡れる。

――ベロン。ペロペロ…。

 純君は舌を出して舐め始める。恥ずかしいような、照れ臭いような、そんな感覚。そうして彼が当然の如く、お尻の割れ目にも舌を這わせようとしてきたところで…。


「ダメ…。そんなとこ、汚いよ…」

 私は言う。不浄の恥穴を両手で覆い隠すことで、恥辱の継続に対する拒絶を示す。

「平気だよ」

 純君は言う。一体何が平気なのかも不明なまま、私の腕を掴んで優しく振り解く。

 尻肉を押し広げて、隠されていた尻穴に彼の舌先が触れる。電撃のような刺激に、ついつい卑猥な悲鳴が込み上げそうになるのを必死で堪えた。

 純君は丹念に肛門と付近を舐め回す。汚染されているかもしれない、その部分を。

――たぶん、大丈夫。

『うんち』は付いてないはずだ。それは数時間前の彼との情事からも明らかだった。それにしても、まさか一日に二度も男性にお尻の穴を舐められることになろうとは。しかもその内一人は弟という、異常な状況。正常な姉弟の関係性からは程遠い行為。


 純君から与えられる快感に身を委ねている。彼は私の腰をがっしりと掴んだまま、一心不乱に私の肛門を舐め続けている。まるでそれが彼の大好物であるかのように。

 必然的に私の肉体にある変化が訪れる。敏感な部分を舌で刺激されたことにより、またしても催してしまう。

「純君。ちょっと、ストップ…!!」

 彼の頭を手で押しのけようとする。その抵抗に、追体験のような既視感を覚えた。

――これじゃ、○○さんの時と…。

 羞恥の再来。私の大腸が秘めたる欲求を解放しようとしている。

――ダメ!!それ以上したら…。

 既知の危機を悟ったものの、やっぱり手遅れだった。次の瞬間。


――ブホォォォ!!!

 豪快な轟音を立てて、高圧力の温風が生み出される。肛門の咆哮。汚らしい擬音。

 またしても、やってしまった。今度は純君の目の前で『おなら』をしてしまった。お尻を刺激されたことへの反撃。条件反射的に、私の習性となりつつある『放屁』。

 私のすぐ後方にいた彼は『モロ屁』を浴びてしまう。きっととんでもない臭気に、意識さえも持っていかれそうになっていることだろう。予期せぬ驚天動地の攻撃に、理解すらも追いついていないことだろう。

「本当にごめん!!お姉ちゃん、その…」

 私はどう謝罪していいのかも分からなかった。純君は私を慰めてくれると言った。それが勘違いによるものだったとしても、その気持ちだけは本気であるらしかった。ただ少し方法を間違っている気もしたが、それでも甘んじて受け入れようと思った。

 だがそんな彼の厚意に対して私がした仕打ちは、あまりにあんまりなものだった。


「お姉ちゃんでも、やっぱり『おなら』はクサいんだね」

 純君は言った。アクシデントではなく、あくまでもハプニング。まるでちょっとしたサプライズであるかのように。

――やめて!!そんなこと言わないで…。

 弟に『おなら』を嗅がれて、凄く恥ずかしかった。その上感想を述べられるなど、顔から火が出そうだった。

 それでも。私は恥辱にまみれながらも、なぜか真逆の正の感情を抱き始めていた。それは加虐心ともいうべき、征服感にも似たものだった。


「純君、お姉ちゃんの『おなら』もっと嗅ぎたい?」

 私の口から予想外の言葉が飛び出す。

「えっ?うん…」

 純君は戸惑いながらも、そう答える。

「じゃあ、もう『一発』いくよ?」

 私は発射を警告する。お腹に力を込める。純君は再び顔を近づける。そして…。


――プスゥ~、ブピ!!!

 二度目の『放屁』。間延びした音と共に放たれた二撃目。今度は私自らの意思で、弟の顔面めがけて解き放つ。

――ゲホ、ゲホ…!!

 純君は激しくむせた。それでも彼は咳払いをした後、大きく息を吸い込んでから。

「お姉ちゃんの『おなら』食べちゃった」

 さも愉快そうに言う。最近、私の界隈ではその行為が流行りつつあるのだろうか。まるで流行語がぴたりと状況にハマったみたく、純君もまた彼と同じことを言った。私自身の羞恥の塊を「食べちゃった」と。

「もう!純君のヘンタイ!!」

 私は純君を罵倒する。だけどその言葉は本音でありながらも、本心ではなかった。ネガティブな言動とは裏腹に、ポジティブな感情が沸き上がってくるのが分かった。


「ねぇ、純君」

 姉にあるまじき、甘ったるい声で彼を誘う。

「お姉ちゃんの『ここ』も舐めて」

 脚を広げて、アソコを突き出す。ついに純潔の穴さえも純君に差し出してしまう。

「いいの…?」

 彼は訊いてくる。無理もないだろう、これまで頑なに棚上げしてきた場所なのだ。

 それでも。彼に「おあずけ」したことで、私の方が「おあずけ」を喰らっていた。まさしく「策士策に溺れる」というやつだ。

 私自身もう限界だった。火照りを鎮めないことには、今宵は眠れそうになかった。理性のタガがまた一つ、カチッと音を立てて外れるのが分かった。

――舐めてもらうだけ、それだけ…。

 言い訳しつつ、また一歩、譲歩する。あくまで挿入さえしなければ構わない、と。もはや私の倫理と論理は綻び、とっくに崩壊を始めていた。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/14 21:36

ちょっとイケないこと… 第十五話「厚意と行為」

(第十四話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/343506


 天井を突くように、天高く飛翔する龍が如く、真っ直ぐに屹立した棒。その麓にはやはりそれも弟の成長を立証するものなのだろうか、生えかけの陰毛が茂っている。

 私は、純君のペニスに愛おしさを覚えた。

 未成熟であるにも拘らず、それでも精一杯に背伸びしようとする一生懸命な姿に。ある種の共感さえも抱いた。それは私の「陥没乳首」にも共通するところがあった。

 だけど彼の勃起は私の乳首とは違い、外から力を加えずとも勝手に隆起している。

 あくまで興味本位で、純君のアソコを覆う余分な包皮を指で軽く引っ張ってみた。皮内で擦れる度に刺激が与えられるらしく、彼は目を閉じたまま、私にされるがままその攻撃に甘んじている。まるで弄ぶように、私はしばらくママゴト遊びを続けた。

「痛っ!!」

 突然、彼は短く叫声を上げる。少々、調子に乗り過ぎてしまったらしい。

「あっ、ごめん…」

 己の好奇心旺盛を詫びる。不勉強なせいか、イマイチどう扱うべきか分からない。それでも今や勤勉となりつつある私は、今一度だけ純君に最終確認をするのだった。


「今日だけ、だよ?」

 彼を諭す。そうすることで、自らにも言い聞かせるみたいに。言い訳するように。純君はこくりと頷いた。

「いい?今日のことは、誰にも言っちゃダメだからね?」

 釘を刺す。口止めを施し、口約束を交わす。純君はまたしても頷いた。

「わかった。じゃあ、お姉ちゃんが『してあげる』」

 可を示す。そんな卑猥な言葉が自分の口から発せられたこと自体、意外だった。

 ゆっくり上下運動を開始する。さきほど彼が衝動に駆られてそうしていたように、今度は私の主導により弟を受動的な快楽へと誘導する。

 皮がずれたことで、可愛らしい彼の先っちょが亀の如く、ひょっこりと顔を出す。鮮やかなピンク色をした亀頭。すでにズボンもトランクスも脱ぎ去ったというのに、これまで日光を浴びることのなかったそこがようやく日の目を見る。

 棒を掴んだまま指を伸ばし先端に触れる。その瞬間、純君の体がびくんと跳ねた。痛かったのだろうか。だが彼は何も言わず、私にさらなる要求をしてくるのだった。


「ねえ、口でして」

 純君は言う。どこでそんな台詞を覚えてきたのだろう。弟の早熟さが心配になる。いつか恋人にも平気で同じことを頼むのではないか、と。

「だめ」

 純君からの申し出を一度は断った。だけどその「断り」からも垣間見えるように、やがてすぐに理から外れてしまうのだった。

「お願い!お姉ちゃん…」

 今日だけだから、と純君は言う。私が一方的に交わしただけの約束を逆手に取る。彼と視線が交錯する。悲痛が込められたようなその表情に、あえなく私は陥落した。

「しょうがないな…」

 一体何に対する譲歩なのかも不明なまま、彼の「一生のお願い」を聞いてあげる。純君の股間に一心に顔を近づけ、一瞬ばかり焦らしたのち、そこから一気に頬張る。


 口の中が純君のアソコで満たされる。

 いや、満たすには程遠い。陰茎を丸ごと含んで尚、口内には幾分かの余裕がある。やはり○○さんのモノとは違う。彼のは咥えるだけで精一杯だった。

 純君のペニスは複雑な味がした。全ての絵具を混ぜ合わせた色が黒になるように、あらゆる味覚が混ざり合った結果がその苦みだった。

――何の味だろう?

 合体を期待して滲み出した液体。挿入に先走ることで迸った汁なのかもしれない。あるいは包皮の内側に残った『おしっこ』だろうか。だとしたら私の『おしっこ』もこんな味がするのだろうか。

 匂いについても、イカしたものではなかった。青臭さの奥底にある「イカ臭さ」。嗅覚がイカレてしまいそうなほどの異臭。それは紛れもなく「恥垢」によるものだ。

 彼はきちんと洗えていないのだろう。そんな状態のまま女性に咥えさせるなんて、それこそマナー違反もいいところだ。仮にもそれが愛すべき弟のものでなかったら、私はすぐさま嘔吐していたことだろう。


 だけど姉である私はそんな弟の不始末さえも受け入れる。ヌルヌルとした舌触り。込み上げる臭気と苦味。吐き気を催すような不快さえも余すところなく受け止める。

 不衛生なペニスの周囲にこびりついた、熟成されたチーズのような濃厚な味わい。彼の不浄なアソコを私がきれいにしてあげている。舌先で「チンカス」を舐め取り、同時に快楽を与え続けている。

 座位の姿勢のまま「気をつけ」するみたいに私の口の動きに身を委ねていた彼は、そこで自らの意思をもってさらなる触手を伸ばすのだった。

 彼の手が私の髪に触れる。かつて弟にそうしていたように。なでなでするように。だけど純君の手はそれだけに留まらなかった。

 彼の手が私の背をなぞる。ゆっくりと弧を描くように。姉のことを褒めるように。そして純君の手がついに私の腰の辺りに迫ったところで。

「ふぁめふぁよ(ダメだよ)」

 声で彼を抑止するも。お口に咥えたままだったので、ヘンな言葉になってしまう。


 歪曲された響きのみならず、この期に及んで拒否する滑稽さは重々承知している。

 私が触れたり舐めたりする分には良くて、どうして彼が触れるのはダメなのかと。だけどこれは私にしか分からない、微妙なラインなのだ。

 私から快楽を与えるのは許可するけれど、彼から与えられるのは如何なものかと。それはもはや双方向の愛撫となり、直接的な性行為としての意味合いを帯びてくる。それはイケないことなのだ。

 あくまで一方的にという条件付きで、さらに今夜だけという期限付きでなければ。それは私が自らに課した制限であり、決して譲ることのできない防衛線でもあった。

 確固たる態度が功を奏したのか、彼は伸ばした手を引っ込めた。与えられる刺激、それのみに集中するつもりらしい。だがそれだって多くの一線を越えたものなのだ。

「お姉ちゃん、気持ちいいよ…」

 彼は呟く。それは率直な感想でありながらも、続く懇願への伏線にも感じられた。


「ねえ、お姉ちゃんが今穿いてる『パンツ』見せて」

 案の定、彼は次なるサービスを要求してくる。

「ダメだよ」

 さきほどの反省もあって股間から一旦口を離し、口淫を中断してから私は言う。

「どうして?」

 彼は不満そうに訊き返す。ここまでしてくれておいて、どうしてダメなのかと。

「ダメなものはダメ!」

 当たり前だ。そんなことできるはずがない。これ以上彼に褒美を与えることなど、しかもそれが「姉の下着」によるものなど、絶対ダメに決まっている。

 もし仮に私が今ここでショーツを見せたりすれば、きっと彼は抜け出せなくなる。「姉に対する劣情」という名の呪縛から、永久に解き放たれることができなくなる。

 彼は今後も私のショーツを出来合いのおかずにし続け、それだけでは飽き足らず、またしても私の秘密を知ろうと企むかもしれない。


 それに。私は思い出す。私が現状抱えている秘密を。すっかり忘却していた記憶を。アソコがスースーする感触を取り戻す。私が今現在「穿いていない」という事実を。

 そうだ。私は「ノーパン」なのだ。

 どうしてそうなってしまったのかについては、今さら説明する必要もないだろう。私は粗相によりショーツを脱がなければならない苦境に追い込まれてしまったのだ。

 奇しくも、あの夜と同じ状況。彼が目撃し、彼の性癖を歪めてしまったその元凶。あるいは今の私は、あの夜と地続きの延長線上にいるのかもしれない。

 そもそも、こんな状態のまま弟の部屋を訪ねてきたこと自体が間違いだったのだ。真面目な姉が今「ノーパン」であろうことなど、まさか純君は知る由もないだろう。だからこそ本来そこに穿いているべきものを彼は「見せて」と言ってきたのだろう。

 だが生憎そうすることはできない。もちろん最初からそのつもりは無いのだけど、どうしたって見せてあげることはできない。

 彼が息を呑んで凝視した先に、私の下着はないのだ。そこにあるのは――。


 私の「オマ〇コ」。(〇の位置はこれで合っているのだろうか)


 紛れもない、姉の陰部である。まだ一人だけにしか見せたことのない、私の秘部。それを二人目に、あろうことか弟の眼前に晒すことになる。

 純君はそれを見て、何を思うだろう。彼だってまだ一度もその経験はないはずだ。彼にとっての初見、それがまさか姉の股間になるなんて予感すらしていないだろう。

 自分が穿いていないことを意識したせいか、ふいに私のアソコが熱を帯び始める。

 純君のペニスに触れたせいかもしれない。触れるだけではなく、咥えもしたのだ。いくら弟のものとはいえ、それはれっきとした男性の部分。脳機能が誤作動を起し、体が勝手に反応してしまったのかもしれない。

 ショーツを穿いていたなら、クロッチ部分に盛大なシミが出来ていたことだろう。『おしっこ』とは違う液体。より粘着性を帯びながらも、同じくらいに羞恥な痕跡。『おもらし』と見紛うほどの量が。

 幸い、ショーパンの厚い生地のおかげで外部から内情を窺い知ることはできない。だけどもし触れられでもしたなら、濡れたヴァギナは確実に音を上げることだろう。甘美に満ちた淫靡な悲鳴は、彼に余計な期待を抱かせる要因にもなりかねない。


「お願い!今日だけでいいから」

 尚も純君は食い下がる。相変わらず「今日だけ」という定型句ばかりを繰り返す。それで私の方が引き下がるとでも思い込んでいるのだろうか。だとしたら甘すぎる。いや、そんな風に彼を甘やかしたのは私なのかもしれない。

 だけど、こればっかりはいくら頼まれようともダメだ。そこに譲歩の余地はない。「一度見せてくれたら、それで終わり」と彼は言うかもしれない。だけど見せたら、それで全てが終わってしまうのだ。

「あと、もう少し…。もうちょっとなんだよ…」

 決死の懇願に、私の決心が一瞬揺らぎそうになる。もしちゃんと穿いていたなら、それを見せてもいいというくらいに。だけどそれが出来ないのだ。

 純君に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら。せめてもの償いとして、彼のペニスに集中する。出来るだけのことをしてあげたい、と行為に本気を出す。

 あくまで純君のために出来る限りのことをする。そんな私の覚悟さえ知らずに…。


「なんか…お姉ちゃんの、あんまり気持ち良くない…」

 あろうことか、彼はそんな感想を口走った。

――何様のつもりなのか!

 私は怒りを覚えた。そりゃ確かに私が経験不足であることは間違いないだろうが。それだってもう少し言い様があるだろう。

 私の行為は否定された。好意による厚意さえも真っ向から全否定されたのだった。私の「フェラチオ」が下手くそだから、そんなんじゃイケないのだと純君は言った。その指摘には、私が処女であるという私的な事実さえも含まれているように感じた。

 私は泣きそうになる。中学生の弟すら射精させてあげられない己の不甲斐なさに。

 まるで憑き物が落ちたみたいに、たちまち私は落ち着いた心持ちになるのだった。彼のアソコから口を離す。それ以上、その行為を続けることに無為さを感じた。

 床に散らばった衣類を拾って、彼に履かせる。彼のペニスを元通りに仕舞い込む。彼は意味不明のまま一瞬だけ抵抗を試みたけれど、最終的には姉である私に従った。

 弟にズボンと下着を履かせるという行為に、私は在りし日の姉弟の面影を重ねた。だけどそれは遥か遠くの記憶にも感じられた。


 私は腰を上げた。彼に背を向けて、大股で出口へと向かう。

「えっ?どうしたの…?」

 彼は戸惑いながら訊いてきた。私は答えなかった。

「もう、終わりなの…?」

 彼は不服そうに言った。その通りだ。私の超法規的措置はここで打ち止めなのだ。

「そんな…」

 彼は残念そうに呟いた。哀しそうな、淋しそうな声音が背中越しに伝わってくる。それでも私は振り返るつもりはなかった。

 全ては自業自得なのだ。彼があんなことを言わなければ。欲張りさえしなければ。彼は無事に果てることが出来たかもしれないのに。それを拒んだのは彼の方なのだ。

 昔、彼に読んであげていた童謡。その劇中に登場する多くの強欲者と同様の末路。彼は一体そこから何を学んだのだろう。

 あるいはこれで良かったのかもしれない。私は寸でのところで踏み止まれたのだ。すでに幾つもの一線は越えていたけれど、それでもまだ私は戻ることができたのだ。

 彼を置き去りにして、ドアノブに手を掛ける。あと一歩、これで本当にお仕舞い。ようやく私は非日常から日常へと還ることができる。

「おやすみ」

 この夜を終わらせる締めの一言を添える。彼を見ずに。彼の姿を視界に捉えずに。

 だからこそ私は気づくことが出来ないでいた。彼が現状どんな心境でいるのかを。いかなる衝動に襲われていたのかも。何をしようとしているのかさえ知らなかった。


――!!!???


 ふいに、お尻がスースーするのを感じた。下着を穿いていないからではなかった。本当に「何も穿いていない」みたいだった。

 私はショーパンを脱がされ、純君の眼前に「ノーパン」の下半身を晒していた。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/13 02:36

ちょっとイケないこと… 第十四話「大人と子供」

(第十三話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/335892


 純君のアソコは膨張していた。パジャマのそこだけテントを張っているみたいに、はっきりと雌雄を主張していた。

 彼の紛れもない欲情の象徴に私は動揺する。頬を紅潮させたまま硬直してしまう。ついこの間まで小学生だと思っていた弟の目覚ましい成長の兆候を直視したことで、未熟な姉である不肖の私は目の前の現実を上手く受け止めることが出来ないでいた。

 あるいは何かの見間違いかと。ズボンに皺が寄ることで偶々そう見えただけだと。あえて見当違いな検討をすることで、あくまでも正答から遠ざかろうと試みる。

 だけど現に彼は自問について言及し、元気におちんちんをギンギンにさせていた。さも準備万端であるというように。禁忌たる近親間における相姦を懇願するように。

 悪寒にも似た予感を抱きながらも視線は自然と股間を視姦する。丘陵の強調というあからさまな現象にあてられて、脳漿に浮かんだのはありきたりな感情だけだった。

――純君も、大人になったんだね。

 思わず場違いな感傷に浸ってしまう。間抜けな感想。そこに感慨を抱くこと自体がそもそも間違いであるというのにも拘らず、ついつい埒外なお節介を焼いてしまう。


 肉体自体の堂々たる態度とは対照的に、彼自身は自信無さげにおどおどしている。そしてもう一度、彼は私に訊いてきた。

「僕、おかしいのかな…?」

 と。病むべき闇を抱えたままの彼の疾しい悩みを。

――そんなことないよ!

 すぐにでも払拭してあげたかった。それは男性に備わっている生命機能であって、生殖本能によるものに過ぎないのだと。

 だけど問題は、その発情が果たして何によってもたらされたものであるかだった。

 仮に女子の下着への執着なのだとしたら、あくまで正常な反応なのかもしれない。だけど彼が欲望をむき出しにしているのは、他ならぬ「姉の下着」に対してなのだ。それはあまりにも異常である気がする。明らかに常識を外れて、常軌を逸している。

「お姉ちゃんのことを考えると、ここが硬くなっちゃうんだ…」

 すかさず彼は告白する。私に対する劣情なのだと、そう自供する。


 姉としてはやはり忠告すべきなのだろう。その現象ではなく、その対象について。断固として私は警告を発すべきなのだろう。

「ねえ、僕『ビョーキ』なのかな?」

 弱気な声で問う彼に対して。「そんなことも知らないの?」と訊き返したくなる。あるいは知っている上で、あえてとぼけているのかもしれない。

「病気なんかじゃ…(ないと思うよ)」

 私は否定を保留する。断定を避けることで、それ以上の追求を逃れようと考える。

「でも、すごく苦しいんだ…」

 彼は悩みをより具体的な苦しみとして表わす。それこそ私の知ったことではない。そういうことは私にではなく、仲の良い友人や未来の恋人にでも打ち明けるべきだ。(それはそれで少し淋しい気もしたが)

「なんか、すごく落ち着かなくて…」

 まるで焦燥に駆られたかのように。そこで彼は暴走を始めた。


 純君はあろうことか、ズボンの上から自分の股間を弄り出したのだった。

 彼の小さな手が陰部をまさぐる。浮き上がった陰影越しに陰茎を掴んで手淫する。

――自らの、自らによる、自らのための行い。

 性の知識もままならぬ癖に、どうすれば気持ちよくなれるかは心得ているらしい。だとしてもそれは私が居なくなってから、部屋で一人になってからするべきことだ。

「もう、やめなさい!!」

 私は強い口調で制止を要求する。彼は萎縮したように静止した。

「そんなことしないで。お願いだから…」

 一転して気弱な声音で私は言う。これ以上、純君のそんな姿を見たくはなかった。このままでは彼のことを本当に軽蔑してしまいそうだった。

「どうして?」

 私の願望に対し彼は理由を問い、返答を待つことなく右手による運動を開始する。あたかもその動きが、最も効果的に刺激を与えられることを熟知しているみたいに。


 私は彼の元に近づく。ドタドタと怒情を歩調に込め、彼が座るベッドに詰め寄る。そして、捻り上げるように彼の利き腕を掴んだ。

 彼のか細い腕の感触が伝わってくる。未だ異性にも及ばない非力さが感じ取れる。

「やめなさい」

 もう一度、今度は抑えた調子で言う。正面から彼を見据えて、目を逸らさずに。

「純君」

 彼の名を呼ぶ。ゆっくりと確かめるみたいに。じっくりと言い聞かせるみたいに。それ以上、何も言わずとも伝わることを願って。

 だけど彼は私の手を振り払った。強引にも、暴力的ながら。それはもはや強靭な、確実な男性の力であった。

 私は困惑する。彼が、弟が、純君が、姉の言うことを聞き入れてくれない状況に。

 彼は再び股間に手を伸ばす。行為を再開するためではなく、予想外の行動に出た。


 純君はパジャマのズボンを脱いだ。さらにパンツまでも同時に下ろしたのだった。

「ポロン」と可愛らしい擬音で彼のそれが飛び出す。これまで影だけは浮かびつつも隠されていた物体がついに正体を現す。

 それは純君の「おちんちん」だった。

 ふと既視感に襲われる。私の人生においてあまり目にしたことのない男性のそこ。だけど純君のならば何度も見たことがあった。

 彼が幼少の頃、よく一緒にお風呂に入っていた。その時に見た、弟のおちんちん。

 私はそれを見て、もちろん何の感慨も抱くことはなかった。あくまで飾りとして、弟の股の間にぶら下がったそれ。せいぜい私の人差指くらいのサイズしかない一物。幼いのに一丁前に性別を識別する記号に愛おしさを覚えた。


 だけど今目の前にあるそれは、その頃のものとは明らかに異なっている。

 まず大きさが違う。変貌した彼のアソコは今や私の三本指にも迫ろうとしている。そして形状。それは単に飾りとしてではなく、れっきとした男性器の形をしている。

 純君のそれはすでに「大人のおちんちん」だった。

 いや「チンコ」というべきだろう。その醜悪な物体は愛らしい響きで呼ぶことさえもはや憚られた。より正式に言ったところの「ペニス」である。

「お姉ちゃん…」

 彼は私を呼ぶ。アソコを握り締めたまま、まるで呼称すらも滋養に変えるかの如く私を見つめたまま行為を続ける。

 私が見ていることを知ってか知らずか、彼は丸出しになったペニスに手を添える。片手で隠し切れないそれを両手で覆い、やがてしごき始めた。

 直接手で触れることがよほどの快感なのだろう。「あぁ…」とか「うぅ…」など、彼は声にならない吐息を漏らす。私はそれを見守ることしかできなかった。


――もういっそ、このまま最後まですればいい。

 私は諦め交じりに呆れながらもそう思った。

 精を尽くして盛大に精液を解き放ったのなら、きっと彼も沈静化することだろう。一時の威勢に身を委ねて、束の間の達成と引き換えに、直後の自省に苛まれたとして決して私のせいではない。

 出したいなら出せばいい。気の向くまま、気の済むまで。心のまま、心ゆくまで。

「お姉ちゃん…」

 それでも彼は私を呼んだ。淋しげな顔で、すがりつくような目で、媚びるみたいに情けない声を上げた。

 私はそれに応えるつもりはなかった。もうとっくに姉としての領分を過ぎている。彼を弟として見ることが今後一切できないかもしれない。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん…」

 彼はきつく目を閉じたまま、うわ言のように繰り返す。果たしてその瞼の裏側ではどんな想像が繰り広げられているのだろう。私は知りたくもなかった。だけど…。

「お姉ちゃん…大好き!!」

 そこで追い詰められたように。彼は私に対する想いを打ち明けたのだった。

 どうしてだろう?あんなに嫌悪し掛けていたというのに。彼からそう言われると、甘露に満ちた私はつい反応してしまう。火の消えた暖炉に薪がくべられるかの如く、冷え切った心の温度が上昇してしまう。そうして私はいつの間にか彼のことを許し、いつでも彼の言いなりになってしまう。

 そうだ、純君には私しかいないのだ。誰にも言えない秘密を話すことが出来るのは姉である私を置いて他にいないのだろう。

 思春期に訪れる肉体の変化。それに伴う感情の機微。それは個人的なものであり、大いに個人差のあるものでありながら、どうしたって同年代の者達と比べてしまう。自分は早すぎるのか、あるいは遅すぎるのか、どちらにせよ異質だと感じてしまう。私にもある経験だった。というより私自身、現在進行形で抱えている悩みであった。


 その時の私はおかしかったのかもしれない。後になって振り返ると、そう思う。

 今夜はあまりに多くのことが起きた。彼の家でしたこと。家に帰って知ったこと。それらの出来事が重なり合うことで、私は少なからず冷静さを欠いていたのだろう。

 私は純君のペニスにこっそりと触れた。私の手が彼のペニスをがっしりと掴んだ。私の指が彼のペニスをすっぽりと包んだ。

 そうすることが紛れもない過ちだったことは今さら言うまでもない。だけどそれは今も私の間近にあり続け、さも私の手が差し伸べられるのを待っているようだった。間違いを○すことが、あたかも正しいことであるかのような誤解を抱いてしまった。

 純君のペニスは不思議な感触をしていた。まるで鉄みたくカチカチになったそれ。血流が集中することで剛強を増したそれは、だが少しばかりの柔弱を内包していた。

 硬いようで柔らかい。柔らかいようでやっぱり硬い。矛盾するようなその感触は、それこそが彼自身の不安定な居場所を表わしているみたいだった。

 大人と子供の境界線。そのモラトリアムな立ち位置で迷い、彷徨い続ける彼の心。時に「もう子供じゃない」と宣い、時に「まだ大人じゃない」と駄々をこねるように都合よく両者を行き来できる存在。それこそが彼の現在の所在なのだろう。


 私は純君のペニスを観察した。こうして見ると、彼のそれは頼りなさげに思えた。成人男性のそれと比較してみる。だけど私の知るそれは数時間前の記憶のみだった。

 私が今のところ知り得る、唯一の一本。それはまさしく○○さんのものであった。彼のそれと純君のそれとは、大きく違っている。

 まず凶暴さが足りない。彼の肉棒には女性を○すという傍若無人ぶりが窺われた。純君の珍宝にそれはない。ただただ呆然と自己の欲望を満たそうとするのみだった。

 実際、長さも太さも彼のとはあまりに異なる。彼のモノに触れ、彼のモノを咥え、彼のモノを挿入されたからこそ分かる。彼のそれは私の性器を征服するのには充分、あるいは余りあるほどのものだった。(彼が射精したのは私の非正規の穴だったが)

 それに形だって違う。私はさきほど純君のを「大人のおちんちん」と形容したが、そう呼ぶにはいささか無理があった。彼のそれは「子供のおちんちん」なのだった。

 純君は「剥けて」いなかった。

 いや、それを言うのはちょっぴり可哀想かもしれない。彼は未だ成長途上なのだ。今後少しずつ変化していくのだろう。だけど彼のそれは、現時点では不完全だった。

 未成熟の子供チンポ。皮被りの包茎ペニス。それが純君の性器の現在の姿だった。


――続く――

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