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2024年 06月の記事 (3)

フリーセンテンス 2024/06/28 22:20

更新が止まっていました( ;∀;)

こんばんは、フリーセンテンスです。

このところ、更新が滞っておりまして、誠に申し訳ございませんでした( ;∀;)

ただ、書いていなかったわけではございません。前回更新した、ノリで書いた内容の小説の妄想が色々と膨らんでしまい、そっちの方を優先して書いていたからなんです。というよりも、先にこっちを書かないと、執筆が進まなくなってしまったため、継続して書くことにした次第でございます、はい。ちなみに、頑張って書いたので、あともう少しで完成するところまで書けています。
一応、文字数は、いまの段階で3万5千文字を超えているのですが、加筆修正を加えると、最終的にはもう少し多くなると思います。

とりあえず、続きの部分を掲載いたしますので、もしよろしければ暇つぶしに読んでいただめますと幸いです(*´ω`)


 三大陸統合警察の本部は、フローレシア大陸北西部に位置する永世中立国ヌベア共和国の首都ニードレスに置かれている。組織の発足は第三次大陸間戦争が終結した翌年の新世暦一九七四年で、先の大戦が、「大陸間犯罪の増加に伴う治安の悪化」に伴う勃発であったため、それを教訓として、国境と大洋の垣根を超えた犯罪を取り締まることを目的として設立されたのであった。
 この組織には一〇二の国と地域が参加しており、国際的な犯罪を取り締まるにあたってかなり強い権限と武力が与えられていた。
 その武力というのが凄い。
 戦闘訓練を受けた武装警官二万八〇〇〇人、空挺資格を有する特殊警官一万二〇〇〇人、身体の一部を機械化した機甲警官四二〇〇人、さらには受精卵の段階で遺伝子操作を受け、頭脳、容姿、身体能力に優れた特務警官も三〇〇人所属している。有する兵器の数と種類も豊富で、八十八ミリ砲搭載の装甲車、三〇ミリ機関砲搭載の装甲車、武装攻撃ヘリ、輸送機、軍事ドローン、さらには偵察衛星にいたるまで、その武力はさながら軍隊並である。三大陸統合警察は、この強大な武力をもって世界各地の犯罪組織や宗教団体、カルト教団、傭兵部隊、マフィアやヤクザなどを幾つも壊滅させてきたのだった。
 ゆえに、というべきか、三大陸統合警察はいま世界で猛威を振るう「ベスティア」駆除にも駆り出され、市民と世界の治安を守るため、世界各地でこの恐るべき生物兵器と戦っているのだった。しかしその戦果は芳しいものではなかった。
 一日、三大陸統合警察の本部では、幹部たちが集まって、眉間にシワを寄せながら、苦虫を噛み潰したような表情で、世界各地からもたらされる「悪い報せ」を受けていた。彼らの正面にあるスクリーンには世界地図が映し出されており、そこには過去三カ月間で発生したベスティアに関する事件が表示されていた。そして幹部たちが持つ手元のタブレット端末には、市民の犠牲や建物に対する被害、経済的な損失だけでなく、現場に赴いた警官たちの損害もデータとして表示されていた。
「はぁ・・・・・・」
幹部の誰かがため息を吐いた。吐きたくもなる。ベスティアによる被害がそれだけ大きかったからだ。
 この三カ月間で発生したベスティアに関する事件は一八ヵ国二十四地域で八十六件に達し、市民の被害は死者一六九二名、負傷者は三七七四名に昇る。だがこれは市民に限定した被害者数であって、ここに警官の被害者数を加えると、その死傷者数はたちまち倍化してしまう。世界には数多くの猛獣が生息しているが、ベスティアの危険性は既存の猛獣の比ではなく、戦闘になった場合、たとえ重火器や兵器で武装していても、その被害は多大なものとなってしまうのだ。
 もちろん、ベスティアによる経済的な損失も大きく、市民生活、企業活動、観光、スポーツ、さらには文化や芸術にまで及ぶ被害の金額は、この三カ月間だけで総額一三八〇億共通通貨単位に達し、これは中規模の国が経済破綻するに足る金額であった。
 ベスティア関連の被害は、事前に巨大なものになると予測されていたが、実際に数値として出されると、幹部たちは頭を抱えずにはいられなかった。
「それで、ガインベルクはいつ逮捕できるんだ。このままだと被害が拡大する一方だぞ。いつだ。いつ逮捕できるんだ! ええッ!?」
そう苛立った声で質問したのは、アレクシオス大陸エルパトリア共和国出身のゲーバ・ディオン第九地区担当本部長であった。老齢の男で、頭髪はすでになく、顔に深いシワが刻まれている。彼は三週間前、ベスティア取り引き現場に部下たちを派遣して、取り引きに関わりのある犯罪組織を一網打尽にしようと試みた。だが、その最中に、犯罪組織にベスティアを解き放たれてしまい、現場は混乱。犯罪組織に逃走された挙げ句、ベスティアの攻撃によって四十八名もの部下を喪っていた。
「い、いえ、それは・・・・・・」
詰問を受けた報告官は、一度、本能的にうつむいて口ごもったあと、意を決したように顔を上げ、現在の状況を偽らずに伝えることにしたのだった。
「残念ながら、いまだガインベルクの逮捕にはいたっておりません。ガインベルク率いる「黒の薔薇」が拠点を置くマリソア共和国は、先の大戦以降、ほぼ無政府状態と化しており、二〇〇万人いる住民すべてが「犯罪者」とみなされるほど危険な場所だからです。ガインベルクの潜伏先を見つけるため、各国の諜報機関とも連携をとりながら四〇名の特殊捜査官を潜入させていますが、すでに三十八人が、ガインベルクとは無関係の抗争や戦闘に巻き込まれ命を落としています。そのなかには○問にかけられて生きたまま目玉を抉られた捜査官もいました」
息を呑む音がして、会議の場に重い空気が流れた。
 マリソア共和国が危険な場所であることは、この場にいる誰もが承知していることであった。
 島しょ国であるマリソア共和国は、大洋のほぼ中央に位置しており、古来から大陸間貿易の中継地として栄えてきた。だが、貿易で発展するその裏で、犯罪組織や反社会勢力が潜り込み、一部政府役人と癒着することで、悪の拠点と化すまでにそう時間はかからなかった。
 正規の貿易品を取り扱うその一方で、その裏のルートでは、武器や麻薬、偽札、宝石や貴金属、条約で売買が禁じられている希少な動植物や盗難品、さらには人身売買された人間が、この国を拠点として世界中へ運ばれていったのであった。その結果、先の大戦では犯罪の温床と見なされて各国から激しい攻撃を受けたのだった。
 先の大戦でマリソア共和国が出した犠牲者数は一二〇万人で、実に人口の四二パーセントが殺害された。都市や港は空襲や艦砲射撃で破壊され、首都プアルケアは現在も廃墟と化したまま復興の兆しがない。進出していた各国の貿易会社や海運会社も撤退したまま戻ってくる気配がなく、政府も倒れたまま機能しなくなった。先の大戦の原因と見なされて国際社会からの援助もなかった。その結果、皮肉というべきか、蔓延る犯罪組織や反社会勢力の勢いは以前に増して強くなってしまい、さらに世界中から指名手配犯やテロリスト、逃亡者、難民、薬物中毒者や狂信者などが流入した結果、国全体が「犯罪者の巣窟」と化してしまったのである。
 このような状態の国にまともな仕事があるはずがなく、収入を得る手段にはすべてにおいて犯罪組織が絡んでいるため、住民は必然的に反社会勢力に加担せざるをえず、かくしていまでは国民全体が犯罪者と見なされるほど酷い状況になっているのだった。そして首都プアルケアの惨状は特に酷く、ここでは殺人や暴行、強盗、略奪、傷害、強○、破壊行為が日常的におこなわれており、その治安状況は、世界最悪といわれるほどだった。
「ですが、決して希望がないわけではありません」
報告官が手元の機器を操作した。すると、メインスクリーンに女性の顔が映しだされた。容姿に優れた美しい女性だ。まだ若い。化粧の薄い肌は白く、毛髪はセミロングの金髪で、エメラルド色の瞳は大きく、鼻はやや尖っているが決して高くない。幼い印象を他者に与える面持ちをしているが、掛け値なしの美女である。キリッとした凛々しい表情が、内心の決意を表しているようだ。
 報告官が告げた。
「彼女はシャノン・エスティニア特務潜入捜査官です。年齢はまだ二十歳になったばかりですが、非常に優秀な捜査官でして、この彼女が先日、「黒の薔薇」の下部組織に潜入することに成功しました」
幹部たちが持つ手元のタブレット端末には、シャノン特務捜査官に関する経歴が、付帯情報として表示された。
 シャノン・エスティニア。性別は女性。年齢は二〇歳。国籍はなく、世界でもトップクラスの頭脳と容姿、肉体を兼ね備えた男女から採取した精子と卵子を授精させ、さらにその受精卵に遺伝子操作を加えて試験管の中で誕生した「デザイン」と呼ばれる新人種である。
 出自が出自であり、また国籍も有していないため、表舞台で活躍した経験はないが、幼年期から専門機関で高等教育を受け、わずか一二歳で世界最難関とされるイーライ大学の入学試験に合格するほどの学力を習得し、身体能力は一四歳で男性ゴールドメダリスト並に達するにいたる。二次成長以降は特務潜入捜査官として活動することを前提として教育を受け、特に女性としての魅力を高めるためのトレーニングを積んだ結果、容姿の美しさと肉体の成熟度は組織でもトップクラスのセクシー女優並となった。もちろん、高度な戦闘訓練も受けており、彼女ひとりで武装警官一個小隊に匹敵するとの評価を受けていた。実際、彼女は十七歳から特務潜入捜査官として活動しており、その類稀な容姿と肉体、そして戦闘技術と無国籍を武器に、数々の犯罪組織や反社会勢力に接近・潜入して、対象の暗殺や情報の奪取を成功させてきた。
「彼女は現在、ジョブ・キラー(殺し屋)として組織の信頼を勝ち得ると同時に、待ち前の才能を生かして組織内での地歩を固めています。いずれは「黒の薔薇」頭目たるガインベルク・ウォンにも近づけるものと思われます。また、もうひとりの潜入捜査官も、「囮」を用いてガインベルク捜索に全力をあげている最中とのことです。ですので、どうかあと少し、少しだけ時間をください。どうか、どうか」
――この報告がなされた数日後、シャノン・エスティニアが消息を絶つ。どれほど崇高な理念を掲げる組織でも、腐敗は決して避けられないのが現実だった。

無料プランの方に、完全な「ネタバレ」を掲載いたしますので、もし気になった方は、どうぞお読みになってください(;´∀`)

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フリーセンテンス 2024/06/14 21:58

ちょっと、休話

こんばんは、フリーセンテンスです。

いま、こちらの方で「巴さまが酷い目に遭う」という内容の話を書いていたのですが、ちょっと気分転換に別の話が書きたくなりまして、今日の休みを利用して、一気に冒頭部分(となるのかな)を書いてみました。

架空世界のサスペンスのような、ホラーのような、ついでにSFも混じっているような内容でして、自分が好きなジャンルの詰め合わせみたいな冒頭となってます。
とりあえず、前編・後編にわけて全体と無料プラン(あまり活用してなかったので)で掲載したいと思いますので、もしよろしければ、暇つぶしに読んでください。

「巴さまが酷い目に遭う」は、次回、更新します(;´∀`)
それでは、どうぞ。


前編
 ・・・・・・現在、この惑星の頂点に君臨する生き物が人間であることはもはや疑いようがない事実である。高い知能を武器に世界中に棲息域を拡げ、旺盛な繁殖力で増加してゆき、地下資源を採掘して天楼の都市を築き、様々な機械を造って安寧の暮らしを享受する有り様は、さながら造物主そのものであって、まさにこの惑星の支配者にふさわしい振る舞いであるといえるだろう。むろん、様々な意見があるにせよ。
 だが、かつてはそうではなかった。この惑星には、かつて人類を「餌」と見なす上位捕食生命体がいて、ソレが猛威を振るっている時代があったのだ。
 その上位捕食生命体は、いまからおよそ一万二〇〇〇年まえ、進化の外側から突如として現れた。それも同時期に、三大陸(フローレシア大陸、ラザ大陸、アレクシオス大陸)に、ほぼ同時にである。
 新世暦一九九九年、サクソンバーク国立博物館に展示されていた上位捕食生命体のミイラの遺伝子調査をおこなったところ、なんと、このミイラから、未知の三重螺旋構造の遺伝子が発見されたのであった。このことから、現在では、この上位捕食生命体が、実は宇宙からやってきた侵略的外来種であったのではないかと推測されている。しかし、この上位捕食生命体に猛威を振るわれていた当時の人類にとっては、その正体よりも、いかにしてその脅威から逃れるかのほうがよほど重要なことであった。
 一万二〇〇〇年前――まだ農耕文明は開花しておらず、当時の人類は、狩猟と採集、そしてささやかな交易で生計を立てているていどの存在だった。当然、金属製品はまだなく、黒曜石を加工した槍や短剣が最上級の武器だった時代だ。肉体的には現世人類よりも優れていたとはいえ、人間よりも遥かに強い力を持ち、さらには様々な特殊能力を持つ上位捕食生命体にはとても太刀打ちができなかった。
 この上位捕食生命体は、別名で異形生命体と呼ばれることもある。理由は、この生物が特定の姿形を持たず、大きさも、生態も、有する特殊能力も、個体ごとになにもかもが異なるからであったからだ。そのため往々にして美麗よりも醜悪な見た目になる傾向が強く、古代の壁画にもおぞましい姿形に描かれているのが常であった。ゆえに、侮蔑を込めてそう呼ばれているのだ。ちなみに、サクソンバーク国立博物館に展示されている上位捕食生命体のミイラは、二足歩行の爬虫類のような見た目をしており、廃部からは枯れた無数の触手が生えていて、四本ある腕は人間のように手指が発達していて、その恐ろしい見た目から「プレデター」の名称で親しまれていた。
 上位捕食生命体による生態系への君臨は、実に数千年に及んだとされている。その間、人間を含む他の動物たちは、みな単なる「餌」であるに過ぎず、虐殺とも呼べるその捕食行為によって急速にその数を減らしていた。
 上位捕食生命体は「餌」を食べる際、獲物を生きたまま貪るように食べることを好んだと伝えられている。生き物は身体に苦痛を感じたさい、それを和らげようと、脳が快楽物質を分泌させることが多々ある。これが血流に乗って全身の隅々にまでいきわたると、肉が柔らかくなり、旨味が増すのだ。この現象は脳の発達が優れた生き物ほど顕著であって、ゆえに上位捕食生命体は人間を食べることを好み、その場合、何時間(時には何十時間も)もさまざまな苦痛を与えながら捕食するのが常であった。
 人類を含む他の動物たちにとって幸いだったのは、上位捕食生命体の数がそれほど多くなかったことであろう。彼らは単一生殖種であったが、その繁殖力は極めて低く、数年に一度、一匹か二匹ほどしか生まなかった。生まれたての個体は決して強くなく、また親の庇護もなかった。親の庇護がないということは、幼体期に狙われる危険が高いということでもある。ゆえに、彼らが星の支配者だった数千年間、上位捕食生命体の数はそれほど増えはしなかった。
 そしてこの間に、彼らにとっての不幸が生じてしまう。
 人類が金属を手に入れたのだ。
 金属を練成した武器は石器とは比べ物にならない攻撃力を持つ。特に鉄製の剣には上位捕食生命体の硬い外皮を切り裂けるほどの鋭さがあった。かくして人類は、上位捕食生命体と戦うことになるのだが、それは決して、種の存亡を賭けた崇高な戦いなどというものではなく、ただ単純に、自分たちの暮らしを脅かす存在を排除したいからであった。
 人類と上位捕食生命体との戦いは、ほぼ同時期に、三大陸のほぼすべてでおこなわれた。これは完全に偶然の一致であるのだが、この時期の人類が、ほぼ同時に金属を手にしたことから「何モノ」かの介入があったと主張する者は少なくない。しかし、重要なことは、金属を手にしたことで、人類が上位捕食生命体との生存競争に勝利したことであろう。
 上位捕食生命体と人類、種の頂点を賭けた戦いは、おびただしい犠牲を出しながらも怯むことがなかった人類側に天秤が傾いた。上位捕食生命体の最後の一匹は、フローレシア大陸のサクソンバークで殺されて、そのまま砂漠に放置された。この最後の一匹は、後に伝承を信じた考古学者の一団によって発掘され、後に博物館の目玉展示物となるのだが、人類にとって重要な点は、この日を境に、上位捕食生命体の脅威から解放されて新しい時代が訪れたことであったに違いない。新世暦の、これが始まりである。
 上位捕食生命体の脅威から解放された人類のその後の発展については、いまさら多くを語る必要はないだろう。生息域は拡大し、人口も増え、文明も発展した。特に大規模な機械革命が生じた以降の発展は目覚ましく、いまでは地上のみならず、海も、空も、そして地中すらも、人類が掌握するところとなっている。そしてその支配権は、二〇〇〇年代に突入した現在も、ゆるぎないモノと思われた。
 そんな刻である。上位捕食生命体の脅威が、再び人類に牙を剥きはじめたのは。


冒頭後編は無料プランにございます(´∀`)

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フリーセンテンス 2024/06/07 22:37

巴さまが酷い目に遭う その6

こんばんは、フリーセンテンスです。

ちょっと更新が滞ってしまい、申し訳ございません。
いつものようにリアルのお仕事を頑張っていただけですので(;´∀`)

とりあえず、巴さまが酷い目に遭う続きを書きましたので、暇つぶしにお読みいただければ幸いです。
それでは、どうぞ(*´ω`)


 もう、ね――めちゃくちゃでしたよ、めちゃくちゃ。意識を取り戻した巴さまは、顔中を涙や鼻水、涎、それに汗なんかでぐちゃぐちゃにしながら、目をカッと大きく見開いて、喉の奥まで丸見えになるほど大きく口を開けながら、肺を空にするような声でもって、泣いて叫んで悲鳴をあげながら悶え苦しみだしたんです。自分の乳房のなかで何事がおこっているのか、まるで事細か詳細に説明でもするかのように吼え叫びながら、ね。
 え、どんなことを叫んでいたのか教えてほしい、ですって?
 ええ、ええ、構いませんよ。でもね、旅人さん、先に言っておきますが、巴さまが叫んでいた内容は、語彙にすれば決して多くはありませんよ。なにせ、同じような内容を、繰り返し叫んでいただけなんですからね――いえ、繰り返し叫ばなければならないほど、巴さまにとって状況が切羽詰まっていたというべきなんでしょうか。
 巴さまは叫んでおりました。
 蟲がーッ、蟲がーッッ、乳房のなかで蟲がーッッッ、蟲が蠢いてるッッッッ、蟲がああああーッッッッ、乳房のなかで蟲が蠢いでるうぅぅぅーーーッッッッッ! ってね。
 もう、その繰り返しですよ。叫ぶその間に、うぎゃああああっっ――とか、ひぎぃぃぃぃっっ――とかいう声にならない奇声絶叫を挟むことはありましたが、基本的には、乳房のなかで寄生線虫が蠢き動いていることを、時に目を剥きながら、あるいは歯を食いしばりながら、もしくは身をもじったりしながら、本能赴くまま絶叫していましたね。他人が羨むような美貌を醜く歪めて、この世の終わりみたいな形相をしながら、ね。
 もうね、見栄も外聞もないといった感じでしたね。○問する大男たちだけじゃなく、牢の外には領主さまや私たちがいるにも関わらず、巴さまは、気にする様子もなく、泣いて喚いて叫びながら、羞恥心をどぶ川に棄てたみたいに叫んでいたんですから。
 お願いッッ、お願いだからあぁぁぁッッッ、お願いだから切り落としてえぇぇぇッッ、乳房を切り落としてぇぇぇぇッッッッ、切り落としてぐだざいぃぃぃぃッッッッッッ! って、絶叫しながら懇願していたんですからね。
 でも、叫ぶ巴さまの気持ちは痛いほどよくわかりましたよ。
 だって、たくさんの線蟲に寄生された巴さまの乳房は、歪な形にデコボコ膨らんでいましてね、それがまるでゴム毬みたいに蠢き動いていたんですよ? ごわごわと、ぐねぐねと、ぐむぐむと、歪に、不気味に、おぞましく、醜悪に――ね。
 きっと、膨張した乳房のなかでは、何百という寄生線蟲たちが、本能赴くまま巴さまの乳汁を貪っていたんでしょうね。だって、乳孔や傷口からボトボトと落ちる腺蟲たちは、どいつもこいつも蚯蚓みたいに丸々と肥えていましたからね。たぶんですが、栄養価の高い巴さまの乳汁だか体液だかを吸収して、短い時間で太ったんだと思いますよ。でなければ、糸みたいに細かった蟲が、あんな短時間ででかくなるもんですか。
腺蟲たちにとって巴さまの乳房は、きっと、この世の楽園みたいなところだったんじゃないでしょうかねえ。だって私も、もしも腺蟲だったなら、ぜひとも巴さまの乳房のなかで乳汁を思いっきり吸ってみたいものだと思いましたから、はい。


 話は変わりますが、近いうちに経産省が書店支援をはじめるんだそうですね。
 フリーセンテンスも本が好きなので、書店支援は大賛成です。
 できれば、購入者になんらかの特典がある支援だと嬉しいですねぇ。最近は、新刊よりも中古本を買うことが多くなってしまっているので、DLサイトさんみたいに割引券配布でもしてくれると嬉しいです(*´ω`)

 え、電子書籍じゃダメなのかって?
 漫画や小説やビジネス書は紙の本で読みたい派なのです(*´ω`)

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