投稿記事

2020年 10月の記事 (4)

『ノルナゲストの残火』能力値・能力特徴一覧(覚書)

とりあえずアンケート企画でフレーバー程度に表示している能力値(と特徴)ですが、キャラクターを組むためのルールのベースは数年単位でボチボチ考えていたモノだったりします。使いどころはないんですが。
なお、本編中の登場人物にも能力値やスキルレベルの設定はされていますが、それらが作中に登場すること(いわゆるステータスウインドウオープン)はありません。
扱いとしては前世紀のソードワールド小説の巻末キャラシートみたいなものです。(今でもそういうのが載ってるのかはようしらんのですが)

以前も解説しましたが、能力値は『1(子供か病人)』『2(大人の最低値・苦手)』『3(大人の基準値)』~『5(その能力で仕事をこなす一流に求められる値)』~『10(伝説的な英雄か怪物)』程度のおおざっぱなものになります。
女の子冒険者においては7以上の能力は実質考慮しなくて構いません。

基本的な『筋力』などはともかく『安眠』などぱっと見で意味がわからない特徴もあるので以下で軽く説明しておきたいと思います。

能力値

筋力:筋肉の力。力仕事及び単純にパワーで殴り合いしたときの攻撃力・防御力の基準。
敏捷:すばやさ。行動の速さやスピードに乗った攻撃力・防御力の基準。
器用:動きの細かさ。仕事の正確さやテクニックを活かした攻撃力・防御力の基準。
感覚:感じる能力。危険察知や他人の感情の機微を読み取る。
思考:考える能力。情報から答えを導き出す能力。
意志:精神の強さ。困難に立ち向かう勇気や人のために動ける献身などの基準。
生命:生命の強さ。体の頑丈さや環境への適応など、生きていくためのあらゆる基準。


キャラクターとして制作する際にはポイントを振り分けて初期能力値を決定する。面倒なので数パターンの能力値配分から選ぶことも可能。
ポイントを余らせるのでなければ主な能力値分配は以下の二つの型になる。

  • 平均型
    能力値一つだけを『4』にし他六つは『3』の並びになる。こちらの分配のほうが安全。
    『4.3.3.3.3.3.3.』のようなあまり面白くない並びになるが、『特徴』での拡張で細かいキャラ付けは可能。

  • 波型
    能力値二つを『4』にする代わりに二つを『2』にして、残り三つを『3』にする。
    利点も欠点もできるので特徴を出しやすい。
    またこの分配にする場合、『敏捷』と前の『筋力』後ろの『器用』などの隣りあった能力値との差は『1』までにしなければならない。(『~4.2.3~』のような分配は不可)
    一番目の『筋力』と七番目の『生命』も隣り合う能力値として扱う。
    例としては『3.4.4.3.3.2.2.』『2.3.2.3.4.4.3』など。
    (これはテンプレにまとめられる量になるのでそのうち必要になれば発表します)

※細かい数値設定などが気になる方は記事の最下段の方へどうぞ。

各能力値特徴

七つの能力値それぞれに有利不利の両面で五つずつ、合計35種存在する。
キャラクター制作時にはポイントを分配して有利なものを五つ選択できる。
不利なものはいくつでも選択でき、その際はポイントを回収できる。
種族固有で設定されている特徴は有利なものは消費無しで得られ、不利なものは通常より大きなポイントが回収できる。
種族固有の有利な特徴と対になる不利な特徴を選択し、特徴の効果を打ち消すことで結果としてポイントを得ることも可能だがあまり意味はない。
逆に種族固有で不利な特徴を同様に対となる有利な特徴に分配して打ち消し、さらに有利側に転じさせることもできる。

※(アンケート企画の三人では種族固有特徴以外の有利特徴と不利特徴とでポイント合計がゼロになるように設定してあります。実際作ってもらう場合はこちらの方式にするかも)

※細かい数値設定などが気になる方は記事の最下段の方へどうぞ。

筋力系特徴

  • 剛腕△ 細腕▼
    筋肉を直接ふるう能力の適性。重いものを瞬間的に移動させる。
    冒険スキル『戦闘技術』の『基本攻撃』『全力攻撃』に影響する。

  • 健脚△ 道草▼
    長距離移動能力の適性。
    長時間におよぶ移動を滞りなく行うための能力で『道草』持ちは文字通り寄り道しがち。
    種族『犬人』は『健脚△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 強靭△ 軟弱▼
    体のバネの強さ。跳躍力や体に加わる衝撃を緩和する能力の適性。
    冒険スキル『戦闘技術』の『基本防御』に直接影響する。

  • 波切 △ 金槌▼
    水中活動の適性。有利側なら水中呼吸ができるというわけではない。
    種族『ドワーフ』は『金槌▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

  • 万全△ 手薄▼
    ものもち具合。所持品の最大所有量に関係するほか『必要なアイテムを都合よく持っている』『なぜか大事なアイテムを忘れてしまった』判定に影響することも。
    種族『狸人』は『万全△0+2』の特徴を生まれつき有している。

敏捷系特徴

  • 迅速△ 呑気▼
    能動的な行動実行の速さ。
    冒険スキル『戦闘技術』の『高速攻撃』『攪乱攻撃』に影響する。
    種族『狸人』は『呑気▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある(任意)

  • 俊足△ 鈍足▼
    瞬間的な移動能力の適性。。足の速さ。
    戦闘時の行動順や移動力などに影響する。

  • 積極△ 消極▼
    行動に対する積極性の傾向。冒険スキル『利益獲得』などに影響する。
    積極的なキャラクターは利益を得る機会も多いが、場合によっては危険を伴う可能性も高い。

  • 饒舌△ 寡黙▼
    口数の多さや会話の勢い。一般スキル『交渉熟練』『情報収集』などに影響する。
    種族『狐人』は『饒舌△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 機敏△ 躊躇▼
    行動の切り替えの早さ。冒険スキル『戦闘技術』の『回避行動』に影響する。
    種族『兎人』は『機敏△0+2』の特徴を生まれつき有している。

器用系特徴

  • 緻密△ 粗雑▼
    細やかで正確な動きの適性。冒険スキル『戦闘技術』の『集中攻撃』『捕縛攻撃』に影響する。
    種族『ドワーフ』は『緻密△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 静粛△ 露骨▼
    静かで目立たない動きの適性。一般スキル『礼儀作法』および冒険スキル『警戒行動』での行動の一部に影響する。

  • 安定△ 動揺▼
    体のバランスの適性。冒険スキル『難関踏破』での行動の一部および『戦闘技術』の『受け流し』に影響する。

  • 柔軟△ 硬直▼
    体の柔らかさの適性。冒険スキル『難関踏破』での行動の一部などに影響する。
    種族『猫人』は『柔軟△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 活用△ 死蔵▼
    道具使用の適性。アイテム使用時の効率や、一般スキル『道具熟練』冒険スキル『装備熟練』などに影響する。

感覚系特徴

  • 敏感△ 鈍感▼
    感覚の剥き出し具合。感覚のすべて、ダメージ効果にまで影響が及ぶ。
    種族『兎人』は『敏感△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 霊感△ 無縁▼
    霊的存在を感知する能力の適性。霊的存在からの干渉度合いにも影響する。
    種族『エルフ』は『霊感△0+2』の特徴を生まれつき有している。
    種族『人間』は『無縁▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

  • 慧眼△ 脇目▼
    必要な情報を取り込む適性。一般スキル『情報収集』などに影響する。

  • 猫目△ 鳥目▼
    暗闇の中での行動適正。冒険スキル『難関踏破』での行動の一部などに影響する。
    種族『猫人』は『猫目△0+2』の特徴を生まれつき有する。

  • 感性△ 無粋▼
    感情を動かす感覚への適性。感受性。
    種族『犬人』は『無粋▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

思考系特徴

  • 詳細△ 失念▼
    記憶から必要な情報を思い出す適正。一般スキル『情報編纂』などに影響する。

  • 慎重△ 迂闊▼
    情報の中から正確な回答を選択する適性。冒険スキル『難関踏破』での行動の一部に影響する。

  • 規律△ 曖昧▼
    ルールへの適性。一般スキル『礼儀作法』や多くの一般職業での仕事効率に影響する。
    種族『犬人』は『規律△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 協調△ 孤立▼
    他者との意思疎通の適性。複数人数での集団行動時の効率などに影響する。

  • 狡猾△ 愚直▼
    他者を欺く行動への適性。一般スキル『交渉熟練』などに影響する。
    種族『狐人』は『狡猾△0+2』の特徴を生まれつき有している。

意志系特徴

  • 勇敢△ 臆病▼
    困難に立ち向かう適性。決断力。
    種族『兎人』は『臆病▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

  • 根気△ 弱音▼
    困難の中にあっても諦めない適性。継続力。

  • 自制△ 我侭▼
    自身の欲求を抑制する適性。
    種族『猫人』は『我侭▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

  • 献身△ 独善▼
    他者を思いやる適性。
    種族『狐人』は『独善▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がる。(任意)

  • 安眠△ 不眠▼
    寝付きやすさと寝起きの具合。寝たふりのうまさ。睡眠と休養による回復の効率に影響する。
    種族『狸人』は『安眠△0+2』の特徴を生まれつき有している。

生命系特徴

  • 頑丈△ 脆弱▼
    肉体の丈夫さ。冒険スキル『負傷耐性』に影響する。
    種族『ドワーフ』は『頑丈△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 強壮△ 虚弱▼
    活力の強さ。冒険スキル『疲労耐性』に影響する。

  • 健啖△ 小食▼
    食事の際の吸収力と分解力。回復の効率などに影響する。
    種族『人間』は『健啖△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 適応△ 萎縮▼
    環境への適応能力。厳しい環境下での行動に影響する。
    種族『人間』は『適応△0+2』の特徴を生まれつき有している。

  • 肉感△ 華奢▼
    体の肉の付き具合。肉付きの良い者は大概好意の目を向けられる。異性からも捕食者からも。
    成人女性においては乳房のサイズも付随して変化するが、体型はそのまま乳房のみ増減したい場合は別途その身体特徴を選択することもできる。(ようにする予定)
    対面した相手からの印象と受けたダメージの減少に若干影響する。
    種族『エルフ』は『華奢▼0+1~2』の特徴を生まれつき有している場合がある。(任意)

補助解説

ちょっと収まりきらなかった細かい設定の部分の説明になります。長い。

  • ポイント
    キャラクターを制作・成長させる際に分配(消費ではない)する大元の数値。
    呼び名はまだちょっと決まっていない。(PPとかCPとか)
    とりあえず細かい数値計算はあまり気にしなくていいように作る予定だけど、参考までに仮の表をおいておきます。

  • 能力値成長必要ポイント
    『筋力』『敏捷』『器用』『感覚』『思考』『意志』『生命』の七つの能力値を設定するために必要なポイント計算。

数値 必要ポイント (ゼロからの累積)
0→1     1       (1)
1→2     2       (3)
2→3     6       (9)
3→4     24       (33)
4→5    120      (153)
5→6    720      (873)
6→7    5040      (5913)
7→8   40320      (46233)
8→9   362880    (409113)
9→10  3628800   (4037913)

※初期能力値は100ポイントを前述のルールにのっとり七つそれぞれになるべく余りなく分配する。
能力は最低でも2にしておかないとかなり危険。初期値縛りプレイに意味はない。(キャラが無駄に死ぬだけ)
5以上は100ポイントを越えるので通常では初期能力値として選択できない。
最初のほうに記述しているテンプレ式能力値分配を行うと『平均型』では『83』(あまり『17』)、『波型』では『99』(あまり『1』)のポイントを分配することになる。ここでの余りポイントは特徴などには回せない。将来的に必要になるのでとっておくこと。

※能力値の増加で6以上から必要ポイントが爆発的に増えるのでこのへんからが一般人の限界。
計算的には『今のレベルに上げるのに必要だったポイント×次に上げたいレベルの値』という単純なもの。11以降の成長も可能だが現実的ではない。

  • 能力特徴成長必要(回収)ポイント
    『筋力』に付随する『剛腕(細腕)』『健脚(道草)』~などの特徴を設定するために必要なポイント計算。

数値 必要ポイント (ゼロからの累積)
0→1   10      (10)
1→2   30      (40)
2→3   60      (100)
3→4  100     (200)
4→5  150     (350)

※有利な特徴を得ると所有しているポイントを分配、不利な特徴を得ると同じ数値のポイントを回収(一時的にマイナス計算)できます。
有利な特徴は種族固有含まず五つまで、不利な特徴はいくつでも得られます。
初期に100ポイント分を振り分けるか、先に不利な特徴で得たポイントで有利な特徴を伸ばし差し引きゼロにするかは思案中。

※種族固有の不利な特徴でポイント回収する場合はレベル1で『20』レベル2で『60(累計80)』を得ることができます。

※有利な特徴のそれぞれのレベルは対応する能力値の数値が限界になります。種族固有で得られる有利な特徴への修正はこの限界に含みません。(能力値『器用』が『4』なら特徴『柔軟△』のレベルは『4』まで。種族が『猫人』であったのなら『4+2』にできます)
不利な特徴は能力値に関わらずレベル5まで得ることができますが、ポイントを返すだけでは効果をすぐに消すことはできず、将来的にとても苦労することになります。(能力値『筋力』が『3』でも特徴『金槌▼』は『5』まで得られ、350ポイントを回収できます。種族が『ドワーフ』であったのなら『5+2』にすることでさらに80ポイント回収できます。ただし水中に落ちたら高確率で死にます)
一つの能力に不利な特徴が集中すると、その能力値そのものにペナルティが与えられる可能性もあります。

  • 身体特徴
    『巨乳』『眼鏡(視力マイナス)』『尻尾の数が多い(獣人限定)』などの追加特徴要素もポイント分配・回収で設定できるようにする予定。
    いろいろ設定しようと思うとキリがない。

  • 一般スキル
    『村人』『職人』など冒険とあまり縁のない『一般クラス』で習得できるスキル。
    どちらかといえば日常生活が便利になる能力だが食料調達や道具の手入れなど応用次第では冒険にも存分に活かせる。
    この辺りはとりあえず一般クラスの設定から自動的に得るようにする予定。

  • 冒険スキル
    『戦士』『巡士』『術士』の冒険クラスで習得できるスキル。
    直接戦闘に関わるものや、戦闘をなるべく回避して利益を得ようとするもの、魔術を扱い、魔力の毒に抗うものなど非日常的な技術。場合によっては日常生活で活かすこともできる。
    一応テンプレ的な形で自動的に習得させていく予定だけど、細かいカスタマイズを可能にしてもいいかなと?

これからのこと

もう一回ぐらいアンケート企画を挟みつつノベルゲー本編の完成を目指します。
もうしばらくおまちを。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

アンケート企画『新人女の子冒険者(以下略』その2

そんなこんなで三人の新人女の子冒険者のお話をちょっと描いてみようと思います。

冒険者活動の始まり

女子冒険者活動支援組織『ノルナゲスト』
北大陸の三大都市各所に存在する活動支部では毎日のように新たな冒険者が活動を開始している。
これはその一つ『貿易都市アプリコーゼ』支部からはじまるお話。



ヴィオラ「新人冒険者の諸君ようこそ『ノルナゲスト』へ。
私は戦闘教導員……わかりやすく言うと戦士系の先生役をやっている『ヴィオラ・ガーストン』だ。これからよろしく。
今回君たち三人に集まってもらった理由は、冒険者としての適性はともかく理解が浅い君たちに特別な『実力評価任務』を受けてもらうためだ」



フチナ「特別な任務… 試験ですか? 最初に受けた試験で能力的には問題ないと判断されたはずですが……」

アザミ「冒険者の理解とやらはよくわからないけど任務っていうなら報酬は出るんだろ?」

ミツハ「わー せんせい! そのアーマーの金属細工ってヴォルナート式ですか?」

ヴィオラ「……うんまあ、とにかくこちらの話を聞いてくれ。
君たちそれぞれの生まれ育ちについてとやかく言うものではないのだが、冒険者の存在とは程遠い環境で育ってきた者や、一般社会から隔絶されてきた者にいきなり仕事を任せるのも難しいのはわかるだろう?
だからこれは、試験というより講習のようなものだと思ってくれ。結果如何で君たちから冒険者の地位を剥奪するようなことはないし、この任務であらためて自分の身のふりを考え直してもらっても構わない…… それから報酬はそれなりに出る。三人で山分けになるがな」


アザミ「なんだよそういう事なら……って! 三人で!?
まさか、いきなり初対面のこいつらと組んでやれっていうのかよ!?」

ミツハ「えっ? さいしょからそういうお話しじゃないの?」

フチナ「私は…… どうせ他にやり様はないですから構いませんが……」

ヴィオラ「冒険者として活動するなら即席の仲間ともうまくやっていく必要があるからな。
君たちに問題ないのなら、この任務を受けてもらう」


アザミ「ちっ… しょうがねえなぁ…… エルフとかドワーフとかってよく知らねえんだよ」

ミツハ「じゃあまずは自己紹介しなくちゃね! わたしはミツハだよ! ミツハ・バイスナーゲル! この町生まれの金属細工職人の娘!
戦闘とかやったことないけどハンマーでガンガンやるのは得意だから戦士だよ! よろしくね!」

フチナ「えっと… フチナ・タラクサクムです。 女神さまの神殿で巫女としての教育を受けて育ち…… 神殿の意向によりこちらに赴きました。冒険者としては術士ということになります」

アザミ「……ほんとにお嬢様育ちなやつらも冒険者になるんだな。
あたしはアザミだ。 冒険者としちゃ巡士にしか適性がなかった、その程度の育ちさ」

ミツハ「アザミちゃん! フチナちゃん! よろしくね!」

フチナ「は、はい……」

アザミ「せいぜいヘマしてくれるなよ…… こっちにはこれからの生活がかかってるんだからな……」

ミツハ「せんせい! それで私たちのはじめての任務って何ですか!?
魔物退治とかお宝さがしとか、わたしはじめてだから楽しみです!」

ヴィオラ「うん、元気なのはいいぞバイスナーゲル。
これは初心者用だからそんな派手な任務じゃないのだが――」

『貿易都市アプリコーゼ』地下下水処理区画


アザミ「まさか、冒険者としての最初の仕事が下水道掃除とは」

ミツハ「お掃除じゃないよ点検だよ! 下水処理区画にいるスライムがわるいスライムになってないか点検するだけだから!
それにほら! スライムが水を処理してくれているから、ここって湿っぽいけど全然臭くないよ!」

アザミ(たしかに…… さすが三大都市の一つだな、こんな下水道だったら根城にしてもなんとかやっていけ…… いや何考えてるんだあたしは!)

フチナ「瘴気汚染もほとんど残留していません。各家庭の浄化槽からの処理が正常に機能している証拠ですね」

ミツハ「水の中にいるスライムも小っちゃくてきれいな色をしているし、魔物化なんてしてないみたいだね」

アザミ「魔物化していなくても迂闊に触るなよ。そいつら人の体にこびりついた垢なんかも大好物だからな」

ミツハ「えー! わたしそんな汚くないよ!」

三人がはじめての任務の場所として赴いた下水道集積施設は、その名から受ける印象に比べれば随分と清潔な空間であった。
人間の生活排水は瘴気の発生源となり、大都市ともなればその瘴気から無限に魔物を生み出しかねない原因ともなる。三大都市で最も歴史が新しいアプリコーゼはこの問題に開発の初期から取り組んでおり、区画ごとに設けられた下水集積施設は過剰なまでの処理能力をあたえられていたのだ。
そしてその機能の多くは、品種改良により無害化させた水棲スライムによってなされていたのだが……。



ミツハ「う、うわぁ……」

集積施設の最終地点の貯水槽。その水はまるで森の泉のように澄んでいたが、その水底にはおびただしい量のスライムが積み重なっていた。


フチナ「これは…… 規定値を超えるスライムの量かもしれません」

アザミ「なるほど、流れてくる栄養が多すぎてバカみたいに増えちまったのか。
まあ、あたしたちにはどうすることもできねえし、こいつを下水管理局に報告すれば今回の任務は完了だな」

ミツハ「わー…… スライムってこんなに増えるんだ…… でもなんか、上流にいたヤツより小さいね」

フチナ「増えすぎたことで各個体に栄養が回らなくなったんだと思います…… あの、ミツハさん…… あまり貯水槽に近寄らない方が……」

ミツハ「だいじょうぶだいじょうぶ! せっかくだから一匹くらいサンプルに持ち帰ってみよう! ボーナスが出るかもしれないよ!」

アザミ「あっ! バカよせ!」

手にしたハンマーで貯水槽の底を漂うスライムの一匹をひっかけて釣りあげようとしたミツハは、ハンマーに思った以上に大きな力がかかるのを感じた。

ミツハ「えっ?あれ?なにこれ?」

混乱するミツハの目の前にスライムが塊となって水中から現れる。気が付けばおびただしい量のスライムがミツハの両脚を覆っていた。

ミツハ「ちょっと待って冷たいって! つめ… くすぐったい… あうっ!」

増えすぎたスライムたちはフチナの憶測通り栄養に飢えていたのだ。しかし魔物ではないそれらは血肉に直接齧り付くのではない。汗や垢といった人体の排泄物に群がるのだ。

ミツハ「くすぐったいってば…… やめ… ひゃうっ!?」

ミツハの健康的な両脚を舐っていたスライムだったが、その付け根にある乙女の大切な場所を目当てにするのは時間の問題だった。
いくら無害化されているとはいえ、この量のスライムに押しかけられては無事ではすむまい。

ミツハ(ちょ、ちょっとまずいって! こ、こんなの…… えっわたし、まさかこんなスライムに……)

ミツハの脳裏に乙女として最悪の展開がよぎる。


フチナ「……ミツハさん! 目を閉じてください!」

ミツハが生まれたはじめて感じた恐怖に身を震わせたその時、フチナの必死に絞り出した叫びが届いた。

ミツハ「フチナちゃん……! たすけて!」

祈るようにぎゅっと目をつむるミツハ。

フチナ「――『閃光』!」

フチナの魔術によって起こされた激しい閃光がミツハを照らす。真夏の日差しほどの熱量を持つ光に炙られ表面が乾き始めたスライムは、ミツハをあきらめて貯水槽に逃げ出した。

アザミ「――ったく! こっちこいミツハ!」

閃光が終わってもなお目を閉じ震えたまま縮こまるミツハの手を、アザミが掴み、引っ張る。その手の温かさにようやく気が付いたミツハは、涙をためた大きな目をひらいて叫んだ。

ミツハ「ううっ…… フチナちゃん… アザミちゃん… ごめんね… ありがと…… うわあああん!」



ヴィオラ「――まあ、緊急事態の対処としては及第点かな。
アザミ、タラクサクム、二人はご苦労だったな。
ところでバイスナーゲル。なんでこんな任務で小遣い稼ぎみたいなマネをしようとしたんだ?」


ミツハ「それは…… アザミちゃ… いえ、これからの生活のために先立つものが少しでも必要だなって……」


アザミ「……」


ヴィオラ「そうか。 まあ、挑戦する精神は悪いものではないし、今回の失敗は次に活かせばいい。活かせる命があるうちにはな」


ミツハ「はい ありがとうございます」


フチナ「あの、ところでこの『報酬』なのですが……」


ヴィオラ「ああ、三人で使えるようにちょうどいいものを用意しておいたぞ」


アザミ「!? ちょっとまてよこれ! 『ノルナゲストアプリコーゼ支部女子寮三人部屋入居届』って……!」


ヴィオラ「うん。冒険者としての住処もいまだ定まらない君たちには、ちょうどいい報酬だろう」

というわけで……

三人のお話を軽く会話劇でやってみました。
任務の結果については無理やり失敗みたいな形になりましたがまあこんな感じで酷い目に遭いそうになったりあわなかったり、手遅れになったりする予定です。
挿絵はきちんと描ければよかったのですがとりあえず簡単なもので流させていただきます。

以下フォロワーの方向けで挿絵のちょっと行き過ぎた差分など

フォロワー以上限定無料

仕立屋さんががんばれます。

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

アンケート結果と

アンケート企画集計結果



前回のアンケートで募集した新人女の子冒険者三人組が受ける『実力評価任務』は『下水道スライム調査』に決定しました。ご協力ありがとうございます。
結果の方は今しばらくお待ちくださいませ。

おまけ。


ミツハちゃん用のショートパンツは前開き状態差分があったりします。
ただだらしないだけじゃなくて触手やスライムが侵入しようとしている状態とかにも使えそうな感じですね。

のなさん情報

ぼくが主に立ち絵に使っている『あのん式着せ替えメーカー』の作者で、制作中の『ノルナゲストの残火』でのイベントCGもお願いしているのなさんがskebおよびskimaでの受付をされています。

https://twitter.com/ry_nona/status/1311609237131288576

ぼく個人的には女の子の笑顔と泣き顔が魅力的で好きな絵柄の方です。けっこう特殊な趣味にも応えて頂けるので興味がございましたらどうぞー。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

アンケート企画『新人女の子冒険者チームを導いてみよう』

そんなわけで前回のアンケートの結果を反映して三人のサンプルキャラクターのデータを自作システム(未完成調整中)に沿って組み立てていきます。アンケートへのご協力ありがとうございました。
ひとまず形になったこの子たちを使って、お試し企画などをいろいろとやってみようと思います。

新人女の子冒険者三人紹介

能力値などはとりあえず雰囲気ですが軽く説明を。

『体格』はほぼ雰囲気値。『15』が女子の平均体格で幅はおよそ『10~20』
男子は平均体格『20』で幅『15~25』になります。
だいたい『体格×10』センチが『身長+体の厚み-20』程度のおおざっぱなイメージです。

『筋力』『敏捷』など能力値の後ろに並ぶ『金槌』『饒舌』など『特徴』の『△』は有利なもの、『▼』は不利なもので、後ろの数値がその個人ごとの強さになります。
数値にさらに『+n』がついているものは種族固有の能力特徴修正で『金槌▼0+2』だと『水場・水中での活動が苦手 個人能力的にはそうでもないが種族の能力としてわりと厳しい』といった感じになります。


  • ミツハ(ドワーフ・おだんごちゃん)


名前:ミツハ・バイスナーゲル
種族:ドワーフ
体格:14
筋力:4 道草▼2 金槌▼0+2 万全△2
敏捷:3 積極△1 饒舌△1
器用:4 緻密△0+2
感覚:3
思考:2
意志:2 弱音▼2
生命:3 頑丈△1+2 安眠△1
生まれ育ち:市井
一般クラス:職人Lv1
冒険クラス:戦士Lv1
行動傾向:交流

代々続く金属細工職人の娘。家業の根気がいる仕事には向かない性格だったため冒険者に転向した。おしゃべりが大好き。
社交的な性格で職人としての技能も一応あるので冒険以外の日常生活でもいろいろと活躍できる。人懐っこさから男女ともに砕けた間柄になるため、これまで恋人などはできなかった。当然『処女』である。
本人は冒険者に憧れがあったわけでもなくなんとなくでこの道を選んだため、安易に『戦士』として前衛に立つことになってしまった。
重装備が苦手でアーマーは軽いものを好む。武器はハンマーなどの打撃武器を器用に使いこなす。


  • アザミ(人間・元気っ娘)


名前:アザミ
種族:人間
体格:16
筋力:3
敏捷:4 迅速△1 俊足△1 機敏△1
器用:3
感覚:3 無縁▼1+2 慧眼△1
思考:3 
意志:3 独善▼2
生命:3 健啖△0+2 適応△1+2
生まれ育ち:放浪
一般クラス:無法者Lv1
冒険クラス:巡士Lv1
行動傾向:自由

放浪の無法者(追い剥ぎ)であった父親に育てられた娘。母親のことは知らない。
無法者親子として各地を転々としてきたが父親が悪運尽き行き倒れ、行く当てとして冒険者になった。幼いころから通行人を足止めするための囮として盗みの片棒を担がされてきたので逃げ足はとても早い。
自由気ままで独りよがりな性格であるが、生き残る為の機微には聡く環境にすぐ適応できる。しかし人と芯から打ち解けることはほとんど無い。
『処女』という条件さえ満たしていれば、身元が不確かであっても冒険者になることで人並みの立場を得ることができると幼い頃に知り、その可能性にかけて貞操を守り通してきたので異性との付き合いは全くない。
無法者としての経験が『巡士』としての極めて高い適正を表すが、本人はちょっと不服そうである。


  • フチナ(エルフ・眼鏡っ娘)


名前:フチナ・タラクサクム
種族:エルフ
体格:15
筋力:2 細腕▼1
敏捷:2 消極▼2 躊躇▼2
器用:3
感覚:4 霊感△2+2 感性△2
思考:4 詳細△1 慎重△1
意志:3 臆病▼1 自制△1+2
生命:3 華奢▼0+2 萎縮▼1
生まれ育ち:箱入り
一般クラス:学士Lv1
冒険クラス:術士Lv1
行動傾向:安寧

幼少時に巫女としての素質を見いだされ女神の神殿で大切に育てられてきたエルフの娘。神殿側の意向で外の世界を経験させるために冒険者になった。本人としては静かに読書と草花を愛でていたいだけのとても内気で臆病な性格で、冒険者の道には不安を抱いている。無論『処女』
『術士』としてはまだ未熟で専門の系統も定まっていないが『生命』の系統を修め癒し手になりたいと望んでいる。

最初のおしごと『実力評価任務』

こうして冒険者としての活動が始まった三人ですが、せっかくなので三人でパーティーを組んでもらおうと思います。
とはいえ三人中二人は荒事なんて無縁の生活を送ってきた女の子で、一人は社会常識にやや欠ける無法者出身。まずは簡単な『実力評価任務』を受けてその能力のほどを確かめてみましょう。
三人組が受けられる『実力評価任務』は以下の三つになります。

  • 植林地植物採取
    都市部外周に点在する植林地の植生調査のため、対象地区のいずれかに自生している植物を何点か採取し持ち帰ります。
    都市部近辺のため強力な魔物は存在しませんが、森林に適応した巨大昆虫などの障害が予想されます。

  • 下水道スライム調査
    都市部地下に存在する下水集積施設に水質浄化のため放たれたスライムの生息状態の調査を行います。
    スライムは基本的に無害な種類が放たれていますが、下水に含まれた成分の影響により魔物化などの変質を起こしている可能性もあります。

  • 旧埋葬地区調査
    都市部外に存在する、かつての都市住人たちが埋葬されている墓地跡の調査を行います。
    当地区は防護結界が施されていますが、長年の運用により所々で綻びが発生しており、アンデッド系の魔物の発生が時折確認されています。

この三つのうちいずれを受けるか、アンケートで決定したいと思います。
期限は四日日曜日の日付が変わるまで。結果を反映して数日後にちょっとしたお話を投稿してみたいと思います。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索