リクエスト小説 エスパダ・ラヴ 『女性専用性感マッサージ』
「ほう、ここが話に聞いていた……」
そう呟いたのは、見た者なら誰でも魅入ってしまいそうな美貌の女だった。
太陽の光を反射して眩しいほどに輝く金髪、宝石のように綺麗な碧色の瞳、女優も顔負けの整った美貌。
大人びた容姿を袖を捲ったセーラー服で飾り、この女性がまだ少女と呼べる年齢なのが分かる。
そして何より目を惹くのは、学生服を着ているというのに大人どころかAV女優でもありえないようなメートル越えの美爆乳。
セーラー服の布地が持ち上がり、カーテンのような影を作ってしまうほどの美爆乳はツンと前に突き出た砲弾型。
しかも下着をつけていないのか、その先端には爆乳によって強調された小さな突起まで見えてしまっている。
彼女が一歩歩くだけで爆乳はタユン、と音が聞こえそうなほど大胆に揺れ、前に突き出た胸の柔らかさを強調してしまう。
そんな美貌と爆乳から視線を下げれば見事にくびれた腰がセーラー服の裾から覗き、その爆乳が肥満体から来るものではないと証明している。
スカートを押し上げるお尻も魅力的で、両脚はこちらも見事に鍛えられた肉付きの良い美脚。
セーラー服という野暮ったい服を着ているはずなのに魅力を隠す事が出来ず、彼女がこの場所へ来るまで、何人の男たちが視線を奪われ、鼓動を早くしただろうか。
(うーん。噂になるほど凄い店には見えないけれど……)
いつもならここで彼女……エスパダ・ラヴは自分に好色的な視線を向けてきた相手に興味を示していた事だろう。
けれど、今日の興味はここ。
彼女の視線の先にある、比較的最近建てられた汚れの目立たない外見をしたエステ店だった。
彼女が知る幾人かの女性がこの店を訪れ、それからは不自然なほど連日にわたって店を訪れている。
しかも、その内の幾人かはこの店の素晴らしさを吹聴して回っているというのだ。
このエスパダ・ラヴもその話を聞いた一人で、興味を惹かれてきたのだが……真新しいが道行く人々は一見もしない地味な外装を見れば、少しだけ興味が薄れてしまう。
「確かに胸が重くて肩が凝るからエステを受けるつもりだったけれど、これは外れかしら」
店の目の前で堂々と口にするあたり中々の性格だが、本人に悪気はない。
正直者――なのだ。
自分に対しても、他人に対しても。
欲望に忠実とも言うのだが、本人にはそれを『悪い事』と思っている認識はない。
なにせ女性の身であり、これほど見目麗しく、神に選ばれたような美肢体の持ち主だという自覚もありながら、彼女は羞恥心を失くしたような快楽主義者であることを一切隠していなかった。
むしろ公言して回り、その美貌で男女問わずに自分の虜にしてきた一面もあるほどだ。
彼女が通う天日学園では日常的に男性も女性も誘惑し、中には学園の教師まで含まれてしまっている。
そんな彼女にとって肢体の状態を口にすることは当然で、このメートル越えの胸も、それによって発生する肩凝りも、別に恥ずかしい事ではない。
エスパダはエステ店を値踏みするように見ながら胸の下で腕を組み、歩くだけで人々の目を惹いていた美爆乳をより強調させるように持ち上げて見せた。
セーラー服の上着が持ち上げられた胸の形に膨らみ、下着をつけていない先端の形がしっかりと浮き上がってしまうけれど、やはり彼女は気にしない。
桃色に染まった内面とは裏腹に、凛とした美貌、スラリと伸ばされた背中、腕で持ち上げたことで更に強調された美爆乳。
本人は意識していないが、まるで美の女神のような肢体を道行く人々に見せつけたまま、数秒の逡巡。
この何の魅力も感じない外観をしたエステ店を値踏みした後、彼女はその持ち前の強気を崩さないままドアを開けた。
カラン
ドアベルが渇いた音を立てると、正面にある受付に立っていた女性従業員が一礼をする。
「いらっしゃいませ」
「今日が初めてなのだけど、大丈夫かしら?」
当たり障りのない事を口にしながら店内に進めば、地味な外観の通り、店内も地味な作りになっていることが分かる。
まるで病院のような全面が白の壁に、外からは中が見えない掏りガラスの窓。
程よい温度に設定された冷房の風に混ざって感じるのは、アロマか何かだろうか。
地味な外観と内装からは想像していなかった心地良く感じる甘い香りに感心しながらエスパダが店内を進むと、彼女以外に客が居ないことが分かる
(こんな店が、噂になるほどかしら?)
ふとそう思ったが、この店は24時間営業だった事を思い出す。
エスパダはそういう事を気にしないが、噂通りにエステ店が性的な仕事を行っているのなら、そういうことをする客は夜に訪れるのかもしれない。
ふとそんなことを考えながら、女優顔負けの美貌を持つ美少女は特に警戒することも無く受付で名前や年齢、凝っている個所などの情報を伝えていく。
「肩と腰……あとは適当に」
「了解いたしました」
性的な刺激は大好物だが、外観と内装からそれほど期待していないエスパダの態度はどこまでも平坦だ。
むしろ、期待し過ぎていただけに、落胆の気持ちの方が大きいまである。
その気持ちが現れた声音は普段とは打って変わり、むしろ彼女を知る人物が聞けば落ち込んでいると表現するかもしれない。
個人情報の記入を終え、表情から内面を感じさせないまま顔を上げれば、ふと受付の女性と目が合った。
(中々悪くない顔ね)
客ではなく、女としての視線で店員の顔をそう賞すると、そのまま視線を下げていく。
受付の棚があるので下半身は見えないが、見える範囲――上半身はなかなかのものだ。
淡いピンクの施術服に包まれた肢体は細身で、けれど胸元はしっかりと膨らんでいる。
エスパダほどではないけれど、この細身にこの胸のふくらみなら、多くの人が『巨乳』と称するのではないだろうか。
(84……E、もしくはFカップといったところかしら?)
何の気なしに女性の胸のサイズを想像しながら、エスパダは案内されるままに着替え室へ。
店内に客が居ないのだから、そのまま奥に通されてしまう。
この『待ち』が無いというのも、この店に不安を抱く一因だ。
人気店なら店内に人が居なくても予約が埋まっていて断られることが多々ある。
それが無いということは、昼間のこの時間は本当に『客が居ない』ということだ。
(もし気持ち良くなかったら、噂の出所を調べる必要があるかしらね)
それは悪い噂を流したからではなく、貴重な『自分の時間』を無駄にさせられた事への怒りだが。
そんなことを考えながら、エスパダは着替え室へ通され、着替えとガウンを手渡された。
「オイルを使った施術を行いますので、そちらの水着に着替えてください」
「分かったわ」
渡されたのは、地味な――平日の昼間にノーブラで街中を歩く露出狂で、男女どちらにも性的な行為を抱くバイセクシャルの好色家な彼女からすれば“とても”地味なパステルグリーンの布地を白のレースで飾った水着を前に、エスパダは一瞬動きを止めてしまった。
「本当にこれを着るの?」
「はい。オイルで下着が汚れてしまいますので。大丈夫、他のお客様も皆同じような水着に着替えておられますので」
「いえ。なんなら私は裸でも構わないのだけれど?」
エスパダはむしろ裸から直接触ってほしいと思ったのだが、店員は「水着を着てもらう決まりなので」の一点張り。
それを言われて駄々を捏ねる事は相手への迷惑になると、変なところで律儀に思いながらエスパダは言われた通りに水着へ着替える事にした。
更衣室から店員が出ていくのを待ってから、セーラー服に手を掛ける。
一気に脱いでしまうと、その下から成人男性の手にも収まりきらないメートル越えの美爆乳が現れた。
下着の支えが無くてもツンと前に突き出た砲弾型。
エステのような外的刺激が全く必要ないようなキメ細かな肌に彩られた、若さからの針に支えられた美爆乳だ。
見事という言葉以外は何も浮かばない。
その先端には美爆乳のふくらみに相応しい少し広めの乳輪と、性行為のし過ぎで太く育ってしまった大きめの乳首が乗っている。
どちらも綺麗なピンク色で、エスパダの美貌に相応しい卑猥な乳首と乳輪だ。
しかも、この店を訪ねるまでの興奮で乳輪も乳首もふっくらと膨らみを増している。
パフィーニップルと称される見事な爆乳とピンク色の乳首を揺らしながら、今度は手をスカートのホックへと伸ばした。
あっさりと蒼色のスカートを脱ぎ去れば、その下から現れたのは女子高生が身に着けるというには派手過ぎる――けれどエスパダによく似合う黒いショーツが現れる。
左右は紐結びになっており、クロッチ部分以外は肌が透けて見える煽情的なランジェリー。
一目で高級だと分かるショーツには黒薔薇の意匠が施されており、それが余計に彼女の下半身を卑猥に彩っていた。
見た者を誘うためだけに作られたものだと分かるショーツも簡単に脱いでしまえば、その下からは頭髪と同じ金色の陰毛が現れる。
綺麗に切り整えられた逆三角形の陰毛の下にはこの歳で激しい性行為を繰り返しているとは思えない綺麗に閉じた陰部があり、その上には卑猥な性格の彼女らしくない慎ましいクリトリスが包皮に守られたまま。
「はあ……」
はずれの予感にエスパダはため息を吐くと、渡された水着を着ていく。
おそらく店で用意している水着の中でも特注サイズだったはずだ。
けれどメートル越えの胸には小さくて、布地と紐が胸肉に食い込んでしまう。
大きめのマイクロビキニのような格好になると、可憐なパステルグリーンの水着も卑猥な意匠にしか見えない。
いつもならその光景を見せびらかして楽しむのだが、見る者が居なくては何の楽しみも無い。
そのままパンツも履くけれど、やはりこちらも胸に匹敵する豊満な下半身が履いてしまえば不出来なマイクロパンツとなってしまうだけ。
中途半端なエロさはエスパダの嫌う所であり、なんの面白さもないようにしか思えない。
……けれど、そこにはエスパダが理解できない美があった。
男好きする豊満な肉付きをした美女が、少女が好むような可憐な水着に身を包んでいる光景。
豊満な胸と尻には水着の布地と紐が食い込んで卑猥な段差を作り、あきらかに『似合っていない』。
けれど、こういうアンバランスな意匠を好む客も一定数存在しているのも事実。
エスパダは水着の食い込みが気になって何度も指で場所を整えようとするが、しかし何度やっても紐は食い込み、布地はズれてしまう。
サイズが合っていないから……というのは簡単だが、それを選んだのは受付の店員なのだ。
エスパダはその事をよく考えていなかった。
自分には無い観点から、美の女神のような美肢体に新しい魅力を見付けるという行為の意味を。
すでに内心では店の評価に落胆していたからだろう。
「さて。エステの腕はどうかしら?」
エスパダはただただ動きづらいとしか感じない小さめの水着に苦笑すると、ガウンを羽織って更衣室を出た。
尿意も無かったので、そのまま施術室に向かう。
そこには三人の施術師が待っていた。
全員が女性だ。
腰まである茶髪を首の後ろで束ねた女性。
豊かな黒髪を三つ編みにして左肩から垂らした女性。
そして、この三人の中で一番上の立場にある、理知的なフレームレスの眼鏡をかけたショートカットの金髪美女。
おそらく染めているのだろう。
エスパダの美しい金色と違い、僅かに濁った金色の髪だ。
同じ部屋に居て見比べてしまいと、その色彩の違いがはっきりと分かってしまう。
誰もがエスパダには及ばない者の世間一般では美女に分類されるであろう女性たち。
彼女たちはエスパダが施術室に入ってくると、軽く一礼をした。
「それでは、ガウンを脱いでいただいて、うつ伏せで横になっていただいてよろしいでしょうか?」
「ええ、分かったわ」
無駄な会話はせず、エスパダはガウンを脱ぐと三人の女性に見事な肢体を晒す。
施術師たちはその堂々とした仕草と、ガウンの下から現れた見事過ぎる美肢体にほう、と息を吐き、一瞬だけ動きを止めてしまった。
(ふふ)
エステ店の施術師が他人の肢体に一瞬たりとも釘付けになってしまってどうするのか。
そういう所でも施術師としての格が窺える。
(あまり期待しないのが正解かもしれないな)
エスパダは性的な刺激や興奮は好きだが、けれど下手な刺激はあまり好きではなかった。
過度な期待は落胆に繋がる――十数分前から感じている気持ちの変化を教訓にしながら、彼女は言われるままに施術台の上でうつ伏せになる。
豊満な胸が施術台と身体に潰されて横からはみ出し、パステルグリーンの布地が大胆に食い込んだ大きなお尻が施術師の視線に晒された。
ここへ歩いてくるまでの間に食い込んだのか、パステルグリーンの布地のほとんどが豊満すぎる尻肉の谷間に隠れてしまってTバックのような格好になっているが、恥ずかしさは無い。
エスパダは自分の肢体が極上のモノであると認識し、それに自信と誇りを持ち、むしろ見せつけるような堂々とした態度と言える。
彼女はそんな男だけでなく同姓まで魅了してしまう美肢体を無防備に晒し、そして完全にリラックスしながら全身を脱力させた。
「それでは、施術を開始させていただきます」
「ええ」
宣言と同時に、三人の手がエスパダの肢体に伸びた。
まずは身体の要である腰に一人。
他の女性たちはオイルの準備をしているのか、施術台から離れていく。
「痛かったらおっしゃってください。それか、もっと強くしてほしい時にも」
「わかったわ」
そこから、施術が始まった。
金髪の女性のしなやかな指が、無駄な脂肪などほとんどない腰に触れる。
細く、それでいて硬い指だ。
触れられただけで指先までしっかりと力が籠っているのが分かり、そのまま押し込まれると僅かに硬くなっていた腰の筋肉に沈んでいく。
「見事なお身体ですね」
「そうかしら?」
「ええ。とても鍛えられていて、しなやかな筋肉……それに、無駄なお肉という物がとても少ないように感じます」
そう言いながら、金髪の施術師は指を腰から背中に、そして肩へ。
ビキニの紐を解かないように注意しながら、背中全体を揉んでいく。
要所だけでなくその周辺まで刺激してこそマッサージというのは効果がある。それはエステも同じだ。
言われた場所だけを刺激するのではないその行動に、うつ伏せのままエスパダは少しだけ感心した。
(へえ、中々……)
彼女はその指使いの力強さと繊細さ、そして敏感に自分が気持ちいいと感じる場所を見付けられる刺激でさらに全身から力を抜く。
開始して数分で施術師の技量を理解すると、最初に感じていた不満があっという間に消し飛んだ。
「ん、んぅ……」
「痛かったでしょうか?」
「いいえ。とても心地良いわ」
時間が経つごとに、だんだんと力が抜けている。
それに合わせて、施術師の指の動きも大胆になっていった。
最初は背中全体を指でなぞり、その際に発見した凝っている場所を的確に刺激される。
そうすると背中全体が心地好くなり、エスパダは自分の身体が火照ってきたのが分かった。
性的な刺激とは言えないが、けれど「気持ちいい」と思える刺激。
身体の凝りがほぐれ、全身が弛緩していく。
だんだんと気持ち良さばかりに意識が向き、施術師の指の動きを敏感に意識で追ってしまっていた。
「それでは、本格的に揉んでいきますね」
「……えぇ」
エスパダは夢見心地で呟くと、金髪の施術師の指が腰に戻ってきた。
親指の腹を押し付けると、グッ、と力が込められた。
「アゥっ!」
「痛かったですか?」
「い、いえ――中々、力が強いのね」
エスパダが驚いたのは、先ほど見た外見、細身で、腕も細い女性施術師の姿からは想像もできないほど強い指圧の衝撃だ。
両手の親指が背骨を挟んだ左右の腰の一点を押し込むと、僅かな痛みと、そんなものが一瞬で消えてしまうほどの気持ち良さに襲われた。
あまりに気持ち良くて声が漏れてしまったが、むしろそれは本能からの喘ぎ声である。
今までもエスパダは何人もの男女と肌を合わせてきたが、いつも自分主体の性行為だった。
気に入った男を襲い、気に入った女を喘がせる。
そんな性行為ばかりだった自分が、年上とはいえ女性の指だけで喘がされてしまった――僅かに動揺してしまうほどの快感だ。
「それでは、続けさせていただきますね」
「ええ、おねが――いっ」
宣言と同時に、もう一度。
腰を強く押されて、今度はエスパダの身体が強張った。
今まで感じていた快楽とは別種の快感に驚き、身体に力が籠ってしまう。
それは施術師の視界でも確認できるほどの変化で、強張った際に大きなお尻が力むとパステルグリーンのマイクロパンツがより深く尻肉に食い込んでいく。
それはまるで、大きな尻肉がグリーンの布地を食んでいるかのようだ。
指で押すたびにお尻が浮き、力み、パステルグリーンの布が尻肉に呑み込まれていく。
それを十回ほど繰り返すと、指の位置を僅かに動かしてもう一度――。
「フッ、く……っ」
「痛かったらおっしゃってくださいね」
「えぇ、とても気持ちいいわ……」
エスパダは痛みと快感の混じった声でそう呟くと、指から力が抜けるのに合わせて全身を脱力させていく。
気持ちいい。
(エステって……マッサージって、こんなに気持ちいいものだったかしら……?)
そんな疑問が浮かんでしまうほどだ。
この美肢体を維持するために、エスパダは多くのマッサージ店やエステサロンを体験していた。
中には一時間でこのお店の数十倍以上の値段がするような高級店も経験していたが、しかしここほど気持ち良かっただろうか?
今まで経験してきたエステサロンとはまったく別種にも思える快感に、けれどエスパダは困惑するのではなく喜びで全身から無防備に力を抜いていく。
(あぁ、気持ちいい……この店は“当たり”ね)
なにせ、気分次第でノーブラのまま街を歩き、男女関係なく関係を持つような精神性だ。
それが性的な快感であったとしても気にせず、その判断基準は『気持ち良い』か『そうじゃないか』で分けられる。
その点では、この店はエスパダのお眼鏡にかなう……合格を与えられた。
「ふ、ぁ……ぁぁ……」
そのまま十分。
腰や肩を中心とした施術が十五分ほど続くと、エスパダはまるで火が付きそうなほど熱く甘い吐息を漏らすほどまで出来上がってしまっていた。
全身は発情したように淡く色付き、うっすらと汗まで浮かんでしまっている。
うつ伏せのまま息が乱れて肩が上下している様子はあきらかに異常だが、彼女の表情はとても幸せそうだ。
恍惚とした表情のまま流れ出た涙や涎で枕を濡らしながら、恥ずかしげも無くパステルグリーンの布地が食い込んだ大きなお尻を左右に揺らし、その股間部分には小さいが隠しようのないシミが浮いていた。
「それでは、次はお尻の方を揉んでいきますね」
「ええ、よろしくお願いね」
「当店特製のオイルを用意いたしましたが、お使いして構いませんか?」
普通の女性ならこの時点で返事も出来ないほど出来上がってしまっているのだが、相手は快楽に慣れたエスパダである。
「ええ、大丈夫よ」
当然のように返事をして、けれど今以上に気持ち良くしてくれるであろう特製オイルを受け入れる。
彼女がここまで性的な快感を覚えているのには、理由があった。
この室内を満たす甘い香り。
受付でも焚かれていた特製のお香は女性の性感を刺激するもので、施術室には受付で炊かれているものよりもより濃度の高いお香がたかれていた。
施術師たちは事前に中和剤を飲んでいるのと、何年もこんな仕事をしていることで身体が鳴れたこともあり、それほど大きな変化は現れない。
けれどたとえそれがエスパダのような快楽に慣れた人間であっても、これだけ濃度の濃いお香……媚薬のお香『媚香』を嗅げば、思考に霞がかかってしまう。
しかもマッサージで全身の血流を良くすれば、その効果が早く強く表れるのも当然。
そうやって来店してきた女性たちを虜にしてきたのだ。
「では、オイルを垂らしていきますね」
エスパダの身体が『出来上がった』と確信したところで、別の場所でオイルを用意していた二人が合流する。
そのまま三人がかりで金髪美女の見事な背中、お尻、そして両足にオイルが垂らされた。
僅かに粘り気のある、少し黄色がかった液体だ。
オイルというよりもローションといった感じだが、エスパダは気にしない。
「んっ……」
「冷たかったですか?」
「少し……」
一つ一つの動作を確認されると少し煩わしかったが、けれどそれを上回る快感に思考が緩み、その時の感情を言葉にしてしまう。
そうしながら女性施術師たちの手が背中の窪みに溜まったオイルを引き延ばし、両手に、そしてお尻、両脚へ。
「は、ぁぁ……」
(ああ、これは確かに……きもちぃぃわ……)
揉み解される全身だけでなく、まるで心まで溶けていくかのような快感だ。
オイルで滑りの良くなった肌の上を、三人、六本の腕が移動する。
十五分の時間を掛けて丹念に揉まれた背中は最初だけ。
二人の施術師が肩と両腕に。
そして一番上手な金髪の施術師が両脚とお尻に。
両脚にオイルを塗られると、僅かに浮腫んでいた太もも、そしてふくらはぎへ。
肉体の根幹である背中から、お尻、太もも、ふくらはぎと外へ外へと快感が広げられていくかのようだ。
「ふぅ……はぁ……」
知らず、エスパダの吐息が乱れていく。
意識が下半身に集中してしまう。
臀部や陰部といった性感帯を触られていないのに、意識が施術師の指を折ってしまう。
両肩もそう。
こちらはコリが強かったこともあり、かなり、気持ちいい。
(全身、溶けちゃいそう……)
そう思ってしまうほどの気持ち良さ。
本人も気付かないまま足の指が丸まり、けれど施術師の指が動くと脱力する。
キュッと丸まり、だらんと開く。
その繰り返し。
太ももから膝裏にかけて刺激されると丸まり。
膝裏からふくらはぎに欠けて刺激されるとゆっくりと開いていく。
「エスパダ様、力加減はいかがでしょうか?」
「えぇ、とてもいいわ……」
向けられた質問に、エスパダは本心で答える。
頭がふわふわする。
全身、指の先まで気持ちが良い。
オイルを塗られた場所がゾクゾクして、火照り、オイルとは違う液体がマイクロビキニのショーツを濡らしてしまっていることに本人は気付いているだろうか。
「では、お尻を失礼いたしますね」
そう言うと、施術師の指がエスパダの大きなお尻をゆっくりともち上げた。
太もも側から押し上げれば、尻肉が卑猥に歪み、けれど手を離せば見事な弾力で元の形へ戻ってしまう。
見事な弾力。
若さからの張りだけではなく、しっかりと鍛えられている証だ。
それに、施術師は直接触れたからこそ分かる――大きな脂肪の塊のはずなのに、その下にはどっしりとした筋肉が隠されている。
それが同姓でも興奮するような弾力を産み、金髪の施術師はそこから数度、同じように下から上へとエスパダの尻肉を持ち上げた。
「ここ、分かりますか?」
「んっ! え、ええ……そこがとても気持ちいいわ」
しかし、彼女は施術のプロ。
内心で興奮しつつもしっかりと仕事をこなし、その見事な尻肉の中でも凝っている部分を見付け、凝りをほぐすように揉んであげる。
そうすればエスパダの意識がお尻に向き、その口からはまたも素直な言葉が漏れた。
「ここがとても凝っておられますね。重点的にお揉みいたします」
「えっ、ええ……」
その宣言に、エスパダはなぜかドキリと胸を高鳴らせてしまった。
男に抱かれている、もしくは、男を抱いている時でもここまで興奮することは稀である。
その感情を同性に、しかもエステ施術の最中に感じたことに少しだけ驚く。
(なんだか……とっても気持ちが良い、わね)
それは快感に慣れているエスパダだからこそ感じる違和感。
自分がたかが十数分の施術でここまで“出来上がる”なんておかしいと考えるけれど、身体は脱力してしまって、抵抗感も湧いてこない。
その原因は全身に塗り広げられたオイルにあった。
それほど効果の高くない筋弛緩の薬物と、全身が敏感になってしまう薬物の混合液。
けれどどちらも効果は低く、痺れのような刺激を感じる程度。
だからこそ気付かれにくく、気付いた時には身体の反応が鈍くなっている。
エスパダは媚香と媚薬オイルを併用された状態にあり、身体は敏感、反応も鈍くなり、けれど意識だけは保っている状態だった。
その状態でエスパダでも巧みだと感じる指技でお尻を揉まれると。
「ぅ、あ……っ」
ゾクン、と感じ慣れた快感が背筋を伝って脳を痺れさせた。
気に入った相手に愛撫された際に感じるような強い快感だ。
絶頂には至らないけれど、身体が興奮し、心がときめいてしまう。
確かに気持ちいけれど、ほんのちょっとだけ物足りない刺激。
だから、エスパダはその“ほんのちょっと”を求めて腰を浮かせてしまい、傍目には施術師の指に向かってお尻を突き出してしまっているかのよう。
快楽を求めるのはいつもの事だが、それを本人が意識しないレベルで無意識に行ってしまっていた。
「エスパダ様、気持ちいいですか?」
「ええ……」
「なにかあれば、いつでもお言いつけ下さい」
金髪の施術師の言葉はどこまでも丁寧だ。
言葉遣いも、そして指使いも。
丁寧で、気持ちいいけれど、あとほんのちょっとが物足りない。
上半身の方が性感帯は多いはずなのに、けれど意識は下半身にばかり向いてしまう。
技術の差なのか、それともエスパダの微妙な変化に気付ける経験の差なのか。
「はぁぁ……ぁぁ、もう少し強く……」
「かしこまりました」
エスパダが自分から腰を浮かせてそう告げると、女性施術師は特に気にした様子も無く同意して、ギュムッ、とその五指を尻肉に食い込ませた。
指先が尻脂肪の奥、筋肉にまで到達して少し痛い。
けれど、今のエスパダにとってはその痛みも気持ち良くて、むしろ程よい刺激に感じながらビクッと持ち上げたお尻を痙攣させてしまう。
そのまま二本の腕、十本の指が無遠慮にエスパダの尻肉を揉みまくれば、絶世の美少女の腰がビクンビクンと痙攣する。
あくまで指の動きはゆっくりと、丁寧で。
そこに力強さが加わっただけなのに、一気に刺激が変化した。
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