宣伝SSを完成したところからアップします。その②
来年初頭に発売予定の成人女性向けシチュエーションボイス作品、アルトボイス男子・桐野千歳の前日譚を少しずつアップします。
その②をアップしました~!
・宣伝ボイス(ちょびっと様)
紹介の所から商品予告のリンクがあります!
・販売予告
アルトボイス男子 桐野千歳 flower spiral https://www.dlsite.com/girls/announce/=/product_id/RJ309044.html
下に載せていきます。
・アルトボイス男子 桐野千歳、前日譚②
現在、フリーランスのグラフィックデザイナーをして、生計をたてている僕は、先生の言葉を指針にして、自分らしく好きなように生きている。
世間が言うところの、女性が好みそうな可愛くて甘いお菓子が好きだし、仕事も女性向けのデザイン関連が多い。
今日、会うことになった取引先の仕事もそう。
女性向けの商品に力を入れ始めた地方の酒造メーカーで、企画営業を担当している男性が、上京するから僕に会いたいと言ってくれたのだ。
待ち合わせは上品な和食を売りにしているお店だった。
「ここの懐石料理、見た目だけじゃなくて味も美味しいんですよ。どれでも好きなものを頼んでくださいね」
「ありがとうございます。たくさんあって迷うな……。じゃあ、これにします」
「あぁ、それ茶碗蒸しが旨いんですよ。私はこの秋限定のやつにします」
食事をしながら、今後の仕事の話をする。
僕がパッケージデザインをしているシリーズの商品が売れ行き好調らしく、彼は上機嫌だった。
「今回の商品も完成したら、桐野さんに送りますね」
「いつもありがとうございます。今から飲むのを楽しみにしていますね」
営業の人と別れた後、特に予定もなかったので、腹ごなしに寄り道をすることにした。
(せっかく都心に来たし、何か買って帰ろう)
作業中に食べる甘いものが欲しい。ここら辺で、まだ行ったことがないパティスリーはないかな?
携帯で検索をして、気になる店をみつけた。
(和風チョコ専門店か……)
凝った形と種類の多さに、オーナーの気合いを感じる。
ここで買おうと決めて、店に向かう途中――洋風レトロな可愛い外装の本屋が目にはいった。
(へぇ……個人店かな?ちょっと気になるな)
ドアを開けて中に入る。
レンガの壁紙が張られている店内には、動物を模した木製の玩具と一緒に、たくさんの本が並べられていた。
二階はギャラリーになっているらしい。
この本屋のターゲット層は、僕のようなデザイナーや美術生なのだろう。
店の奥へ行くと、一角に海外作家の絵本や画集のコーナーがあった。
(この本屋、すごいな)
店員さんの趣味なのだろうか。大型書店に負けない品ぞろえに目を奪われた。
手作りのポップに綺麗な字で、絵本のオススメポイントがかかれている。
「あ……!」
その中に見覚えのある絵本の表紙を見て、僕は思わず声をもらした。
それは先月、芸能人がSNSで紹介しているのを見て、興味がわいた作家だった。
新作が発売したら、この絵本と纏めて買うつもりだったのに、最近忙しくて、すっかり忘れていた。
とりあえず、この絵本だけでも忘れないうちに購入しておこう。
(新作は普通の本だけど、もし売ってたら、このコーナーに作者繋がりで置いてる可能性が高いよね? でも、ないな。どうしよう)
一応、店員さんに聞いてみようか。
レジに行くと、二十代前半くらいの女性の店員さんが、椅子に座ってパソコンを操作していた。
「あの、すみません。本を探してるんですが……」
「はい、どちらのものでしょうか?」
「これです」
カウンターから出てきた店員さんに携帯の画面を見せる。
すると、彼女は「あっ」と声をあげて、眉をさげた。