恐怖のあまりに大決壊!3
うんちをしに旧校舎の女子トイレにまでやってきた千尋。
しかしそんなときに脳裏をよぎるのは学校の怪談。
「誰も、いないよねー」
ただでさえ電気が消されて薄暗い旧校舎。
普段は誰もいないので、電気は通っているものの、スイッチは落とされている。
旧校舎は土足禁止……上履きさえも禁止されているので、痛いお腹を堪えながらも上履きを脱ぐ。
そんな薄暗い旧校舎の、女子トイレへと続く扉を開けると、千尋は誰に言うでもなく呼びかけていた。
「……誰も、いない、よね」
確かめるように呟く。
それからドアのすぐ近くにあるスイッチを入れると、たった一つだけある白熱球の明かりに、雰囲気抜群の女子トイレがぼんやりと浮き上がった。
足元にあるスリッパを引っかけて、恐る恐る女子トイレへと踏み込んでいく。
どの個室もドアが開いていた。
どうやら女子トイレには千尋の他には誰にもいないようだ。
薄暗い女子トイレには、何十年もかけて染みついた女子の香りが複雑にわだかまっているばかりだった。
「ほっ」
と、胸を撫で下ろしたのがマズかっただろうか?
ぶりゅりゅりゅ!
じょぼぼぼぼ!
「はうう!?」
無意識のうちに緩んでしまった身体の穴から、不浄のものが出てきてしまった。
ショーツに包まれたお尻がうっすらと盛り上がり、クロッチの裏側がジワッと生温かくなる。
反射的に力を入れたから、すぐに止めることができたが……。
ごまかしようのない量の下痢をショーツのなかに放ってしまったらしい。
「は、早くトイレに行かないと……!」
薄暗い女子トイレ……。
その一番奥の個室を目指して、千尋はよろめきながらも歩を重ねていく。
本当は手前の個室を使いたかったけど、もしも誰か入ってきたら恥ずかしいし。
ねちゃ……、ねちゃ……。
一歩進むたびに、ショーツのなかに漏らしてしまった下痢がお尻の割れ目に食い込んでくる感触。
「うう、お気に入りのしましまパンツなのに……」
今日穿いてきたのはピンクと白のしましまショーツだ。
まだ少ししか漏らしていない(と思う)し、時間も経っていないからトイレを済ませてからすぐに洗えば染みになるということはないだろうけど……、
それでもうんち漏らしてしまった、という事実は千尋の心を確実に蝕んでいく。
気持ち悪い感触に耐えながら、なんとか一番奥の個室へと辿り着き、ドアを閉める。
「ふう……。やっとできる……。うんち、いっぱいできるんだ」
今度は気を抜かないように、吐息をつく。
薄暗い個室――、
目の前にあるのは、ちょこんとした和式の便器。
いまとなっては珍しい汲み取り式のトイレだ。
トイレの中を覗き込んでみても、真っ暗で底がどうなっているのかは分からない。
「いつ来てもなにか出そうな雰囲気だよ……」
ただでさえ薄暗いというのに、個室のドアを閉めると更に暗くなる。
それに汲み取り式のトイレからは、何十年という歳月をかけて染みこんだ女子たちの香りが立ち昇ってきていて、狭い個室はなんとも言えない不気味な雰囲気が漂っていた。
「なにも、出てこない、よね……」
そんなことを呟きながら、肩幅に脚を開いて和式便器に跨がる。
あとは、ショーツを降ろしてしゃがむだけ。
たったそれだけで、この苦しみから解放される。
だけど、同時に千尋は思いだしてしまったのだ。
……この旧校舎の女子トイレに伝わる怪談を。
その怪談とは。
「た、確か……」
思いだしたくないと思っていても、こういう怖いときに思いだしてしまうのが怪談というものだ。
千尋は、トイレに跨がったまま、ショーツを降ろすことも、しゃがむこともできずに怪談を思いだしてしまう。
(一番奥の個室のドアを三十回ノックすると、トイレの中から大きな手が出てきて、引きずり込まれちゃう……)
確か、そんな怪談だったはずだ。
奇しくも、千尋が今いる個室は、一番奥――。
ちょっとだけ怖くなってしまうけど、しかし千尋は怖さをごまかすように一笑に伏すのだった。
「へーき、へーき。大体、じょーしき的に考えて、三十回もノックする訳ないし! ボクだって、もう子供じゃないんだし!」
無理に明るく言いながら、ショーツを降ろし――、
そのときだった。
ガタンッ、
唐突に女子トイレに響いたのは、扉が閉じる音。
そして一人分の足音。
どうやら、誰かが女子トイレにやってきたらしい。この人気の無い、不気味なトイレに……。
「ひ、ひい!」
むりゅりゅりゅりゅ!
いきなりの来訪者に驚いて、お腹に力が入ってしまったのだろう。
千尋は立ったままだというのに、勢いよく下痢を漏らしていた。
ショーツのなかがお湯のようなもので満たされて、もっさりと重たくなる。
だけど、今の千尋にはそんなことを気にしている余裕なんて残されていなかった。
「だ、誰……!? 誰か来たの!?」
その問いかけに、応える者は誰もいない。
ただ、上履きを穿いているのだろう、控えめな足音は、ゆっくりとこちらの方へと近づいてきているようだった。
そして――、
あろうことか、千尋が入っている一番奥の個室で足音が止まったではないか。
「う、うそ……。こんなところに、だ、誰……?」
その問いかけの返事の代わりに、
コンコンッ、
控えめなノックの音が響き渡る。
「ひっ、ひい」
すぐにドアを開ければいいのに。
そこに誰が立っているか確かめればいいのに。
それはわかってはいたけど、千尋にはたったそれだけのことがどうしてもできなかった。
脳裏によぎるのは、例の怪談……。
「ダメ……、ノックしないで……っ」
とっさにドアから離れようと、千尋はドアとは逆の壁へと背中を貼り付かせて距離を取る。
それでも、
コンコンッ、コンコンッ。
ノックは続いていた。
「いや、嫌だよ……っ。誰、なの……!? こんな怖い意地悪するのは……っ」
もはや恐怖のあまり、千尋は上手く声を上げることさえもできなかった。
今にも消え入りそうな、震えた声。
個室の外に聞こえているかどうかさえも怪しかった。
「あっ、あああぁぁ……!」
ついに千尋は腰を抜かしてしまう。
膝の力が抜けると、冷たい石床に尻餅をつき――、
べちょっ。
既に漏らしてしまっていた下痢が、床とお尻に潰されて無様な音を立てる。
柔らかいうんちが、むにゅっとお尻に食い込んできて、なんとも言えない不快感に襲われた。
だけどいまの千尋にとっては、どうでもいいことだった。
たとえ、スカートが捲れ上がって、下痢を漏らしたショーツが丸見えになっていたとしても、だ。
コンコン、コンコン。
いまだノックは続き、千尋のことをじわじわと追い詰めていたのだ。
「もう嫌だよぉ……っ」
じわり、
おまたが生温かくなると、千尋のお気に入りのしましまショーツのクロッチの部分に暗い染みが浮き上がる。
それでも千尋は脚をMの字に開き、ショーツが丸見えになっても、後ずさろうとしていた。
スリッパが脱げてしまっていることにも気づかずに。
この瞬間、千尋は自らが少女と言うことを忘れていた。
それほどまでに、少女として無様な姿だった。
直後――。
それは起こった。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
プシュッ!
プッシャアアアアアアア!
少女の恥ずかしい染みを隠すための二重布……クロッチをやすやすと突き破るほどの勢いで、おしっこが噴き出してきたではないか。
千尋は、恐怖のあまり腰を抜かし、失禁してしまったのだ。
クロッチを突き破って噴き出してきたおしっこは三十センチほど飛ぶと地面に落ちてレモン色の水たまりとなって広がっていく。
「い、いやぁ……!」
しゅいいいいいいいい……。
我慢していたせいで千尋の膀胱にはたくさんの小水が溜まっていた。
漏れ出してきたおしっこは会陰を伝って、千尋のお尻をイタズラっぽく撫で回していく。
千尋のお尻を中心として、大きなおしっこの湖ができあがった。
古い、タイルの石床だ。
そのタイルに、千尋の失敗が染みこんでいき、これからずっと残されていくことだろう。
よく見れば――、
千尋が作り出したおしっこの湖の他にも、タイルには別の染みが残されていた。
きっと、この女子トイレでは何人もの女子がこうして怪談を思いだし、恐怖のあまりに失禁してきたに違いなかった。
だけど、今の千尋がそんなことを気にしている余裕なんて残されてはいない。
「もう、嫌だよぉ……!」
ただ、おしっこを漏らしながらも脚の力だけで後ずさろうとしているばかりだった。
漏らしながら後ずさっているから、下痢とおしっこの筋がナメクジの筋のように残ってしまっている。
どんなに後ずさっても、この恐怖からは逃げることはできないというのに。
そのことに気づかずに、千尋は脚に力を入れていると――、
ビチッ! ビチチッ!
「あっ! いっ、はうう!」
しましまショーツから、くぐもった炸裂音が響き渡る。
千尋は恐怖のあまりおしっこばかりか、下痢までも漏らしはじめてしまったのだ。
すでに茶色く染まっていたショーツに、新たな茶色が生み出され、こんもりとショーツが盛り上がっていく。
恐怖のあまり脱糞――。
しかし、千尋はそのことに気づかずに脚の力だけで後退しようとしている。
トントンッ、ドン、ドンドンドン!
心なしか、ノックの音が強くなったように思える。
「い、いや、だよぉ……。もうどこか行って……!」
ビチッ! ブリュリュ!
ビチビチビチビチビチ!
尻餅をついているというのに、お粥のような下痢は易々と肛門から滑り出してくると、ショーツのなかに満ちあふれていく。
足口から黄土色の下痢が溢れだしてきて、おしっこの湖へと溶けていく。
千尋は茶色い汚泥が混じった湖のなかで脚を動かすことになった。
「だ、誰か……、助けて……」
このままノックが三十回続けば、トイレから手が伸びてきて引きずり込まれてしまう……。
さっきまで信じていなかったけど、こうして一人でいるときにノックされいてると、もはや信じるも信じないもなかった。
このままだと確実に――。
「助け……た、助しゅけ……て……あっ、ああぁっ」
さっきからカチカチと音がするかと思っていたら、それは千尋自身の奥歯が恐怖のあまりに擦れ合う音だった。
だが、気づいたからといって止められるものでもない。
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
ビチビチビチ!
ブボボッ! ブボボボボ!
千尋の決壊してしまった肛門からは、黄土色でお粥のような下痢が噴出し、ショーツをパンパンに膨らませていく。
足口からは汚泥がはみ出しておしっこと混じり合い……、千尋が穿いていたミニスカートは、おしっこによってビタビタに濡れそぼっていた。
「もう、いやだ、よぉ! はひっ! ひいい!」
ブジュジュッ!
ブピピッ! ブボボボッ!
引き攣った悲鳴に応えるようにして、クロッチを突き破っておしっこが噴出し、そしてついに……。
「あっ、あああ! おっ! おっ! おおぉぉぉ!」
ブリブリブリブリ!
ブボボ! ブジュジュ!
お粥のような下痢は、ついに千尋の大事な部分……、股間にまで達してしまう。
少女の肉のワレメが下痢に満たされて、未だ目覚めていない肉芽――クリトリスにネットリと絡みついてくる。
「ああッ!? あっ! あっ! アヒッ!?」
それは生まれて初めて感じる微弱電流だった。
こともあろうに、千尋は自らの漏らした汚泥によって、生まれて初めて感じてしまっていたのだ。
じゅわり――、
小水とは明らかに違う、熱い体液が滲み出してくると、トクンッ、鼓動が熱く早くなっていく。
それが性的な刺激のせいなのか、それとも恐怖のあまりに鼓動が早くなっているのか。
それは千尋自身にも分からないことだった。
「アッ、アヒ!」
ただ、引き攣った悲鳴を上げるたびに、
キュンッ、キュンッ!
千尋の縦筋はチョコレート塗れになっているというのに官能的に痙攣し、それと同時に、
ブボボッ! モワァ……。
ショーツも更にパンパンに膨らんでいく。
「アッ! アヒッ! ヒンッ! ひい! 痺れて……うう! 変だよ……こんなの! ひっ! ひうう!」
股間から生み出される微弱電流に、千尋は漏らしながらも戸惑ってしまう。
これも怪談のせい!?
このままトイレに引きずり込まれるの!?
恐怖のあまりに漏らしながらも後ずさろうとしている……、そのときだった。
――ごおぉぉぉぉぉぉ……。
汲み取り式のトイレから、低い呻き声のようなものが聞こえてきたのだ。
真っ暗な穴から生々しい香りが立ち昇ってくると、狭い個室に満たされていく。
その臭いのほとんどが、まさか千尋自身が漏らした下痢だとも気づかずに――。
千尋の背中は、ついに背後の壁に当たってしまう。
「ああっ! あっ! ひっ、ひいっ」
ブボボボボ!
ぷっしゅうううううう!
千尋は引き攣った悲鳴を漏らし、大小便を噴き出しながら、急速に意識が遠のいていく。
「えっ、え゛え゛え゛!」
ブワッと涙が溢れ出し、口からは蟹のように泡を吹き――、
千尋は恥辱のなか、ついに気を失ってしまった。
この小説は、大決壊! 誰にも言えないに収録されている作品です。
フルカラーのイラストもありますので、気になった方は購入してもらえると創作活動の励みになります。