映画『ウィッチ(The Witch)』(2015) 感想

脚本・監督 ロバート・エガース

孤立した荒れ野に住む信仰深い家族が、その信仰ゆえに崩壊していくホラー映画。

主人公は心優しい少女トマシン。その家族も普通の家族です。ちょっと悪態の強い双子の子供もいますが、年相応とみれば普通です。

しかし彼女たちは、考え方の違いから村の宗教から排斥され、森の中にひと家族だけポツンと暮らすことになってしまったのです。

ある日赤ん坊が何者かに拐われます。家族は狼のせいだと思っていますが、カメラは森に住む裸の何者かが赤ん坊を切り刻むところを撮します

次にトマシンの弟のケイレブが、やはり森の中で謎の女に誘惑され、翌朝気が触れた状態で裸にて帰ってきます。彼は卑猥な言葉を叫びながら狂い死にしました。

この映画の恐ろしいところは、狂った信仰により破滅に向かうのではなく、正しい信仰を守り続けた故に破滅へと向かってしまうところです。みんな心の中では家族の事を思いやっています。しかし神はその家族よりも上位に存在する絶対者です。子供の言葉よりも、信仰を優先させてしまった事により狂気の世界が始まりました

そして演出の怖さ。冒頭でも書きましたが、カメラは森のなかに住む明らかに変質者と思われる人物を撮します。しかしそれが本当に現実の変質者なのか、本物の魔女なのかはわざと曖昧にしているのです

原因がわからない恐怖ほど怖いものはありません。

恐らく私がこの映画の中の家族になったら、間違いなく魔女は居ると信じ込んでしまう。
そんなリアリティのある作品でした。

催○律動音響80_ホラー

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