https://youtu.be/XKQofzQ4Ar4
かつてはチラホラと伝え聞こえるのみでしたが、
今なんかだとci-enで、同人エロゲ作者さんの新作発売直後の心情、その生のところがまとまって読めるというのが、参考になったり、怖かったりする所でもあります。
そんな訳で先週、よい子ブックスさんというサークルさんが[キセラの呪い]というゲームを発売されたよという記事を書かれておりまして、
https://twitter.com/gamecome111/status/1414210935330205697
でまあ、爆死であると。
その想いを、つらつらと語られております。
これが全然他人ごとじゃないってのは、かく言う私も、
3月に出した新作[シン・アンゼリカ]が
https://twitter.com/becomegame/status/1376269721629192193
まぁ数百DL行ってくれれば御の字だよねーとか、内心甘めの目標を建て、余裕ぶってたのが、蓋を開ければ、その予測を遙かに下回るDL数。
近年稀に見るスピードの無さという。
発売から数ヶ月、今でも100DLにも達してませんからね……
売上だけが指標では無いものの、まぁフラットな目で見れば、大惨敗に終わっとる訳です。
まぁ「売れてない」ってネタに使いまくり、
そろそろモトは取ったんちゃうか、傷心も癒えたんちゃうかって位になってますが…。
でこれらの事に関して、[ふたなりサキュバス リースロッテの冒険]シリーズ
https://twitter.com/becomegame/status/1120611165216731136
などを出されてるBSさんがツイートをされておられまして、
https://twitter.com/circle_blacksub/status/1414371422869151746
あぁ、めっちゃ分かるーって。
確かに思い返せば、シン・アンゼリカ発売直後もBSさんは色々言いたそうにしてたんですが、
まぁ正直、にゃにをっ! と素直に受け入れる気分にはなっていませんでしたね……
まぁそんな風に、爆死した後の作者ってのは雨に打ちひしがれた仔猫……とまでは言いませんが、
傷心な訳です。メランコリックになっとる訳です。
実際、爆死したのを良い事に、全然関係無いだろみたいな事を吹き込む輩もおるんですよ。
お前、売上げが10倍だったら絶対同じこと言ってないだろ、みたいな事をね。
まぁ正味、売上げで評価がコロリと変わるのも世の常で、
例えばドットグラが好きで作っている作者さんが居たとして、
これがまぁDL数500、どうして売れないんだろうって嘆いてたら、
まあ見た目がドットってのがもう古臭いよね、ピンと来ないわーとか言われるかも知れない。
でもこれが、DL数5000だったりすると、同じ人が同じ口で、
このレトロな見た目が良いんだよね~みたいに肯定したりもする。
まぁそんなこんなあり、発売直後の落ち込んでる作者さんには声を掛けにくいってのがありますね。
それはゲーム制作経験のある、有識者ほどそうかも知れない。
しかしそれにしても何故売れなかったんだろうというのは考えるという事で、
でまぁ今回の話は、ゲーム制作に少し長じた人、
例えばツクールでそこそこ売れる物を作ってた作者さんが、
ツールを変え、オリジナリティを見せたら売れなくなっちゃった……みたいなケースを例に取って、
例っていうか、これまさに私の事なんですが、その理由を考えたい。
前まで売れてたのに、今作ってるのは売れない何故ってだけで(絞らないで)言うと、
まぁ理由は幾らでもあって、
例えば絵師さんの分野だと、まぁ絵はともかく、性癖がどんどん尖ってニッチになっていってる、性癖トガリネズミになってるとかありますね。
美術的な意味では上手くなってるんだけど、世間の流行ぽい可愛い崩し方に付いて行けなくなってるとか。
まぁここではちょっとゲーム制作に目覚めた人が嵌まる二つの罠、理由を考えたいという事です。
一つは、ツールをより高度な物に変え、色々な部分を自作できるぞって意気込んでる作者自身には
気が行き辛くなってるんですが、遊び心地やUIの部分が疎かになってるって事です。
ツクールって馬鹿にされがちですけど、もう何十年も続いてるシリーズであり、
今のMV系にしても何人もが掛かって制作してるだけあって、UIとかの部分は練ってあるんですよ。
MVはJavaScriptのゲームエンジンって扱いになるでしょうが、同じJavaScriptでRPGを作れるエンジン、ライブラリで
あれ以上の良い感じのUIを備える物があるかと言うと、自分はちょっと並ぶ物を知らないなあと……。
例えばマップ歩いてる時に、マップタイルの裂け目っていうのが見えませんよね?
何を、見えないのが当然だ、そんな当たり前の事を誇るなって思うじゃないですか、
そう、ユーザーの意識としては見えないのが当然ってのがある。
でも私は割と同人エロゲの体験版を触る人間なんですけど、
Unity製でJRPGぽい物を作ってみたぞって作品で、あれなんかちょっと歩き回ってみたら
十字状に境が走ってるのが分かる……って例を、1つ2つじゃない数、見てますね。
3Dのテクスチャとしてマップタイルを貼ってるからなのか、Unity詳しくないから分かんないですけど。
UnityでのJRPGの例で続けると、
作者はこれで今までに出来なかった事を凝れる、コンセプト徹底できるって所に浮かれてるんですが、
まずユーザーとしては、えっゲームパッド対応してないの? ツクMVなら普通に出来るよ?
とか、そこで脱落する人が割と出て来る。
そんな話。
まぁ他のツールばかり言及してると角が立つんで、自分の例を挙げると、
私のシン・アンゼリカは体験版で3分遊ぶとダイアログが出て、アプリが閉じるって仕様にしたんですが、
それを見た方から、さきほど
「強○終了するのは”ちゃんとしてない”みたいな印象を与えるかも」と言われました。
いやいや、”アプリが強○終了する”って言葉の定義がまずおかしいよね、何を言ってるんだ、
強○終了ってのは普通アプリがエラー落ちしたりした時に言う事であって、
その終了処理は作者の意思で任意で落としてるし、ダイアログでOK? って確認した後に終了してるんだから。
……って、ほらね、作者としてはガーッと反論したくなるんです。
でもね、プレイヤーがそう感じたってのが一番ですから……。
お前はそうやって、1000DLが目標だったら、1000人に同じ勢いで説教をかますつもりかと。
指摘された問題の方を直せよと、それだけですね……
という訳で、ツクールみたいな、ある種のテンプレートが決まってるエンジンから
自作部分を増やすぞと決めたゲーム作者、嫌な言い方をすると意識高くなったゲーム作者がまずやりがちなのが、
ユーザーにとっては”当たり前にあるべき所”が”、当たり前になってない”っていう印象を与えがち、そこを放置しがちなのかなと。
なんでこの事を話してるかと言うと、[キセラの呪い]も体験版やりましたが、
3DのRPG、面白そうって前に、
まず触った感触がなんかヘンーみたいな感じで、もう半分くらいやる気が萎えておりました。
これは本当に難しい問題で、じゃあ作者は乗り気じゃないのにUI、UXまでも綺麗に整えなきゃいけないのか、
事実UIが悪くても力押しで売れる様な作品もありますし、
でも堅実な方法としては、その為の労力をなるべく削減できるノウハウ、
Unityならアセットを知る事でしょうし、それ以外のツールでもライブラリあるでしょうし、
それらに明るくなっておく、前向きに採用を検討すべきなのか……
でもそれってもういかにも商業、同人ゲーの作り方なのかよ……とか色々迷いますね。
もう一つの方は更に悲劇ですが、自作部分が増え、さぁ自分のやりたかったコンセプトがもっと鮮明に出来るようになったぞと。
今まではツクールだったから変哲ない女主人公RPGを作ってたけど、本当はコレコレをやりたかったんだ、と。
でもそのコンセプトが正直ユーザーにとっては微妙だった、ってケースですね……
遊ぶ人にとってはそんなよう分からんコンセプトの作品より、変哲ない女主人公RPGの方がまだシコれるわって事で、
過去作の方が売れる、そういう事もあると思います。
特にエロゲですから、その罠はあると思って、
例えばゲームとして面白いコンセプトを閃いたとして、これはトータルで言ったら面白さ+(プラス)3くらいありますよと。
でもエロさ-(マイナス)2かもって事だったら、恐らく結果は芳しく(かんばしく)ならない。
だってプレイヤーにとって面白さは×1くらいの評価係数なのに対し、
一方でエロさは×10掛けくらいの評価だからね、という。
その場合でもし一旗揚げようとするなら、面白さ+30とかね、そのくらい突き出てなきゃ”分かられない”んだという……
えぇこれは思い切り、同人エロゲ初の防衛SLGを謳っている[シン・アンゼリカ]を頭に浮かべて喋っておりますが……。
よい子ブックスさんに戻って言うと、
今回の[キセラの呪い]の場合は、受精・妊娠とかがウリの要素かなと見受けられるんですが、
別にそれって2Dのツクール製のRPGでも他にあるからなという印象が。
そうなると、3Dである分だけプレイしにくい……って感触になっちゃってるのかなと、今は。
アセットの見た目はかなり綺麗だったりするんですけど、まぁエロさに寄与するものでもないかなと。
そしてもっと踏み込んで言うなら、”サークルさんの色”っていうのもあると思っていまして。
よい子ブックスさんの場合、ユーザー目線で考えると、
過去作みたいな教科書ぽいフラットな絵で何かえろいやつ、エロゲを見たいなぁってのがありますかね……。
えぇもちろん、そんな言う程簡単じゃないです、その為のアイデア・苦労は一切知らない、でももしそれが出来たら気になるかも~っていうのがユーザーって奴で。
しかもそれだけやって爆死しても、特に責任取る訳じゃないですからね、ユーザーって。
そりゃ自分の好きな物を作りたいわって……、まぁ自分なんかはそんな気持ちになります…。
私で言うと、いま5000DL以上売れてる、[ゆきゆきてモンスター軍]の続編を作れ、
奇を衒わなくて良いから、”ああいう感じ”で”良い感じ”の奴を作れよという、具体的だか抽象的だかよく分かんないのが、
期待されるサークルの色なのかなぁと…。
(さすがに発売から9年経ってるので、さすがにその色も薄れてるかな?)
もうここからは流れるように、[シン・アンゼリカ]はどういう作品だったら売れたのかって話をしたいと思いますが、
要はユーザーにとっての玉虫色の言葉ではありますが、「ちゃんとやれば売れるのに」って事なんです。
特に作ってるのは意識が高くなった、制作に長じた作者さんなんだし、
良いコンセプトが定まってる作品なら特にそうだろうなと。
なんだよ”ちゃんと”ってて思いますが、
シンアンゼリカだったらセーブ機能は欲しいし、
会話みたいなストーリーにしても、OPだけじゃなく、巨大娘が暴れてる途中に入って欲しい。
何か主要な建物に近付いたら会話劇が入るとかね、そしてその選択肢でちょっと分岐するとか。
兵器開発のメニューはメニューで画面を一時停止させて、
ツリーみたくゆっくり戦力を確認したいものだし、
敵の巨大娘が一人ってのも少ない、戦ってる途中に別の巨大娘が参戦だ!
あとはシコリティ的にも、最後は捕まえた巨大娘を調教する雰囲気のモードが欲しいとか。
この「ちゃんとやってよ」っていうの、もし自分が同じ防衛SLGタイプのゲームをプレイしたら、絶対思う筈なんです。
ところが自分が制作側になると、もうその気持ちより制作の大変さの方が重くなって、つい諦めちゃう。
薄々気付いてるけど、まあいいやろ……みたいに甘くなっちゃう所がある。
で、その結果が爆死。
でも自分がユーザーとしてプレイしたい物を本当に作ってたら、
余りに大変ってのも分かるし、手を抜いてみても案外分からなかったよ、上手くいったよってケースがあるのも事実で。
なんだか前に録った
[”中途半端にゲーム作りが上手い人”。DL同人エロゲ第一世代は大変だ……]
https://youtu.be/8_9F5RD0Yfo
にも繋がる辛みの話にもなってきましたが、
私のメンタリティとしては、要はまだまだ途中なのだと思っています。ゲーム制作の、道? 的なものが。
ようやっと一皮剥け、ツクールみたいな作られたレールから脱して自作に目が向いてきた、
意識が高くなって来たのだけど、
ここさえ抑えておけば確実に売れるってポイントも、また上手な力の抜き方も分からない。
さっと見た目を整えるような、お役立ちのコンポーネントの知識も持っていない。
特にエロゲだと、例えば絵が猛烈に上手かったり、エロさ自体の煮詰め方が上手い人が
スイスイ売れていくのを横目に見えたりして、焦る気持ちにもなります、
もしかしたらSteam畑とかも検討すべきなのかも。そっちはそっちで厳しそうですが。
ただゲーム制作としては、もっともーっと長く従事して、
制作スキルを上げて、そのとき気付く様な事もあるのかなと……。
なんだかひたすら滅私奉公(めっしほうこう)、それもある種の思考停止ではみたいな抹香臭い話になってしまいましたが、
今の私はそう思っていますねえ……
[キセラの呪い]
https://www.dlsite.com/maniax/dlaf/=/t/s/link/work/aid/gamecome3/id/RJ315748.html
[わたしたちのからだ〜こどもができるしくみ〜]
https://www.dlsite.com/maniax/dlaf/=/t/s/link/work/aid/gamecome3/id/RJ185358.html