TS俺が百合堕ちするまで・先行体験版
いつもあたたかいご支援ありがとうございます!
次回作の同人誌の体験版ができましたので、できてたほやほやを味わってもらいたいのでおいておきます。
ZIPファイルですので、スマホ・タブレットでは解凍アプリを使わなければ読めないかもしれません。
PCならば、よほど古いPCでなければデフォルトで解凍できると思います。
CGも入れておいたので楽しんでもらえたら嬉しいです!
TS俺が百合堕ちするまで(体験版).zip (31.50MB)
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レモネードオアシス 2021/07/31 20:29
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ダウンロードレモネードオアシス 2021/07/30 07:39
いつもあたたかいご支援ありがとうございます!
今日は金曜日ですので新しい小説を更新したいと思います!
「あ、あの……。先輩、俺は……、本当にここに来てもいいんですか……?」
「なにを遠慮しているんだ。きみはもう女子なのだ。ビクビクしてると逆に目立つぞ」
「うう~」
遥香に手を引かれてやってきたのは、男子にとっては世界の果てよりも遠い場所である女子寮だった。
ヨーロッパをイメージした白壁の瀟洒な2階建ての建物。
その吹き抜けになっているロビーに踏み込むと、南国のフルーツを思わせるふんわりと柔らかい香りが漂っている。
それは年頃の女の子からごく自然に香ると言われる、ラクトンという成分の匂いなのだろう。
男子寮と同じ作りの建物のはずなのに、どこか別世界のように思えてならなかった。
「さて、私の部屋は2階だ。案内するからついてきてくれ」
暖色のカーペットが敷かれたロビーの正面にある巨大な螺旋階段を上り、2階へ。
同じように暖色のカーペットが敷かれた2階廊下を、遥香の後ろをついていく。
すれ違う女子たちの視線がチクチクと痛い。
男子の制服を着ていることが、かえって目立っていた。
「着いたぞ。ここが私の部屋だ。遠慮なく入ってくれ」
「は、はい……」
ほんとうは産まれて初めて入る女の子の部屋に抵抗がないと言えば嘘になる。
だけどこのまま廊下に立っていても、女子たちの奇異の視線を受けていることになるだけだ。
仕方がなく、恐る恐る千尋は遥香の部屋へと踏み込んでいった。
「散らかっているが気にしないでくれ」
謙遜する遥香だけど、千尋から見れば充分に整理整頓が行き届いた部屋だった。
20畳ほどの広々とした空間は、オフホワイトと木目を活かした家具によってまとめられている。
カーテンからは西日が射してきていた。
「広い、ですね」
「生徒会長という職務に就いているとどうしても持ち物が多くなってしまってな。学校から特別にこの部屋をあてがってもらったんだ。私一人で使っているから、安心してくれ」
「は、はい……」
頷いてから、ふと疑問に思う。
なぜ、安心しろ?
まるでいまの言い方だと、俺がここに住むようにも受け取れるような気が……?
「あ、あの……先輩? 安心しろっていうのはどういうことです?」
「決まってるだろ。きみを一人にするわけにはいかん。私がこれから女としての生き方を教えてやるから覚悟するんだ」
「ちょっ、せめて別の部屋というのは!」
「無理だ。もう女子寮は満室だから、入寮するとしたら私の部屋しかあり得ないぞ」
「だ、男子寮に戻りますっ」
「言っただろう? 私がきみのことを女の子にしてやる、と。私に嘘をつかせないでくれ」
「そ、そんなぁ……」
こうして千尋は問答無用で遥香と同じ部屋で生活することになるのだった。
だが、これはまだ前奏曲<プレリュード>に過ぎない。
そしてそれは一息つく暇もなく、遥香の口から飛び出すことになる。
「それではまずはその無粋な服をどうにかしようか」
「えっ?」
「なにを鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているんだ。ここは女子寮なのだ。いつまでも男子の制服でいるわけにもいかん」
「ちょっ、待っ……! と、いうことは……ス、スカート!?」
「もちろんだ。ついでにいうと、スカートは短めなものをチョイスしてやったから、まずは下着からだな」
「下着って……、まさか、女物のっ」
「当然。トランクスなんて穿いてた日には、スカートからはみ出るくらいに短いスカートだ」
「あ、あの……、女物の下着というのは、さすがに……っ」
「こういうのは勢いが大切だな。まずは服を脱いでみるがいい」
「脱がないという選択肢は?」
「私が脱がしてあげることになる」
「うう~」
だけどいきなり服を脱げと言われても、心の準備というものができていない。
しかも、遥香のような美人の前で。
身体は女でも、心はまだ男なのだ。
「ふふ、真っ赤になって可愛いところがあるな。そんなに震えてくれるなよ。私が脱がしてやる」
「うう……お、お願い…………します」
「任されたぞ」
後ろに回ってきた遥香が、学ランとワイシャツのボタンを1つずつ、丁寧に外してくれる。
ズボンのベルトも。
露わになったのは、サラシが巻かれて、やや控えめな膨らみになっているFカップ。
それにトランクスに包まれた下半身。もしも男だったら、下半身に血流が集中して大変なことになっていたことだろう。
だけどその代わりに、千尋の身体には別の反応が起きていた。
じゅわり……。
滲み出してきたのは、母乳。
サラシに包まれているおっぱいがムズムズしてきて、なんだか切ない気持ちになってきてしまう。
だけど遥香はそのことに気づくこともなく、
「サラシはよくない。形が崩れる」
「あっ」
サラシに手をかけられるとしゅるしゅると外されていく。
逃げようと思えば簡単に逃げられる、優しい手つき。
だけど、黒髪に縛られたかのように動くことができなかった。
「おお、これは立派な……とても魅力的でセクシーなおっぱいをしているな」
「そんな……おっぱい……恥ずかしい、です」
「恥ずかしがるなよ。これから一生付き合っていくんだ」
「そう、ですけど……」
「おや……? これは」
「ああう……これは……その、母乳、です……」
「ぼ、母乳が出るのか!?」
「その……はい。ドキドキしたときとか、出てきてしまいます……。ホルモンバランスがまだ崩れてるみたいで……すみません」
「なにも謝ることはない。ちょっとビックリしただけだ。私こそ驚いてすまなかったな」
長い長いサラシを外されると、次はトランクスだ。
「脱がしても、いいか?」
「うう……そんな恥ずかしいこと、聞かないで……」
「恥ずかしがってる顔も、とっても可愛いぞ」
耳元で囁かれる甘い声に、頭がクラクラしてくる。
トランクスの腰ゴムの両端に、ゆっくりと指がかかると、
(ああ、恥ずかしい姿を見られてしまう……っ)
母乳が出るのに、赤ん坊のようにつるつるのおまた。
男だったころのたくましさは微塵も感じられない、あまりにも心許ない不毛地帯。
「これは……。可愛いな」
「笑わない……んですか? 赤ん坊みたいにつるつるなのに」
「笑う? むだ毛もなく、つるつるの肌で羨ましいくらいだぞ。それに……」
「そ、それに……?」
「私も……生えてない、からな」
耳元で囁かれる声には、ほんの少しだけ照れが混じっていて、ごまかすようにギュッと遥香は抱きしめてくれる。
その体温が温かくて、ドキドキと鼓動が早まってきて……じゅわり、母乳が滲み出してきてしまう。
「ふふっ、ドキドキすると母乳が出てくるというのも、とても魅力的だ。舐めてみたいくらい」
「な、舐めるだなんて……」
「だけどそれはまた今度の楽しみにとっておくことにするよ。今日のところはまずは下着をつけてもらわないとな。……ふむ。ちょっいと失礼するぞ」
「あっ」
後ろから抱きしめてきている遥香に、ガシッと乳房を鷲掴みにされて、身体に電流が走る。
他人にこうして身体を触れるのは初めての経験だった。女の子になってからも、男だったころを入れても。
鷲掴み……というのはちょっと齟齬があるかも知れない。乱暴な手つきではなくて、包み込むような優しい感触。
「ふむ。乳房のサイズは私とほとんど変わらないようだな。身長は小柄なのに、わがままな体つきをしている。それに……ヒップも私と同じ安産型で大きさも同じくらい、と」
「そ、そうなんですか?」
「試してみるか。こんなこともあろうかと、保健室からいろいろなサイズの下着を取り寄せておいたのだ。真っ白のダサダサな下着だけど、今日のところは我慢してくれ」
「だ、ダサダサ……」
生徒会長の口からそんな単語が出てくるとは思ってもいなかったので、ちょっと意外に思ってしまう。
遥香はタンスの一番上の段から真っ白なブラジャーを持ってくると、再び後ろに回ってブラを充てようとしてきて……、
「あっ、イヤ……ッ」
あまりにも恥ずかしくて、それにブラジャーをあてたら男としての人生が終わってしまうような気がして……千尋の口から出てきたのは、拒絶の言葉だった。
「……やっぱり無理そうか?」
「あ、あの……やっぱり、恥ずかしい、です……」
「だがいつまでもサラシでいるわけにもいかんし。ぱんつだって、男物のようなスカスカな下着だと、女の子の日がきたら大変なことになるぞ?」
「そ、そうなんです……か?」
「ああ。女の子というのは、男どもの知らないところで苦労しているものなのだ。……そうだな、きみだけ裸になっているというのは恥ずかしいよな、やっぱり」
「えっ?」
「ちょっと待っててくれ」
千尋が戸惑っていると、後ろに立っていた遥香の身体が離れる。
そして数秒後にもぞもぞと衣擦れの音とともに着衣が床に落ちていく気配。
プツン……、小さなホックのようなものが外れる音が聞こえてくると、
「これでよし、と。」
なにがいいんです?
振り向いた千尋は、愕然としてしまった。
なにしろそこに立っていたのは、制服を脱いで一糸まとわぬ裸となった遥香が立っていたのだ。
「う、うおお……っ」
男だったときの習性か、それとも神が創り出した造形美に視線が吸い寄せられたのかは分からない。
千尋の視線は、遥香の裸体に釘付けになってしまう。
華奢な裸体だった。
だが乳房は大きく膨らみ、その頂にはちょこんと小さなピンクの突起が自己主張している。
それでいてキュッとくびれたウエストライン。
ヒップは遥香自身が安産型と言っていたように、やや大きめでむっちりとしていた。
だけどその少女の部分には、産毛さえも生えていなかった。
それでもシュッと縦筋が刻まれた秘部からは、かげろうが揺らめくほどの女の色香が漂っているようにも思えてならない。
「これで裸の付き合いだ。そうだ、せっかくだからこんな真っ白のダサダサブラジャーはやめておくか。サイズも同じみたいだし、私のブラを充ててみるか?」
「会長の……?」
「ああ、きみが嫌でなければ、だが」
「う、うう……」
そんなことを言われて、嫌だと言えるはずがなかった。
それに遥香のブラはシンプルながらも可愛らしいデザインをしていた。
「分かり……ました。会長のブラ、とっても可愛いし……それでお願いしますっ」
「いい返事だ。女は度胸、てな」
だがその直後に千尋は目を疑うことになる。
なにしろ、遥香が広げてみせたのは、いま脱いだばかりのブラジャーだったのだ!
「えっ、脱ぎたて!?」
「いやか?」
「いや、ではないですけど……!!」
「おおう、母乳が滲み出してきてる。それはオッケーと言うことでいいんだな」
「は、はい……」
「それはなによりだ。もしも断られたりなんかしたら、落ち込んで3日は寝込むところだったぞ」
後ろに立つ遥香に、ゆっくりと、優しい手つきでブラジャーをあてられていく。
遥香の脱ぎたてのブラは、まだ体温を宿していて温かかった。
(会長の脱ぎ立て……!)
そう思うと、どんなに平静を装おうとしても心拍数が跳ね上がってしまう。
じゅわわ……。
母乳が滲み出してきて、ムワッと甘い香りが漂ってしまう。
このままでは、母乳で遥香のブラを汚してしまうことになる。
「あっ、ちょっと待って……ください。ブラ、汚しちゃう」
「そんな細かいこと気にするなって。あとで拭いてやる」
「は、はい……」
ブラジャー。
それは女性のために創り出された下着。
その下着をあてると言うことは、男から女へとメタモルフォーゼしたことを認めてしまうことになるのでは?
少しずつ、女の子になったことを認めなくてはいけない……。
千尋は、覚悟を持ってブラを充てられようとしている。
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レモネードオアシス 2021/07/24 07:15
いつもあたたかいご支援ありがとうございます!
昨日は金曜日でしたが体調が悪く更新できなかったので、今日の更新です。
TS俺が百合堕ちするまで……生徒会長との出会うお話しとなっています。
楽しんでもらえたら嬉しいです!
――どうやら、女の子になったらしい。
それがこの1週間、病院をたらい回しにされて得られた結論だった。
いろいろな精密検査を受けた結果、健康上の問題はなし。
むしろ健康そのもの。
……男から女へと、性別が変わってしまった以外は。
「俺、どうなっちまうんだ……」
千尋は学園寮の角にある自室で、ベッドで仰向けになって、ぼんやりと呟いていた。
この1週間、病院を日替わりで回ってきてクタクタに疲れてしまった。
幸いなことに一人部屋なので、誰にも独り言を聞かれる心配はない。
だけどそんな些細なことよりも、もっと困ったことになっているのは事実だった。
「話には聞いていたが……まさか俺自身に起きるとは……」
千尋はしみじみと呟く。
まさか、性転換現象が自分の身に起きるなんて、想像さえもしていなかった。
――世界的に見れば、性転換現象は0%ではないらしい。
きっかけは、ロシアのツンドラ地帯のほうに落ちた、隕石だと言われている。
ある日、その隕石が落ちた。
千尋もネットのニュースで写真を見かけて、「ああ、木がたくさん倒れているな」程度には思っていた。
……そこまでは日常にあるニュースの1つだけど、問題はそこから起きた。
と、いうのも隕石が落ちた陽を境にして、千尋たちの年頃の少年たちが、突如として女体化するという事件が散発するようになったのだ。
はっきりとした原因はわかってはいない。
隕石に付着していた未知のウイルスや、未知のエネルギー波や、はたまた宇宙人による人体実験説など、様々な仮説があるもどれも実証はされていない。
ただ、確実に言えること。
それはある日、突然降りかかってくるということ。
いまの、千尋のように、だ。
「信じられんことだが……」
千尋はベッドから降りると、寮の個室に備え付けてある洗面台の前に立つ。
鏡に映るのは、自分であって自分ではない。
男のころの面影は、まったくと言っていいほど消滅していた。
「ホントーに女になってやがる……」
以前よりも高い声。
女の子になって息が苦しいと思っていたのは気のせいではなく、喉が華奢に、細くなった影響らしい。
髪の毛はうっすらとした桃色に変わり、サラサラのロングヘアになっている。
いぶかしげに覗き込んできている瞳は、どこかいたずらを考えている小悪魔ようにも見えて、自分のことながらドキリとしてしまう。
それに隠しようもないのが大きく張った胸だった。
病院で検査を受けたところFカップの認定をされてしまい、危うくブラジャーを充てられそうになったけど固辞させてもらった。
だけどさすがにノーブラでいるわけにもいかないということで、看護師のお姉さんにサラシをプレゼントして巻き方も教わってきた。
「母乳、出てきちゃってるし」
突然女の子になって、体内のホルモンバランスの影響か、ちょっとでもドキドキすることがあると母乳が滲みだしてくるようになっていた。
サラシを外すと、
むわぁ……。
甘くミルキーな香りが、狭い洗面室に漂う。
胸の谷間には、汗や母乳が流れ込んでしまうから、シャワーで流してサッパリしたかった。
「胸はいいとして……、いや、よくはないが」
ズボンとトランクスを下ろす。
男としてもっと重要な部分は、綺麗さっぱり消滅していた。
しかもつるんとした赤ん坊のような状態になって。
シュッと刻まれた縦筋に、ピンクの桜の花びらのような肉ヒダがちょこっと顔を覗かせている。
ちなみに。
千尋が着ていたのは、学校指定の男子用の制服だ。
さっきまで病院を回ってきたから学ランにワイシャツ。
女の子になったからと言って、いきなり女物の制服を着る勇気が千尋にはなかった。
それにましてや女物の下着やスカートだなんて。
これからも着る気も、穿く気もなんてさらさらない。
そう思っていたのに――。
☆
それから更に1週間の時が経つ。
しかし男として生活しようとすると、いきなり困ったことに直面することになった。
まずはお風呂。
千尋の通っている学園は、全寮制なのだ。
しかも男子寮と女子寮に分かれている。
さらに言えば、個室に内湯なんてものは無く、大浴場だ。
だから他の男子たちと一緒に入るわけにはいかないから、深夜になって特別に寮母さんにお願いして入れてもらうことになった。
次に困ったのはトイレだ。
男は小用だけを済ませるのならば立ったままですることができるけど、女はそうはいかない。
個室に入らなくてはいけないのだ。
男が個室に入るとしたら大をしたいときのみ。
千尋のような年頃の男子には抵抗があることだった。
寮でならともかく、学校にいるときに個室というのは使いづらいものだった。
それに体育の時間も。
千尋が通っている学校では男子と女子にわかれて体育の授業がおこなわれるけど、千尋は以前と変わらずに男子として授業を受けていた。
だがそうなると困ってくることがある。
男子は1つの教室でまとまって体操服に着替えるのだが――。
「俺は男なんだ。気にするなって」
千尋はそう思っていたし、クラスの男子たちに宣言もしていた。
だから着替えるときは一緒の教室でしていた。
大丈夫。
胸にはサラシが巻いてあるし、下着だってトランクスなのだ。
欲情する要素なんて1つもない。
……だけど。
そう思っていたのは、千尋だけのようだ。
一週間が経ったころ、男子たちの連名による申請書が教師に提出されることになる。
要約すると、
『せめて千尋を、他の教室で着替えさせてほしい』
『さらに言えば千尋を、可能であれば女子寮に入寮させてほしい』
このことを教師から聞かされたとき、お前らどんだけ性に飢えてるんだよとか思ったけど、たしかにこのままではいけないと思っている自分もいる。
(だけど、さすがに女子寮というのは……!)
せめて自宅から通うことができれば問題ないのだが、我が学園は全寮制で、規律ある生徒たちの育成というのを売りにしているらしいから、それは校則違反になってしまう。
そもそも、千尋の家は学園がある関東地方から遠く離れた北海道にあるのだ。
だけど体育の着替えはともかく、女子寮というのは抵抗がある。
身体はともかく、心は男のままなのだ。
それにドキドキすると、
じゅわわぁ……。
(あっ、また母乳が出てきちゃってる……)
ホルモンバランスのせいか、すぐに母乳が出てきてサラシの内側に染みこんでいく感触。
早く拭いてやらないと痒くなってくるのが悩みどころだ。
「はぁ……。女子寮、か……」
ときは下校時間。
男物の制服を着た千尋は、昇降口で靴を履きかえて、人知れずにため息をついていた。
昇降口を出れば、そこは前庭だ。
前庭の真ん中には立派な噴水が設えてあって、いつもサラサラと涼しげな水音を奏でている。
学園から男子寮まで、前庭を右に曲がって、歩いて10分弱。
女子寮は前庭を左に曲がって同じ距離にある。
学校の敷地内に寮があるから、生徒たちは休日や課外活動以外は学園で過ごすことになる。
(まぁ、今日のところは男子寮に帰ることにするけど)
そして部屋から出なければいいし。
お風呂も深夜に入れば、なにも問題は無い。
だから女子寮に無理やり入寮させられることなんて、ない……はずだ。
前庭を横切って男子寮へと帰ろうとしていた、そのときだった。
(誰か、いる?)
いや、周囲には他に下校中の生徒たちがいるのだから、この表現は間違っている。
視線を吸い寄せられたのは、前庭の真ん中にある噴水。
その縁に座っているのは、この学園にいて知らぬ者はいないほどの有名人だった。
モデルのようにすらりとした長身をブレザーに包み、スカートはかなり短め。
だけど黒タイツを穿いているから、むしろ気品が漂っているようにも見える。
真っ直ぐな黒髪ロングは噴水から生み出されるそよ風にサラサラと流れていた。
「生徒会長……」
本名は黒(くろ)河(かわ)遥(はる)香(か)。
しかし生徒や教師からは、畏敬の念をもって『生徒会長』と呼ばれている。
生徒会長という多忙な日々を送りながらも学年のテストでは常に1位を独占し、部活動では何回もヘルプに呼ばれるほどの運動神経。
さらには弾くことができる楽器は両手では足りないほどという超人ぶりだ。
(綺麗だなー)
女になったいまでさえもそう思う。
いや、女になったからこそ、遥香の綺麗さを思い知らされる。
いやいや、まだ心は男だからなのか。
それは千尋にはわからないことだった。
(ま、俺には関係のないことだけど)
それに年上の遥香をジロジロと見つめるのはあまり礼儀が正しいことではないことのように思えて。
相手は高嶺の花だ。
千尋は噴水の前を……遥香の前を横切ろうとした、そのときだった。
スッと遥香が立ち上がると、こちらを真っ直ぐに見据えて、
「きみのことを待っていたのだ」
えっ?
一瞬、なにを言われているのか理解できずにキョトンとしてしまう。
そうだ。
きっと自分のすぐ後ろにいる人に話しかけているのだ。待ち合わせかなんかをしていて。
そう思って遥香をスルーしようとすると、
「待ちたまえ。無視とはずいぶんだな」
今度こそ手を取られて呼び止められる。
どうやら遥香の待ち人は千尋のようだ。
だけどそうなると、余計に千尋は混乱してしまう。
周りにはたくさんの生徒がいる。
ファンクラブだってあるほどの生徒会長に手を取られるだなんて。
それに、遥香の手は、熱くてとても柔らかかった。
「えっ? ええ? 俺を待ってたって……!?」
「そうだぞ。きみのことを……桃瀬千尋、きみのことを待っていたのだ」
「な、なんで……? 生徒会長が、俺を?」
頭に『?』マークを浮かべて首をかしげていると、遥香はかすかに顔をしかめてみせるのだった。
その表情さえも綺麗で見とれそうになってしまい、頬が熱くなるのを感じる。
「俺、というと、まるで男子のようだな、本当に」
「だ、だって……俺、男子だし……」
「ふむ。なるほど。そういうことか」
「な、なん……です?」
「いや、私の耳にも入ってきてな。世界的に散発的に見られる性転換現象が、我が校の生徒にも起きたと」
「そうですけど……。まさか、学校から言われて、俺を女子寮へと移そうっていうんですか!?」
「有無。その質問には半分がイエスで、半分がノーだ。私はきみを女子寮に連れて行きたいと思っているが、学校から言われたとか、そういうのではないよ」
「それじゃあ、なんで……?」
「単純な、個人的な興味だ」
「個人的な、興味……?」
「そう。きみに興味があるのだ」
「俺に、興味……って」
学園では超人的な扱いを受けている生徒会長に直々に声をかけられて、しかも興味があるだなんて。
まさかそんなことを言われると思ってもいなかったので、言葉に詰まってしまう。
だけど遥香は大真面目のようだった。
「女の子になって日が浅いのだ。まだまだ精神的に不安定なのはわかる。だから……」
遥香に両手をとられる。
周りにいる下校中の生徒たちは男女問わずに千尋と遥香に注目していて。
ただでさえ人前にでることがあまり得意ではない千尋は緊張してしまう。
それでも遥香は、なんの躊躇いもなく宣言するのだった。
「私が、きみのことを女にしてやろう」
「えっ、ええ……!?」
トクンッ。
とんでもないことを言われているはずなのに、なぜか胸の高鳴りを覚えてしまう。
それが生徒会長……遥香との出会いだった。
いつもあたたかいご支援ありがとうございます。
今年の夏はかなり慌ただしいことになりそうですので、8月の更新が途絶えるかもしれません。
今回イラストを担当してくれているめんぼーさんの大決壊シリーズも配信中です。
かなりジョバジョバやったので楽しんでもらえたら嬉しいです!
レモネードオアシス 2021/07/16 11:23
――代わり映えのしない毎日。
一体いつになったら終わるんだろうか?
桃瀬千尋は、5月の陽気に照らされた学校のグラウンドを走りながら、漠然とそんなことを考えていた。
ときは、五時限目の体育の授業中。
今日は長距離走だから、千尋を含めた男子生徒たちは延々とグラウンドを周回させられることになっていた。
きっと、これからの人生も似たような光景が広がっているのだろう。
こんなふうに、延々と退屈な日常が広がっている――。
(せめてさっさと走りきりてぇ……)
そんなことを考えながらも、ここでペースを上げたりなんかしたら後半に辛くなることは目に見えている。
長距離走の秘訣は、いかに疲れずに走りきるか、だ。
急に飛ばしても、なにも良いことがない。
(ああ、これも人生に似てる)
そんなことを考えながらも、千尋は地道に長距離走を刻むように走っていく。
走っていると、なぜか余計なことばかりが頭を浮かんでくるから不思議なものだ。
「えっ?」
千尋が短い声を漏らしてしまったのは、急に息苦しさを感じたからだった。
だが異変は息苦しさだけでは終わらない。
「えっ、あっ、ちょ……!?」
胸のあたりが締めつけられるような感覚に襲われると、急に体操シャツに覆われている胸が大きく膨らんできたではないか!
「う、うそ、な!?」
なんで、急に!?
言葉にしようと思っても、あまりにも急なことだったので言葉になってくれない。
それでも胸のところに2つの風船を入れられたかのように大きく膨らんでいき、それが限界にまで達したその瞬間――。
「ク、クリリンのことかー!」
人間、急なことが起きるとパニックになって、思ってもいないことを叫んでしまうものらしい。
胸が苦しくなった瞬間に千尋の脳裏をよぎったのは、以前漫画で読んだことがあるワンシーンだった。
――直後。
バリバリバリ!
……たゆんっ。
厚手の体操シャツを破って露わになったのは、大きく張った乳房だった。
それはまるで女の子のような。
染み一つない乳房に、頂きには小さなピンク色の乳輪がある。
「えっ、ええ!?」
俺の、身体が!?
あまりのことに、千尋はその場にへたり込んでしまっていた。
そのしゃがみかたは、女の子が座るときのように。
この瞬間、千尋の身体は男から女へとメタモルフォーゼしていたのかもしれなかった。
だが千尋にはそんなことまで気にする余裕は残されてはいない。
「な、なんじゃこりゃ~!」
口をついて出てきたのは、単純な疑問。
一拍置いて、膨らんだ乳房の重みが肩にかかってくる。
ピュピュッ! ピュルルルル!
乳首から糸を引くように噴き出してきたのは、信じられないことに母乳だった。
「えっ、ええっ」
身体に表れた変化は、乳房だけではない。
学校指定のハーフパンツのなかでは、千尋の男性器までもが女性器と化していたのだ。
腰を抜かしてしゃがみこんでいる千尋の股間から、
しゅいいいいいいいいいい……。
くぐもった水音が聞こえてくる。
それは男性器から漏れ出す音とは違った、明らかに恥ずかしい水音。
――女の子の尿道は、おしっこを我慢するには、あまりにも不都合な形をしている。
それにおしっこをなんの躊躇いもなく出せば、恥ずかしい水音が奏でられてしまう。
「あっ、あっ、あっ」
しゅわわわわわわわわわ……。
じゅわり、
お尻が生温かくなると、ハーフパンツに暗い染みが滲みだしてくる。
その染みは千尋を中心として水溜まりとなって広がっていった。
乾いたグラウンドにおしっこが染みこみ、マナ暖かいアンモニア臭が立ち昇ってくる。
(な、なんだよこれ! おっぱいが……、女みたいに膨らんで!? それに髪も!?)
おっぱいに驚いていると、視界の隅に入ってくるのは長く伸びた髪の毛。
桃色のサラサラロングヘアだった。
(ウィッグが……降ってきた、のか……?)
人間、あまりにも急なことが起きると日常バイアスというものがかかるらしい。
いまの千尋がまさにそうだった。
自分の身体が女体化し、髪の毛までも変化しても、メタモルフォーゼしたことを認められずにいる。
普通の人間、だいたいはそうなるだろう。
「う、うそ……っ」
だがどんなに頭のなかで言い訳をしても、千尋の身体の変化は止まってくれない。
女体化したことにより身体が小柄になっていき、それにともなって成長痛にも似た痛みに襲われる。
「うっ、ううう! 身体が……っ、熱い……っ」
じゅわわっ、
ぴゅるるるるっ!
体内のホルモンバランスが崩れたのか、Fカップほどに膨らんだおっぱいからは母乳が噴き出してきていて。
「あっ、ううっ、けつが……温かい……」
しゅわわわわわわわわわわわ……。
それに女性器に変わった股間からは止めどなくおしっこが滲み出してきている。
周りにいるクラスメートたちの男子たちが、なにごとかと近づいてくるけど、千尋自身が一番それが知りたいところだった。
「あ、もう……」
無理――。
そう思った瞬間、千尋の意識は途切れていた。
いつもあたたかいご支援ありがとうございます。
今日からしばらくの間はTS小説を更新していきたいと思います。
大決壊シリーズも配信中です。
今回イラストを描いてもらっているめんぼーさんに描いてもらった作品も配信していますので、よろしければ是非是非。
レモネードオアシス 2021/07/02 11:59
いつもあたたかいご支援ありがとうございます!
金曜日と言うことで、今回は次の小説のキャラデザをバーンと紹介したいと思います!
イラストは、めんぼーさんに描いてもらっています!
大決壊!~TS俺がメス堕ちするまで~
~あらすじ~
ある日、主人公の男子高校生・千尋は、体育の授業中に胸が苦しくなって、気がつけば体操シャツを破るほどの巨乳美少女になってしまう!
それは世界的に見れば稀ではあるけど可能性は0%ではない、性転換の症状。
健康的な男子が、ある日突然女子になってしまうという。
一度女子になると、もう元に戻る方法はない。
女子として生きることになった千尋は、しかし女子のスカートの制服なんて恥ずかしくて着れるはずもなく、男子として生活するも学校では浮いた存在になってしまう。
そんな千尋に興味を持ったのが辣腕生徒会長である遥香。
「お前を身も心も女の子にしてやる!」
遥香に宣言されて、女子の制服を着せられて、女子寮に入寮させられ、ブラやショーツも遥香のものを借してもらうことになり……⁉
と、こんな感じになっています!
楽しんでもらえるようにがんばって更新していきますのでもう少々お待ちください!