宣伝SSを完成したところからアップします。その④
来年初頭に発売予定の成人女性向けシチュエーションボイス作品、アルトボイス男子・桐野千歳の前日譚を少しずつアップします。
その④をアップしました~!
・宣伝ボイス(ちょびっと様)
紹介の所から商品予告のリンクがあります!
・販売予告
アルトボイス男子 桐野千歳 flower spiral https://www.dlsite.com/girls/announce/=/product_id/RJ309044.html
折り返しです。あと二回で終わります~!
全部終わったら 、再見直ししてPixiv様にもアップします。
よろしくお願いいたします!
・アルトボイス男子 桐野千歳、前日譚④
彼女に本を譲ってもらったことがきっかけになり、
話がはずんだ僕たちは、頻繁に連絡を取りあうようになった。
(彼女と知り合ってから、頻繁に出かけるようになったな……)
一緒に行く場所は映画や美術館が多い。お互いに趣味があいそうなものをみつけたら、誘う感じだ。
はたからみたら、付き合ってるのかと思われるかもしれないが、違う。
僕は彼女に好意をもっているけれど、彼女は僕を「趣味の合う友人」としてしか、みていないように思えた。
(最近はプライベートなことも話すようになったし、明日会ったときに、もう少し踏みこんでみようかな)
僕は彼女に恋人がいるかも知らないのだ。
今後、好意を伝える行動をおこすためにも、まずはそこを確認したい。
晩ご飯を食べてから、携帯のチェックをすると、彼女から明日の待ち合わせの件で連絡がきていた。
「こんばんは。明日の原画展ですが、十時に渋谷の駅前で待ち合わせで、よろしいでしょうか?」
「うん、それで大丈夫だよ。よろしくね」
「はい!こちらこそ、よろしくおねがいします」
お風呂に入る準備をするため、立ち上がろうしたとき、携帯から着信音が聞こえてきた。
「桐野さん、すみません。少しお聞きしたいことがあるんですけど、今からお電話してもいいですか?」
「いいよ」
返信すると、すぐに電話がかってきた。
「もしもし、桐野さんですか?」
「はい、桐野の携帯なので、本人です」
「あ、そうですよね……!」
慌てる様子が声で伝わってきて、可愛い。文字でやりとりするよりも、彼女を近く感じることができて、嬉しくなる。
「わざわざ電話で話って、どうしたの?」
「桐野さん、今ってお仕事忙しいですか?」
「特に急ぎのものはないけど」
「私、明日から2連休なんです。もしよかったら、原画展に行った後、うちに泊まりに来ませんか?」
意外な誘いに、僕は息をのむ。
彼女は真面目だし、男を簡単に自分の部屋に入れるような子じゃないと思っていた。
(これはどういう意図だろう?)
僕の戸惑いに気づいていない彼女は、声を弾ませて話を続ける。
「前に絶版になってるってお話しした作家さんの絵本なんですが、自主制作でアニメになったんです!動きが丁寧で、とっても可愛いくて……!ネット配信サイト限定しかないから、ぜひ家に来て、桐野さんに見ていただきたいんです!」
「えっと……」
(どうしよう。ここまで男として意識されてないとは思ってなかった)
僕に気を許してくれていることはうれしい。けれど、これは完全に望みが薄いのではないか。
(いや、まだ僕もなにも言ってないし、諦めるの早すぎる。まず恋人の有無を確認しよう)
どう切り出そうか考えていると、彼女は「す、すみません……!」と声をしぼませた。
「いきなり泊まりに来てくださいなんて言われたら、困りますよね?ごめんなさい、私……話があうお友達ができたのが嬉しくて、先走ってしまいました」
「……別に迷惑じゃないよ。誘ってもらえて、すごくうれしい。でも、本当におじゃましてもいいの?」
「っ、はい!桐野さんが、ご迷惑でなければ、ぜひ遊びに来て欲しいです。あ、寝るのは、お布団でも大丈夫ですか?」
「それは平気だけど。……君って、けっこう人を家に呼んだりするほうなの?ほら、恋人とか友達とか」
「今、住んでるところに家族以外で呼んだのは、桐野さんがはじめてです。……恋人はいませんし、友達も社会人になってからは会う機会も減ってしまって……」
「……そう」
僕がはじめてという言葉に、期待がふくらむ。
(恋人……いないのか)
それなら、遠慮する必要もないな。
このまま意識してもらえず、やきもきする時間がおしいし。
明日、泊まらせてもらって、帰る直前に告白しよう。
(そうすれば気まずくなる確率も減るし、次に会うときまでに、ゆっくり返事を考えてもらえる)
「誘ってくれてありがとう。じゃあ、行かせてもらうよ。明日はよろしくね」
「はい、よろしくおねがいします。桐野さんと、たくさんお話できるの楽しみです」
「……うん」
僕が告白した後も、そう思ってくれたらいいな。
このふわふわとした、穏やかで心地よい関係を失わなくてすみますように。