みなさま、ごきげんよう。みかん三十郎です。
今回はゲーム制作ノウハウ的な記事でございます。
テーマはタイトル通り「ゲームの選択肢はどう書くべきか」です。
波風を立てないような結論を言ってしまうと「好きに書いて構わない」なんですが、それでは記事にならないので、普段、私がコンシューマ・同人問わずゲームをプレイしていて「これは親切だな~」あるいは「分かりにくいな~」などと気付いたことなどを書き留めていきます。
基本はYES/NO
RPGツクールでは、選択肢の文面や項目自体はあれこれいじることが出来ますが、デフォルトでは「はい」「いいえ」の選択肢が作成されます。
「はい」「いいえ」といえば、国民的RPGドラゴンクエストでもお馴染みです。
ドラクエは、主人公のセリフがない上に、ほとんどの選択肢を「はい」「いいえ」でこなすという、大変分かりやすい仕組みとなっています。NPCからされる質問もYES/NOが答えになる文となっていて、ドラクエ特有の文体を生み出しています。
選択肢が「はい」「いいえ」の「ドラクエ式」に限らず、質問のテキストは出来るだけシンプルに書くと分かりやすいです。
例えば扉の向こうにボスの気配がするとき──
①扉を開けますか?
YES/NO
②扉を開けるのをやめますか?
YES/NO
この2つではYES/NOで逆のアクションを取ってしまいます。個人的には②のような問の出し方は一瞬戸惑ってしまうので、出来るだけ避けるのが良いかなと思います。
ルールを統一
選択肢を文章にするにせよ、ドラクエ式にするにせよ、肯定と否定の配置は固定しておいた方が良さそうです。
基本的には「はい」が上、「いいえ」が下がほとんどだと思います。それに倣って「肯定的・建設的・平和的」な回答は上に、「否定的・対立」する回答は下に置くなどすると統一感が出ます。
宿敵にたいして──
「一時休戦だ」
「お前は絶対倒す」
娘を──
「助ける」
「見捨てる」
刺客を捕らえた──
「見逃してやろう」
「トドメを刺す」
統一されていると、選択後に起きることの予想がし易くなります。(実際に想像通りの展開になるかは別として)
また、ゲームによっては3番目に「どっちつかずの回答・無言・おちゃらけ」が配置されていたりもします。
この3つ目の回答に意外なものが用意されているとプレイヤーは思わずツッコミたくなってしまいますので、うまく使うとシナリオを「楽しい!」と思わせることが出来るかもしれません。
宿敵にたいして──
「一時休戦だ」
「お前は絶対倒す」
「姉ちゃん元気?」
美人の刺客を捕らえた──
「見逃してやろう」
「トドメを刺す」
「とりあえず脱がす」
ボケパターンの場合、ゲーム内にツッコミ役は不在でも構いません。下手にツッコミテキストを増やすよりは、プレイヤーという優秀なツッコミ役がいるのでそちらに任せましょう。
再確認とテンポ感
また、ツクールでは選択肢のデフォルト位置を変更出来ます。カーソルを最初から「いいえ」に置いたり、操作しないとカーソルが出現しないようにする機能です。
これは重要な選択肢をうっかり間違えないように利用できる反面、頻繁に使ったりルールが統一されていないと、プレイテンポが落ちてかえってストレスになりやすいです。
選択肢を選んだ後の再確認も同じですね。例えば、宿屋に泊まるたびに「本当に泊まりますか?」と聞かれても煩わしさが目立ってしまいます。
これらはエンディング分岐に繋がるような重大な選択や、取り返しのつかない要素に絞って使用したいところ。もし取り返しのつかない要素が頻出するのであればイベント自体を見直してもいいかもしれません。
ある町の宿屋に泊まると重大イベントが起きてシナリオが大きく進む。
└→再確認があるべき。
(そもそもプレイヤーが街に入って真っ先に立ち寄りそうな宿屋に重大イベントを置くべきか再検討)
宿屋に泊まるたびに下がるパラメータなどがある。
└→再確認無し。
最初にしっかりと説明した上で後はプレイヤーの判断に任せる。
筆者ならこの場合こうするかな、というケーススタディです。参考までに。
選択肢を動詞にしてみた
ちなみに拙作『インピュアドリーム』では、選択肢を動詞にするというアプローチを取ってみました。
扉を開けますか?
「開ける」
「やめる」
といった感じです。これならば、質問テキストを読み込まなくても自分の取りたい行動が選べると考えました。
また、漢字ですと「開」「閉」の字は(みなさんもエレベータで迷うと思いますが)とても似てますので、字面が似ている文字はあえて表記を変えたりするといいかもしれません。
扉を開けますか?
「開ける」
「しめる」
日本語には漢字、ひらがな、カタカナと見た目の異なる文字がありますので、それらを使い分けるのはなかなか良さそうです。
行動を選んでください
「ワープ」
「セーブ」
行動を選んでください
「瞬間移動」
「セーブ」
後者の方が、ぱっと見の理解度が早い気がします。お好みですが…。
アクションゲームでは思った通りに動くこと、RPGやアドベンチャー、ノベルゲームなどでは自分の意思通りの選択が為されるのが楽しさであり、そうならなければストレスになってしまいます。
プレイヤーが「少女を助けたい」と思ったら(実際助けられるかどうかは別として)操作キャラクターはそう動くべきで、うっかりミスで「見捨てる」を選んでしまう事態は避けたいところです。
今回の記事がストレスフリーなゲーム制作の参考になれば幸いです。