flower spiral 2020/12/16 21:14

宣伝SSを完成したところからアップします。その④

来年初頭に発売予定の成人女性向けシチュエーションボイス作品、アルトボイス男子・桐野千歳の前日譚を少しずつアップします。
その④をアップしました~!


・宣伝ボイス(ちょびっと様)
紹介の所から商品予告のリンクがあります!

・販売予告
アルトボイス男子 桐野千歳 flower spiral https://www.dlsite.com/girls/announce/=/product_id/RJ309044.html


折り返しです。あと二回で終わります~!
全部終わったら 、再見直ししてPixiv様にもアップします。
よろしくお願いいたします!


・アルトボイス男子 桐野千歳、前日譚④




彼女に本を譲ってもらったことがきっかけになり、
話がはずんだ僕たちは、頻繁に連絡を取りあうようになった。

(彼女と知り合ってから、頻繁に出かけるようになったな……)

一緒に行く場所は映画や美術館が多い。お互いに趣味があいそうなものをみつけたら、誘う感じだ。
はたからみたら、付き合ってるのかと思われるかもしれないが、違う。

僕は彼女に好意をもっているけれど、彼女は僕を「趣味の合う友人」としてしか、みていないように思えた。

(最近はプライベートなことも話すようになったし、明日会ったときに、もう少し踏みこんでみようかな)

僕は彼女に恋人がいるかも知らないのだ。
今後、好意を伝える行動をおこすためにも、まずはそこを確認したい。

晩ご飯を食べてから、携帯のチェックをすると、彼女から明日の待ち合わせの件で連絡がきていた。

「こんばんは。明日の原画展ですが、十時に渋谷の駅前で待ち合わせで、よろしいでしょうか?」

「うん、それで大丈夫だよ。よろしくね」

「はい!こちらこそ、よろしくおねがいします」

お風呂に入る準備をするため、立ち上がろうしたとき、携帯から着信音が聞こえてきた。

「桐野さん、すみません。少しお聞きしたいことがあるんですけど、今からお電話してもいいですか?」

「いいよ」

返信すると、すぐに電話がかってきた。

「もしもし、桐野さんですか?」

「はい、桐野の携帯なので、本人です」

「あ、そうですよね……!」

慌てる様子が声で伝わってきて、可愛い。文字でやりとりするよりも、彼女を近く感じることができて、嬉しくなる。

「わざわざ電話で話って、どうしたの?」

「桐野さん、今ってお仕事忙しいですか?」

「特に急ぎのものはないけど」

「私、明日から2連休なんです。もしよかったら、原画展に行った後、うちに泊まりに来ませんか?」

意外な誘いに、僕は息をのむ。
彼女は真面目だし、男を簡単に自分の部屋に入れるような子じゃないと思っていた。

(これはどういう意図だろう?)

僕の戸惑いに気づいていない彼女は、声を弾ませて話を続ける。

「前に絶版になってるってお話しした作家さんの絵本なんですが、自主制作でアニメになったんです!動きが丁寧で、とっても可愛いくて……!ネット配信サイト限定しかないから、ぜひ家に来て、桐野さんに見ていただきたいんです!」

「えっと……」

(どうしよう。ここまで男として意識されてないとは思ってなかった)

僕に気を許してくれていることはうれしい。けれど、これは完全に望みが薄いのではないか。

(いや、まだ僕もなにも言ってないし、諦めるの早すぎる。まず恋人の有無を確認しよう)

どう切り出そうか考えていると、彼女は「す、すみません……!」と声をしぼませた。

「いきなり泊まりに来てくださいなんて言われたら、困りますよね?ごめんなさい、私……話があうお友達ができたのが嬉しくて、先走ってしまいました」

「……別に迷惑じゃないよ。誘ってもらえて、すごくうれしい。でも、本当におじゃましてもいいの?」

「っ、はい!桐野さんが、ご迷惑でなければ、ぜひ遊びに来て欲しいです。あ、寝るのは、お布団でも大丈夫ですか?」

「それは平気だけど。……君って、けっこう人を家に呼んだりするほうなの?ほら、恋人とか友達とか」

「今、住んでるところに家族以外で呼んだのは、桐野さんがはじめてです。……恋人はいませんし、友達も社会人になってからは会う機会も減ってしまって……」

「……そう」

僕がはじめてという言葉に、期待がふくらむ。

(恋人……いないのか)

それなら、遠慮する必要もないな。
このまま意識してもらえず、やきもきする時間がおしいし。

明日、泊まらせてもらって、帰る直前に告白しよう。

(そうすれば気まずくなる確率も減るし、次に会うときまでに、ゆっくり返事を考えてもらえる)

「誘ってくれてありがとう。じゃあ、行かせてもらうよ。明日はよろしくね」

「はい、よろしくおねがいします。桐野さんと、たくさんお話できるの楽しみです」

「……うん」

僕が告白した後も、そう思ってくれたらいいな。
このふわふわとした、穏やかで心地よい関係を失わなくてすみますように。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索