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フェラの記事 (2)

おかず味噌 2020/07/16 22:55

ちょっとイケないこと… 第十七話「6と9」

(第十六話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344422


 純君は再び後方から顔を近づける。だけど今回ばかりは不浄な恥穴の方ではなく、純潔なる秘穴を彼は目指すのだった。

 純君は舐め始める。鼻先を股の間に突っ込んで、彼の舌先が私の割れ目をなぞる。

 全身に走るビリビリとした快楽の電流と同時に、少なからず理性の抵抗を感じる。
だがそれすらも抑圧された性欲という電圧の前では、もはや無抵抗にも等しかった。

 純君は舐め続ける。まるで主人にじゃれつく子犬みたく、舌での愛撫を継続する。

 とてもじゃないけれど、まだ中学生の彼に覚えさせるようなことではないだろう。あまりに時期尚早というか早熟にも程がある。それでも私の焦燥は収まらなかった。己の快楽のために弟を利用するイケない姉。それこそが私の本性であるかのように。

 それにしても。純君と○○さんの「クンニ」には、やはりいくらかの違いがある。純君の舐め方にはただ夢中さを感じ、彼のそれには余裕のようなものが感じられた。弟の未熟さを嗤うつもりはない。むしろ今ばかりは純君の方が適当である気もした。

「童貞ゆえの必死さ」というやつだろうか。私だって人のことは言えないのだけど。純君のがむしゃらさは、処女である私をガチガチに捕えて雁字搦めにするのだった。


――そこ、ちょっと違う。もう少し…。あぁ、そこ!!もっと…。

 私の意思とは相反し、思い通りにならぬ舌使い。届きそうで届かぬ、もどかしさ。

 本当ならばあれこれと指示を出して純君を誘導したいところだが、そうはしない。あくまでも彼に全てを委ねることにする。あるいはこれも教育の一環なのだろうか。自分自身で選択して傾向と対策を会得させることで、弟の成長を見守ることにする。

――そうそう!!そこだよ。お姉ちゃんは、そこが気持ちいいの!!

 私は心中で的中を告げる。口に出さない代わりに、肉体がビクビクと反応を示す。脚がガクガクと震えて、お尻が突き出されることで、さらに敏感な部分に命中する。

「ダメ!お姉ちゃん、イっちゃいそう…!!」

 私は絶頂を予告する。もう間もなく、その感覚が来訪しそうになったところで…。


「えっ…?」

 唐突に彼の愛撫が中断される。同時にせっかく高まった快楽の潮流が引いてゆく。

「どうしたの…?」

 私は怪訝に思いながらも純君に問う。彼の機嫌を損ねる発言でもあったのか、と。

「どうして、止めちゃうの…?」

 不安を感じつつも純君に訊く。彼を幻滅させる何かが現実に引き戻したのか、と。

「さっきの『お返し』だよ」

 悪戯っぽい口調で彼は言う。私がさっき途中で止めたのを根に持っているらしい。

 だけど、あれは純君がイケないのだ。私の厚意による行為を「気持ち良くない」と言い切ったのは彼の方なのだ。

 それでも、やっぱり申し訳なかったとは思う。「おあずけ」にされるというのは、こんなにも辛く苦しいものなのだと私は知った。


「お姉ちゃんのこと、ちゃんとイかせて!!ね?ね?」

 私は恥を捨てて、純君に「おねだり」する。お尻を振りながら、弟に媚びを売る。

「だ~め」

 尚も意地悪そうに純君は言う。

「じゃあ、もう寝よっか?」

 ここぞとばかりに彼は告げる。「おやすみ」と。先刻の挨拶に応答するみたいに。いくら因果応報とはいえ、私は殴打したくなる。だがその感情をぐっと堪えながら。

「お姉ちゃんが悪かったから!!だから、お願い…」

 自己の不履行を詫びた上で、彼に許しを請う。

「もうちょっと、なの…。だから、お姉ちゃんの『オマ○コ』舐めて!!」

 わびさびの情緒もなく、満を持して陳情する。


「じゃあ、僕のも舐めてくれる?」

 そこで純君は交換条件を出す。私はブンブンと頷き、彼の提案を飲むことにした。

 室内を逆戻りして、純君はベッドに仰向けになる。彼の上に私は反対向きで跨る。まるで数字の「6」と「9」のように。だがその比喩はあまりにも陳腐な形容だった。

 純君のズボンを下ろす。脱がす前からすでに彼のそこがはちきれんばかりに固く、大きくなっているのが分かる。ひどく窮屈そうに衣服からの解放を待ちわびている。

 純君のペニスが勢いよく飛び出す。大人になりきれていない皮被りのおちんちん。またしてもそれを口に咥える。まるで愛着のある玩具を口に入れる乳幼児のように。

 純君のアソコの蒸れたような香り。私の唾液の乾いた匂いをわずかに含んでいる。それを自ら舐め取るみたいに、私は呼吸すらも忘れてただただ夢中でしゃぶりつく。

 他ならぬ弟から経験不足を指摘されたことで、一度は自信を喪失し掛けたものの。それでも今ばかりは余計な思考を停止して、趣向を凝らして、試行錯誤を繰り返す。

「お姉ちゃん、すごく気持ちいい…」

 純君は言う。心の底から充足しているみたいに。私は姉としての人権を取り戻す。


――ブチュ!チュロロ…。チュパッ!!

 卑猥な音色が室内に響き渡る。私の口と純君の陰茎が淫靡なハーモニーを奏でる。

 真夜中に行われる、不純異性交遊。姉弟によって演じられる、狂騒じみた協奏曲。今もし両親が部屋に入ってきたとしたら、どのような言い逃れも許されないだろう。協調する我が子を見て彼らはどんな顔をするだろう。それについては考えたくない。だけどリスクを○す綱渡りの状況が私自身をさらに昂らせ、より貪欲にさせてゆく。

「ねぇ、早く…。お姉ちゃんのも舐めて」

 自暴自棄になりながら愛撫を請う。自分の指でアソコを開いて、ここだと教える。

 純君の呼吸が荒くなる。私の口淫によるものか、彼自身の興奮によるものなのか、おそらくその両方だろう。

 私の呼吸も荒くなる。吐息が当たることで、愛液が潤滑油の如く次々と溢れ出す。

――ピチュ!チュピチュピ…。ズボッ!!!

 不意に純君は指による愛撫を始める。さらにそれを膣内に挿入してくるのだった。


「あぅ…!!」

 私は思わず甘い声で喘いでしまう。まるで子供のペニスを思わせるような細い指。彼はそれを出し入れしたり、中で動かしてみたりする。一本で十分に解し終えると、続いて二本三本と加えられ、徐々に太さと速さを増してゆく。

「純君、気持ちいいよ…」

 お返しとばかりに私は呟く。さらに言動だけでなく、行動によってもそれを返す。

 ベッドに両手を付き、頭を上下させることで刺激を加える。舌を使い、唇を用いて間断なく快感を与える。激しい動きによって、ベッドがギシギシと軋む音を立てる。

「ねぇ、お姉ちゃん。やっぱり僕…」

 そこで純君は、またしても苦しそうに呟く。

「お姉ちゃんの『中』に入れたい…」

 あろうことか彼は、ペニスによる挿入を要求してくるのだった。


「それだけはダメ…!!」

 断固として私は拒絶する。それだけは絶対に。いかに勢いに身を任せたとしても、すでに幾つもの倫理を失くしたとしても、その一戦だけは越えるわけにはいかない。その防衛線だけが、とっくに異常である姉弟の関係性を唯一正常に留めているのだ。

「ちゃんと最後まで口でしてあげるから」

 その言葉は純君に向けたものでありながらも、私自身に対してのものでもあった。

――私だって…。

 仮に相手が弟でなければ、私自ら懇願していたことだろう。だが肉親である以上、それは出来ないのだ。私が処女であるとか関係なく、たとえ何度目の行為だろうと、いかに経験豊富を求めていたとしても、その経験だけは一生してはならないのだ。

 純君だって分かっているはずだ。だけど分かっていても、ツラいのは理解できる。だからこそ私は出来るだけのことをしてあげたいと思った。口を膣の代わりにして、今度こそ彼を射精に導いてあげたいとそう思った。


「もうちょっと、なんだ。もうちょっとで…」

 それでも純君はまだ足りないと言う。私の「フェラ」だけでは物足りないのだと。

 だがそう言われたところでどうすればいいのか。いかに経験が足りないとしても、今の私に出来るのはこれが精一杯なのだ。

「お姉ちゃん、『エッチなこと』言って…」

 純君は思わぬ要求をしてくる。口淫でイケないのだったら、かくなる上は言葉で。本来、口とは食事のためともう一つ重要な役割がある。それはつまり伝達の機能だ。

 挿入が無理なら想像で。想像だけなら、いくら飛躍したところで構わないだろう。

「お姉ちゃんの『オマ○コ』に、純君の『おちんちん』が入っちゃうよ?」

 ありもしない空想を、あり得るはずもない状況を、さも現実の如く私は実況する。

「ほら?お姉ちゃんの『オマ○コ』、あったかい?」

 口内を膣内に見立てて幻想を生み出す。唾液を愛液であるかのように錯覚させる。彼が姉に求める「エッチなこと」というのは、果たしてこういうことなのだろうか。


「うん…。でも、そうじゃなくて」

 純君は遠慮がちに言う。どうやら違ったらしい。予想外の不正解に私は赤面する。

「お姉ちゃん。『おもらし』した時、どんな感じだったの…?」

 なるほど、そういうことか。やはり彼は姉の羞恥の失敗にこそ興味があるらしい。

「すごく、恥ずかしかったよ…」

 私は答える。出来れば、その事実に関してはそっとしておいて欲しかったけれど。それで純君が満足するならば、と。私は粗相の詳細について正直に語ることにした。

「情けなくて。もう大人なのに…、って」

 彼は沈黙のまま私の告白を聞く。昔読んであげた童謡の結末を待ちわびるように。

「『あっ』って思った時にはもう遅くて…。ショーツの中が急に温かくなって…」

 私は回想する。○○さんと二人だけの秘密を、包み隠すことなく弟に打ち明ける。


「『おしっこ』が、どんどん溢れてきちゃって…。全然止まってくれなくて…」

「そんなに出ちゃったの?」

 そこで初めて純君は口を挟んだ。

「うん…。こんなに溜まってたんだって…」

 便器内でする時はそうでもないのに。床に広がる『尿』はあまりにも大量だった。

「音は?どんな感じ?」

「えっ…?『じょわ~』って感じ?」

 まさか音についてまで描写させられるとは。私はやや照れ臭くも擬音で表現する。

「に、匂いは…?」

「えっ?そりゃ、クサかったよ。ほら、理科の実験の時のアンモニア臭ってやつ?」

 あり得ないほどの羞恥をごまかすように、おどけた口調で私は言う。


「お姉ちゃんの『おしっこ』の匂い…」

 ゆっくりと咀嚼するみたく純君は呟く。そしてついに辛抱堪らなくなったらしく、自分の手で勃起したおちんちんをしごき始める。私の口に当たるのもお構いなしに、むしろ私の口の動きが休止しているからこそ、自分自身で射精に導こうとしている。

「お姉ちゃんのここ、ちょっと『おしっこ』の匂いがする…」

 私の股間を嗅ぎながら純君は言う。そんなはずはない。ちゃんと洗ったのだから。あるいはそれすらも彼の想像の産物であり、姉に対して思い描く偶像なのだろうか。

「やめて、嗅がないで!恥ずかしいよ…」

 彼の妄想に付き合ってやることにする。『おしっこ』まみれの股間を嗅がれているという状況を創造する。それは私自身にとっても、とても高揚する想像なのだった。

「だめ!お姉ちゃんの『おもらしマ○コ』舐めちゃだめ!!」

「クサイ」と言いながらも純君は構わず舐め回す。架空の『尿』を舐め取るように。だが与えられる快楽は紛れもなく現実であり、本当に私はやや催してくるのだった。


「そんなに舐めたら、お姉ちゃんまた出ちゃいそうだよ…」

 私は尿意を訴える。その要請により彼の陰茎が射精の態勢を整えたのが分かった。

「いいよ。僕の顔の上で『おもらし』して!!」

 純君は言う。まるで自分の顔面が便器であるかの如く、私の『排尿』を許諾する。

「でも、純君の顔に掛かっちゃう…」

 私は最後の言い訳をした。あくまでも自分の意思ではなく仕方なかったのだ、と。この期に及んでも誰かのせいにする私は、救いようのない卑怯者なのかもしれない。

「いいよ。お姉ちゃんの『おしっこ』、いっぱいかけて!!」

 純君は覚悟を決めたらしい。私は下腹部に力を込める。いくら催してきたとはいえ膀胱の『尿』の貯蔵量は少しばかりで、そうでもしないと出てくれそうになかった。

「実は、僕…」

 そこで純君は。私から何ら追及されていないのに、唐突に自供を始めるのだった。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/14 21:36

ちょっとイケないこと… 第十五話「厚意と行為」

(第十四話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/343506


 天井を突くように、天高く飛翔する龍が如く、真っ直ぐに屹立した棒。その麓にはやはりそれも弟の成長を立証するものなのだろうか、生えかけの陰毛が茂っている。

 私は、純君のペニスに愛おしさを覚えた。

 未成熟であるにも拘らず、それでも精一杯に背伸びしようとする一生懸命な姿に。ある種の共感さえも抱いた。それは私の「陥没乳首」にも共通するところがあった。

 だけど彼の勃起は私の乳首とは違い、外から力を加えずとも勝手に隆起している。

 あくまで興味本位で、純君のアソコを覆う余分な包皮を指で軽く引っ張ってみた。皮内で擦れる度に刺激が与えられるらしく、彼は目を閉じたまま、私にされるがままその攻撃に甘んじている。まるで弄ぶように、私はしばらくママゴト遊びを続けた。

「痛っ!!」

 突然、彼は短く叫声を上げる。少々、調子に乗り過ぎてしまったらしい。

「あっ、ごめん…」

 己の好奇心旺盛を詫びる。不勉強なせいか、イマイチどう扱うべきか分からない。それでも今や勤勉となりつつある私は、今一度だけ純君に最終確認をするのだった。


「今日だけ、だよ?」

 彼を諭す。そうすることで、自らにも言い聞かせるみたいに。言い訳するように。純君はこくりと頷いた。

「いい?今日のことは、誰にも言っちゃダメだからね?」

 釘を刺す。口止めを施し、口約束を交わす。純君はまたしても頷いた。

「わかった。じゃあ、お姉ちゃんが『してあげる』」

 可を示す。そんな卑猥な言葉が自分の口から発せられたこと自体、意外だった。

 ゆっくり上下運動を開始する。さきほど彼が衝動に駆られてそうしていたように、今度は私の主導により弟を受動的な快楽へと誘導する。

 皮がずれたことで、可愛らしい彼の先っちょが亀の如く、ひょっこりと顔を出す。鮮やかなピンク色をした亀頭。すでにズボンもトランクスも脱ぎ去ったというのに、これまで日光を浴びることのなかったそこがようやく日の目を見る。

 棒を掴んだまま指を伸ばし先端に触れる。その瞬間、純君の体がびくんと跳ねた。痛かったのだろうか。だが彼は何も言わず、私にさらなる要求をしてくるのだった。


「ねえ、口でして」

 純君は言う。どこでそんな台詞を覚えてきたのだろう。弟の早熟さが心配になる。いつか恋人にも平気で同じことを頼むのではないか、と。

「だめ」

 純君からの申し出を一度は断った。だけどその「断り」からも垣間見えるように、やがてすぐに理から外れてしまうのだった。

「お願い!お姉ちゃん…」

 今日だけだから、と純君は言う。私が一方的に交わしただけの約束を逆手に取る。彼と視線が交錯する。悲痛が込められたようなその表情に、あえなく私は陥落した。

「しょうがないな…」

 一体何に対する譲歩なのかも不明なまま、彼の「一生のお願い」を聞いてあげる。純君の股間に一心に顔を近づけ、一瞬ばかり焦らしたのち、そこから一気に頬張る。


 口の中が純君のアソコで満たされる。

 いや、満たすには程遠い。陰茎を丸ごと含んで尚、口内には幾分かの余裕がある。やはり○○さんのモノとは違う。彼のは咥えるだけで精一杯だった。

 純君のペニスは複雑な味がした。全ての絵具を混ぜ合わせた色が黒になるように、あらゆる味覚が混ざり合った結果がその苦みだった。

――何の味だろう?

 合体を期待して滲み出した液体。挿入に先走ることで迸った汁なのかもしれない。あるいは包皮の内側に残った『おしっこ』だろうか。だとしたら私の『おしっこ』もこんな味がするのだろうか。

 匂いについても、イカしたものではなかった。青臭さの奥底にある「イカ臭さ」。嗅覚がイカレてしまいそうなほどの異臭。それは紛れもなく「恥垢」によるものだ。

 彼はきちんと洗えていないのだろう。そんな状態のまま女性に咥えさせるなんて、それこそマナー違反もいいところだ。仮にもそれが愛すべき弟のものでなかったら、私はすぐさま嘔吐していたことだろう。


 だけど姉である私はそんな弟の不始末さえも受け入れる。ヌルヌルとした舌触り。込み上げる臭気と苦味。吐き気を催すような不快さえも余すところなく受け止める。

 不衛生なペニスの周囲にこびりついた、熟成されたチーズのような濃厚な味わい。彼の不浄なアソコを私がきれいにしてあげている。舌先で「チンカス」を舐め取り、同時に快楽を与え続けている。

 座位の姿勢のまま「気をつけ」するみたいに私の口の動きに身を委ねていた彼は、そこで自らの意思をもってさらなる触手を伸ばすのだった。

 彼の手が私の髪に触れる。かつて弟にそうしていたように。なでなでするように。だけど純君の手はそれだけに留まらなかった。

 彼の手が私の背をなぞる。ゆっくりと弧を描くように。姉のことを褒めるように。そして純君の手がついに私の腰の辺りに迫ったところで。

「ふぁめふぁよ(ダメだよ)」

 声で彼を抑止するも。お口に咥えたままだったので、ヘンな言葉になってしまう。


 歪曲された響きのみならず、この期に及んで拒否する滑稽さは重々承知している。

 私が触れたり舐めたりする分には良くて、どうして彼が触れるのはダメなのかと。だけどこれは私にしか分からない、微妙なラインなのだ。

 私から快楽を与えるのは許可するけれど、彼から与えられるのは如何なものかと。それはもはや双方向の愛撫となり、直接的な性行為としての意味合いを帯びてくる。それはイケないことなのだ。

 あくまで一方的にという条件付きで、さらに今夜だけという期限付きでなければ。それは私が自らに課した制限であり、決して譲ることのできない防衛線でもあった。

 確固たる態度が功を奏したのか、彼は伸ばした手を引っ込めた。与えられる刺激、それのみに集中するつもりらしい。だがそれだって多くの一線を越えたものなのだ。

「お姉ちゃん、気持ちいいよ…」

 彼は呟く。それは率直な感想でありながらも、続く懇願への伏線にも感じられた。


「ねえ、お姉ちゃんが今穿いてる『パンツ』見せて」

 案の定、彼は次なるサービスを要求してくる。

「ダメだよ」

 さきほどの反省もあって股間から一旦口を離し、口淫を中断してから私は言う。

「どうして?」

 彼は不満そうに訊き返す。ここまでしてくれておいて、どうしてダメなのかと。

「ダメなものはダメ!」

 当たり前だ。そんなことできるはずがない。これ以上彼に褒美を与えることなど、しかもそれが「姉の下着」によるものなど、絶対ダメに決まっている。

 もし仮に私が今ここでショーツを見せたりすれば、きっと彼は抜け出せなくなる。「姉に対する劣情」という名の呪縛から、永久に解き放たれることができなくなる。

 彼は今後も私のショーツを出来合いのおかずにし続け、それだけでは飽き足らず、またしても私の秘密を知ろうと企むかもしれない。


 それに。私は思い出す。私が現状抱えている秘密を。すっかり忘却していた記憶を。アソコがスースーする感触を取り戻す。私が今現在「穿いていない」という事実を。

 そうだ。私は「ノーパン」なのだ。

 どうしてそうなってしまったのかについては、今さら説明する必要もないだろう。私は粗相によりショーツを脱がなければならない苦境に追い込まれてしまったのだ。

 奇しくも、あの夜と同じ状況。彼が目撃し、彼の性癖を歪めてしまったその元凶。あるいは今の私は、あの夜と地続きの延長線上にいるのかもしれない。

 そもそも、こんな状態のまま弟の部屋を訪ねてきたこと自体が間違いだったのだ。真面目な姉が今「ノーパン」であろうことなど、まさか純君は知る由もないだろう。だからこそ本来そこに穿いているべきものを彼は「見せて」と言ってきたのだろう。

 だが生憎そうすることはできない。もちろん最初からそのつもりは無いのだけど、どうしたって見せてあげることはできない。

 彼が息を呑んで凝視した先に、私の下着はないのだ。そこにあるのは――。


 私の「オマ〇コ」。(〇の位置はこれで合っているのだろうか)


 紛れもない、姉の陰部である。まだ一人だけにしか見せたことのない、私の秘部。それを二人目に、あろうことか弟の眼前に晒すことになる。

 純君はそれを見て、何を思うだろう。彼だってまだ一度もその経験はないはずだ。彼にとっての初見、それがまさか姉の股間になるなんて予感すらしていないだろう。

 自分が穿いていないことを意識したせいか、ふいに私のアソコが熱を帯び始める。

 純君のペニスに触れたせいかもしれない。触れるだけではなく、咥えもしたのだ。いくら弟のものとはいえ、それはれっきとした男性の部分。脳機能が誤作動を起し、体が勝手に反応してしまったのかもしれない。

 ショーツを穿いていたなら、クロッチ部分に盛大なシミが出来ていたことだろう。『おしっこ』とは違う液体。より粘着性を帯びながらも、同じくらいに羞恥な痕跡。『おもらし』と見紛うほどの量が。

 幸い、ショーパンの厚い生地のおかげで外部から内情を窺い知ることはできない。だけどもし触れられでもしたなら、濡れたヴァギナは確実に音を上げることだろう。甘美に満ちた淫靡な悲鳴は、彼に余計な期待を抱かせる要因にもなりかねない。


「お願い!今日だけでいいから」

 尚も純君は食い下がる。相変わらず「今日だけ」という定型句ばかりを繰り返す。それで私の方が引き下がるとでも思い込んでいるのだろうか。だとしたら甘すぎる。いや、そんな風に彼を甘やかしたのは私なのかもしれない。

 だけど、こればっかりはいくら頼まれようともダメだ。そこに譲歩の余地はない。「一度見せてくれたら、それで終わり」と彼は言うかもしれない。だけど見せたら、それで全てが終わってしまうのだ。

「あと、もう少し…。もうちょっとなんだよ…」

 決死の懇願に、私の決心が一瞬揺らぎそうになる。もしちゃんと穿いていたなら、それを見せてもいいというくらいに。だけどそれが出来ないのだ。

 純君に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら。せめてもの償いとして、彼のペニスに集中する。出来るだけのことをしてあげたい、と行為に本気を出す。

 あくまで純君のために出来る限りのことをする。そんな私の覚悟さえ知らずに…。


「なんか…お姉ちゃんの、あんまり気持ち良くない…」

 あろうことか、彼はそんな感想を口走った。

――何様のつもりなのか!

 私は怒りを覚えた。そりゃ確かに私が経験不足であることは間違いないだろうが。それだってもう少し言い様があるだろう。

 私の行為は否定された。好意による厚意さえも真っ向から全否定されたのだった。私の「フェラチオ」が下手くそだから、そんなんじゃイケないのだと純君は言った。その指摘には、私が処女であるという私的な事実さえも含まれているように感じた。

 私は泣きそうになる。中学生の弟すら射精させてあげられない己の不甲斐なさに。

 まるで憑き物が落ちたみたいに、たちまち私は落ち着いた心持ちになるのだった。彼のアソコから口を離す。それ以上、その行為を続けることに無為さを感じた。

 床に散らばった衣類を拾って、彼に履かせる。彼のペニスを元通りに仕舞い込む。彼は意味不明のまま一瞬だけ抵抗を試みたけれど、最終的には姉である私に従った。

 弟にズボンと下着を履かせるという行為に、私は在りし日の姉弟の面影を重ねた。だけどそれは遥か遠くの記憶にも感じられた。


 私は腰を上げた。彼に背を向けて、大股で出口へと向かう。

「えっ?どうしたの…?」

 彼は戸惑いながら訊いてきた。私は答えなかった。

「もう、終わりなの…?」

 彼は不服そうに言った。その通りだ。私の超法規的措置はここで打ち止めなのだ。

「そんな…」

 彼は残念そうに呟いた。哀しそうな、淋しそうな声音が背中越しに伝わってくる。それでも私は振り返るつもりはなかった。

 全ては自業自得なのだ。彼があんなことを言わなければ。欲張りさえしなければ。彼は無事に果てることが出来たかもしれないのに。それを拒んだのは彼の方なのだ。

 昔、彼に読んであげていた童謡。その劇中に登場する多くの強欲者と同様の末路。彼は一体そこから何を学んだのだろう。

 あるいはこれで良かったのかもしれない。私は寸でのところで踏み止まれたのだ。すでに幾つもの一線は越えていたけれど、それでもまだ私は戻ることができたのだ。

 彼を置き去りにして、ドアノブに手を掛ける。あと一歩、これで本当にお仕舞い。ようやく私は非日常から日常へと還ることができる。

「おやすみ」

 この夜を終わらせる締めの一言を添える。彼を見ずに。彼の姿を視界に捉えずに。

 だからこそ私は気づくことが出来ないでいた。彼が現状どんな心境でいるのかを。いかなる衝動に襲われていたのかも。何をしようとしているのかさえ知らなかった。


――!!!???


 ふいに、お尻がスースーするのを感じた。下着を穿いていないからではなかった。本当に「何も穿いていない」みたいだった。

 私はショーパンを脱がされ、純君の眼前に「ノーパン」の下半身を晒していた。


――続く――

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