宣伝SSを完成したところからアップします。
来年初頭に発売予定の成人女性向けシチュエーションボイス作品、アルトボイス男子・桐野千歳の前日譚を少しずつアップします。
・宣伝ボイス(ちょびっと様)
紹介の所から商品予告のリンクがあります!
・販売予告
アルトボイス男子 桐野千歳 flower spiral https://www.dlsite.com/girls/announce/=/product_id/RJ309044.html
SS,全部完成してからと思ったんですが、出来たところから載せます!
後日、全部まとめて修正(あれば)して、Pixiv様でも読めるようにします~!
SSは千歳視点で、ヒロインと出会って恋人になるまでのお話なので、
エッティなシーンは物語の後半しかないです。
よろしくお願いいたします!
下に載せていきます。
・アルトボイス男子 桐野千歳、前日譚
「優しいお姉ちゃんが一緒でよかったなぁ。ほら、お嬢ちゃん。卵、落とさないように気をつけてな」
子供の頃、妹と一緒におつかいに行くと、いつも女の子に間違われた。
「僕はお兄ちゃんです」と言うと、お店の人は慌てて謝ってくれる。
皆、悪気があって僕を女の子と間違えていたわけじゃない。
だから、僕は否定しつつも、なんだか申しわけない気持ちになっていた。
男らしくなれば、きっと女の子に間違われないようになる。
子供ながら真剣に考えた僕は、同級生の男子たちを見本にして、言葉遣いを乱暴にしたり、行動を荒っぽくする努力をした。
――その結果、妹まで僕の真似をしてガサツになった。元の妹に戻るまで大変だった。
今では笑い話なっているけど、あの時は『女の子に間違われたくないんだ』と言えなくて、両親と祖母を困らせてしまった。
母が行儀見習いで通わせてくれた書道教室の先生に出会わなければ、僕は今どうなっていたのだろう?
『男らしさ』を求めて、興味のないものを好きになろうとして、自分に嘘をつきつづけていたのだろうか。
書道教室に通い始めてすぐ、先生が僕に話しかけてくれたことを今でも時々、思い出す。
「千歳くんが好きなことってなんだ?」
「妹と一緒に、お散歩して、綺麗な花や可愛いものを探すのが好き。今、田舎の川で拾った綺麗な石でペンダントを作ってるんだ」
「そうか。君は妹を大事にする良いお兄ちゃんだな」
「でも、僕……お姉ちゃんに間違われるんだ。男らしくなくて、かっこよくないから……」
「先生からみた千歳くんは、とてもカッコいいぞ」
「本当……!?」
「あぁ、本当だ。だが、他の人が君を女の子と間違えてしまうことも『理解』はできる。本当の君は礼儀正しくて、優しい子だからな」
「……」
「千歳くん。『男らしい』という言葉を気にしすぎてはいけない。この世界には、たくさん人がいて、それぞれ君に対する印象が違う。
だから、他人にどう思われるかを気にして生きていたら、とても疲れてしまう」
「先生……」
「今から気を張らずに生きていく練習をしておいたほうがいい。君が大好きなものを大好きていていいんだ。それは誰にも迷惑をかけない」
子供の僕に、わかりやすい言葉で、対等に話をしてくれた先生。
先生の言葉は僕の心を軽くしてくれた。今でも、僕が一番尊敬できる存在だ。