続々・洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻す力を得た代償として(以下略)【TS変身ヒロイン編】
続々・洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻す力を得た代償として永遠に洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻し続ける事になった男の話【TS変身ヒロイン編】を投稿しました!
こちらにも本文をアップしたかったのですが……文字数がまた増えてしまい恐らくここだと入りきらないので、投稿サイトのリンクを貼らせていただきます。
感想お待ちしております!
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霜月ナル 2023/03/10 00:59
続々・洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻す力を得た代償として永遠に洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻し続ける事になった男の話【TS変身ヒロイン編】を投稿しました!
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霜月ナル 2023/03/02 08:14
リクエスト作品となります。
日が沈み、闇が濃くなっていく。
繁華街は街灯や電飾で明るく彩られ、放課後に遊ぶ学生や仕事終わりの大人達で賑い始める。
一見平和なこの街で近頃、凄惨な事件が多発していた。
――若い女性を標的にした猟奇的な強○殺人。
何者かによって女性が無残にも犯し殺される事件。
報道ではぼかされているが、死体は全身が精液に塗れ、腹は妊娠したように膨らんだ状態という見るも無惨な姿だったという。
警察は捜査を進めているものの、あまりにも常識外な現象が多く、遅々として進まない状態が続いている。
そんな事件が起きている中、暗い路地裏を歩く少女がいた。
華奢だが、均整の取れた体つき。艶やかな黒い短髪と強い意志を感じさせる眼。
纏う雰囲気から彼女が只者ではない事がはっきりとわかるほど。
――彼女の名は『アイ』
人を襲う妖魔『ゆらぎ』を討伐するために、異界から派遣された魔法戦士だ。
本来彼女は隣町に住んでいるのだが、今回の事件を聞いてゆらぎが関係していると考えてこの街にやってきた。
仲間であるリンとメグは別件で手が離せなかったため、街に来たのはアイだけだ。一人で戦うなど無謀に思えるが、彼女は様々な戦いを経験した優秀な魔法戦士。
大抵のゆらぎは彼女一人で充分なのだ。
――とはいえ、心配する秋俊によって毎日の定時報告を義務づけられたが。
そして、街に来てから数日。被害者の行動や事件が起きた現場などを調査した結果、この路地裏周辺にゆらぎの住処があると解った。
「――やっぱり。この辺り一帯にゆらぎの気配を感じる」
足を止め、周りを見渡すアイ。
表通りから入り組んだ道を歩き奥まで進むと、人の気配を全く感じなくなった。例え此処で悲鳴を上げたとしても誰一人気がつかないだろう。
少し臭いを嗅ぐと、消し切れていない精臭が鼻をつく。間違いなく此処で被害者達がゆらぎに襲われたのだ。
女性達はゆらぎによって此処に引きずり込まれ、凄惨な凌○を受け死亡。そしてゆらぎは死体を表通りにほど近い場所のゴミ捨て場へ捨てた。
まるで使い物にならなくなった玩具を捨てるように。
「……最低」
嫌悪感を顔に浮かべ吐き捨てるアイ。すると、背後からカラン……と物が転がる音が響いた。
ハッとして振り返るアイだったが、其処には何もいない。気のせいか、と思った次の瞬間――
「!?」
突如、振り向いたアイの背後から何本もの触手が飛び出てきた。
不意を突かれたアイはその場から飛び退いて辛うじて触手を躱す。そしてすかさず、戦闘態勢に移行。
「翼竜装纏!」
瞬時にアイの姿が青い魔法戦士へと変わっていく。
ぴったりと体に張り付いたコスチューム。後頭部に大きな赤いリボンが結ばれ、手に鋭い刃のついた槍のような杖を握る。
変身を終えたアイは杖を振るい、襲いかかる触手を切り裂いていく。
「はぁぁぁぁぁ!」
切り裂かれた触手から血が噴き出し、辺りを紅く染める。大量の触手はあっという間に斬り落とされた。
アイは油断なく触手が現れた暗闇を睨み付ける。
「流石は魔法戦士……簡単にはいかねぇか」
暗闇からのそのそと浮浪者が現れる。着ている服はボロボロで悪臭が鼻をつく。恐らくは、元々この辺りを根城にしていたホームレス。
だからこそここなら誰も助けに来ないことを理解していたのだろう。
「お前が事件の元凶か」
「ひひ、そうだ……オレがあのクソアマ達を犯し殺してやったんだ。あんな奴ら死んで当然なのさ!」
男はホームレスになる前は一流企業で働くエリートだった。出世コースに乗り順風満帆な人生が待っていたはずが、痴○冤罪によって全てが変わった。
会社はクビになり、付き合っていた彼女に振られ親からも縁を切られた。
何もかも失った男はホームレスとなり、ゴミ箱を漁り残版を探す日々。そんなある日、路地裏で座り込んでいると通りがかった女子高生が話しているのが耳に入った。
『前に、痴○だー!って叫んで無関係のヤツ晒したんだけどチョー面白かったわー!』
『うわやばー!バレないのそれ?』
『バレないバレない。私みたいなカワイイ女がそれっぽく演技したらみーんな、男の方が悪者だって思い込むから!』
ギャハハと笑う女子高生達。
それを聞いた男はハッとして女子高生の顔を見た。――間違いなく、男を痴○冤罪に陥れた少女だった。
男の中から沸々と怒りと憎しみが湧いてくる。
それに呼応するように路地裏の暗闇からナニかが流れ出し、男の中に入り込んでいく。
――こうして男はゆらぎと化し、女子高生を引きずり込んで犯し殺した。
そして、その時の快感と清々しさを忘れられず、似たような素行の悪い女子学生をターゲットに強○殺人を繰り返したのだった。
それを聞いたアイは興味のない表情を浮かべている。仲間がいないか判断するため、彼女にしては珍しく敵の話を黙って聞いてみたが、無駄な時間を過ごしただけだった。
「……戯れ言は終わった?なら、さっさと殺す」
「これだから女は……お前もオレの触手で犯し殺してやるよ!」
男の姿が瞬く間に体から触手を何本も生やした異形へと変貌し、アイへ襲いかかる。
男の触手は先程よりも太く、力も強くなっていた。それでもアイは杖を振い、紙を斬るように触手を切り裂く。
しかし、どれだけ斬っても触手の数が減らない。どうやら男には強力な再生能力があるようだった。しかも知能の高さ故か、触手がアイの死角を突くよう縦横無尽に動く。
「クソッ!?ウザい!」
いくら魔法戦士といえど体力は有限だ。このままではジリ貧だと考えたアイは一気に片を付けると決めて、魔力を最大限に高める。
凄まじい衝撃波がアイを中心に放たれ、群がっていた触手が吹き飛ばされる。男も思わず顔を腕で庇った。
アイはその隙を逃さずに飛び上がり、刃を男の脳天めがけて振り下す。
「死ねぇぇぇぇぇぇっ!」
隙だらけの男には到底避けることの出来ない一撃。男の体は真っ二つになる……はずだった。
「――なっ!?」
「へへへ……残念だったなぁ!」
男の背中から伸びた触手がもう一対の腕のように動き、アイの杖を白羽取りしていた。あまりの光景にアイの意識に一瞬の空白が生まれてしまった。
そして次の瞬間、太い触手がアイの無防備な腹を思い切り突き上げた。
「おぼぉぉぉぉぉぉっ!?」
3トントラックがスピードを乗せてぶつかるほどの衝撃が、アイの腹一点にぶち込まれた。常人ならば腹が吹き飛んで上下バラバラになるほどの衝撃。
魔法戦士の強化された肉体だからこそ耐えられた。いや、耐えられてしまった。
アイは吹き飛んで地面を転がり、壁にぶつかる。
体を震わせながら手を伸ばし、立ち上がろうとするが口から吐瀉物と血が混ざった物を吐き出してしまう。
「おげぇぇぇぇぇぇっ!?――ゴホッ、ゴホッ!」
息をするだけで激痛が走る。それを強い精神力で押さえつけ、杖を支えにゆっくりと立ち上がる。
足はガタガタと震え、視界も霞んでいる。辛うじて意識を保っている状態でまともに戦えるはずがない。
――それでもアイは諦めない。秋俊と仲間が待つ場所へ必ず帰るために。
「あぁぁあぁぁぁ!」
なけなしの魔力を引き出し、男へ突撃するアイ。
しかし、そんな捨て身の攻撃が通用するはずもなく。触手によってあっさりと杖がはたき落とされ、四肢を拘束されてしまった。
「つーかまえた!」
「クソっ、この汚い触手を放せぇぇぇ!」
触手から逃れようと体を動かすアイだったがビクともしない。無様に藻掻くその姿は、まるで蜘蛛の巣に囚われた蝶のようでもあった。
男はそんな足掻きを煩わしく感じたのか、アイの四肢を拘束する触手に力を込めた。
「――あぎゃぁぁぁあぁあぁああぁあぁ!?」
ボキンッ!と嫌な音が響き、彼女の手足はあらぬ方向へ捻じ曲げられた。
今まで感じたことのない激痛が走り、叫ぶアイ。男はその様子が楽しいのか、さらにぐりん!と四肢を曲げる。
「あ”あ”あ”あ”ぁ!?」
操り人形のように壊れた四肢が動かされる度に、アイは白目を剥いてビクビクと体を痙攣させている。あまりの痛みで股間が緩んだのか黄色い小便が垂れ流され始めた。
――アイは完全に敗北した。
男はニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら、アイの体に触手を這わせていく。コスチュームの胸部分を破き、控えめな胸を露わにする。
「カワイイおっぱいだなぁ。たまにはこんなのも良い」
「あ……さ、触るなぁ」
触手が胸を揉み、乳首を刺激する。
快楽を感じるものの、それよりも激痛の方が強くてかき消されてしまう。
足を掴んでいる触手が、むりやり股を開かせてコスチュームの股間部分をずらして秘所をさらけ出す。
失禁の影響でむわぁとアンモニア臭が漂う股間に、アイの太ももより一回り大きい太い触手が触れる。
そのあまりにも太い触手を見たアイの顔が青ざめる。今までにもゆらぎに犯されたことはあるが、ここまでモノは初めてだった。こんなモノが入れられたらどうなってしまうのか?最悪な未来が脳裏をよぎる。
「や、やめろ!そんなモノ入れたら――」
「そんなこと言われたら余計に入れたくなるぜぇ!――おらぁ!」
「――おごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ボコンっ!と凄まじい勢いで極太触手が濡れていない秘所へ無理矢理挿入された。
触手はあっという間に子宮口をこじ開け、底を突いて引き延ばし、アイの胸まで押し込まれてしまった。
彼女の胴体にはボコォ!と極太触手の形が浮かび上がっている。
「あ……あぁ……おおぉぉ」
「ははは!コレでも生きてるなんて魔法戦士ってのは凄いなぁ!でも、まだまだこれからだ!」
「あぎぃ!?」
極太触手がピストン運動を始め、何度も出し入れされる。その度に激痛が走り、アイの胴体もグロテスクに変形を繰り返す。
魔法戦士が故に、死ぬことが出来ないのは果たして幸福なのか……。
激痛で気絶することも出来ない。
「あがぁ!おごぉぉぉぉぉ!ぎゃひぃぃぃぃぃ!」
美少女のものとは思えない、汚い悲鳴が路地裏に響き渡る。
だが、地獄はまだ終りではない。
何本もの触手が、アイの尻に近づいていく。余裕のない彼女はそれに気がつかない。
そして、触手達は容赦なくアナルへと入り込んでいく。
「あひぃぃぃぃぃ!?おひぃりぃだみぇぇぇぇぇ!?」
狭いアナルをこじ開けて○す触手たち。子宮へ挿入されている極太触手よりもずっと細いとはいえ、それでも成人男性のチンポと同じくらい太い。そんなモノが何本も入っているのだ。尋常じゃない苦しみがアイを襲う。
――しかし次の瞬間、アイの様子が変わった。
「あへぇ?――いぐぅぅぅぅぅぅ!?」
痛みが引いていき、今度は凄まじい快楽が流れてくる。まるで激痛が快楽に変換されたようだった。
――実は男の操る触手から分泌される先走り汁などの粘液は強力な媚薬なのだ。それがアイの子宮と直腸から吸収され、痛みを快楽に変換し始めたのだった。
痛みと快楽が混ざり合い、アイの思考がグチャグチャになっていく。
「あへぇぇぇぇ!?ひぎぃぃぃぃ!?ごわれりゅ、わたしごわれりゅぅぅぅぅ!?」
白目を剥いて嬌声と悲鳴を上げるアイ。そんな彼女にさらなる絶望が襲いかかる。
子宮を蹂躙する極太触手がピストンするだけでなく、まるでドリルのように回転し始めたのだ。
ナカが掻き回され、子宮が捻じられる感覚。本来なら発狂するような激痛が、全て快楽へと変換されていく。
「おびょぉぉぉぉぉぉ!?ナカかきまぜにゃいでぇぇぇ!?オマンコねじりギレぢゃうぅぅぅぅ!」
さらに、アナルに入った触手たちがさらに奥へと突き進んでいく。何本もの触手が腸を駆け上り、極太触手で盛り上がった胴体に腸の形がさらに浮き上がる。
この状態で生きているのが不思議なレベルだ。これもまた快楽に変換され、アイを絶頂地獄へと落としていく。
そして、駆け上った触手が胃、食道、喉を通り――遂に口から飛び出してしまった。
「んぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「どうだ、触手貫通の味はよぉ!おらぁ、一緒にザーメンも喰らいな!」
男がそう言うと、触手が一斉に射精する。
口から飛び出した触手がザーメンを噴き出し、アイがザーメン噴水のオブジェのようになっていた。
同時に連続絶頂を迎えたアイは、股間から潮が噴き出す。
「もう、ひゃべてぇぇぇ!?ゆるひてくだひゃいぃぃぃぃ!」
アイは触手が飛び出た口でくぐもった声を出し、男に無様な許しを請う。
もはや、普段のクールさは消え失せてしまい、誇り高き魔法戦士の面影も無くなっていた。彼女の仲間達が見たら、驚くほどに今のアイは無様だった。
そして、極太触手がビクンビクンと震え始める。――射精の前兆だ。
それに気がついたアイは、只でさえ青い顔をさらに青ざめさせる。
「だみぇぇぇぇぇぇ!?――お”」
瞬間、爆発したように極太触手からザーメンが大量放出された。
只でさえ、拡張されている子宮がボゴン!と妊娠したかのように膨れ上がる。だが、射精はまだまだ終わらない。
「おおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ガスボンベで膨らむ風船のようにどんどんザーメンで腹が膨らんでいく。
アイの口からは泡が吹き出し、病的な痙攣が始まった。
やがて腹が臨月のように膨らみ、それでも射精が止まらず子宮が限界を迎える。
――ブチンッ!
「あ”へぇ!?」
嫌な音がアイの体内で響いた。――子宮が耐えきれずに破裂した音だ。
アイの目がぐりん!と裏返り、短い悲鳴を上げると体から力が抜ける。少しの間体がピクピクと震えていたものの、やがてそれも止まる。
――気高き魔法戦士、アイはザーメン詰めにされて無様に死んだ。
「さすがに死んじまったかぁ~!まだシタり無いからよ、もうちょっとオナホにさせてもらうぜ?」
息絶えたアイを見て嗤う男は、彼女が死んだにもかかわらず、未だ治まらない性欲を満たすために触手を再度動かし始めたのだった……。
――翌日早朝。
毎日の定時連絡が無いことに焦った秋俊から、リンとメグに連絡があった。
ちょうど別件のゆらぎ討伐を終えた二人は、そのままアイがゆらぎ討伐へと向かった街に急行したのだが……。
「――なによ、これ」
「そんな、こんなことって……」
朝霞の浮かぶ街に到着した二人が見たものは、繁華街の広場に設置されたオブジェの鉄杭に股間から突き刺さった、アイの無残な死体だった……。
彼女の穴という穴からザーメンが漏れ出ており、腹は臨月を迎えたようにザーメンで膨らんでいる。
手足は何度もねじ曲げたのか、千切れそうになっている。
そしていつもクールで無表情だった可憐な顔は、絶望に染まっていた……。
既に広場には人が集まっており、アイの死体は何十、何百もの人に晒されてしまった。
人々は彼女がどんな存在か知らなかったが、魔法少女のようなコスチュームから猟奇殺人事件の犯人と敵対する存在なのだろうと何となくの予想はついた。
そんな存在があまりにも無残な最後を遂げた。
街の人々は、もはや希望は失われたと絶望するしかなかった……。
――その後、リンとメグがゆらぎを討伐しアイの仇討ちを果たせたのか?
それはまた別のお話……。
あの魔法少女アイを滅茶苦茶にしてほしい!といった感じの内容だったので筆がのり、おまけで触手ドリルしてみました。
敗北までの流れは指定が無かったので、それっぽく書いてみましたがどうでしょう?
あと何か続く感じに書いてしまいましたが、続きを書く予定は今の所無いので、各自妄想で補って頂けると助かります(笑)
去年、ちょっと復活した魔法少女アイですが、新作……とは言わずもリメイク出してほしいですねぇ。
流石にもう20年以上前の作品ですし……。
霜月ナル 2023/03/02 01:56
いつもお世話になっております。霜月ナルです。
この度、3月1日からpixivにてリクエスト受付を開始しました。
https://www.pixiv.net/request/send?creatorUserId=41848834¤tPlanId=107624
出来る限り頂いたリクエストは受け付けたいですが、本業や自作品の執筆などもあるため、全てを受け付ける事は出来ない可能性があります。
ウルトラウーマン作品の場合は、出来れば今後書く予定のありそうなシチュエーションは避けて頂けると助かります。(原作の敗北IF等)
執筆したリクエスト作品は依頼者から非公開のお願いがない限り、こちらにも全体公開で掲載する予定です。
霜月ナル 2023/01/21 04:17
思った以上に反響があったので続編、書いちゃいました。
今回のヒロインのデザインは下記の感じです
通常
悪堕ち
星宮姫子は何処にでもいる根暗で背の低い女の子。シングルマザーの家庭で育ち、母親は生活費を稼ぐために早朝から深夜まで仕事に出ていて育児放棄気味だったり、学校で虐められたりしているけど何ら特別ではなかった。
そう、あの日までは……
朝起きて、既に仕事へ行った母が作った朝食を食べて学園に登校し、クラスのトップカースト女子に『根暗で教室の雰囲気が暗くなるわねぇ』とか色々ネチネチ言われたり、貯めたなけなしの小遣いで購入したお気に入りのペンが筆箱からなくなっていたりと何時もと変わらない日……のはずだった。
授業が全て終り、姫子はいつものように図書室で隠れるように本を読んで時間を潰している。お金が掛からないし集中して読めば時間があっという間に過ぎていく。読むジャンルは雑多で辞書から小説まで何でも読むが、好きなのはライトノベル。特に普通の少女が特別な力に覚醒して、悪を倒すような話が好きだった。そしてその主人公を自分に置き換えて妄想する。普通の少女が実は正義のヒロインで、変身して悪を蹴散らしていく。
「……こんな力がホントにあったら良いのに」
溜め息をついて本を閉じる。いつの間にか時間が過ぎ、日が落ちかけていた。校門の閉まる時間が近づいていることに気がついた姫子は荷物を片付けて学園から自宅に向かう。彼女の自宅はここから歩いて30分ほどで着くが、街の都心部からは外れているため人通りは少なく明かりも街頭だけだ。普段は暗くなる前に帰っているが、今日は何時も以上に集中して本を読んでいたため学校を出るのが遅れてしまった。暗い夜道をビクビクと怖がりながら歩く姫子。すると、何かにぶつかって尻餅をついてしまう。恐る恐る顔を上げてぶつかったモノを見ると、そこには――
「グルルルル……」
「き、きやぁぁぁぁぁ!ば、化け物!?」
現実には存在しないはずの異形が仁王立ちしていた。体は闇のように黒ずみ、腕が肥大化して鋭い爪を伸ばしている。顔は獣のような爬虫類のような、どっちつかずな形をしておりギラギラとギザ歯が覗き、よだれを垂らしていた。
驚いた姫子は逃げようとするが、腰が抜けてしまい立ち上がることが出来ない。化け物はジリジリと彼女へゆっくり近づく。逃げられないことが解っていて、わざと怖がらせるようにしているのだ。
「いや、誰か助けて……」
「――グギャァァ!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
化け物が姫子を襲ったその時、彼女が首から提げていた宝石が光り輝く!光は瞬く間に彼女の体を包み込み、その姿を変えさせていく。髪は赤髪のツインテールへ変化し、眼が隠れていた前髪が開かれる。服は肩が出ているセーラー服のようなレオタードにスカートが付いたものへと変わり、腕に肘までの白のグローブ、太もも辺りまでの白いニーソックス、首にチョーカー、額に宝石の着いたサークレットが装着。あっという間に変身を終えた姫子は自然とポーズをとり化け物を睨み付ける。
「夜空の星のように輝く正義の戦士『セーラーガール・ステラ』!あんたの脳天に流れ星落とすわよ!」
自然と決めゼリフを放つ姫子、いやセーラーガール・ステラ。変身したことで性格が変わったのか、普段の姫子から考えられないほど雰囲気が変わり、化け物を見下すように笑う。手には小さなステッキが握られ、それを突きつけていた。
「なんだか状況がわからないけど、この力があればあんたを倒すなんて簡単だってことだけはわかるわ!」
「ぐぎぎ……!」
自分が馬鹿にされていることがわかり、怒りを露わにする化け物。発達した筋肉を隆起させ戦闘態勢にはいった彼は素早くステラへ襲いかかる!
「――よっと」
しかし、ステラはひょいと軽やかに舞い、化け物の上を飛び越えて攻撃を回避。渾身の攻撃を躱された化け物は蹈鞴を踏み、倒けてしまう。それを見たステラは口に手を当てて笑う。
「あはは!見かけ倒しのザコねぇ~♪ザコ、ザ~コ!」
「ぎぎぎ……!」
「あれ、理解できる頭はあるんだ~?凄いね~、筋肉詰まってるのかなぁ?」
化け物は彼の肌が白ければ真っ赤に染まっていただろう程の怒りに震えていた。立ち上がると目にもとまらぬ速さでステラへと攻撃を繰り出すが……
「ふがー!」
「よっ、ほっ、っと、あれれ~全く攻撃が当たらないよ~?」
繰り出す攻撃全てがあっさりと躱されていく。かすり傷すら与える事も出来ず、振るった爪は空を斬る。躱される度に煽られイライラが募り、攻撃が荒くなる。化け物はステラによって手玉に取られていた。数分もしないうちに化け物の体力が限界を迎え、肩で息をする無様な姿を晒してしまう。
「え~?もう終わりなのぉ?ほんっと、筋肉だけのクソザコなんだぁ~!」
もはや声を上げられないほどに疲労している化け物。その姿を見たステラはがっかりした表情を浮かべる。そして手に持つステッキを掲げ力を込めた。
「じゃあ、もう終わりにしちゃうね」
ステラの周りに幾つもの光が生まれていく。1つ1つに凄まじい力が込められており、掠っただけでも化け物にとっては致命傷なレベルだ。あまりの力に恐怖し、後退る。先程までとは立場が逆転していた。
「さよなら、ク・ソ・ザ・コ・さん♪――スターライト・メテオ!」
技名を叫んでステッキを振り下ろすと、一斉に光が化け物へと撃ち出される。化け物は回避することが出来ず、あっという間に光に呑まれて消えていく。――光弾が止むと、化け物がいた場所には塵すら残っていなかった。
「あ~あ、つまんなかった」
戦いを終えて肩をすくめるステラ。辺りを見回し、他に化け物の仲間がいないことを確認すると変身が解け、元の姿へと戻っていく。次の瞬間、メ○ガキ化してた精神も元に戻り、姫子はワナワナと震え始めた。
「な、なな……何なの、今のぉぉぉぉぉ!?」
普段は出さないような大声を上げながら、自宅のアパートへと走って向かう姫子。正義のヒロインへと変身したこともそうだが、あのメ○ガキとも言うべき状態への変化。根暗な姫子と同一人物だとは思えないほどだった。
――これは姫子自身知らないことだが。変身した事による性格の変化は、彼女が心の奥底で抑圧している願望や本音等が表に出た事によるものだ。普段虐めている奴らを見返したい、強い自分になりたい、助けてくれない大人への反抗心。そういったものが色々混ざり合ったのが、正義の戦士「セーラーガール・ステラ」へと変身した際に現れたのだった。
「はぁはぁ……」
息が絶え絶えになりながらも自宅へ着き、制服を着替えずに床へ倒れ込む。姫子は先程の戦いを思い出し、メ○ガキ化した自分の恥ずかしさに両手で顔を覆い悶える。
「うぅぅぅ~!?『あんたの脳天に流れ星落とすわよ!』とか『ザコ、ザ~コ!』って何なのさ~!あんなセリフを私がホントに言ってたのぉぉぉぉぉ!?」
ゴロゴロと床を転がり呻く。幸い戦っていたところは誰にも見られていなかったが、もし見られていたら憤死していたことだろう。とはいえ、普段の姫子とは違いすぎて誰も彼女とは思わないだろうが。――しばらく悶え続けていた姫子だったが、ようやく落ち着いたのかピタリと動きを止める。
「でも、気持ちよかったなぁ……私にあんな力があるなんて、夢みたい」
変身した時の開放感、敵を圧倒する身体能力と不思議な力。夢に見た正義のヒロインになれたのだ。恥ずかしさはあるが、同時に嬉しくもあった。
「――もしかして、私がこの街を守るために授かった力なのかも」
あの化け物が一体だけとは考えられない。また別の個体が現れて人を襲うかもしれないし、そもそも背後に悪の組織がいる可能性もある。そして、姫子には戦う力がある。力を得た昂揚感の所為か、普段なら考えもしない事を思いつく姫子。放課後は時間がたっぷりある。どうせ母は深夜遅くまで帰ってこない。
「よしっ!明日から放課後はパトロールだ!」
――翌日から姫子は放課後に図書室へ行くのではなく、街へパトロールへと繰り出すようになった。そして化け物を見つけたり、人が襲われているのを発見した時は変身して戦い、街の平和を守っていく。やがて、正義の戦士「セーラーガール・ステラ」の名はSNS上で都市伝説のように広まっていった。その噂話を聞いたり、ネット上で見かける度に姫子の心は昂揚感に満たされる。もう、いじめや家での寂しさなど吹き飛んでいた。
「ぐげぇ~!?」
「はん!アンタみたいなのがセーラーガール・ステラ様に勝とうなんて到底無理なのよ、このざぁこ!」
化け物、ステラが「下級妖魔」と呼称する個体は弱く、時には複数同時に現れることもあったが簡単に蹴散らせるほどだった。力を扱うことにも慣れ、光弾を飛ばしたり敵の目を眩ましたりと活用できるようになった。常勝無敗のセーラーガール・ステラを止めるモノは誰もいない……はずだった。
「ふん、もう終わり?あ~あ、もうそろそろ四天王とか幹部級が出てもいいのに――」
「おや、お呼びかな?」
「誰っ!?」
声のした方へと振り向くと、そこには下級妖魔など比ではない威圧感を放つ黒い大男がいた。明らかに幹部級の敵だ。ステラは油断せずに警戒し、ステッキを構える。
「おじさん、何者?」
「私は17年前、セーラーガールによって滅ぼされた魔王の弟、『アスタロト』!以後、御見知り置きを……」
「17年前、ですって?」
恭しく礼をするアスタロト。ステラは彼の言葉に疑問が浮かんだ。アスタロトが言うことを信じるなら過去にもセーラーガールがおり、同じように平和のため戦ったということだ。
「そう、17年前に尊敬する我が兄バエルはこの地球を支配するため活動していた。だがそれを阻む存在、セーラーガール・カエルムが現れたのだ!」
アスタロトは語る。バエルとセーラーガール・カエルムの戦いは人知れず行われ、カエルムが優勢だったが、ある日彼女を罠にかけ捕えたという。これでバエルの勝利が確定したかと思われた時、土壇場でさらなる力を覚醒させたカエルムがバエルを倒したのだという。そして、アスタロトは復讐のためにこの17年間、カエルムによって壊滅状態になった戦力を蓄え、彼女を倒す機会を伺っていたのだ。
「しかしカエルムは現れず、新たなセーラーガールが現れた。そう、貴様のことだ。正直、貴様のことは邪魔で仕方なかったが……ククク」
「な、何よ気持ち悪い」
「いや、運命とはあるものだなと思ってな……」
「???」
首をかしげるステラだったが、敵の目の前だと思い出し気を引き締める。ステッキに力を込め、いつでも攻撃できるようにする。それを見たアスタロトは感心したように笑う。
「ほぉ……短期間でそこまで力を使いこなしているとはな。賞賛に値するぞ」
「ふん、おじさんに褒められても全然嬉しくないし」
「そうか、だがその程度では私は倒せん!」
瞬間、アスタロトから凄まじい闘気が噴出する!思わずステラは後ずさってしまうが、気を強く持ち敵を睨み付けた。
「いくぞ――」
「なっ、速い!?」
一瞬でステラの懐に踏み込んだアスタロトは拳を放つ。間一髪でそれを避けるステラだったが風圧だけでコスチュームが裂け、浅く傷が刻まれる。今まで無傷で戦いに勝ってきたステラにとってそれは初めての負傷で、鋭い痛みに顔を顰めてしまう。その隙を見逃さずアスタロトは連撃を繰り出す。
「――くっ!?」
(速すぎて完全に躱せない!?)
紙一重で攻撃を避け続けるステラだが、完全に避けきれずに傷が増えていく。そして、ついにはコンクリートの壁際へと追い詰められてしまった。
「しまった――!?」
「ふぅぅぅぅぅん!」
アスタロトの渾身の一撃が、逃げられないステラの腹にめり込む!凄まじい衝撃がステラの体を突き抜け、背後の壁に罅が入る。
「――おげぇぇぇぇぇぇっ!?」
遅れて激痛がステラを襲った。アスタロトの拳が離れると、衝撃で破けたコスチュームから見える腹部は赤く腫れ上がっているのが見える。次いで吐き気が迫り、我慢できずにステラは胃の中のモノを全て吐き出してしまう。幸い、普段からまともに食事を取っていなかった所為か、吐き出したのは殆ど胃液だけだった。
「ククク、無様だなセーラーガール・ステラ。その程度でイキっていたとは笑わせる」
「う、うるさい……まだ、これからだし」
「強がるな、常人なら消し飛ぶほどの一撃だ。流石のセーラーガールでもただでは済まないだろう」
アスタロトの言うとおり、ステラは意識を保つのがやっとな状態だった。殴られた腹部がズキズキと痛み、骨の一部も折れているのか呼吸するだけで激痛が走る。生きているのが不思議な状態だ。アスタロトの言うとおり、セーラーガールでなければ即死だった。
「――ふむ、ならばトドメを刺そうか」
「……いや、やめて……来ないで」
拳を振り上げるアスタロトを見て、ステラの体が恐怖に震える。逃げなければならないのに足がすくんで動かない。――そして無情にもアスタロトの豪腕が振り抜かれた。
――ゴォンッ!!!
轟音の後、静寂が場を包み込む。アスタロトによってステラの頭が潰されたと思われたが……
「あ……あぁ……」
アスタロトの拳は、ステラの顔のすぐ真横を撃ち抜いていた。彼女はガクガクと体を震わせ、呆然としていた。そして、彼女の意思に反して股間から黄色い液体が流れ出す。――ステラは死の恐怖で失禁してしまっていた。
「――あ」
小便を漏らし終えたステラはあまりのショックで気絶し、その場に倒れ込む。地面に広がる小便溜まりでコスチュームが汚れてしまう。正義の戦士とは思えない、無様な姿だった。アスタロトは倒れたステラへ近づき、頭を掴み軽く持ち上げる。
「無様に気絶したか……よし、アジトへ連れて行くとしよう」
気絶したステラを肩に担ぎ、アスタロトはその場から去って行く。後には砕けたコンクリート壁だけしか残らなかった……
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