アトリエちょいす 2021/03/21 23:00

小説一話/プリンセスシナジー開発記42「緊張とお酒」

短期集中連載「僕と妻とプチ旅行」

一話

「おかえりなさい、あなた!」

その短い一言に身も心も洗い流される気持ちになる。
仕事内容はいつもと変わらない。
いや、下手すれば以前よりも多忙だというのに
自分を玄関で出迎えてくれる人がいるだけで文字通り疲れなんか吹き飛んでしまう。

結婚3年目にもなるというのに依然として新婚のような新鮮さを
保つ自分と妻。上司から3日、3週間、3ヶ月、3年と3の節目には
何かと起こりやすいと脅されていたのだが、それも杞憂に終わったようだ。

「今日のご飯は?」

弾む心を抑えながら淡々とした調子で聞く。
それは別に妻への嫌がらせでも何でも無く、
単に自分が感情の表現を苦手としているだけだからだ。

「えっとね、お豆腐とほうれん草の煮浸しとかぼちゃのチーズグラタン!」

和、和ときての突然の洋風料理。しかしこんな組み合わせは珍しくない。
というのも僕への健康を考慮した献立とSNSに上げて反応を貰いやすい料理。
つまり彼女の作る料理は必然的に和風のサブと洋風のメインになりやすい。
別にその組合わせに思う事など何もなく、むしろスーパーの見切り品を
レンジで温めていた日々に比べれば晩餐会のような食事内容だ。

「そうそう。今日久々に柏木さんと会ったよ」

「え!ほんと~!?元気そうにしてた!?」

「元気も元気。産休明けなんて全然思わせないくらいの働きっぷりだよ」

「そっかぁ~。いいなぁ。私も職場復帰しちゃおっかなぁ」

「ははっ。皆会いたそうにしてるから喜ぶと思うよ」

少し乾いた返事混じりにそう返すが
本心ではあまりその言葉を素直に肯定したくなかった。

妻とはいわゆる職場恋愛なわけだけど、はっきりいって
自分より魅力的な男なんて職場には山程いる。
会社で2人で残業になったり、飲み会で隣の席になったりと
小さな幸福の積み重ねで僕達は親しくなり結婚した。
なのでもう一度10年前から同じ人生をやり直せと言われたら
この結末に2度と辿り着ける気がしない。

そんなわけで、未だに僕は自分が妻に相応しい男だとは
思いきれずにいた。妻が職場復帰でもしたら
心が僕から離れてしまうんじゃないかと思うと
先程のように悟られないよう肯定の返事を返すのが精一杯だった。



続くかは未定です

今週のプリンセスシナジー

今週は2枚のカードの解説をしたいと思います。
まず1枚目は「緊張」カードです。

いくらロマーシャがカードによるプログラムによって
奉仕行為が上手に行えようが、基本的にエッチなお店での営業
というのは彼女が望まない行為です。

なのでこういったネガティブな感情を秘めたカードが
毎ターン手札に紛れてプレイヤーさんに不利な効果を働きかけます。
コストをかけて「緊張」を処分してもいいし、
リスクを受け入れる形で手札でだぶつかせてもいい。
そういった判断もカードゲームの楽しさに一役買ってくれるはずです。
緊張しすぎてプレイがうまくいかなかったら
それはそれでフレーバー的に美味しいですよね!


もう1つはこの「アルコール」カード。
お酒で気を紛らすという言葉通り
緊張を取り除いて以降の発生を防ぐワクチン的存在です。
他にも酔って判断がおかしくなるというフレーバー再現の為に
他のカードのコストをランダムで変更するという効果を予定しています。

基本的に本番系の行為はコストが重いので
酔ってしまえばほぼ確実に有利に働きますね!


ほんわりロマーシャちゃん。カクテルは甘いのでごくごく飲めちゃいます。

【 タイムリーヒットプラン 】プラン以上限定 支援額:300円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2021/03に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

1件のチップが贈られています

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索