天然シリコン 2021/01/14 22:09

ラノベ読んだよ

こんにちは。ラ・ノーベを読んだので感想を。『日和ちゃんのお願いは絶対』『三角の距離は限りないゼロ』『安達としまむら』『ひぐらしのなく頃に鬼隠し編<上>』を読みました。以下、ネタバレ全開かつブーメラン無視の指摘文を含むので読んでない方 & 批判感想が耐えられない方はどうかブラウザのタブを消してください。切実に…。

三角の距離は限りないゼロ

岬鷺宮先生のSFラブコメです。二重人格のヒロインのどっちとも主人公がいちゃらぶして、さてどうなる?という話です。設定がおもしろいし、ラブコメとしての精度も高いです。二重人格要素を生かした大オチがめちゃくちゃ最高です。

全体的には、文体が適度にペダンティックで面白いですね。池澤夏樹とかレディーガガとかが単語レベルで出てくる。気になるのは出てくるガジェットが全然話の深層に響いてないことでしょうか。『大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨からなる外の世界と、君の中にある広い世界との間に連絡をつけること、(後略)』みたいな池澤夏樹『スティル・ライフ』の上段構えの文章を引きつつも、話の骨子に響いてこない(ように見える)のは、逆に根性がある気がします。

そこまでお勧めするなら…とスティル・ライフを買って読みましたが、『理系村上春樹』ってかんじでクソ面白いですね。こちらはセカイ系ではなくて世界の記述をやっています。ここまで大掛かりに世界を描いてくれるのは他だと磯崎憲一郎ぐらいですかね?ラノベじゃない小説も最近読んでないのでそろそろキャッチアップしないと…。

※些細なことですが、百三十一分で人格が入れ替わるという設定…「131」の意味を回収しましたっけ?読み飛ばしてなければ何も触れてないような…。そういうのもありなのか…。

日和ちゃんのお願いは絶対

セカイ系!!!といことでお勧めいただいたので読。こちらも岬先生。ヒロインの日和ちゃんが『お願い』という『なんでも願いを叶えられる』チート能力を使って世界を救ったり主人公を強○感情制御状態に持っていく話。セットアップがめちゃ面白い。

(以下超ネタバレ注意)ただこれ、構造的に欠陥っぽいのがあって、日和ちゃんの能力が最強すぎて、ストーリーラインとのバランスが少し不整合を起こしている気がします。世界を救う能力を持っているのに、世界崩壊レベルの危機が一切訪れません。日和ちゃんの能力が強すぎるので、速攻で問題を解決してしまって、恋愛と平和とのコンフリクトが起きないんですね。たぶんこの手の話は、「恋愛という個々人の関係の優先度を上げるともっと大切なものがぶっこわれちゃう、あるいは世界の優先度をあげるとヒロインの好きな物が壊れちゃうけどどうする?」っていう話を解決するのが常套手段ですが、その路線を作者が選んでません。これ何がいけないかというと、ヒロインの能力を最強にする意味合いが薄れちゃうと思うんですね。もっとこじんまりとした能力でもその話やれるだろうと。『お願い』で『記憶を消す』という根本ロジックに関わるメイン技を日和ちゃんが持っているのですが、『記憶を消す』だけに能力絞ったほう納得感増す気がします。どうでしょう?(誰に尋ねてるんだ?

あと、このお話人が死ぬんですが、ここで罪悪感ポイント-1点になった後の解消、特に無いんですがこれで大丈夫なんでしょうか?「お前のせいで人死んでるけど普通にお前ら幸せになってるのそれどうなの?」問題ですね。ヒロインはサイコパスなので、「そりゃ…主人公くんも人死んだら怖いよねぇ」…みたいな反応だし。このような倫理プラマイゼロ理論を超えるにはおもちろギャグかハイパーアクションしかないと思うのですが、二人の愛は人命を超えるんですかね?最近ラノベ読む人がここ引っかかるのか、かなり気になっています。(無視できるなら無視できたほうが書く側は楽なので)

安達としまむら

1巻読みました。入間人間先生…西尾文体が抜けてる!!!!と思ったけど、発刊がすでに7年前でした。どれだけ自分はラノベを読んでなかったんだ…。

三章の『安達クエスチョン』は大抵の読者を殺せるんじゃないですかね?一章二章のフリが三章の冒頭にがががっと凝縮されて襲ってきます。長編としてのプロットがここに全振りされているので、一巻にまとまっている体裁とか崩壊しているのですが、このくだりの前にはすべてがどうでもいいですね。そして入間人間先生、文章が上手い!!!!!上手すぎて泣きました。語るぞ!!!
冒頭、ダブルヒロイン二人が学校さぼって卓球した後にぐだつくシーン。

『「風が欲しい」
顔が火照って紅潮した安達が呟く。まったく同感で、開けられない窓を恨めしく見上げた。ここを開けてまうと、色んな人にこの場所とわたしたちが見つかってしまいそうだった』

…これはやばいですね。完全にクオリティが国語の授業の例文です。
閉塞されて熱のこもった卓球場 <--> 百合の秘密の花園感を完全に重ね合わせてきています。しかも『卓球のラリーで体が暑い -> 卓球場に熱が籠もる』と『ふたりのやりとりを重ねる -> 感情の高ぶりで熱が籠もる』まで重なっていて完璧。しかも「風が欲しい」って言ってるのが安達なんだよなあ!なんだこのフリ!うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!
『微かな高揚感が、わたしに翼を与えた。「飛行機の真似。ぶーーーん」』も好きです。入間人間先生はクリシェ外しを意識的にやりすぎて逆に文章が読みにくくなっている印象がありましたが、ここではちゃんとネタに消化できてますね。すごいです。惚れます。

ひぐらしのなく頃に鬼隠し編<上>

ひぐらし読んだことないんだよな…と恐る恐る読み…全部読み終わったら…これ上巻じゃねぇか!をやりました。富竹は話を先に進めるから偉い!!!というのが今の所の感想です。後ほど下巻を入手します。

おわりに

以上、いかがでしたでしょうか?
商業出版物とM-1決勝はめちゃくちゃな感想を言っても許される風潮があるので、心身に良いですね。みなさんもめちゃくちゃな感想を言うときは、商業出版物かM-1決勝に言っていくのが良いのではないでしょうか。それではさようなら…。



てんしり

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