猪熊夜離 2023/05/01 23:13

とある麻雀部員の淫行録(清水○竜華)

所定の期間が過ぎたため『とある麻雀部員の淫行録(清水○竜華)』を、お題箱付きプランから読み放題プランに変更しました。

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「これでええんやろか。こない写真なんて撮ったことないから正解が分からんわ。だけど怜に聞くのは本末転倒やしな」

 ぶつぶつと独り言を繰り返しながら少女が鏡の前でポーズを取る。世間の標準的な美的感覚に照らして言うなら美少女である。

 ややタレ気味で大きな目は彼女の優しさと意思の強さを同時に表している。艶めいた黒髪を腰まで伸ばしている。スタイルも抜群で胸は成人男性の手にも余る大きさだ。それでいてウエストは絞られている。下半身は彼女の最大の特徴でもあった。食べ頃の桃を思わせる丸く大きいお尻。むっちりとした太もも。親友の園城寺怜は「竜華の太ももは最高やな」と、この太ももを愛してやまない。

 この美少女の名前は清水谷竜華。女子麻雀の名門、千里山女子高校で部長を務めている。

 今の彼女は部屋で一人、何度もスマートフォンを構え直しながら鏡に向かっていた。

 スマートフォンの内カメラは魚眼レンズを使っている。そのため至近距離で自撮りすると顔が魚っぽく変形してしまうのは有名な話だ。それを避けるため自撮り慣れした人間は、まず自分の姿を鏡に映し、鏡像を外カメラで撮ることにより歪みの少ない姿を残そうとする。

 今の竜華がやっていることがまさにそれだ。ただ彼女の場合は格好が特殊だ。下は制服のスカートを履いたままなのに上は裸――下着すら身につけていないトップレスである。

 その格好で左手はスマホを構え、右手は人差し指と中指を揃えた状態で前に突き出す。こうすると遠近法の作用により、鏡に映った自分の裸体から乳首だけを隠すことができるのだ。エロ自撮りを撮り慣れた女がよくやるアレである。

 ちなみに指が一本でなく二本なのは、指一本だと竜華の大きめ乳輪は上手く隠せないためだ。

「やっぱりこの角度のほうがええか」

 右半身を少し前に出し角度をつける。伸ばした右腕の腋窩から胸にかけてのラインが綺麗に出ている。

「なんで私が、あんな人のために、こんなに苦労してエッチな写真送らないけんの?」

 竜華の声は恨みがましい。彼女にしてみれば怜に近づく男がいるだけで腹立たしいのに、そのうえ自分のエッチな姿まで要求してくるとは許せない。

 本当だったら竜華だって男子に恥ずかしい自撮りなど送りたくない。だけど仕方ないのだ。スケベ男子の魔の手から大事な怜を守るためには。

 きっかけは一ヶ月半ほど前に遡る。

 その日、竜華は怜と一緒に男と会っていた。聞けば怜と男は同じスマホゲームをプレイするゲーム仲間。フレンド間でメッセージのやり取りができる機能を介して二人は知り合ったらしい。

 これに竜華は意表を突かれる思いだった。彼女たちが通っている千里山女子は女子校である。共学に比べれば格段に男子との接点は少ない。そのうえ放課後や休日も自分は怜と一緒にいる。悪い虫がつく心配などないはずだった。

 それがまさかゲームを介して知り合うとは。

「あんな。最近とっても仲良くしてくれる男の子がおるねん」

 そう告げられたとき、竜華は目の前が暗くなる感覚を覚えた。精神的ショックで失神する瞬間とは、ああいう感じなのか。いま思い出しても恐ろしい。血の気が引くような一時であった。

「怜あかんで。そんな簡単に男の人を信用したら。最近そういう事件も多いやろ。もし実際に会おう言われたら私も誘ってな。一人で行かすのは心配やから」

「実はな、もう会う約束してるんや」

 やっぱりか! 竜華は怜の危機管理能力のなさに天を仰ぎ見た。念のため牽制しておいてよかった。

「それ私も一緒に行くから! 怜を男の子と二人でなんて会わせられんわ」

「なんや竜華、お母さんみたいやな」

 呑気に笑う怜を竜華は必死に説得する。そして迎えた当日。竜華は己の心配が取り越し苦労などではなかったと察知した。

 あくまでも怜は気の合うゲーム仲間と話しているつもりだ。しかし、男の視線は怜の首筋から胸元に掛けてのラインや腰、口にだすのも穢らわしい部分に注がれていた。

 儚げで小柄な美少女の怜を男は気に入った様子だ。

 彼は竜華が心配していたような不良っぽかったり、如何にも僕はヤリチンですといった見た目はしていない。竜華や怜と同年代の普通の男の子だ。だけど、小学生時代から発育がよく、同級生ばかりか学校の教師や道ですれ違う大人にまで胸や太ももをジロジロ見られてきた竜華には分かる。世の男が如何に性欲を持て余し、暇さえあれば捌け口を探しているか。

「もう怜には会わんといてくれへん?」

 ちょっとお手洗いに行ってくるわと怜が中座した隙を狙い、竜華は男に切り出してみた。もう怜には会わないで欲しい、彼女は体が弱くてきっと君が期待しているような行為には耐えられない、やっと学校にも普通に通えるようになった程なのだと。

 最初は竜華のような美少女のほうから声をかけられ浮かれていた男も、話が進むと次第に顔を曇らせた。

 竜華が怜の体は彼が期待していること――セックスには耐えられないくらい病弱で脆いと告げると、僅かにではあるが彼はガッカリしたような反応を見せた。

 彼とてそこまで病弱な少女に無理強いして面倒なことになる関係は望んでいないのかもしれない。

(ちょっとは話の通じそうな人で良かった)

 そう竜華が胸を撫で下ろしたのも束の間。妙案がひらめいたとばかりに男は言った。

「それなら清水谷さんが代わりになってよ」

「私が? なんで?」

 なにか自分の思惑とは違う方向へ話が進もうとしている。この時点で竜華は危機を感じ取った。だが完全に転進するには至らなかった。それが間違いの元だった。

「いくら親友でも園城寺さんのプライベートに清水谷さんが土足で踏み込んで、誰々とは付き合っちゃいけませんよなんて言う権利ないよね。親でもあるまいし」

「私は怜のことを心配して――」

「それは分かるよ。分かるんだけどさ、はっきり言って園城寺さんみたいな可愛い子と知り合えてワンチャンあるかもと思ってたところに、全然関係ない人が割り込んできて横からゴチャゴチャ言われるのってムカつくし、そんなに言うんだったら補償くらいして欲しいんだよね」

 自分に怜を諦めさせるなら対価を用意しろ、と彼は言っている。それがなにを要求しているかは明らかだった。

「別に最後までさせてと言ってるわけじゃないんだ。だけど清水谷さんのスケベな体を見せてくれるくらい良いよね」

 彼の視線が胸元から太ももまで二度、三度と往復するのを竜華は感じた。

「それは……」

「親友なんでしょ、園城寺さんの。だったら自分が代わりになるくらいできるよね。本当に友情が大事なら」

 男の言い方は卑怯だった。竜華が断りにくい方面から説得してくる。

 結局その日は連絡先を交換しただけで終わったが、翌日から竜華は怜に秘密で男にエッチな自撮りを要求され続けている。

 最初は体のラインが出るようなポーズで制服の上から写真を撮るだけで彼も満足していた。しかし慣れてくると男はさらに過激なポーズや服装を竜華に求めた。それに応じているうちに竜華のほうも基準が曖昧になり始めた。

 元々しっかり者な見た目に反し、少し抜けたところがある少女だ。竜華は男に言いくるめられ、今ではトップレス姿の写真まで彼に送るようになっている。

 良くない傾向だとは思う。それでも竜華との約束を守り彼は怜に手を出してない様子。ならば自分だけ一方的に約束を破るわけにはいかない、怜にさえ黙っていれば波風が立たない今の状態を維持するのが一番平穏なのだと竜華は己を納得させた。

 こんな関係がいつまで続くのだろう。終わりにして欲しい。

 そう願う竜華の思いは悪い方向に実現していく。



     ***



「これを本当に私が手でするん?」

「そのために来てくれたんでしょ清水谷さん。僕のチンコ手で扱くためにさ」

「うう……分かったからあんまり見んといて」

 竜華は男の家に呼び出されていた。もちろん彼の家に来たのは初めて。名門麻雀部で部長を務める竜華がホイホイ男の家に遊びに来られるはずがない。今日だって周りに嘘の理由を説明し、無理やりスケジュールを調整してやって来たのだ。

 全ては彼のチンポに奉仕するためである。

「ああもうっ、なんで私が、こないなことせなならんのよ」

 文句を言いながら竜華は自分の右手を動かす。初めて握った男の人のペニスは想像よりも大きくて、不思議な形をしていて、熱かった。当然そこを触ったことなどないし、ましてや射精に導くなんて考えたこともない。だから竜華の手コキは不慣れだ。

 それでも男のペニスはみるみる硬くなっていく。生きてるだけで性欲を持て余す十代男子が自分の部屋でズボンを脱ぎ、仁王立ちで美少女に手コキしてもらっているのだ。この状況だけで興奮して先端からは止めどなく我慢汁が溢れる。それを竜華の手のひらがすくい取って肉棒全体に塗り伸ばす。空気を含んだ粘液のニチャニチャした音が立つ。

「凄いよ清水谷さん。本当に初めて? 自分でする時より気持ちいい。ほら手が疎かになってるよ」

 男はわざとらしいほどに喘ぐ演技をしながら竜華に命令する。こんなことさっさと終わらせて帰りたい一心で竜華は男の要求に応えていた。

 上下に擦ったり、親指で鈴口をいじったりすると男が喜ぶ。どうやら幹と頭の部分の境目になっている段差をウリウリしてあげると彼は悦ぶようだと気づくと、そこばかり集中的に擦り始める。そうすることでカウパー腺液の量が明らかに増えてきた。

「ねえ清水谷さん。口でシてみてくれないかな」

 やがて男が言い出した要望にも従うしかない。フェラチオなんて生まれて初めてだし抵抗感もあったが、これも怜のためと竜華は割り切った。

 恐る恐る唇を近づけるとツンと青臭い匂いが鼻腔に広がる。他人の性器など触りたくもないし見ることすら嫌だ。まして口に咥えるなんて。だけど、今は仕方ないのだと自分に言い聞かせた。

(うえ~)

 口の中いっぱいが苦くてしょっぱい味で満たされる。とても美味しいとは思えないが我慢して舐めしゃぶるしかなかった。

「清水谷さんの綺麗な顔から僕のチンポが生えてる」

 男は感じ入ったような口調で言う。

「清水谷さんくらい可愛くて強い麻雀選手なら全国にファンがいて、そいつらは君と一発ヤりたいと思いながら雑誌やテレビ中継を見ているんだろうな。ごめんね全国の清水谷さんファンの男たち。彼女の初フェラは僕がいただいちゃいました」

「少しは黙り。ぺらぺらと余計な軽口は男の価値を損なうで」

 竜華は彼の無駄口を黙らせるつもりでフェラチオの刺激を強くする。

 渋々ながらもフェラチオを続けているうちにだんだんとコツが分かってきた。唾液たっぷりの舌全体で裏筋をなぞりあげるようにすると男は気持ちが良さそうだ。カリ首と亀頭の境辺りをチロチロ舐めると、くすぐったそうに腰をビクつかせるのが面白い。そうやって刺激を与える場所を少しずつ変化させていくと、男の性感がどこにあるのか自然と理解できるようになるのだった。

 未だに不快感は強いが行為自体には慣れてきた。今では口と手を別々に動かしながら男を悦ばせようと努めていた。そうすれば男は快感に喘いで黙る。竜華を辱めるために彼が口にする演技くさい演説を聞かされなくて済む。

 理由はどうあれ竜華が熱心にフェラしている姿を見て、男はますます興奮を募らせていく。先走りが溢れて止まらず、口内に溜まったものが唇の端を伝って溢れそうになる。竜華は慌てて啜り飲んだ。

(変な味)

 なぜ竜華が男の先走り汁を啜らされているのか? その理由は男が「もうエッチな自撮りだけじゃ我慢できない」と言い始めたからだ。一週間ほど前から男は竜華と会いたい、直接エッチなことがしたいと言うようになった。

 初め竜華は約束が違うと言って男の誘いを断った。最初の契約では、竜華は男に身体を見せるだけで良い、自撮りを送るだけで満足するという話だった。だから竜華も嫌々ながら納得したのだ。

 それなのに途中から「やっぱりエロ自撮りだけじゃ物足りない」と一方的に言うなんて。

「そんなん卑怯や」と竜華は男を詰るように言った。

「女子高生を脅迫してスケベな自撮り送らせてる時点で僕は卑怯者だよ。気づいてなかったの?」

 そう言ってヘラヘラ笑う男は竜華のエロ自撮りも脅迫の材料に使った。

「今まで清水谷さんが送ってくれたエロ自撮りが僕のスマホに何枚あると思う? これ全部ネットでばら撒こうかな。目線くらいは入れてあげるけど気づく人は気づくだろうね。特に清水谷さんの試合をスケベな目て観ていた男の人達は。これって千里山女子麻雀部の部長じゃね? あの巨乳太ももムチムチの可愛い子、真面目そうに見えたのに彼氏にはこんなスケベ自撮り送るんだ~」

「彼氏やあらへん!」

「噛みつくところそこじゃないでしょ」

 男は愉快そうに笑った。実際、竜華のような美少女を自分の意のままに操り、手のひらの上で転がせる状況は楽しくて仕方ないのだろう。

 竜華が狼狽えて拒否すればするほど男の加虐心は増すようだった。その悪循環が続く限り彼女の受難が終わることはないのだろう。

「もういいです。そこまで言うなら分かりました。私も覚悟を決めます」

 今さら退く道は残されてないのだ。ならば腹を括ってやるしかないではないか。

 そして竜華は今日、ここにいる。

 部の皆や怜にまで嘘をついて男の部屋に来ている。そして彼のチンポに口淫奉仕していた。

「あむ……んちゅ……」

 相変わらず気持ち悪い形だ。だが不思議と嫌悪感は薄れてきている。こんなことになど慣れてしまいたくないのに。

「もっと強く吸ってよ」

 言われた通りに強く吸うと口の中でピクッと震えたのが分かった。それがなんだか面白くて今度は舌先で鈴口をチロチロ舐めてみる。また反応があった。

「いいね。上手になってきたよ」

 褒められると悪い気はしない。それがたとえ卑猥な行為を上手くこなせることへの皮肉だとしても。

 男に言われるままペニスを口に含んで頭を前後に動かすと、ジュポジュポと淫らな音が部屋に響く。その音を聞く度に竜華は、自分がなにをしているのか思い知らされる。彼女は顔から火が出るほど恥ずかしかった。

 それにしても大きいペニスだ。顎が外れそうな大きさだし、口の中に入れるだけでも一苦労だった。喉まで使ってなんとか根元近くまで呑み込むことができたけれど、まだ先は長いだろう。このまま続ければ窒息してしまうかもしれない。

 でも男に奉仕を止めるよう言われない限り続けるつもりだった。こんな変態じみたプレイ、早く終わらせたい。途中で中断するより一思いに射精まで導きたかった。

 それに竜華は己の肉体の異変を感じていた。さっきから腹部の奥がキュンキュン疼いて切なくなっている。この感覚の正体がなんなのか、彼女は知っていた。

(私いま発情してるんや……)

 性的な快感を得るためのスイッチが入りかけているのを感じる。下半身の大事な部分が濡れ始めているのを自覚した。

 こんなこと無理やり命令されて、嫌々やらされてるはずなのに、それでも感じてしまうだなんて。自分の体はどうかしてしまったのだろうか? そんなはずはないと思いたいのに身体はどんどん昂っていく。

 まさか口の中にも性感帯があるだなんてことを、男のチンポに教えられるとは思わなかった。彼の肉棒にある細かな凹凸の一つ一つが竜華の口内粘膜を擦る。脳に近い部分で発生した快楽物質が理性にダイレクトアタックしていた。

「んっ……ふぐ……」

 息苦しいし、恥ずかしいし、屈辱的だし、おまけに顎だって疲れるし、いいことなんてない。なのに竜華はこの行為をやめられないでいた。その理由は分かっている。だけど知りたくない。

「そろそろ出そうだ」

 その言葉を待っていた。射精まで導いてしまえばこの悪夢も終わるはず。

 だが続く言葉に竜華の大きな目はさらに見開かれる。

「出すからね、飲んでくれるよね?」

 男の問いかけに竜華は首を横に振って拒否した。まだ男の精液を飲む覚悟はない。そこまでは堕ちきっていなかった。

 しかし射精前にチンポを吐き出そうとしても、男の手が竜華の頭を掴んで離さない。彼女は男の太ももを平手打ちして抗議する。だが適度な抵抗はオスの支配欲を刺激するだけで逆効果だった。彼は竜華の頭を掴むと、自分の股間へ押し付けるように力を入れてくる。

 竜華の美少女顔が男の下腹部に接触する。彼女の顔を男子高校生の陰毛が撫でた。

(あかん!)

 彼のチンポは竜華の喉奥まで入り込もうとする。異物を押し返そうと反射的に喉が締まった。男は気持ちよさそうにうめいた。

 そして次の瞬間、熱い液体が竜華の口内に溢れた。それはドピューッと勢いよく放たれ、食道を通って彼女の胃の中に流れ込んでいく。

 苦くて生臭い粘液が口の中いっぱいに広がっている。舌の上に絡みついてなかなか飲み込めない。それは飲み込むタイミングを逃してしまった唾液と混ざり合い、やがて口の中からこぼれ出してくる。

(ああもう、最悪や)

 粘っこい液状の物体が口からこぼれ出て顎を伝い、胸の谷間へと落ちていく感触はとても不快だった。

「うげっ……げほっ……」

「大丈夫?」

「平気や」

 強がって見せたものの本当はとても苦しかった。涙が滲んでくるくらいに。

「それよりこれで満足したやろ? もう終わりにしてええよな」

「いいよ。今日のところは」

「こんなこと、またやらせるつもりなん?」

 睨みつける竜華を男は底意地が割るそうな笑いで受け流す。初めて会ったときは、ここまで性格が悪く陰湿な男だと思わなかった。竜華は判断を誤ったと悟った。こんな相手だと知っていたなら最初の段階で強く突っぱねておくべきだったのだ。

「当然でしょ。何回とも、いつまでとも決めてないんだから」

 男の言葉に竜華は思い出した。そういえば契約は回数も期限も決めていない。最初に決めておくべきことだったのに、あの時は男の興味を怜から自分に移すことばかり考え、思い至らなかった。

「そうは言うけど常識の範囲内言うんがあるやろ」

「常識って言うけど清水谷さんの常識と僕の常識じゃ違うと思うよ。ちなみに僕の常識は世間の平均的な男子高校生らしく、清水谷さんのようにスケベな体した女の子となら何回でもエッチなことがしたい」

「アホも休み休み言いや。そんなんさせるわけないやろ」

 竜華は心底軽蔑した目で男を睨んだ。その視線には怒りが込められているが、男は全く動じていない。

「そういうところも僕好みだけど忘れないでね。あのエッチな写真の山がある限り、清水谷さんは僕に逆らえないんだよ」



     ***



「なんや最近の竜華は忙しそうやな」と怜が言ったのは、初めて竜華が男のチンポを口に咥えてから三週間ほど経った放課後。このところ学校と部活でどうしても空けられない日以外は男に呼び出され、彼の性処理を手伝わされていた。

 男は竜華が来てくれない日に自分を慰めるようだと言い、彼女のフェラチオシーンをスマホで撮影した。当然その動画も新たな脅迫材料になっていた。

「私らのこと忘れてしもたんやろか」

「そんなことあらへんやろ」

「最近付き合い悪いやん」

「まぁそれは……」

 ここ最近の竜華は男と会うことを優先せざるを得なかった。だから怜や他の部員達と過ごす時間は以前に比べて少なくなっていた。そのことを竜華自身も気にしていたが、今は男に従うしかなかった。

 それが親友である園城寺怜の身を守ることになるのだから……。

 彼女には言えない。まさか怜の身代わりで男にチンポを咥えさせられているだなんて。そんなこと言ったら彼女はショックのあまり寝込んでしまうかもしれない。彼女を悲しませるようなことは避けたかった。

 それに……正直に打ち明けたところでどうなる? きっと優しい怜のことだ、私のことを心配して一緒に付いてくると言い出すに違いない。怜と男を合わせたくない竜華はなおさら自分が我慢するしかないと覚悟が固まった。

「体調崩したりしてないやろうな? 竜華は私のことばかり気にかけて自分の体は後回しにする癖あるからな」

 心配してくれる友人に嘘を吐くことに心苦しさを感じつつ、竜華は小さく笑って誤魔化した。

「大丈夫やって。それより怜こそ無茶したらあかんで。せっかく学校に戻ってこられたんやからな」

 笑え。精いっぱい笑うんだ。怜の心配を払拭するくらい明るく笑ってみせろ。竜華は笑顔を作ってみせる。それが彼女にとっての精いっぱいの虚勢だ。

 だが本当の意味で彼女が辛い思いをするのはここからだった。

続きは

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