レモネードオアシス 2022/06/03 07:20

真夏の夜の冒険1

6月に入りました。

今日は金曜日ということで、新作の短編小説を更新していきたいと思います。
6月中には終わるはずの集中連載ですので、楽しんでもらえたら嬉しいです。

※グロテスクでホラーな描写があるので、ご注意ください。


目次

旧校舎のトイレの怪(カテゴリー)

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登場人物

・ヒロイン1
中野恵美(なかのえみ)
中学二年生。
14歳

明るく活発的な性格。
いつも千晶をぐいぐい引っ張っていくような感じの性格。

亜麻色の髪の毛をポニーテールにしている。

白の洗いざらしたTシャツに、黒の三分丈のスパッツ。



・ヒロイン2
平坂千晶(ひらさかちあき)
中学二年生。
14歳。

内気な性格。
恵美とはクラスメート。
いつも恵美の後ろを突いているような感じの少女。

黒髪を二つ結びにしている。

・白のサマーワンピースを着ている。


二人の身長は同じくらい。


真夏の冒険


「夏休みの最後の日さ、ホタル見にいこうよ」
「うん。行こう」

 友人の恵美に誘われて、千晶は二つ返事でオッケーしたのだった。
 中学二年生の真夏。
 あと一週間ほどで夏休みが終わろうとしていた。
 来年は受験シーズンだから、ゆっくりできる夏休みはこれで最後になる。
 だからなにか二人の思い出になることを、というわけだ。

        ☆

 こうして夏休みの最終日はあっという間にやってきた。
 夕飯を食べ終わった夜10時。
 千晶は懐中電灯を持って、こっそりと家を抜け出す。
 ホタルを見るのは、学校の裏山で、ということになっていた。

「晴れて、良かった……かな」

 満月の明るい夜だった。
 青白く照らし出された住宅街の路地を小走りで駆けていく。
 やがて見えてきたのは、大きな建物……学校だ。
 校門のところにはもうすでにポニーテールのシルエットの少女がこっちに向けて手を振っている。
 どうやら恵美のほうが先にきていたらしい。

「ごめん恵美。待った?」
「ううん。いまきたところだから。それじゃ、行こっか」
「うん」

 二人して、手を繋いで夜道を歩き出す。
 学校の裏山へは、学校の敷地をぐるっと回っていく必要がある。
 五分ほど歩くと、やがて裏山への入り口が見えてくる。
 藪が深くて、足元が悪い。
 懐中電灯で照らしながら進んでいく。

 と、不意に恵美が、パチンッ、腕を叩いてみせる。

「長袖でくれば良かった」
「そうだねー」

 裏山へ踏み込みながら、早くも二人とも後悔していた。
 恵美は半袖のTシャツに、三分丈の黒のスパッツ。
 千晶は白のワンピースという格好できている。
 真夏の藪の中ということもあって、蚊が凄いことになっている。
 それでも恵美と千晶は手を繋いで歩いて行く。
 人が通る道とはいえない、獣道を。

「この先にため池があって、そこにホタルがたくさんいるんだって。お母さんがいつか話してたの」
「そうなんだ。こんな山奥に……」

 恵美の言葉に相づちを打ちながら進んでいく。
 手を繋いで、懐中電灯で足元を照らしながら。

 こうして藪の中を進んでいくと――、

「なんだろ、あれ」

 恵美が懐中電灯で照らし出したのは……大きなログハウスだった。
 ただし長いあいだ人が住んでいないのか、ツタで覆われていてボロボロになっている。
 もちろん、窓から電気の光が漏れていると言うこともない。

「おお、ログハウス、発見。廃墟かな?」
「うん。誰も住んでないと思うけど……」

 恵美の問いかけに、たぶん廃墟なのだろうと答えてしまい……千晶は『しまった』と思った。
 恵美はこういった楽しそうなことを見つけると、すぐに首を突っ込みたがる性分なのだ。
 だから、恵美がこのあとすぐに、

「それじゃ、探検してみようっ」

 と、言いだしたときには『やっぱり』と思ってしまったものだ。
 だけど千晶が制止して止まってくれる恵美ではない。
 それでも一応、

「恵美、やめとこうよ~」

 止めてみる。
 だけど恵美はやはりというか、

「平気、平気。誰も住んでないんだから、ちょっとくらいお邪魔しても平気だって」
「でも、誰かに見つかったら怒られるよ」
「そのときはさ、二人してダッシュで逃げよう!」
「そんなー……」

 二人して懐中電灯を消す。
 すると辺りは真っ暗闇になって、青白い月光が強くなったように感じられる。
 カサカサと藪のなかを歩く音も夏虫の鳴き声がかき消してくれていた。

(あれ……?)

 ログハウスに近づいて、千晶はある異変に気づく。
 ぼんやりと……、雨戸の閉まった窓の隙間から、本当にぼんやりとだけど、弱々しい灯りが漏れていないだろうか?
 部屋の電気ではない、ランタンのような弱い灯り。
 だとしたら、このログハウスには誰かいることになる。

「ねえ……、やっぱりやめとこうよー……っ」

 先を行く恵美の背中に向けて囁きかけるも、しかしもうすでに恵美はログハウスのドアに手をかけようとしていた。

「開いてる、かな……?」
(開きませんように!)

 恵美が、イタズラっぽい笑みを浮かべながらドアノブを、ゆっくりと捻っていく。
 すると――、
 ガチャリ。
 千晶のお祈りも虚しく、ログハウスのドアは開いてしまう。

「お、開いちゃった♪」
「ねえ、本当にやめとこうよ……!」
「平気だって、ほら……」

 恵美に促されるがままに、ドアの隙間からログハウスのなかを覗き込んでみると、そこにはガランとした真っ暗な空間が広がっていた。
 埃が積もっていて、たぶん人が住まなくなって、かなり長い時間が経っているのだろう。

(と、言うことは……窓から明かりが漏れていたように見えたのは気のせい……?)

 誰もいないみたいな一安心。
 これでとりあえず怒られることはない……と思う。

「真っ暗だね。誰もいないし、探検してみよっか」
「もうやめとこうよぉ……恵美ちゃん……」
「あはっ、千晶ちゃんったら怖いんだ」
「そ、そうじゃないけど……」

 恵美は、ガランとしたログハウスへと踏み込んでいく。
 真っ暗な空間は……リビングとして使われていたみたいだ。
 脚の低いテーブルに、ソファーが並んでいる。
 どの家具も、埃をかぶっていて人が住んでいた気配はない。

「ねえ、もう気が済んだでしょ……!?」
「まだ奥に部屋、あるみたいだし。もうちょっと探検してみようよ」
「まだ行くの……!?」

 更に奥に進もうとする恵美の腕を引こうとした、そのときだった。

 ガタンッ!

 奥のほう……、隣の部屋からだろうか? なにか物音が聞こえてきた。
 だけど隣室の様子は扉が閉まっているから窺い知ることができない。
 こうしている瞬間にも、ギシギシとした音と、かすかに低い呻き声のようなものが聞こえてきていた。
 恵美は息を潜めて、

「奥からなにか聞こえる。誰かいるのかな? それとも猫かな?」
「ちょっ、恵美ちゃん!? 勝手に入ったら怒られるよ……っ」
「平気平気。どうせ廃墟みたいなもんだし。それに、カップルがえっちなことしてるだけかも?」
「えっ、えっちな……っ」

 ギィッ、ギシ、ギィィッ。

 奥の部屋から聞こえてくる音に、いろいろと想像してしまって、頬が熱くなる。
 その隙に恵美は真っ暗なログハウスへと更に踏み込んでいく。
 仕方がないので恵美の背中を追いかける。

 ギィ……ギシ、ギシ……。

 なにかが軋むような音。
 それに低い呻き声。
 これは本当にカップルがエッチなことをしているのかもしれない……。

(えっちなこと……うわわっ)

 ギシギシとした音は、隣室へと続くドアに近づくにつれて大きくなってくる。
 自然と胸が高鳴って、

 じゅわわっ。

 ショーツのなかが熱く濡れるのを感じる。
 こんな状況だっていうのに。
 でも、それはきっと恵美も同じなんだと思う。
 恵美のスパッツに包まれているお尻から、ふんわりとした甘酸っぱい香り型頼ってきていた。
 かすかな月光に、股間の部分には染みが広がっているようにも見える。

「あはっ、ずいぶん激しいみたい……」
「うん……。凄くギシギシ聞こえてきてる……」

 じゅわ……。
 じゅわわぁ……。

 ギシギシときしむ音に、否が応にも期待感が高まってしまう。
 ショーツの汗とおまたの汁によっておもらしをしたかのように濡れている。
 千晶だって、中学二年生の思春期の女の子だ。
 セックスという言葉は知っているし、おちんちんがおまたに入ってくるということは漠然とは理解している。
 だけど、具体的にはどんなことをするのかまでは知らなかった。

(その答えが、扉の向こうにある……)

 そう思うと、自然と鼓動が早くなって、おまたが更に熱く濡れてきてしまう。

 ――ごくり。

 ふたりして固唾を飲みながら。
 音が鳴らないように、ゆっくりとドアを開けていく。
 すると、ドアの隙間からランタンのような弱々しい灯りが漏れてくる。
 ギシギシとした音と、低い呻き声も大きくなって、そっとドアの隙間から隣室を覗き込んでみる。

「ヒッ」
「えっ……!?」

 引き攣った悲鳴を漏らしたのは恵美。
 眉をひそめたのは千晶だった。


真夏の夜の冒険2につづく!

今週はここまでです。
続きは来週の金曜日に更新する予定です。

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