ちょっとイケないこと… 第十七話「6と9」
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純君は再び後方から顔を近づける。だけど今回ばかりは不浄な恥穴の方ではなく、純潔なる秘穴を彼は目指すのだった。
純君は舐め始める。鼻先を股の間に突っ込んで、彼の舌先が私の割れ目をなぞる。
全身に走るビリビリとした快楽の電流と同時に、少なからず理性の抵抗を感じる。
だがそれすらも抑圧された性欲という電圧の前では、もはや無抵抗にも等しかった。
純君は舐め続ける。まるで主人にじゃれつく子犬みたく、舌での愛撫を継続する。
とてもじゃないけれど、まだ中学生の彼に覚えさせるようなことではないだろう。あまりに時期尚早というか早熟にも程がある。それでも私の焦燥は収まらなかった。己の快楽のために弟を利用するイケない姉。それこそが私の本性であるかのように。
それにしても。純君と○○さんの「クンニ」には、やはりいくらかの違いがある。純君の舐め方にはただ夢中さを感じ、彼のそれには余裕のようなものが感じられた。弟の未熟さを嗤うつもりはない。むしろ今ばかりは純君の方が適当である気もした。
「童貞ゆえの必死さ」というやつだろうか。私だって人のことは言えないのだけど。純君のがむしゃらさは、処女である私をガチガチに捕えて雁字搦めにするのだった。
――そこ、ちょっと違う。もう少し…。あぁ、そこ!!もっと…。
私の意思とは相反し、思い通りにならぬ舌使い。届きそうで届かぬ、もどかしさ。
本当ならばあれこれと指示を出して純君を誘導したいところだが、そうはしない。あくまでも彼に全てを委ねることにする。あるいはこれも教育の一環なのだろうか。自分自身で選択して傾向と対策を会得させることで、弟の成長を見守ることにする。
――そうそう!!そこだよ。お姉ちゃんは、そこが気持ちいいの!!
私は心中で的中を告げる。口に出さない代わりに、肉体がビクビクと反応を示す。脚がガクガクと震えて、お尻が突き出されることで、さらに敏感な部分に命中する。
「ダメ!お姉ちゃん、イっちゃいそう…!!」
私は絶頂を予告する。もう間もなく、その感覚が来訪しそうになったところで…。
「えっ…?」
唐突に彼の愛撫が中断される。同時にせっかく高まった快楽の潮流が引いてゆく。
「どうしたの…?」
私は怪訝に思いながらも純君に問う。彼の機嫌を損ねる発言でもあったのか、と。
「どうして、止めちゃうの…?」
不安を感じつつも純君に訊く。彼を幻滅させる何かが現実に引き戻したのか、と。
「さっきの『お返し』だよ」
悪戯っぽい口調で彼は言う。私がさっき途中で止めたのを根に持っているらしい。
だけど、あれは純君がイケないのだ。私の厚意による行為を「気持ち良くない」と言い切ったのは彼の方なのだ。
それでも、やっぱり申し訳なかったとは思う。「おあずけ」にされるというのは、こんなにも辛く苦しいものなのだと私は知った。
「お姉ちゃんのこと、ちゃんとイかせて!!ね?ね?」
私は恥を捨てて、純君に「おねだり」する。お尻を振りながら、弟に媚びを売る。
「だ~め」
尚も意地悪そうに純君は言う。
「じゃあ、もう寝よっか?」
ここぞとばかりに彼は告げる。「おやすみ」と。先刻の挨拶に応答するみたいに。いくら因果応報とはいえ、私は殴打したくなる。だがその感情をぐっと堪えながら。
「お姉ちゃんが悪かったから!!だから、お願い…」
自己の不履行を詫びた上で、彼に許しを請う。
「もうちょっと、なの…。だから、お姉ちゃんの『オマ○コ』舐めて!!」
わびさびの情緒もなく、満を持して陳情する。
「じゃあ、僕のも舐めてくれる?」
そこで純君は交換条件を出す。私はブンブンと頷き、彼の提案を飲むことにした。
室内を逆戻りして、純君はベッドに仰向けになる。彼の上に私は反対向きで跨る。まるで数字の「6」と「9」のように。だがその比喩はあまりにも陳腐な形容だった。
純君のズボンを下ろす。脱がす前からすでに彼のそこがはちきれんばかりに固く、大きくなっているのが分かる。ひどく窮屈そうに衣服からの解放を待ちわびている。
純君のペニスが勢いよく飛び出す。大人になりきれていない皮被りのおちんちん。またしてもそれを口に咥える。まるで愛着のある玩具を口に入れる乳幼児のように。
純君のアソコの蒸れたような香り。私の唾液の乾いた匂いをわずかに含んでいる。それを自ら舐め取るみたいに、私は呼吸すらも忘れてただただ夢中でしゃぶりつく。
他ならぬ弟から経験不足を指摘されたことで、一度は自信を喪失し掛けたものの。それでも今ばかりは余計な思考を停止して、趣向を凝らして、試行錯誤を繰り返す。
「お姉ちゃん、すごく気持ちいい…」
純君は言う。心の底から充足しているみたいに。私は姉としての人権を取り戻す。
――ブチュ!チュロロ…。チュパッ!!
卑猥な音色が室内に響き渡る。私の口と純君の陰茎が淫靡なハーモニーを奏でる。
真夜中に行われる、不純異性交遊。姉弟によって演じられる、狂騒じみた協奏曲。今もし両親が部屋に入ってきたとしたら、どのような言い逃れも許されないだろう。協調する我が子を見て彼らはどんな顔をするだろう。それについては考えたくない。だけどリスクを○す綱渡りの状況が私自身をさらに昂らせ、より貪欲にさせてゆく。
「ねぇ、早く…。お姉ちゃんのも舐めて」
自暴自棄になりながら愛撫を請う。自分の指でアソコを開いて、ここだと教える。
純君の呼吸が荒くなる。私の口淫によるものか、彼自身の興奮によるものなのか、おそらくその両方だろう。
私の呼吸も荒くなる。吐息が当たることで、愛液が潤滑油の如く次々と溢れ出す。
――ピチュ!チュピチュピ…。ズボッ!!!
不意に純君は指による愛撫を始める。さらにそれを膣内に挿入してくるのだった。
「あぅ…!!」
私は思わず甘い声で喘いでしまう。まるで子供のペニスを思わせるような細い指。彼はそれを出し入れしたり、中で動かしてみたりする。一本で十分に解し終えると、続いて二本三本と加えられ、徐々に太さと速さを増してゆく。
「純君、気持ちいいよ…」
お返しとばかりに私は呟く。さらに言動だけでなく、行動によってもそれを返す。
ベッドに両手を付き、頭を上下させることで刺激を加える。舌を使い、唇を用いて間断なく快感を与える。激しい動きによって、ベッドがギシギシと軋む音を立てる。
「ねぇ、お姉ちゃん。やっぱり僕…」
そこで純君は、またしても苦しそうに呟く。
「お姉ちゃんの『中』に入れたい…」
あろうことか彼は、ペニスによる挿入を要求してくるのだった。
「それだけはダメ…!!」
断固として私は拒絶する。それだけは絶対に。いかに勢いに身を任せたとしても、すでに幾つもの倫理を失くしたとしても、その一戦だけは越えるわけにはいかない。その防衛線だけが、とっくに異常である姉弟の関係性を唯一正常に留めているのだ。
「ちゃんと最後まで口でしてあげるから」
その言葉は純君に向けたものでありながらも、私自身に対してのものでもあった。
――私だって…。
仮に相手が弟でなければ、私自ら懇願していたことだろう。だが肉親である以上、それは出来ないのだ。私が処女であるとか関係なく、たとえ何度目の行為だろうと、いかに経験豊富を求めていたとしても、その経験だけは一生してはならないのだ。
純君だって分かっているはずだ。だけど分かっていても、ツラいのは理解できる。だからこそ私は出来るだけのことをしてあげたいと思った。口を膣の代わりにして、今度こそ彼を射精に導いてあげたいとそう思った。
「もうちょっと、なんだ。もうちょっとで…」
それでも純君はまだ足りないと言う。私の「フェラ」だけでは物足りないのだと。
だがそう言われたところでどうすればいいのか。いかに経験が足りないとしても、今の私に出来るのはこれが精一杯なのだ。
「お姉ちゃん、『エッチなこと』言って…」
純君は思わぬ要求をしてくる。口淫でイケないのだったら、かくなる上は言葉で。本来、口とは食事のためともう一つ重要な役割がある。それはつまり伝達の機能だ。
挿入が無理なら想像で。想像だけなら、いくら飛躍したところで構わないだろう。
「お姉ちゃんの『オマ○コ』に、純君の『おちんちん』が入っちゃうよ?」
ありもしない空想を、あり得るはずもない状況を、さも現実の如く私は実況する。
「ほら?お姉ちゃんの『オマ○コ』、あったかい?」
口内を膣内に見立てて幻想を生み出す。唾液を愛液であるかのように錯覚させる。彼が姉に求める「エッチなこと」というのは、果たしてこういうことなのだろうか。
「うん…。でも、そうじゃなくて」
純君は遠慮がちに言う。どうやら違ったらしい。予想外の不正解に私は赤面する。
「お姉ちゃん。『おもらし』した時、どんな感じだったの…?」
なるほど、そういうことか。やはり彼は姉の羞恥の失敗にこそ興味があるらしい。
「すごく、恥ずかしかったよ…」
私は答える。出来れば、その事実に関してはそっとしておいて欲しかったけれど。それで純君が満足するならば、と。私は粗相の詳細について正直に語ることにした。
「情けなくて。もう大人なのに…、って」
彼は沈黙のまま私の告白を聞く。昔読んであげた童謡の結末を待ちわびるように。
「『あっ』って思った時にはもう遅くて…。ショーツの中が急に温かくなって…」
私は回想する。○○さんと二人だけの秘密を、包み隠すことなく弟に打ち明ける。
「『おしっこ』が、どんどん溢れてきちゃって…。全然止まってくれなくて…」
「そんなに出ちゃったの?」
そこで初めて純君は口を挟んだ。
「うん…。こんなに溜まってたんだって…」
便器内でする時はそうでもないのに。床に広がる『尿』はあまりにも大量だった。
「音は?どんな感じ?」
「えっ…?『じょわ~』って感じ?」
まさか音についてまで描写させられるとは。私はやや照れ臭くも擬音で表現する。
「に、匂いは…?」
「えっ?そりゃ、クサかったよ。ほら、理科の実験の時のアンモニア臭ってやつ?」
あり得ないほどの羞恥をごまかすように、おどけた口調で私は言う。
「お姉ちゃんの『おしっこ』の匂い…」
ゆっくりと咀嚼するみたく純君は呟く。そしてついに辛抱堪らなくなったらしく、自分の手で勃起したおちんちんをしごき始める。私の口に当たるのもお構いなしに、むしろ私の口の動きが休止しているからこそ、自分自身で射精に導こうとしている。
「お姉ちゃんのここ、ちょっと『おしっこ』の匂いがする…」
私の股間を嗅ぎながら純君は言う。そんなはずはない。ちゃんと洗ったのだから。あるいはそれすらも彼の想像の産物であり、姉に対して思い描く偶像なのだろうか。
「やめて、嗅がないで!恥ずかしいよ…」
彼の妄想に付き合ってやることにする。『おしっこ』まみれの股間を嗅がれているという状況を創造する。それは私自身にとっても、とても高揚する想像なのだった。
「だめ!お姉ちゃんの『おもらしマ○コ』舐めちゃだめ!!」
「クサイ」と言いながらも純君は構わず舐め回す。架空の『尿』を舐め取るように。だが与えられる快楽は紛れもなく現実であり、本当に私はやや催してくるのだった。
「そんなに舐めたら、お姉ちゃんまた出ちゃいそうだよ…」
私は尿意を訴える。その要請により彼の陰茎が射精の態勢を整えたのが分かった。
「いいよ。僕の顔の上で『おもらし』して!!」
純君は言う。まるで自分の顔面が便器であるかの如く、私の『排尿』を許諾する。
「でも、純君の顔に掛かっちゃう…」
私は最後の言い訳をした。あくまでも自分の意思ではなく仕方なかったのだ、と。この期に及んでも誰かのせいにする私は、救いようのない卑怯者なのかもしれない。
「いいよ。お姉ちゃんの『おしっこ』、いっぱいかけて!!」
純君は覚悟を決めたらしい。私は下腹部に力を込める。いくら催してきたとはいえ膀胱の『尿』の貯蔵量は少しばかりで、そうでもしないと出てくれそうになかった。
「実は、僕…」
そこで純君は。私から何ら追及されていないのに、唐突に自供を始めるのだった。
――続く――