ぐらしゅぴMk-Ⅱ 2022/11/03 08:00

映画「君の名は。」

映画「君の名は。」

「聲のかたち」と同時に公開され、こちらが有名になったとは知っていたものの、
なんだかんだで配信されなかったんですがAmazonプライムでやっと配信されてやっと初の視聴。

感想としては想像以上に大衆向けではなくてビックリしました。甘くみてました。
非常に難しいテーマを扱いつつ、
男女が入れ替わるというベタなテーマと画面背景の美しさで最後まで魅せてくれた作品です。

「あなたの中に私が入ってあなたが私の中に入って」
と下ネタと言うより"出逢う前からセックスしていた"という幻想的とまで言える物語の描き方。

そもそも、男女が入れ替わる物語は王道すぎて逆に飽きられやすく、男女どちら視点も描くと展開が非常に難しい筈なんです。
それをお手本かのような"起承転結"での描き方。
OP曲の前前前世までの30分の"起と承"の起こし方は見事です。

この物語はパッと見は"恋愛"がテーマなんですが、実際には人の"夢"がテーマなんだと感じました。
それは希望という意味の夢かも知れませんし、眠る時の夢かも知れません。

この物語のヒロインは2度しか主人公に出会わないんですが、その瞬間もほぼ触れ合ったりはしないんです。

物語中に何度も主人公の青年は、
「俺なにしてるんだろう」
と現実に引き戻される瞬間があります。

それはヒロインとの繋がりが切れるという夢物語ではなく"夢や希望を捨てて現実に引き戻される虚無感"だとも取れました。
あまりにも主人公がハッとする描写が多すぎるのは作者のそういう意味だと感じます。

夢もなく年上のバイトの先輩に見惚れていた少年が"夢"を見つけてひたむきに追いかける。
夢は目の前に見えている気がするのにすれ違いの連続。その夢は主人公が創ったフィクションなのかも知れない。

ただ、それがフィクションの美少女だとしても創作者としては大成功なわけです。バッドエンドではありません。

大衆向けとしては単なるSF的な恋愛映画に見えて、実際は何か全然違うテーマを突き付けられている素晴らしい映画でした。

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